「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」
「こんなはずじゃなかった」
そう考えながらも、現実を抱えながら今を生きる人たちのドラマ。
是枝監督が原案・脚本も兼ねた家族がテーマの作品。
台風がもたらした偶然により、
一夜を過ごすことになった元家族。
いろいろな心に響く言葉があふれています。
何気ない会話の中に、見え隠れする日常。
どんな事件も起こらない、静かな物語です。
でも心に残るものが、確かにここにあります。
いつも通る道路の分離帯。
コンクリートの隙間、溜まった少しの土砂に咲いてます。
車の排気ガスにも泥ハネにも、がんばって咲いてます。
息子が子供の頃植えた果実の種を、ベランダの植木鉢で育てている母親。
大きくは育ったものの、花も実もつけないそれを見て、言うんです。
「でも何かの役には立ってんのよ、きっと」って。
まるで植物を通して、息子を見守ってるかのように。。
何だかあったかくなったシーンでした。
紫の小花にも言ってあげたい。
渋滞中、たくさんの人の心を和ませてくれてるよって。