財務管理の基本知識について、体系的に記述していきます。
内容が古いなと感じたら、現在の財務管理の内容と照らし合わせながら見ていただくと、より理解いただけるかと思います。
原価管理:原価計画
広義の原価管理の2大プロセスのうち原価計画は、原価引き下げを実現するに可能、かつ最良の方法の選択、原価統制上の目標および計画の設定を行うプロセスである。「答申:コスト・マネジメント」では、次に示す段階定期方策をもって行うとしている。
①原価引き下げ目標の設定
長期利益目標と関連付けられた原価引き下げ目標・・毎期の実際原価を批判するための原価統制上の目標とは区別される・・の設定
独創的・啓示的着想が不可欠
②企業環境の改善
企業を取り巻く環境への積極的働きかけ。原価引き下げに有利な状況の創出。
企業だけで解決できないものもあるが、企業間で解決できる。例えば、企業合併、業務提携、工場の専門家と多角化、企業の系列化、コンビナート化、工業団地化、部品規格の企業間統一、流通機構の整備などでは、できる限りその実現を図る。
③経営構造の改善
業務遂行するために基本的に必要な物的設備および人的組織の選択
売上高の維持・発展計画、製品計画(製品需要分析、研究開発計画、新製品の開発と需要開拓計画を含む)に加えて経営位置計画、設備投資計画、要員計画などが必要
④業務の改善
原価引き下げのための日常業務の合理化
利益計画と資金計画
上記において①~③は長期的な視点を要請している。利益計画のような期間計画というよりも個別計画としての性格を持っている。④の場合は日常業務に関することであり、これは期間計画として設定される。
コスト・マネジメントが提唱された当時は、この④の段階を最終段階としていたが、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援による設計)やCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータによる統合生産)など技術革新が進展している今日においては、コストマネジメントの考え方に加えて、製品開発の段階で原価引き下げを図る。いわゆる原価企画をその有力な手段としなければならない段階に達していることを認識しておく必要がある。
つづく