東葛人的視点

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減損会計の強制適用で見えるITサービス会社のストックビジネスの現状

2005-05-24 17:49:35 | ITビジネス
 ITサービス会社の2005年3月期決算は、ある意味“ツッコミどころ満載”だった。今回もやはり、「予期できなかった不採算プロジェクトの発生」や「依然として続く価格引き下げ圧力」のため、業績を下方修正する企業が続出。いわゆる「口座貸し」問題の余波で、売上計上基準を見直したことで“減収”となった企業も数社。完全子会社化されるNEC系の2社など、上場廃止で“最後の決算発表”になった企業もあった。

 なにかITサービス業界の現状を端的に示しているようだ。これらの話に比べると目立たないが、興味深いトピックがほかにもあった。インテックの決算を見ると、今期の業績見通しで当期純利益8億円の赤字(営業利益、経常利益は黒字)と予測しているのだ。なんだろうと思って短信を読んでみると、減損会計の適用で44億円の特別損失を織り込んでいることが分かった。

 そういえば今期、つまり2006年3月期は、固定資産の目減りを損失として顕在化させる減損会計が強制適用される年だ。会計パッケージ・ベンダーやシステム・インテグレータは、減損会計ソリューションなどをユーザー企業に売り込んでいるようだが、当然のことながら自分たちも減損会計の適用から逃れられない。

 ITサービス会社の多くは、“フロービジネスからストックビジネスへ”をスローガンに事業構造の転換を目指してきた。もちろんストックビジネスだからといって、それが即、固定資産の増加に直結するわけでない。しかし、データセンター事業やアウトソーシング事業などを強化すれば固定資産は増える。その資産が本当に将来に渡り利益を生み出すのか。インテックの減損処理の内容は詳しくは知らないが、減損会計は、ITサービス会社のストックビジネスへの取り組みの功劣をあぶり出すかもしれない。