2012年7月21日 13:30-16:30
西洋の台所HAMA にて
西洋の台所HAMA にて

さて、「音声ガイドって、な~に?!」講演とトークの集いの報告、内容編です。
まず平塚千穂子さんが持参くださったDVDでシティライツの活動紹介。
印象的だったのは、映画大好きな平塚さんが、その映画の素晴らしさを視覚障害者に伝えたいということが、純粋な始まりだったこと。
視覚障害者にとっても、映画鑑賞は、半信半疑だったわけです。
映画館のなかで、他の人に迷惑にならないように、ペットボトルを使って工作した糸電話ならぬ、ペットボトル伝声管には、ほほえましくも感動でした。
これは、純粋な気持ちからじゃなきゃ生まれません。
その後、ミニFM発信機によってガイドをとばす方法にたどり着くまで、たこ足イヤホンやら、なんだか、ひととつながりたい気持ち、伝えたい気持ちを形で見るような思いがしました。

バリアフリー映画鑑賞推進団体シティライツ代表 平塚千穂子 さん

シティライツの活動について伺ったあと、いよいよ音声ガイドをどう作りこんでいくかのお話となります。
音声ガイドには、映画をいっしょに観ながらその場でガイドをしていくライブ版ガイドと(封切り映画はコレになります)、作品のDVDなどを繰り返し観て作り込んでいくガイドと二通りあります。
今回の『水俣 患者さんとその世界』は、この後者の作りこみタイプで制作していくことになります。
平塚さんは『桜の国』のDVDの冒頭を、音声ガイドがない映画のままの状態を全員で目を閉じて観る(聴く?)、音声ガイドがついた状態で観る(聴く)、最後に目を開けて観てみる、という三通りの見方を体験させてくれました。
音だけの映画鑑賞体験です。
そして、参加者の半分の視覚障害者の方に教えられます。音が教えてくれる情報も確かにあるのです。
そこにガイドが加わると、映像が浮かんできます。
ガイド付きで映画を観てみると、逆に晴眼者が見ていることの狭さに気づかされます。
以下は、眼からウロコの音声ガイドつくりのポイントです。

音声ガイドづくりのポイント
鉄 則 セリフに被せない=映画の音・音声をきちんと聴かせる。
=セリフや音でわかる情報は説明しない。
例)(電話の音)リリリリーン ×電話がなる
恵子「ここはどこですか?」×場所をたずねる恵子
恵子「・・・・」 ×無言の恵子。絶句する恵子
何を説明するか
○ 字幕・テロップ等の文字情報
○ 何が起きたか。人物の動作・行動など。4W1H (When、Where、Who、What、How)
いつ、どこで、誰が、何をしたのか? どんな風にしたのか?
<特にシーン変わりのどこ?は重要>
→ Why (なぜ)を説明しない = 想像の余地を残す。自分でわかっていく楽しみ。
○ 画面に映しだされた物や風景
→映っているものを自分なりに解釈せず、素直に客観的に表現する。
○ セリフの中の指示語
→登場人物の話の流れについていくため
気をつけている点
・ 人物や場所は、できるだけ、はじめて登場するシーンでイメージを固める。
(人物の風貌、関係、名前、建物の構造、雰囲気など。)
・ カメラワークや構図をよく見て、何をどう見せたいシーンなのかを分析する。
・ 感情を表すしぐさや表情は、客観表現を心がけ、聴く人の想像の余地を残す。
・ 作風にあった表現・言葉を選ぶ。
・ 聞きやすく、わかりやすい文章をつくる。
(主語が後ろの長い文章を作らない。
瞬時に伝わりにくい熟語など、漢字を見ないとわからない、固い言葉を使わない。等)
例) 悔しそうな様子→ 拳を握りしめる。/唇をかむ。
悲しそうな様子→ うつむく/視線をおとす/肩をおとす
例)×目が大きくて、耳の垂れた、足が短い、毛がふさふさとした、小さな茶色い犬。
○茶色い小さな犬。垂れた耳に大きな目。足は短く、毛がふさふさとしている。
例)×楠のそばまでいき、コートを脱ぎ、大きく枝分かれした巨木の姿をまじまじとみつめる誠吾。
背伸びをして、葉っぱを一枚ちぎりとる京子。
○楠の側までいき、コートを脱ぐ誠吾。大きく枝分かれした巨木の姿をまじまじとみつめる。
京子は背伸びをして、葉っぱを一枚ちぎりとる。
例)月光の下→月あかりの下 /痩身の男→痩せ型の男

