雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第四節

2010-04-21 01:31:51 | Dear to me
日が経つに従って、クラスはこの状況に慣れようとしていた。
今では積極的に雄二に話しかけようとするクラスメートはいない。
大人も含めて腫れ物を触るような心持ちで遠目で見ているだけだ。
香奈穂も何も出来ない焦燥感に駆られながらも、気持ちは半ば諦めかけていた。
だがここで、そんな香奈穂の気持ちを知ってか知らずか、ちょっとした運命の悪戯が起こった。


それはある体育の時間だった。
その日はグラウンドでのランニングで、運動が得意ではない香奈穂は精一杯走ってはいたが、お世辞にも速いとは言えない。
雄二も普段ならもっと先頭の方にいるのだが、今は香奈穂の10メートル先くらいを走っていた。
残り時間もあと少しとなった時、目の前を走る雄二が横にふらついたかと思ったら突然倒れた。
驚いた香奈穂は慌てて近づくが雄二が起き上がる気配はない。
周りの生徒も立ち止まり、グラウンドの反対側にいた先生も異変に気付いてこちらにやって来た。
クラスメートの誰かが雄二が倒れて動かないことを告げると、先生は雄二君の状態を確認し保健委員を呼んで、保健室まで運ぶよう指示した。
保健委員は偶然にも香奈穂だった。
香奈穂を見た先生は、男子一人にも手伝いを頼んだ。