映画検定2級で惨敗！

「残り時間5分になりました」

　監督員の声が試験会場に響く。その瞬間、自分の身体がビクッと動いた。思わず監督員の方へ目を向ける。あ、あと5分？　まだ答を記入していない問題、15問ぐらいあるじゃん！
　視線を問題用紙に戻そうとする直前、隣に座っている男性の答案用紙が視界に入った（念のために書くけど、覗き見しようとしたわけではない）。う、裏向けている！　すべて解答を記入し、間違いがないかどうかも確認した上での行為か？　それとも難しすぎてまともに答えるのを諦めたのか？　いや、他人のことなんかどうでもいい。とにかく残りの問題に挑まねば。
　すでに一通り問題は読み終え、確実に正解が分かったもの、おおよそ見当が付くものには答を記入している。残っているのは、まったくもって訳の分からない問題（あくまで僕にとっては）ばかりだ。もう直感で答えていくしかない。あらら、「ア」が5つ並んだ。そんな風になるのは不自然じゃないか？　でも、どっちみち正しい答が分からないんだから、当てずっぽうでもいいから答えておかなきゃ。いや、そうした考え方が「知識を競い合う」という精神に反しているのは百も二百も承知だ。しかし、こっちは4500円も払ったんだぜ？　受験しようと決めた時から無謀な挑戦だとは分かっていたけど、まぐれでも運でもいいから合格できるもんなら合格したいじゃん。

「残り時間1分になりました」

　とりあえず全部埋めた。マークシートの試験を受けること自体、ものすごく久しぶりだ。いつ以来だろ？　いや、そんなことを考えている余裕はない。記入漏れがないか確認しなきゃ。それにしても、もっと事前に勉強しておくべきだった。そんなこと今さら思っても仕方ねえだろ。そもそも2級なんて無理、せめて3級にすべきだったろ。だってアイツ（一緒に受けた御仁）が……。こらっ、人のせいにするな！　心は千々に乱れる。そんな僕の不安定な精神状態とは関係なく、監督員の声が無感情に試験の終了を告げた。

　終わった。終わっちまった。確実に答えられた問題は60問中12問。どう楽観的に考えても合格水準には満たないだろう。負けた。完敗だ。虚しさと脱力感に包まれる。頬を伝うものは涙か？　それとも汗か？　どちらでもいい。分かったことは、ただひとつ。これが俺の実力なんだ。立ち上げる気力を失った俺は、そのままピッチに仰向けになり、空（くう）を見つめた――。

　というわけで、映画検定2級には惨敗しました。えっと、ピッチ、じゃなくて試験会場で仰向けになったってのはウソです。ピッチという言葉を使ってみたかっただけなんです。すんません。
　それにしてもホントに難しかったですわ。これ、付け焼き刃じゃ絶対に無理。若い頃から真面目に映画と向き合ってきた50～70代ぐらいの方でなきゃ合格できないのではないでしょうか。まあ、自分が身の程知らずだったということを徹底的に思い知らされただけでも、受けてみた意義はあるんじゃないかと思います。というか、そうとでも思わなきゃやってられねーよ。酒だ酒だっ。

　まあ、また来年、気が向いたら受けてみるかも。って思ったら、次は12月だって。どーするオレ！

映画検定の公式サイト
http://www.kinejunsoken.com/eigakentei/