ジョージ・セルという指揮者がいました。1897年ブダペストに生まれ、若き頃は天才ピアニストと謳われ、指揮者に転向してからも各地に招かれ名声を高めた。1939年演奏旅行中に第二次世界大戦が勃発し、当時滞在していたアメリカに亡命することとなりました。1946年クリーヴランド管弦楽団の音楽監督に就任、それはそれは厳しい練習を積み重ね、それまであまりパッとしなかったこのオーケストラを緊密なアンサンブルをもつ世界最高のオーケストラへと成長させました。セルの解釈はスコアの完全再生に基本があり、そのために一糸乱れぬアンサンブルと端正な清潔感のある響きを要求します。クリーヴランド管弦楽団はそれを見事に満たしているのです。
このモーツァルトの交響曲第39番と第40番の入ったディスクは私のお気に入り。セルのハンサムで格調高い解釈と、クリーヴランドのシャープな透明感溢れる響きが楽しめます。ジャケットの写真は1970年大阪万博の際に初来日を果たした時のもの。しかしジョージ・セルは帰国直後急死してしまうのです。愛知万博より35年前のこと。
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