フジコ・ヘミングのピアノを聴くと、涙が出てくるという声がたくさんあります。
私も同じです。
関西に住んでいた頃、通勤電車の中でイヤホンでフジコの弾くリストの「溜息」を聴いていたら
涙が出てきました。なんで彼女の演奏を聴くと、涙が出てくるんでしょうか…
その音は、魂に響いてきます。
彼女は演奏技術をこてんぱんに批判されています。滅茶苦茶言われています。
機械のように精密で正確な上手いピアニストはたくさんいますが、彼女のようなピアニストは滅多にいない。
音楽を聴くのは、技術に感服するためではないから、私は卓越した技巧の演奏を求めていません。
音楽は、曲芸じゃないし、技能テストじゃないし、競技大会じゃない。詩や絵画と同じで。
フジコの技術を躍起になって叩く人からは、幼稚さを感じる。
知人の絵描きが言っていました。「上手いは褒め言葉ではない」って。言う事それしかないってことだから。
この言葉を言われたら、「そっか…」と落胆するって。
フジコのピアノは、子どもを寝せる時にも、安心して聴かせられます。
彼女の弁護人より