goo blog サービス終了のお知らせ 

財務コンサルタント・1級販売士のブログ

小売店経営者を応援しています。
財務管理の基礎知識について、シリーズにて体系的に記述していきます。

予算管理:予算編成の手順

2023年05月01日 | 日記

財務管理の基本知識について、体系的に記述していきます。

内容が古いなと感じたら、現在の財務管理の内容と照らし合わせながら見ていただくと、より理解いただけるかと思います。

 

予算管理:予算編成の手順

見積損益計算書の作成までのプロセス

予算編成では、財務計画にとって最大の制約とみなされる活動から編成が始められ、これに基づいて他の部門予算の編成が続いて行われる。こうして他の部門予算に先駆けて編成され、他部門の予算編成の前提とされる予算を「基礎予算」という。多くの企業では、売上高が最大の制約とされるので、売上高予算を基礎予算としている。

この売上高予算は販売部門の責任者において編成される。売上高予算に次いで編成されるのは製造予算である。これは製造部門の責任者において編成され、製造高予算と製造費用予算に大別される。

製造高予算は売上高予算における販売見積に期首・期末の製品在庫(在庫予算によって表示される)を加減し、年間製造必要量を導き、これに予算原価を乗じて決定する。一方、製造費用予算は、年間製造必要量を満足させるための製造費用を直接材料、直接労務費、製造間接費などに区分して見積もることになる。なお、物品販売業においては、この製造予算に当たるのが仕入予算である。さらに、販売部門で販売費予算が、一般管理部門で一般管理費が編成される。これが営業費用予算である。

以上が損益予算の編成であり、これを企業全体の立場から統合・集約し、見積損益計算書が作成される。なお、見積損益計算書は、決算時に作成される損益計算書と形式は全く同じである。

 

見積貸借対照表の作成までのプロセス

損益予算が編成されたら、次に資金予算と資本支出予算が次の要領で編成される。

まず財務部門の責任において現金収支予算が編成される。これは現金収入見積と現金支出見積から構成され、これに期首と期末の現金残高の予定を加える。なお、現金収支見積に際しては損益予算中の売上高予算を基礎とするが、企業間信用(手形や売掛金など)の利用を前提とする場合には、次の信用予算に依存することになる。

ここで取り扱う現金資金は、企業の血液に例えられるほど重要であって、現金不足は企業倒産へと容易につながる危険性を持っている。したがって現金収支は慎重に編成されなければならず、またその結果によっては、これに先行する各部門の予算の修正が不可避となる場合もあることに注意しなくてはならない。

次に信用予算は、販売および購買部門との連携の下に、財務部門の責任において設定される売上債権回収計画、仕入債務返済計画を中心に編成されるが、売上債権回収計画および仕入債務返済計画それ自体は、それぞれ売上高予算、製造予算を基礎として設定される。

また資本支出予算は、設備投資計画やその他投資計画に基づいて予算期間内の資本支出を見積もったものであり、財務部門で編成される。資本支出予算は短期の資金計画としてだかではなく、長期の資金計画と密接に関連している。

各種の資金予算が部門予算として編成されたなら、必要に応じてこれらを調整し、改めて見積貸借対照表として統合・集約される。形式については、見積損益計算書と同じように、決算時に作成される貸借対照表と変わるところはない。

各部門の予算は、部門間調整を行いながら最終的には見積損益計算書と見積貸借対照表に統合・集約され、総合予算として編成されるのである。

 

つづく