途中、物語がファンタジーのような展開になる。ご覧になった方はお分かりだろうが、例のバスの中での出来事だ。「実は夢の中の出来事でした」というオチになるかと思ったら、そうはならなかった。物語に辻褄や整合性を求めがちな僕としては好きになれないタイプの展開だが、この映画に関しては許せてしまう。他にも気になるところはあるのだが、「まあ、細かいことはいいや」と思わせてしまう。そんな不思議な魔力みたいなものが、この映画には漂っていると思う。
特筆すべきは、音楽の使い方である。実にセンスが良い。単に使われている楽曲が良いというのではなく(もちろん良いのだが)、音楽が流れ出すタイミングが絶妙なのだ。これは映像に関しても同様で、たとえばメインタイトルの出し方には「うむ」と唸らされるし、書体の選び方にも文字の間隔にもセンスの良さが感じられる。あと、途中で挿入されるアニメはストーリーもキャラクターも素晴らしすぎるほど素晴らしく、しかも寓意に富んでいる。これだけで一本の短編映画として成立する作品だ。
惜しいのは全編ビデオ撮影であること。フィルムに比べれば画質は粗いし、やや奥行きがない印象を受ける。もうちょっと予算を足してフィルムで撮ってほしかった、とは思う。あと、些細なことだが、冒頭の階段のシーンは、ちょっと中心に人が寄りすぎで不自然。まあ、そんな小姑みたいなツッコミはいいか。出てくる女性がみんなキレイすぎるのも現実味に欠けるけど、それはまあ、映画だからね。目の保養になりましたわ。
そんなこんなで、この映画はオススメ。にも関わらず、今のところ東京と名古屋でしか公開されていないし、名古屋ではレイトで4日間のみ(しかも今日まで)なのよ。もったいないなぁ。もしもお近くで上映される機会があれば、ぜひご覧くださいませ。ただし「ものすごい傑作」ってわけじゃないので、あまり期待しすぎないようにね。
ちなみに劇中で使われる4曲のうち、僕が一番気に入ったのは『恋の行かねば娘』。これ、ゴキゲンなパーティーチューンなのよ。CD化してほしいなぁ。
『鍵がない』公式サイト→http://www.kagiganai.com/
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