朝ドラ「おかえりモネ」レポート
第3回 新次さんのはなし
このドラマで、
この方の演技で、
どれだけの人が心を動かされただろう。
及川新次さん役をつとめたのは
俳優の浅野忠信さん。
新次さんは、
腕の立つ漁師として名を馳せた男。
自分の船を持った矢先
東日本大震災が彼の人生を変えてしまいました。
坂井真紀さん演じる奥様が行方不明となり、その現実に絶望し、前を向けずに生きている。自宅も津波に流され、仮設住宅で暮らす。
漁師を辞め、酒に溺れる毎日で、
主人公モネの幼なじみでもある息子(永瀬廉さん演じる亮ちん)にも苦労をかけている。
震災から10年が経過しても、奥様は行方不明のまま。
その深い傷を、言葉で、身体で見事に表現してくださいました。
つらい場面が多かったけれど、
このドラマでの浅野さんの存在が、
寺っ娘にとっては被災地の希望とも感じておりました。
撮影中、浅野さんと寺っ娘が二人で話をさせていただく機会がありました。
その時にはすでに放送は始まっていて、
悲痛な叫びが画面を通して伝えられた後
この役をやることについて、彼はどう感じているのかを聞きたいと思いました。
なんとなく、直接的な言い方をしてはいけないと感じた私は、
「つらい役を演じる時、普段の生活も、のめり込んでしまうことはありませんか?」
と質問しました。
すると驚くことに浅野さんからは、寺っ娘が本当に聞きたかったことがストレートに返ってきたのです
「今回、この役のお話をいただいたときに、台本を読んで、これは大変な重要な役目で、全身全霊をかけて演じなければいけないと思ったんです」
「自分が出るところはすごく暗く辛いシーンになってしまうけれど、
被災地の方の苦労や想いを、自分がしっかり演じて伝えなければいけないと感じまして…」
震災から10年が経過した。
オリンピックは復興の象徴(首相の言葉)と謳われたことに愕然とし、
世間からのイメージと被災地の現実とのギャップに心を痛めていた寺っ娘は、
あらためて、俳優・浅野忠信さんの存在に希望を見ました。
涙がこぼれそうなのを我慢して
実際に、私の身の周りの方に起こったこと、
どれだけ繕っても、悲しい過去とは一生向き合わなければいけないこと、
それでも、人には話せず、生きていかなければいけないこと、
地元では、浅野さんの演技に励まされた人がたくさんいることを話しました。
役に集中するところを邪魔してはいけないことは百も承知でしたが、どうしてもお話したいと思いました
そして浅野さんは撮影の合間なのに、真剣に話を聞いてくださいました。
その時のシーンは、
嵐の中、気仙沼港で、息子の船を心配する場面でした
最後の撮影の日。
この日は、亮ちんが自分の船を持ち、
その出港を見守るシーンの撮影。
とても美しい出港だったのですが、
実際気仙沼での、いわゆる「出船」は、
演歌を思いっきり大音量で流すものなのであります。
定番は兄弟船、気仙沼でのアイドルは鳥羽一郎と吉幾三
だから、寺っ娘の印象としては、亮ちんの出港は爽やかすぎてなんか違ったのです…笑
その話を浅野さんにすると(余計な告げ口🤣)
「へぇ〜演歌ですか!ポップスはないんでしょうかね?」と、真顔で質問が…!
そういえば夏に港付近を車で通った際に出船の船が泊まっていて、海外のイケイケドンドンな曲が流れていてビックリしたことを思い出し、
とりあえずそれを報告したところで撮影再開。
この日もニコニコしながら話をしてくれた。
ほかにも、なんてナイスなお人柄なんだと感銘を受ける瞬間がしばしば。
とにかく、良い人。素敵な人。
一緒に仕事をさせていただいたことを光栄に思います。
勇気と希望をありがとう、浅野さん!
2021年、
あっという間の一年でした。
この一年の出来事は生涯忘れることはありません。
思い出と感謝を胸に、来年も精一杯!頑張りたいと思います
節目で度々登場する新次さん
[俺は絶対立ち直らねぇよ‼️]あのシーンはスゴかったです。
最後に亮ちんを笑顔で送り出すあの場面は泣けました。