野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 2022年5月29日 ゆずの散歩道と6年ぶりの四寸道

2022年06月02日 | 奥武蔵へようこそ
(七曲峠へ向かって)

約6年前の2016年6月、越生町大満(だいま)と飯能市にある高山不動を結ぶ四寸道を歩いた。「奥武蔵登山詳細図」(吉備人出版)のコースガイドには「高山不動の古い参道で高山街道の名もあ」ると書かれているように比較的歩きやすい道が続いていたという記憶がある。ただそのときは参道を全て歩き切ったわけではなく、途中道を外れて岳岩方面へと向かったのが心残りであった。今回は再び四寸道を歩き、歩き残した七曲峠を越えてみることにしたい。また前回は大高取山を経て四寸道に取り付いたが、今回は毛呂駅からゆずの散歩道と呼ばれる遊歩道を使って桂木の集落を越える計画とした。

ゆずの散歩道を経て上大満へ
朝7時前にJR八高線毛呂駅に着く。まだ6月にもなっていないのに最高気温は30℃を越える予報が出ていて、小手指駅の始発で毛呂駅までやってきたのだ。ベンチに座布団が置かれた駅舎を出ると駅前ロータリーから延びる一本道の向こうに埼玉医科大学病院が見える。毛呂駅は何度か訪れていることもあって自分の中では見慣れた光景となってきた。病院の前で右に曲がり、その後の郵便局のある交差点を左に曲がると商店が点在する住宅街を行く。庚申塚の碑があるY字の交差点を右に入ると住宅も疎らな農村地帯が続く。太いほうの道を道なりに進めばよいだけなのだが、分岐する舗装路が多いので地図の確認で一々時間が掛かってしまう。

(毛呂駅舎内)

農産物直売所を過ぎ、毛呂川に架かる大木戸橋を渡る。この辺りは歩いた記憶が無いなと思っていたら、牛頭山(「2019年3月24日 毛呂山町の山を歩く 午頭山・大平山と花桃咲く入地区」の記事を参照 なおタイトルの「午頭山」は国土地理院の誤った表記をそのまま使用したためで、元記事に注意書きを入れておきました)への分岐はとっくに過ぎていたようだ。橋を渡ると桂木川と書かれた看板のあるY字の交差点があり、右が桂木、左が中在家・入方面だ。桂木への道はこれまでに比べるとだいぶ細く、進むといくらか傾斜が増してくる。山に近づいてきた証拠だ。住宅街を抜けると大木のすぐ側に橋が架かっている。登山詳細図によるとゆずの散歩道を示す道標があるらしいのだが、この橋は違うようだ。橋より先はまだ水の張っていない田んぼが続く。右手に石仏が置かれた民家が見えてくると向かいに道標の立つ道が延びている。ここがゆずの散歩道の入口だ。

(農産物直売所 営業日・時間がかなり限定的)


(農地のそばを行く この辺りは梅林が多い)


(右に牛頭山が見える)


(桂木川の看板がある分岐 右がゆずの散歩道・桂木方面 左は中在家・入方面)


(この石仏群の向かいにゆずの散歩道入口がある)


(ゆずの散歩道入口)


(ゆずの散歩道・桂木周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)

農地の中の舗装路を下っていくと桂木川に架けられた橋(蟹草橋と名付けられている)がある。その橋の手前から川沿いに延びているのがゆずの散歩道だ。川沿いの道は一見すると涼しげに感じるが、実際は木陰が殆ど無く、7時を過ぎたばかりだというのに結構な暑さだ。環境美化の日ということもあり、草刈り機の音が鳴り響く中歩いていると小さな滝が見えてくる。登山詳細図にある塩沢ノ滝とはこれのことだろう。護岸に使われた大きな石を使って滝の淵へ下れるので時間があればじっくりと見ていくのも悪くない。再び直射日光を浴びる遊歩道を行く。舗装された道なので夏場は照り返しがさぞや暑いことだろう。遊歩道にはいくつもの橋が架けられており、その先に道が延びていることが多い。ただそれが私有地へ向かうもの(墓地につながるものが結構多い)なのか、遊歩道なのかがわかりにくい。

(蟹草橋 この橋の手前を右に入る)


(遊歩道は舗装されている 川沿いだが暑い)


(これが塩沢ノ滝らしい 淵に下りることができるが、足場が不安定なので要注意)


(農地脇を行く この辺りの木は柚子なのだろうか?)


