東葛人的視点

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大手企業のCIOいわく「ITに関してはユーザーはアマチュア」

2005-05-20 15:18:57 | ITビジネス
 大手ユーザー企業のCIOの方の話を聞く機会があった。「情報システムの構築では、プロはITベンダー、ユーザー企業はアマチュアだとお互いに割り切らなければならない」。とても印象に残る言葉だった。IT技術がここまで複雑で拡がりを持つようになった今、中堅・中小企業だけでなく大企業といえども、ユーザー企業がIT技術をハンドリングし続けることは非現実。だから、ITベンダーも「ユーザーの要求が曖昧だったので、要件定義がうまくいかなかった」などとアホなことを言わないで、プロフェッショナルに徹せよというわけだ。

 私は以前から、ユーザー企業自らがシステム開発に携わることが時代にそぐわないと考えていたので、この話は非常に素直に飲み込めた。少し前まで、ユーザー企業にこんな話をすると、「ITベンダーに任せると、とんでもないことになる。情報システム部門が主導しないといけない」と“お叱り”を受けた。でも、これはおかしな話だ。例えば不動産ディベロッパーは、ビル建設を“内製”したりはしない。少なからぬ一級建築士を抱える企業も多いが、ビル建設自体はゼネコンに任せる。他の産業のそういう常識からすると、システム開発=システム部門という図式は、どうもおかしい。

 中堅・中小企業なら、システム開発をすっぱりとITベンダーに任せる企業は多いが、大企業では自社開発にこだわる企業が多かった。しかし、冒頭のCIOの方のように、大企業でもシステム開発はITベンダーの仕事と割り切る企業が増えてきたようだ。ITベンダー、システム・インテグレータはそこのところをしっかりと認識しておかなければならない。相手はアマチュア。曖昧にニーズから、相手が納得できる見積もりを出し、要件を定義し、QCDを満たした成果物を納入しなければいけない。「ユーザーがアホで…」と陰口をたたくようでは、プロとは言えない。

 一方、言うまでもないが、ユーザーの業務に関しては、ITベンダーはアマチュアである。プロに対して「御社の業務改革について…」などと、下手にコンサル営業の真似事などをすると、「差し出がましいことを言うな」と怒られてしまうだろう。実際、そんな目にあったITベンダーの営業の方は多いようである。