ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

老いると言うこと

2006-09-27 00:01:57 | つれづれ
旅から帰った母が、急にボケました。
物忘れの激しくなった老人にはままあることで、
日常と違う暮らしの中に身をおくと、
帰宅してしばらくは混乱するのだそうです。
父が「風呂の電気の消しかたがわからない、蛇口の閉め方がわからない、
全くびっくりしたよ、少しずつきちゃってるのかなぁ」と報告に来ました。
とりあえず、一週間ほどでほぼ戻る確率が高いので、
ようすを見ることにしつつ、父のためにも「介護認定」を
受けるようにいいました。

とりあえずようすを見に行くと、気の強い母がこころなしか元気なく
「なんやしらんけど、モノがよう考えられへんねん」
といいながら、私にお茶を入れてくれようとするのですが、
急須のフタがしてない・・どういおうかと思っていると
「お茶て、どないしたら入れられるんやったかなぁ」・・。
わざとなんでもないような顔して「フタしたらええねんで・・ほれ」
と、フタをしてやると「あ~そやなぁ」・・・。
そのあともなんやおかしい、情けない・・というので、
「ばーちゃん、フツーのミソだって、長いことたったら、
テッペンの色かわるやん、ばーちゃんの脳みそ、83年も使こてんねんで、
少々 もの忘れたかて 当たり前やんか」と言うと
父も「そーだよ、かなり使い込んでるしなぁ」とあわせて言いました。
母はケラケラ笑って「そやなぁ・・」と。

そしてさっき、父から電話がかかってきました。
夜9時以降の電話なんて変事です。緊張して電話に出ると
「とにかく一度、ひどいときのようすをみておいてくれ」といわれました。
夜になるとひどくなる、朝には戻って朝ごはんのしたくするんだけど・・と。
急ぎ、ようすを見に行くと、母はじっと畳を見てすわっています。
父が「寝ろよといっても、楽しくて寝られないって言うんだ」というので、
「ばーちゃん何してんねん」と声をかけると、
「何しててんやろなぁ」・・で、「ほな寝よかー」というと、
「まぁなんでそう寝ぇ寝ぇいうねんな・・ウチはな、ここをこうおさえたいねん」
と突然、シーツの真ん中辺りを人差し指でおさえ、
「そーするとむこーがこうやろ、せやからここや・・」
どうやら昔から大好きな「オセロ」をやっているようです。
母はオセロが好きで好きで、昼間一人でオセロができないというので、
もうだいぶ昔ですが小さな「オセロゲーム機」を買ってあげたのです。
またたくまにウデをあげて、コンピュータの上級相手に連勝してました。
どうやら母はそのユメの中にいるようで、シーツの薄くなって
色のかわったところを相手の石と見たり、突然立ち上がると、
とんでもない部屋のすみの箱の上を指で押さえて、
「ここをえちめる(つめる)と、ええねん」とまた始めます。
ところがふっと「あんたKは・・どないしてん」と息子のことを言います。
「寝てるし置いてきた」というと「まぁのんきなかぁちゃんやなぁ、
はよ帰ったり・・」と・・。
夢と現(うつつ)のハザマで、母は楽しそうでした。それだけが救いです。
つらいことばかりの幻の中では、母がかわいそうです。
寝そうになりながら、また「オセロ」の世界にもどってゆく母を置いて、
父にせかされ帰宅しました。いつかは壊れてゆく・・と思っていましたし、
その日はそう遠くはあるまい・・と感じてはいましたが、
いつまで私のことを「娘」だと認識してくれるだろうかと、
ちょっと寂しい気がします。
なによりも父が心配です。父の両親は、どちらも長寿でしたが、
最後までこういうボケ方はありませんでした。
親と妻ではまた気持ちも違うでしょう。
明日病院へ行くことになりました。
一時のことであってくれればいいのですが、たとえ今回がそうでも、
いずれはそうなってゆくのでしょう。
息子のこともあって、私は思うように動けません。
とりあえず、私は父の心身を心配しようと思います。

母の老いは悲しいです。これといって大病はないけれど、
つい7~8年前まで、10センチのピンヒールの靴を履いて、
颯爽と歩いていた母が足取りもおぼつかなく、立ち上がるのに抱えると
まるで大きなぬいぐるみのように軽い・・。
おまけにこのボケっぷり・・。父が細やかに気がつく人なので、
暮らしそのものは心配ないのですが、だからこそ私の心配は父のことです。
母の老いも心配だけど、父の介護のストレス、
これをなんとかしなければなりません。
私はずっと「介護」の暮らしをしています。
時間的な束縛、精神的な負担、年老いてからのそういう暮らしの変化は、
私よりずっとハードになるはずです。
実際、今も歯医者に行くときも、おいていくのは心配だ・・といいます。
そのためにも「介護認定」を受けて、父の負担を少しでも軽減しないと・・。

また考えることが増えました。
一日が30時間ほしーよー!