(橋が多い 墓地につながるものもあって遊歩道なのかどうかがわかりにくい)

舗装路を道なりに進むと道路に出てしまう。ただ川には飛び石伝いに渡れるようになっていて、その先遊歩道が続いているようだ。対岸に渡ると舗装路ではなく、レンガで補強された道が延びている。今ではすっかり草や苔に覆われているが、かつてはもっとわかりやすいレンガ道だったのだろう。この辺りは尾根が突き出る山の端に当たり、ようやく少し木陰が得られる。対岸に大きめの石を積み重ねたオブジェらしきものを見送ると吊り橋風の木橋を渡る。再び道路に出てしまうが、農地を回り込んで川沿いに遊歩道は続く。道路に誘導されやすいが、ずっと川沿いに進めるように道は出来ている。橋を渡るのも飽きてくる頃、ネットでもよく紹介されている少女の銅像が見えてくる。テーマは「少女とリス」とのことで、確かに少女像のそばには帽子の中に隠れようとするリスがいる。少女像の奥にある石橋を過ぎると遊歩道もようやく終わりが見えてくる。飛び石のある細い川を渡ると道標があり、橋の向こうに桂木集落へと続く山道が延びている。ここは木陰もあるので一旦休憩を取ってから山道に挑むことにする。

(向こう岸の花畑の辺りも遊歩道になっているようだ)


(木陰を行く 遊歩道はレンガ敷き)


(対岸には石のオブジェ)


(吊り橋風だが普通の木の橋だ)


(少女とリス)


(これが見えてくると終点も近い)


(ゆずの散歩道を離れて桂木集落へと向かう)

桂木への山道に入るとしばらくは沢沿いを比較的傾斜の緩い上り坂が続く。入口には歩行者以外立入禁止と書かれた看板が立っていたが、実際には轍らしきものも目立つ。広い道なので入ってしまう人もいるのだろう。当初はやや沢から外れた所を歩いていたが、高度を上げるにつれて沢の間近を歩くようになる。これほど沢に近くても道は確りしているので、普段は流れの少ない沢なのだろう。沢を離れると傾斜も急になり、道はジグザグの九十九折となる。この道は最初期の地形図には載っていないのだが、昭和の頃には載っており、桂木峠の峠道として使われていたのではないかと思われる。実際傾斜の割には峠道のような歩きやすさを感じる。傾斜が緩み、フラットな尾根を行くと道路が横切る桂木集落に出る。するとちょうどランナーの集団が通り過ぎていく。依然として新型コロナウイルスの感染者数は多いのだが、重症化する人は減ってきているという安心感からグループで出掛ける人も増えてきている。

(桂木への道 傾斜が緩く歩きやすい)


(沢のすぐそばを通る よく大水のときに道が崩れないものだ)


(後半は九十九折に上がる 道の補強も確りしている)

民家の脇の道を登ると3分と経たずに桂木峠に着く。杉檜に覆われた鞍部には尾根を掘り割った道が大満へと下っている。前回四寸道を歩いた際にはこの峠道から続く滝ノ入林道(林道滝ノ入線)を使ったが、今回は少し北から西へと延びる富沢林道(林道富沢線)あるいは中腹道を使うことにしたい。これらの道のほうが長い舗装路歩きを避けられるからだ。峠から北に延びる尾根道に入るとフェンスに囲まれた柚子の林がある。そのフェンスが切れ、明るく開けた農地が見えてくると尾根を横切るように道が延びている。交差点には道標が立ち、大満方面には黒山三滝と書かれている。前回訪れた時もこの道には気づいていたのだが、これが大満への道だとは思わなかった。

