センサー・バットで得られたデータについて、「パリティ」の記事をもとに考えて見ようと思います。バットの構造や作用する力・モーメントの算出法等については2つの記事をお読みください。
まず、バット軌道のスティック図が<図2a、b>に描かれています。座標の定義は<図2c>と同じで、2msごとのバットヘッドの位置を小丸で表しています。
次に、
まず、バット軌道のスティック図が<図2a、b>に描かれています。座標の定義は<図2c>と同じで、2msごとのバットヘッドの位置を小丸で表しています。
次に、
グリップ部のスピードがそれほど大きくならないことから、バットヘッドスピードの大部分がバットの回転運動により獲得されると考えられる
ようです。
そこで、バットの回転運動を<図2c>に示す2種類の回転角で表せば、2つの数値からバットの動きの特徴を捉えることができると考えられます。それぞれ回転角、傾斜角と名づけます。
この記事には2人の被験者、選手Oと選手Sのデータが載っています。
バットの動きを回転角と傾斜角の角速度で表したものが<図2d>ですが、2人の打者の違いが端的に現れていると言えます。記事には以下のように書かれています。
バット回転角速度および傾斜角速度ともに選手Oが緩やかに変化しているのに対して、選手Sではインパクト前0.1秒を切ってから激しく変化していることがわかる。
後で紹介する作用力・作用モーメントのデータを加味すると、
- 選手Oは体幹の捻転と共にバットを回転させ、さらにバットをダウンワードに振り出している
- 選手Sは腰の回転を使って左手でバットを引き出し、さらに続けて両手で偶力を掛けている
と考えられます。
選手Sの回転角速度の2つめの山は偶力(プッシュ・プル・トルクという表現もある)によるものでしょうし、下方にバットを引けば横へ引くより傾斜角速度の変化が少ない、つまりヘッドがあまり下がらないのは明らかでしょう。
試しに2人の打者のフォームを想像して振ってみました。
選手O 選手S