ああ、やっぱり大森南朋は麿赤兒の息子だった！

　今さらながら『ミッドナイトイーグル』の感想を。実は去年のうちに途中まで書いてあったものです

※※※※※　以下、ネタバレあり　※※※※※

　アメリカ軍が日本国内に持ち込んだ「本来は持ち込んではならない爆弾」を作動させようと、某国（どの国なのか劇中では語られないけど、どう考えても北朝鮮）の工作員が暗躍する。そして、それを知った政府が、自衛隊を使って阻止しようとする。爆弾を積んだステルス戦闘機は、雪山の奥深くで消息を絶った。工作員たちと自衛隊は大雪の中、それぞれステルスの落下地点へと向かう。
　で、そうした動きを嗅ぎ付けた新聞記者が、先輩であるカメラマンを誘って雪山に入り、自衛隊員を助けたり爆発を食い止めようとしたり、というのが大まかな粗筋。まあ、こういう事件が実際に日本のどこかで起こっていてもおかしくはない。僕らが安穏とメシを食ったりテレビを見たりしている間にも、どこかで国家を揺るがす陰謀が企てられたり、それを食い止めようと殺し合いが行われたりしているのだろう。
　なので、それなりの現実味もあって緊迫感も味わえたわけだが、どうも「それはヘンじゃないか」と思える箇所も目立つ。列記してみよう。

●玉木宏の防寒具が派手すぎ。人目に付かないように雪山を登ろうとする者が、なんでわざわざオレンジ色のパーカー？

●その玉木宏は、ステルス戦闘機のガラス越しに敵兵からの銃弾を浴びて死ぬ。しかし、ステルス戦闘機のガラスって、ものすごく強力な防弾ガラスじゃないの？

●竹内結子、ほとんど寝てないはずなのに、化粧も髪も服装もバッチリ。くたびれ感ゼロすぎじゃない？

●大森南朋、ホントにあれで帰っちゃうとは！　もちろん「引き返すのも勇気」なわけだけど、それじゃあ見せ場ナシじゃん。

　で、その大森南朋に関して、ひとつ驚いたことがある。
　大森南朋ファンなら先刻ご承知の通り、彼の父親は舞踏家としても俳優としても名高い麿赤兒（まろ・あかじ）である。そのことは僕も知っていたのだが、これまで二人のイメージが重なったことはなかった。「親子だけど似ていないなぁ」と思っていたのである。しかし！
　この映画での大森南朋は自衛隊員の役だ。髭をたくわえ、迷彩服を着ている。その恰好で腕組みし、険しい表情をしている姿を見た時、僕は思わず叫びそうになった。ああっ、マロさん！
　いやホント、それほどまでに麿赤兒そっくりに見えたのだ。ああ、やっぱり親子なんだ、と深く納得してしまったわけである。で、実を言うと、それが『ミッドナイトイーグル』の中で最も印象に残ったシーンだったりもする。わはは。

　ちなみに、同じ頃に観た『M』と『たとえ世界が終わっても』にも大森南朋は出ていたわけだが、それぞれまったく役柄は違っていた。『ミッドナイトイーグル』では強面だが仲間思いの自衛隊員、『M』では平凡で真面目な会社員、『たとえ世界が終わっても』では飄々とした口調で弱い者たちを惹き付けるアパート管理人、という具合。どれもサマにはなっていたけど、やはり大森南朋の一番のはまり役は『ヴァイブレータ』での寡黙なトラックドライバーじゃないだろうか。ああいう男なら僕でも惚れるって。