(桂木集落内の農地を上がる)


(桂木峠 右は桂木観音 左は鼻曲山)


(富沢林道・中腹道への分岐 越生ハイキングの看板の右に黒山三滝と書かれた木柱がある)

大満へ下る道はかなり細く草が被る所も多い。ただ踏み跡は確りしており、少々の藪っぽさを除けば歩きやすい部類に入る。傾斜の緩い所を上手く選んでいることもあってか雨後で道が滑る割には危険を感じることはない。歩きやすさに気を良くしていると道が山側に向かって分かれている。おそらくこれが富沢林道へと向かう道だろう。今回はどちらを行ってもよいのだが、地理院地図を見た限りではこのまま中腹道を進むのが、傾斜が緩く楽そうだ。



(紫陽花 最初は藪っぽい道だ)


(ここが富沢林道との分岐らしい というのもこれ以外に分岐らしい所がなかったからだ)

富沢林道への分岐を見送ってから20分ほど緩やかな中腹道が続く。この道が麓まで続いてほしいと願っていると掘割の道へと変わる。最初は自転車の轍が目立つ程度の細い掘割だが、掘割が広がると表土が剥がれて岩盤が剝き出しとなったやや急な道へと変わる。数日前まで強い雨が降っていたこともあり、岩盤の道は結構滑る。ここを無事下りきるとフラットな広い尾根に下りてくる。尾根の縁にやってくると道は二手に分かれる。ちょっと迷うが、おごせハイキングの看板が落ちている右の道に入る。すると大満の集落を見下ろしつつ野原へと下りてくる。野原の中には薄い踏み跡があり、それを辿ると民家へと続く砂利道に合流する。そして砂利道はすぐに舗装路につながるが、これこそが富沢林道だ。



(歩きやすい中腹道が続く)


(表土が剥がれた掘割の道 傾斜も急になるので要注意)


(この分岐は右に入る)


(大満地区に下りてきた)


(画像ではわかりにくいが野原の中の道が中腹道へとつながる)

林道を道なりに下ると向かい側から道が合流してくる。この向かい側の道は滝ノ入林道だ。この交差点を右に曲がると越生駅と黒山を結ぶバス通りに出る。通りの向かい側には2020年に訪れた上大満バス停がある。あのときは龍ヶ谷から結構長い距離を歩かされたが、今日はその道を逆に登っていくことになる。

(上大満バス停 近くに下ヶ戸薬師がある 右に龍ヶ谷への道も見える)

四寸道を使って高山不動へ
上大満バス停のすぐ北を流れる龍ヶ谷川に沿って龍ヶ谷への道路が延びる。龍ヶ谷への道に入ると道沿いには民家が点在する。地理院地図によるとこの辺りは平倉と呼ばれる集落とのこと。やはり環境美化の日に当たるのか住民総出で草刈りをしている。ボクの近所ではゴミ拾いと側溝のゴミ取り程度で済むが、山間地では道普請も必要であることがわかる。平倉をそろそろ出ようかという頃、道端にベンチがあり、一息入れる。横吹峠まで休みなく歩ける距離ではないので有難い。一旦住宅地を離れて石渡戸橋で川を渡り、左岸から右岸へと移る。再び人家が現れ、そこかしこで草刈り機の音が聞こえてくる。明確な区分けは分からないが、石渡戸橋から龍穏寺にかけてが龍ヶ谷地区の中心であるようだ。

(この辺りは地図だと平倉と書かれている)


(龍ヶ谷川の流れ)


(2か所ベンチがある)

