「メジャーの打法」~ブログ編

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センサー・バット(Ⅳ)

2006年01月09日 | センサー・バット
 「パリティ」の記事をもとに、2人の被験者、選手Sと選手Oのデータについて考えてみたいと思いますが、その前に・・・。


 まず、「スウィング平面」を定義し、さらに「スウィング平面座標系」を設けます。センサーバットで得た数値をスウィング平面座標系で表記することで運動の様相を理解しやすくするのです。

 スウィング平面は

対象とする時点及びその前後の時点におけるバットヘッドならびにグリップエンドを含む平面であり、各部位から平面までの位置誤差の2乗和が最小となるような平面

と定義されます。バットの描く曲面の、ある時点でのバットを含む接平面ということでしょう。

 スウィング平面座標系の座標軸は

  • Zsp軸・・・平面の法線方向
  • Ysp軸・・・バットヘッドからグリップエンドに向か方向
  • Xsp軸・・・Ysp軸とZsp軸の外積

と定義されます。

 スイング平面と座標系については、こちらのを見ればわかりやすいでしょう。バットは各瞬間において、ヘッドがXsp軸正方向に動くと同時に、Ysp軸正方向に引き出されることになります。


 両選手のバット作用力・作用モーメントをスウィング平面座標系で表したものが<図4>のグラフです。右打者表記になっていますので、左手がボトムハンドになります。

 さらに

作用力によるパワー   ・・・作用力と作用点速度の積
作用モーメントによるパワー・・・作用モーメントと作用部分の角速度との積

を定義し得られた数値が<図5>のグラフに描かれています。


 選手Oは大学硬式野球部に属する強打者、選手Sは強豪実業団チームの4番打者で、ヘッドスピードは選手Oが時速133km、選手Sが時速153kmだったそうです。

 なお、選手Sのグラフは「パリティ」でも青い線で描かれていますが、この画像の青い線は白黒コピーを私が上からなぞったもので、正確ではありません。