静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

Ms.Hanna  わたしの薫り茶

2009-07-22 11:15:16 | 食・レシピ

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  六年ほど前、近しい人から贈られた沖縄マンゴーの、大粒の

美しすぎた種を、果物皿から鉢に埋め込んだところ、見事に芽を出し、

見事に育ち、窮屈そうになったので、小さな庭に移植しました。

 なんとまあ、いよいよ見事にのびのびと両手を拡げて、

大人の背丈一メートルほどにのびました。ここは東京多摩。遠く、

南国沖縄の果て、やんばる生まれは、東京の冬の霜とともに、

ときどきは、愛用の東京牛乳のパックの水を掛けたりして、

今じゃ元気な多摩っこです。柑橘類特有の香りを放つので、青い

大きな幼虫が一匹、二匹、マンゴーの葉を、食べつくした

年もありました。それでも黙って、ちょうちょに育つまで待ちました。

ネットを被せると、飛び立てないので、それはやめます。

自然は共棲の掟を守ります。ちょうちょの幼虫はある日突然、

消えてしまいます。雀よりもっと大きな鳥がやってきて、それとも

小心な人間がやってきて、退治したのかも知れません。

 マンゴーは、この地では実を結ばないでしょう。それでもいい。

 数日前、あまりにいい香りに促されて、一枝三角フラスコに指しました。

 葉を二枚、薄めのモーニングティーに浮けました。ほんの少し

だけ薫ります。思い切って、その葉に数か所だけ鋏をあてました。

見事に、柑橘の香りはカップのティーに移りました。

 わたしのティーに銘をつけましょう、≪Ms.Hanna≫

   ” 心の贅沢。 日常生活を、深呼吸。 寛ぎの時間が蘇る、

   心の散歩 ”  

  私の敬愛する詩人 、長田弘さん の詩集 《小道の収集》 

  の帯に書かれた文章です。馬場崎 仁 さん装丁の 

  本を開くと、最初の質問 という文章が、眼に入ります。

   ”今日、あなたは空を見上げましたか。空は遠かったですか、

  近かったですか。雲はどんなかたちをしていましたか。風は

  どんな匂いがしましたか。あなたにとって、いい一日とはどんな

  一日ですか。「ありがとう」という言葉、今日、あなたは口に

  しましたか~~~~~」

   昨日は、とてもきれいな空の雲に誘われて、界隈の見慣れた

車道を、この詩を想いながらドライブしました。バックミラーを覗く

たびに深く息を吸い込みます。 かつてあれほどに苦しめられた

喘息の発作を、今は懐かしさをこめて振り返り、

この星の美しさを愛でます。

 今日も、きれいな空です。ベランダには風が強く吹き込みます。

先ほどまでの雲はもうどこかへ飛んで行ってしまいました。

 パソコンの前の ≪小道の収集≫の傍らに My 

 Ms.Hanna を 引き寄せて、 柑橘の薫りとともに啜ります。 

 どうぞ、”今日も一日 ありがとう。 いい一日でありますように”

  


ちょうちょの写真が撮れない

2009-07-16 21:37:04 | 散歩

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 ちょうちょの写真ってほんとうに写すのが難しいです。 薄い黄色の羽の、風もないのに

ひらひらと、二羽で連れだって舞いながら 茶畑のあちこちを 立ち止まったり fふわふわ

空気に乗ってそよんだり 不思議な世界の美しさを いつまでも 眺めます。 

 あんなにのんびり宙にあるのに どうしてわたしの写真にとどめることは

できないのでしょう…いつもの散歩の道の 茶畑は すっかり新茶の芽を摘み終えて

そろそろ夏茶の出番を待っています。 ちょうちょはどこかへ一休みでしょう。

 わたしも いつもの 深呼吸広場で一休みしましょう。 この道を道なりに少し歩いて

信号を右手に渡ると、 左手にコンビニがあって、いつものスポーツドリンクと

スニッカーズを一個買います。 深呼吸広場へゆくのです。 サンドロ・ペンナの詩の

「古びた小さな広場」はもうすぐです。自転車乗りの少年にも逢えない、あるのは時おり

走って過ぎる大きなトラックばかり。気をつけながら、ここはそれでものどかな畑の町。

 午前は暑さが気になりません。 いよいよ夏になれば、森の中の散歩にします。