延々と続く上り坂歩いていると工場のようなやや大き目の建物が見えてくる。機械の動く音がするので日曜日でも稼働しているようだ。山中にしては珍しいなと考えていると工場の手前に道が延び、御嶽山を示す道標がある。ここが横吹峠の入口だ。なお古い地形図には道形が無く、いつの頃から峠道が使われるようになったのかはよくわからない。峠道は最初の100mほど舗装路になっているだけで、以降は峠まで砂利道が続く。轍がくっきりと残っているので通るクルマは多いようだが、途中道が抉れた所もあるので、車高の低いクルマでは厳しいだろう。とはいえ傾斜は一様に緩く、また暗い植林帯を通るので真夏日にのんびりと歩くには好都合だ。今日は舗装路歩きが長くなることがわかっていたのでトレイルランニング用のシューズを履いていたのだが、こうした砂利道を歩くのに一番適しているように感じる。

(工場のような建物が見えてきた 左にある電柱から横吹峠への道が延びる)


(道標があって助かる)


(横吹峠への道 緩やかな砂利道が続く)

ずっと登ってきた道も左に道が分岐する所で一旦下る。緩く登り返すと横吹峠に着く。一応採石場で寸断された方にも道が延びているので多少の鞍部っぽさはあるが、典型的な峠のイメージではない。6年前に歩いた際には御嶽山・御嶽神社を示す道標だけが設置されていたのだが、改めて四寸道であることと横吹峠であることを示す道標も設置されていた。横吹峠より一度歩いた道であり、様子は当時とほぼ変わっていない。最初はちょっと荒れた感じの急な掘割道が続くが、明瞭で道は傾斜の割に歩きやすい。傾斜が緩むと越生駒ヶ岳(368.9)の南を巻いていく。唯一変化があるのは巻き終わる直前で道が崩壊しロープが張られていることだ。ロープを使わなくても崩壊地を少し下ってステップの確りした所を通ればそれほど危険は無いのだが、心配な人は巻き道の手前に駒ケ岳頂上への道があるのでそれを使ったほうが良い。

(横吹峠)


(四寸道に入るとすぐにこの分岐がある 順路は右)




(傾斜は若干急だが掘割の道は歩きやすい)


(崩壊地 ロープがあるが頼りにはならない 心配な人は山頂経由で)


(四寸道周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)

越生駒ヶ岳を巻き終わり、細い尾根を進むと今度は御嶽山を南から巻く。巻き始めの所で山頂への道が分かれるが、巻き道をそのまま進んで道標が立つ分岐から目指す方が歩きやすい。今日は見晴らしの良い所をあまり歩かない予定なので、展望が得られる御嶽山だけは寄っていくことにする。巻き道から尾根に出た所が山頂と思いがちだが、北に派生した尾根に山頂がある。主尾根から羊歯の繁茂する道を下り、枝尾根を緩く登り返すと御嶽神社の小屋が立つ御嶽山(登山詳細図では360m)に着く。小屋の前には岩場があり、東側の眺めが良い。目の前の尾根を広げるのは大高取山(左)と桂木山(右)で、その手前に広がる集落は大満・平倉の辺りだ。6年前と変わらぬ景色の良さに嬉しくなった。

(越生駒ヶ岳を巻き終わると尾根に出る 右に登ると山頂へ)


(御嶽山へ 道標完備)


(山頂に立つ御嶽神社)


(神社前の岩場 眺めが良い)


(岩場からの眺め 左が大高取山 右は桂木山)

巻き道に戻り、御嶽山を巻き終わって尾根に出ると新しい道標がある。どうやら尾根伝いに御嶽山を目指すこともできるようだ。次の峰山は北側から巻いていく。この巻き道は傾斜がやや急で体力的に厳しく感じる所だ。フラットな尾根に出たと思うとすぐに猿岩山が見えてくる。藪と檜に覆われた山で特に登高意欲をそそられるものではない。広い巻き道をそのまま進むと何と西側から登るルートが整備され、山頂への道を示す道標もある。越生駒ヶ岳のほうが顕著なピークであるにもかかわらず山頂への道が整備されていないことと比べると何だかアンバランスに感じる。

(御嶽山を示す新しい道標 尾根伝いの道でも行けるらしい)


(峰山を北から巻く この辺りは少々歩きにくい)


