「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
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センサー・バット(Ⅴ)

2006年01月12日 | センサー・バット
 選手Sについて考えてみたいと思います。
 
 Ⅰ型でしょう。しかも日本人に多いローテイショナル打法です。

 まず、腰の回転を利用してバットを左手で引き出します。その力はYsp方向の作用力に現れます<図4>(b)。このとき右手は逆方向に力を働かせていますが、左手の引きが優っています。
 続いて左右の手で偶力を掛けてバットを回転させます。その力はXsp方向の作用力に現れ、(a)で右手がプラス、左手がマイナスの逆方向のほぼ同じ大きさの力が働いているのが判ります。


 選手Oとは極端な違いを見せているのがZsp軸方向の偶力の大きさです。この力はバット・ヘッドがスウィング平面の外に向かう、つまり遠回りしたり下がったりするのを防いでいます。
 
 腰の回転のエネルギーが左手を通じてバットに注入されるわけですが、力の方向は腰の回転にしたがって時間と共に変化します。その方向とバットの長軸を同調させる作業が必要でしょう。
 選手Sは選手Oに比べて横に引く感じになるのでバットを寝かす必要があります。0.05秒以前に選手OがXsp方向の作用力を左右逆向きに掛け続けているのに対して、選手Sは弱く、向きが一時期逆転します。この違いがバット傾斜角に表れるものと思われます。

 結果として、バット軌道を維持するために、大きなZsp軸方向の偶力が必要になるのです。


 「バットは左手でインサイドアウトに引き出し、右手で球に向かって突き出す」ということが言われます。選手Sがそれを実行しているのが数値に表れているというわけです。

 バット軌道を見るために、2人のスウィングを後ろから見た様子をアニメーションにしてみました。

         選手S   選手O

  (続く)