50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

パチンコ店の華やかな歩道に佇み、

2015-12-16 20:32:34 | 小説
パチンコ店の華やかな歩道に佇み、幼時の幸男を花曇りの下で思い浮かべる。嘘の同情から道江に疚しいと言って、夏子は見すごしにできない習癖、つまり幼時から幸男おせっかいを焼かずにすませられないでいた。

(つづく)

「ふん。肩書きもないからね。陰口になる。・・・

2015-12-15 20:03:09 | 小説
「ふん。肩書きもないからね。陰口になる。あの気性の男性には、かくしごとができないのよ。道江がかわいそう。きっと何かある。結局はあの夫婦のためになるんですからね。もう現れてもよさそうな時分だけどね。思い知らせてやりましょう」

(つづく)

2015-12-13 06:23:57 | 小説
「うたた」と読めば、状態がどんどん進行してはなはだしくなるさま、という意味らしい。国民の借金も、テロも、安全保障も、・・・どんどん進行しているような。
また「てん」と読めば、ひとつの節目であったと振り返られる年にもなるかもしれません。

日曜日、夏子の思惑が的中した。

2015-12-13 06:17:49 | 小説

日曜日、夏子の思惑が的中した。昨日のことで夏子は例のように、気持ちを腐らせ、宇礼カルチュアセンターをサボタージュ、待ちかまえていたパチンコ店の歩道で、思惑が的中したのだ。宇礼市は庭も同然、鮨ネタのごとくに隣人たちを胸に仕込む女は昨日の幸男に嫌われておそれられていた。扁平な顔面がなお扁平になると危ないと、昨日は幸男が折れあったものだった。夏子はぶつぶつ呟いて待った。

(つづく)