(左に見えるのが猿岩山)


(道標と道が整備された)

猿岩山を過ぎ、掘割を下ると林道猿岩線に出る。ここは以前何もなく、四寸道の続きがわかり難かったのだが、現在は道標が立てられている。次の登り口は200m先とのことで、指示に従って林道を進むと道らしき切り開きがあるが道標は無い。更に林道を行くと今度は道標がある。6年前に歩いた時は取り付きで迷った記憶があり、こういった変化は素直に有難い。529m峰を南から巻く途中登山詳細図に展望と書かれた地点があり、桧岩が少しだけ望める。地理院地図でトラバースするかのごとく描かれている辺りは九十九折に登って尾根に出る。この先再び林道に出るまで暗い檜林だったことを思い出しつつ歩いていると不意に広い伐採地に出る。特に展望が得られるわけではないが、伐採地の上部から振り返ると529m峰の右に凸凹とした越上山が見える。今日のような真夏日の炎天下でなければ休憩に良い。

(林道に出ると道標がある)


(ここから再び山道に入る)


(登山詳細図と照らし合わせると中央の山は桧岩らしい)


(地理院地図だとトラバース道だが実際は九十九折)


(この辺りも歩きやすい)


(6年前には無かった伐採地)


(来し方を振り返ると右に越上山が見える)

伐採地から檜の林を緩く登り、再び林道に出る。6年前はここから岳岩経由で関八州見晴台に出た。今日は林道を花立松ノ峠方面へ進む。林道に出てから10分弱で砂防ダムのある広い沢が見えてくる。その沢の次の沢(谷)に道標があり、七曲峠への峠道が付いている。地理院地図で見る限りでは傾斜の急な沢で荒れた道だと思っていたのだが、意外と道形は確りとしている。確かに傾斜は急なのだが、道が細かくジグザグ付けられていて4時間ばかり歩いた身体でも頻繁に立ち止まるほどにはしんどくない。唯一登り始めの右岸にある大きな岩の下を通過するのが心配な程度で一般ルートとして扱って問題は無い。岩場を通過すると左岸の斜面を九十九折に登っていく。入口から10分も歩けば西にある枝尾根の上に出る。トラバースしながら緩く登ると七曲峠に着く。ここはこれまで何度も通過しているが、下から峠道を上がってきたのは15年以上奥武蔵の山を歩いてきて初めてのことだ。

(再び林道に出る 左が順路)


(砂防ダムのある谷を見送ると七曲峠への入口がある)


(傾斜の急な谷を登る 見た目よりも歩きやすい)


(谷を振り返る そういえばこの辺りに隠れ不動があったらしい)


(左岸を九十九折で上がる)


(尾根に出れば傾斜の急な所は無い)


(七曲峠)

登山詳細図の著者である池田和峰氏のブログ記事「消えた四寸道 2015.2.7」によると七曲峠からグリーンラインへの道は消失しているという。しかし実際に峠に立ってみると高山不動側へ道は続いているようだ。一先ず行ける所まで行ってみたい。高山側へ下り始めると眼下に廃屋らしき建物が見える。2020年の8月に高山から黒山まで歩いた際にこの建物を見て、ここから峠道が延びていたのではと推測したのだが、古い地形図を見るともっと西からグリーンラインへとつながっていたようだ。実際道は廃屋へは下らずに西へとトラバースしながら下っていく。段々グリーンラインへと近づいていくが、南に枝尾根が派生する所で道は無くなる。ここで引き返そうと思ったが、道形が折り返して更に続いているように見える。踏み跡が殆ど無く、また擁壁の上なので石を落とさないよう注意しつつ下ると道形がはっきりとしてきて、擁壁が切れた辺りでグリーンラインへと下り立つことができた。おそらくボクのような古道探索者がグリーンラインへ下りる道を探るうちに自然と道形となったものなのだろう。

(一応高山不動へ向かって道形がある)


(踏み跡が殆ど無いトラバースを過ぎると道形が確りとしてくる)