=セリフや音でわかる情報は説明しない。
例)(電話の音)リリリリーン ×電話がなる
恵子「ここはどこですか?」×場所をたずねる恵子
恵子「・・・・」 ×無言の恵子。絶句する恵子

○ 字幕・テロップ等の文字情報
○ 何が起きたか。人物の動作・行動など。4W1H (When、Where、Who、What、How)
いつ、どこで、誰が、何をしたのか? どんな風にしたのか?
<特にシーン変わりのどこ?は重要>
→ Why (なぜ)を説明しない = 想像の余地を残す。自分でわかっていく楽しみ。
○ 画面に映しだされた物や風景
→映っているものを自分なりに解釈せず、素直に客観的に表現する。
○ セリフの中の指示語
→登場人物の話の流れについていくため

・ 人物や場所は、できるだけ、はじめて登場するシーンでイメージを固める。
(人物の風貌、関係、名前、建物の構造、雰囲気など。)
・ カメラワークや構図をよく見て、何をどう見せたいシーンなのかを分析する。
・ 感情を表すしぐさや表情は、客観表現を心がけ、聴く人の想像の余地を残す。
・ 作風にあった表現・言葉を選ぶ。
・ 聞きやすく、わかりやすい文章をつくる。
(主語が後ろの長い文章を作らない。
瞬時に伝わりにくい熟語など、漢字を見ないとわからない、固い言葉を使わない。等)
例) 悔しそうな様子→ 拳を握りしめる。/唇をかむ。
悲しそうな様子→ うつむく/視線をおとす/肩をおとす
例)×目が大きくて、耳の垂れた、足が短い、毛がふさふさとした、小さな茶色い犬。
○茶色い小さな犬。垂れた耳に大きな目。足は短く、毛がふさふさとしている。
例)×楠のそばまでいき、コートを脱ぎ、大きく枝分かれした巨木の姿をまじまじとみつめる誠吾。
背伸びをして、葉っぱを一枚ちぎりとる京子。
○楠の側までいき、コートを脱ぐ誠吾。大きく枝分かれした巨木の姿をまじまじとみつめる。
京子は背伸びをして、葉っぱを一枚ちぎりとる。
例)月光の下→月あかりの下 /痩身の男→痩せ型の男
う~ん、なるほど、です。

休憩をはさんで、それからは、平塚さんに、視覚障害者で舞台役者と美月めぐみさん、浜松メンバーの中王子みのりさんと加わってもらって、トークとなりました。
美月さんには、音声ガイドがどんな世界を拡げてくれたかを語ってもらいました。

舞台活動も旺盛にされている美月めぐみさん
みのりさんには、「水俣」写真展に実行委員として参加しただけでなく、車イスの重複障害を抱えながらニューヨークシティマラソンにハンドサイクルで参加するという生き方が、周りを刺激して、周りを動かしていっていること(私たちの音声サポート部会誕生がまさにそれなわけですが)を語ってもらいました。

浜松から参加してくれた中王子みのりさん
音声ガイドは、障害の有無を越えて、共感をさぐるものであるわけですが、あまり難しく考えて、「伝える」ということに緊張せず、また、共感を押しつけることなく、同じ場にいること、場の共有から始まるということに、トークは結んでいきました。
総務省は2017年に全TV番組にバリアフリー情報をつけることを決め、現在、音声ガイドづくりは、そのノウハウを含めて注目されているのですが、平塚さんが、自分たちは映画をいっしょに楽しむのがいちばん、というブレない姿勢を発言されていたのも印象に残りました。

締めくくりは、今回の作りこみ映画作品の監督の奥様・土本基子さんの発言を得ました。
基子さんは、音声ガイドを初めて知って、驚いたと言ってくださいました。
その可能性についての驚き、です。
水俣病について、全世界でいちばん鑑賞されているドキュメンタリー映画である本作品に音声ガイドがつくられることを歓迎してくれた発言は、大いに私たちを励ますものでありました。

土本基子さん(参加者席でいちばん手前)は、講演会にも参加。
初体験の音声ガイドについてご自身のブログでも感想をアップしてくださいました。→こちら
さぁ。音声ガイドつくり込みにとりかかります。
※音声ガイドつくりに7月23日より原則月曜日の午後1時より取り組んでいます。
アップデートな動きについては、田嶋いづみのfacebookでも発信しております。
アップデートな動きについては、田嶋いづみのfacebookでも発信しております。