昔、こんな体験をしました。
中古ピアノ屋さんに行ってピアノを弾いてみたら、アダムスファミリーの赤い口紅の人に似た人が入って来ました。
フジコ・ヘミングにも雰囲気が似ていました。その人は”bravo!”と軽い感じで言って近寄ってきて、
私はその人のことが好きになり、すぐにうちとけました。著名なピアノの先生だと店の人が私に言いました。
グランドでいいのがないか探している私を、壁際のテーブルに座って見ていました。
その中で、終戦直後に作られたオールドピアノがありました。
譜面台は彫ってあってだるま足で昔のお金持ちの家にあったような感じでした。
※イメージ
古いけど響きが良くて歴史を感じさせる音で、雰囲気がありました。
昔のピアノはいい材料が使われており響板は蝦夷松でした。それで中古を探していました。
このピアノを嫌な人は嫌だと思います。独特の音がしますし、とにかく古いです。
だるま足は美しいのですが、forteで弾くとガタガタ揺れました。
性能がいいかと言うと、よくはない…多分、悪いと言われる。でもなにかを強烈に感じる。
”Happy Talk”やGershwinの曲、バッハのインベンションを弾いてみると、すごくマッチして
楽しい時間が流れ、その女の人がすぐに「それ、いいよ」と言いました。
彼女はそのピアノ自体がいいよ、というより私と相性がいいからそれがいいと言われたように思います。
ピアノと弾き手の相性で、乗ったり、降りてきたり、なにも起きなかったりします。
「もうあなたの物になってる」と言われました。彼女には、起きていることが遠くからでもわかったのでした。
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今思っても、買って間違いじゃないピアノだったと思います。
セカンド、サード…と外国製のグランドピアノを邸宅に3台持っている先生(高級外車で来ていた)は、
「なんで買わないのよ」とあの時思われたでしょう。私も、何個も所有できるなら、すぐに買ったのですが…
暫く後に他の女性が「弾いた瞬間稲妻に打たれた」と言って買われ
「このピアノがあると思うと帰ってくるのが楽しみ」と後にも言われたそうです…
色々理性で考えず、感性に真っ直ぐなその女性が、持ち主にふさわしいでしょう。
その人は惚れたピアノをすぐ買うそうで経済的余裕もある方のようです。
そうでないと感性は曇ってしまいます。色んなことを考えて暗礁に乗り上げてしまいます。
紅い口紅の先生も、感性が確かで正直な人です。「こんなのよくないわ」とさっさと素通りされます。
多くの人は、低い予算内で感性も制御し発揮しないといけません。 sense unconsciously controlled
彼女を見ていると、ヒトは脳内で無意識に「折り合い」をつけて生きていることに気づきました。
彼女は、折り合い機能が不要なので、感性に迷いや曇りがありません。
「こんなのよくないわ」と言っていたら、買えるものがない……
本当に、人の考え、感性は経済的立場で大きく左右されそれによって決まります。そういうこと、経済学の巨匠も言ってましたよね。
自分の経済的立場に応じた好み、感性、考えをもつことになります。私はピアノ好きの集まる場所でこのことをよく感じます。
ピアノ屋で出会う人は裕福な人が多く、感性の制限・タガがないのです。予算が違います。
こんな台詞、私が言う時があるでしょうか。「ご予算は?」「1000万位で」「は?」←私
**でもピアノが大好きな気持ちは負けません**
かれらには、250万も300万も同じで、その違いで長い期間悩むのはバカらしいでしょう。コンビニのおにぎり買うのに悩むのと同じ。
私はこんなに欲しくてたまらないのに、部屋のインテリアや資産運用にグランドを買って行く人もいます…
500万で買った中古Steinwayが、800万の価値になったとか聞きます。
”富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる”
”主イエスは答えた。持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。”
(マタイ 13.12)
話が逸れてしまいました。
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Happy Talk:https://www.youtube.com/watch?v=puMlzrJsxgE