和歌山電鐵といえばやはり「たま」駅長。 正式には社長代理ウルトラ駅長。
ご高齢で殆ど寝てるだけだけど、集客パワーを考えると相応しいポジションかも。
ご高齢で殆ど寝てるだけだけど、集客パワーを考えると相応しいポジションかも。
和歌山電鐵貴志川線に行って来ました。この貴志川線は元々は山東軽便鉄道として1916年に今の日前宮から伊太祈曽までを開業した比較的古い鉄道で、その後路線延長や経営母体の変更が何度かあって1961年からは南海の貴志川線となり、さらに2006年からは今の和歌山電鐵となっています。
南海がこの路線から撤退するにあたって、なんとか路線を維持しようと2004年に地元で組織された市民団体が「貴志川線の未来を"つくる"会」で、この団体の行政への働きかけや、両備グループの岡山電気軌道の支援で、この鉄道は現在最も頑張っている地方私鉄の一つといっても良い存在になっています。
なんといってもこの鉄道を全国区にした立役者は、終点の貴志駅に勤務、現在は貴志川線全14駅の総駅長職で社長代理ウルトラ駅長というポジションの「たま駅長」。 さらに高齢化した「たま駅長」の補佐としては課長職スーパー駅長の「ニタマ駅長」が現在伊太祈曽駅に勤務しています。 また、鉄道車両の面では、JR九州七つ星のデザインで有名なドーンデザイン研究所の水戸岡 鋭治氏のプロデュースによる、「たま電車」、「おもちゃ電車」、「いちご電車」があり、これらの相乗効果で香港や台湾を中心に昨年度は年間2.3万人もの海外からの来訪者があったとのことで、私が乗車した時も中国からと思われる団体客やそれを撮影するテレビ局スタッフやらで大変な賑わいでした。
伊太祈曽で交換する、「たま電車」(左側)と「いちご電車」。
この伊太祈曽は交換設備や車庫のある路線の中核駅で、「ニタマ駅長」が勤務。
伊太祈曽を出て和歌山方面に向かう「おもちゃ電車」。
内部には玩具やフィギア、模型などの飾り棚がある。
和歌山電鐵には南海より譲渡された2270系2連が6編成あり、そのうち3編成が上記の改造を受け、1編成が今は2015年の和歌山国体のラッピング電車になり、残り2編成がオリジナルの南海カラーで残っています。 「たま電車」、「おもちゃ電車」、「いちご電車」の編成は外観も目を引きますが、なんといっても真骨頂は水戸岡デザインの内装で、多分、最も凝っている「たま電車」の内部を少し写真でご紹介しておきます。
連結部から。床を含めて木が多用されていたり、
暖簾が採用されているのは水戸岡デザインの共通項だ。
左右や前後の「非対称」もキーワードの一つ。
左右や前後の「非対称」もキーワードの一つ。
貴志側車両の座席。手前はベビーサークル。
猫型の椅子の背もたれや、窓柱の猫型ブラケットも面白い。
私が訪問したのは休日だったので、上記の外国人の他にも多くの一日乗車券を持った観光客が乗車していて、終点貴志駅では"つくる"会の多くのボランティアスタッフが「おもてなし」のお手伝いをしてくれていました。 2006年以来、年間利用者数はほぼ右肩上がりで昨年度224万人程になったそうですが、黒字転換を果たす目標年間乗客数250万人にはまだ一歩二歩。地方私鉄の存続モデルになるように引き続き頑張って欲しいものです。