財務管理の基本知識について、体系的に記述していきます。
内容が古いなと感じたら、現在の財務管理の内容と照らし合わせながら見ていただくと、より理解いただけるかと思います。
原価管理:関連原価概念①
前回掲載しました原価計画の方策のうち①~③の個別原価としての方策では、特定業務について代替的な改善案を探索・評価し、最良の代替案を選択することに重点が置かれる。したがって可能な代替案に関する原価情報は、過去の情報ではなく、未来情報であり、かつ各代替案の優劣を判定できるような原価情報である必要がある。
言い換えればそれは、伝統的な原価情報とは異なる新しい情報であり、それが関連原価概念である。つまり関連原価とは、個別計画に関する各代替案から最良案を選択するという意思決定の際に、その意思決定に影響を与える原価概念のことであり、意思決定に関連性のあるという意味で関連原価といわれている。
主要な関連原価を紹介すると、以下の通りである。
①未来原価:各代替案について未来において発生する原価
未来原価であることは、関連原価の必要条件であるが、必要かつ十分条件ではない。
②差額原価:代替案の選択のいかんによって生ずる原価総額の増減もしくは特定原価要素の変化
差額原価は、各代替案の未来原価を指す場合と、それらの比較から明らかにされる増分原価もしくは減分原価を指す場合がある。
③回避可能原価:代替案の選択によって回避できる原価
回避不能原価は埋没原価とされる。
④機会原価:資源を代替的用途に振り分けた場合に得られるであろう利益
会計上算定されるものではないが、関連原価としては極めて重要な概念である。
⑤埋没原価:所与の状況で回収不能な歴史的原価もしくは回避不能原価
過去原価以外に、回避不能原価および各代替案に共通する未来原価も埋没減とされる。
つづく