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NTTデータが同業他社に対するM&Aを宣言、業界再編の号砲か

2005-05-09 18:08:10 | ITビジネス
 NTTデータが同業のシステム・インテグレータの買収に乗り出すそうだ。NTTデータといえば、これまで日本たばこや三洋電機などユーザー企業の情報システム子会社を買収してきたが、2005年度からは独自の顧客基盤を持つシステム・インテグレータにまでM&Aの対象を広げるという。ターゲットは製造・流通業を得意とする年商数百億円規模のシステム・インテグレータというから、その買収先のイメージはかなり具体的だ。

 業界最大手のNTTデータがこうした同業他社のM&Aを成功させれば、それこそITサービス業界再編の号砲となるだろう。NTTデータの場合、金城湯池だった政府系システムの構築・運用ビジネスの先細り懸念という特殊事情がある。官公庁のレガシーシステムの見直しが進んでおり、今後、競争激化や料金低下が予想される。このため、同社は新たな成長領域として法人分野、特に製造・流通分野を挙げており、手っ取り早い拡大策としてM&Aを強化しようとしているわけだ。

 そうは言っても、最大手がプライムを取れるようなライバル企業を買うと宣言する意味は大きい。グローバル化する大手ユーザー企業のニーズに対応するためにも、需給バランスを改善しユーザー企業との力関係を変えるためにも、業界再編は不可避というのは業界の共通認識だからだ。やはり今年は業界再編の元年になりそうである。

 ところでグループ内再編、つまりNTTデータとNTTコムウェアの合併は当面、なさそうな情勢だ。こちらは“NTTの論理”が最優先される見通し。