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
思いやり (Fujipi)
2006-09-27 08:23:08
ご両親、とんぼさん、それぞれが

相手を大切に思っている気持ちが伝わってきます。



 今のところ私は気をつけていなければならない

家族もいないので、お母様を思うお父様、を思うとんぼさんを陰ながら応援したいと思います。



 記事も毎日UPしなくても大丈夫ですからね

 HPだって遅れても。気長に待ってます
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ははが (Suzuka)
2006-09-27 08:25:09
こはれていくのを

みるのはつらいです。



ひっぱりだして

こちらがわにつれてくることができないのも。



おとうさまへのお気持ちをうかがうと

ふだんとんぼさまがどんなにたいへんな

おもいをくぐっていらっしゃるのかが

わかります。

返信する
Unknown (陽花)
2006-09-27 08:32:34
人ごとでは有りません。

3月に亡くなった母も認知症でした。

「まだらぼけ」でまともなことを言って

いるかと思えば、私が孫の話をしても

「へ~、いつ結婚したん」なんていう始末、

結婚式も出産祝いも来てくれたのに・・・

姉がよく行き先を言ってすぐ帰るからと念を

おして出掛けても、聞いた事が思い出せないのか

うろうろと探し回るからどこへも出られないと・・

母も「よう、物忘れして情けない」と嘆いて

いました。程度の差は色々でしょうが本人は

もちろん身近に居る者はもっと大変です。

心配事が増えとんぼ様がお気の毒で仕方がありません。
返信する
Unknown (ゆか)
2006-09-27 08:58:22
とんぼさん。

どうか体に気をつけて。

いつも太陽のようなとんぼさんだけど、時々は曇ったり雨が降ったりすることがあっても、大丈夫です。

心が無理をすることがありませんように。

何も出来ませんが、私たちはとんぼさんを見ていますよー。



私も4人の親たちのことを考えると、身につまされます。どうかしっかりしていて欲しい、と願うばかりです。本人が一番情けなく辛いものでしょうから。

お母様が、今のところは朗らかな方向へちょっと分からなくなっている、というのは救いではありますね。



仕事に忙殺されて、あまり見にこれなくてごめんなさい。数日分をまとめ読みしてます
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そうなんだ~! (萬屋千兵衛)
2006-09-27 11:57:04
心配だね!

私の両親は早くに亡くなってしまったから、

アドバイスする知識もないので、とんぼちゃん自身の

体を気づかうばかりです。



私、20数年前に湧かしたての風呂に入ろうとしたら熱湯状態だったので、水を出してぬるくしてたんだけど、もういいかな?という感じで蛇口を締めていったら水は勢いを増すばかりで止まらなくなっちゃって、お湯は冷たくなってきちゃうし、もう慌ててパニック状態になったんだけど、ふと気がついた事に、その時、左手で蛇口を締めてたの!右手でやってみたら止まった!

裸だったせいもあって本当に焦ったよ!

これは、ボケじゃないよね?
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Unknown (百福万福)
2006-09-27 18:30:16
私の母はまだ70にもなっていないのですが、何度か脳梗塞の発作を経験し、何度も半身まひになってはリハビリで直す、の繰り返しです。このところ、物忘れがかなりひどくなってきたので、一日の出来事や、覚えておかねばならないことは、大きなノートに書き留めるようにしようねといっています。でもそのノートがどこにいっちゃったかな~になっちゃうので、冷蔵庫のドアにぶらさげてますよ。よくお友達が遊びにきてくださるし、また、体の自由は奪われてもしょっちゅうでかけるので、「ぼけ」の進行を遅らせているんではないかと思います。すこしづつ母は老いていきます。でも、周りからみれば大変なことを母はなんということもなくやってのけ、皆を驚かせています。つくづく、強い人だなあと思います。



返信する
お互いに (キャット)
2006-09-27 22:07:18
とんぼさん、こんばんは。

私も二年前に父を引き取っていますが、元気な様でも89歳ですから、認知症とまでいかないけれどやはり毎日大変です。

こちらのいうことはすぐに忘れますし、都合の悪いことははじめから聞きませんし・・・反対に父に聞かれたくない電話の時には、わざわざテレビを消してまで聞こうとしています。

きょうのタイトルを見て、先日つい友人の前で涙してしまったときのことを思い出しました。

自分が老いるということはそれほど怖いと思っていませんが、老いるという事は本当に悲しいことなんです。

毎日父を見ていると実感します。

でも、脳出血後の母を、一人で10年以上も看てくれた父ですから、私もそのことに感謝して父を看ないといけないと思っています。

お父様が参ってしまわないように、そして、とんぼさんも無理のないようになさってください。

遠く私からもエールを送ります。
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せつないですね。 (蜆子)
2006-09-27 22:12:01
親って、大体は4人だけど、遅かれ早かれですね。

私たちの年になると、本当切実な問題です。無我夢中の嵐のような日々、子供にはなによりもの教育になったと思ってます。親の介護の日々、自分自身を嫌いになったこともしばしば、

完全な介護なんてないというか、家族に対しての愛で、もっともっとと思うので、完全とは思わないし、自分を嫌いになったりするのですね。誰もがの道、本人さんもさることながら、お互いいたわりながらゆっくりの気持ちですすまれますように、老婆心です。
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明日は我が身 (えいどん)
2006-09-28 00:39:40
とんぼさんのお母様と私の母とは同い年なんですよね。父も89歳で、補い合いながら二人で暮らしています。すぐに行ける所に住んでいるのでそれを安心にしていますが、とんぼさんののお父様に対する気持ちよくわかります。何事も個人差はあるけど、戦争をくぐり抜けてこの年まで生き抜いてきた人って勁いな、と思わされることよくあります。まず自分が元気でいてくださいね。
返信する
Unknown (KO2)
2006-09-28 00:43:49
お母様、心配ですね

認知症は脳の萎縮や脳血管性障害でおこることが多いのですが…病院で精密検査を受けたことはありますか?

極々まれですが、手術で改善された方もいらっしゃるそうです

自分の父も最近、簡単なことが出来ないことがあり不安になることがあります

長寿の時代なので、何時かはだれもが経験しなくてはならないのでしょうが、自分の親の老いて行く姿は見たくないものですね

こんな時こそ、とんぼさんご自分の御身体、大切にしてくださいね

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