(擁壁の手前でグリーンラインに下り立つ)

グリーンラインへ下りてしまえばもう危険な所は無く、20分かけて不動茶屋跡までやって来る。真夏日にしては明瞭な眺めが得られ、棒ノ嶺の背後には富士山の白い山頂も見える。高山不動の不動堂へと下りてくると流石に登山者が多い。でも5月としては気温が高く、観光地の喧騒からは程遠い。さて後は下山だけだが、今日は高山不動を経てグリーンラインに接続している舗装路を延々と下っていくことにする。この舗装路は古くからある高山不動の表参道として利用されてきたもので、ここを歩けば高山不動の道はほぼ踏破したことになる。



(グリーンライン脇の露岩 ミルフィーユのような層になっている)


(不動茶屋跡からの眺め)




(高山不動の不動堂)

大窪峠と梨本峠を経て吾野駅へ
不動堂下の広場から旧高山小学校の下にある道を下ると高貴山常楽院の本坊に着く。建物の中に人気は無いが、すぐそばにナンバーが付けられた軽トラックが停められていたので、定期的に管理する人はいるようだ。本坊の前からはいよいよ長い舗装路歩きが始まる。舗装路とはいっても離合するのが困難なほどの細い道が九十九折を描きながら下っていく。本坊の隣の駐車場に営業車らしきワゴン車が停まっていたが、よくこの道を登って来られたものだと感心する。古い地形図を見るとかつての表参道は本坊の西にある谷を下っていたらしく、舗装路は九十九折の分だけ遠回りになっている。九十九折が終わって深い谷を直線的に下り、橋を渡って左岸に道が付け変わると昨年歩いたミイ道の入口までやって来る。

(不動堂下の大イチョウ)


(旧高山小学校の建物下にある道を行く なお建物の前を進むと嶽ノ越方面へと出られる)


(高山不動の本坊 人気は無い)


(表参道である舗装路を下る 車同士の行き違いは困難)


(深い谷に造られた九十九折の道路 ガードレールは無い)


(ミイ道の入口まで下りてきた)

歩き残しとなっていた部分も歩き終わり、あとはどのルートを通って帰還するかということだけが問題となった。楽でかつ最短なのは三社峠を越えるルートで家に残してきた計画書でもこれを採用している。ただ三社峠の長沢側入口から林道志田線の出合までは舗装路ながら未踏となっている。できれば踏破部分はつなげておきたい。そこで大窪から峠に上がり、尾根伝いで梨本峠まで行って国道側へ下りることにした。大窪峠は梨本峠に比べて登りやすく、また梨本へ下れば吾野駅も近い。ミイ道入口を過ぎると大窪集落まで人家は全くない。大窪にやって来ると明るく開けており、別天地の雰囲気がある。実際この先の志田・瀬尾の集落に出るまでは長沢川がつくった狭く暗い谷が続き、こうした平坦地は貴重なのだ。

(三社峠入口 表参道を使うなら三社峠経由で西吾野駅に出るのが最短ルート)


(大窪集落)

民家の農地を通り、竹林をトラバースして抜けると切通しのある大窪峠に出る。特に道標などの案内は無いが、梨本峠へと続く尾根道は明瞭だ。尾根はアップダウンこそ緩やかだが、瘦せていて気楽に歩ける道とは言い難い。梨本峠は半年前に訪れていて記憶に新しい。梨本集落へは急ながらも危険な所は無い。梨本は広い平坦地につくられた集落で国道沿いにあることもあって民家が多い。国道を少し下って橋を渡ると秩父御嶽神社のある芳延に着く。高麗川沿いを進む近道に入り、西武秩父線を見下ろすトラバース道を越えれば採石場の前に出る。踏切の手前を線路沿いに進み、無事吾野駅に到着。全体的に舗装路歩きが長く、トレランシューズを履いてきて正解だった。今後も夏場奥武蔵の軽い山を歩くのであればどんどん活用していきたいと思った。

(大窪峠 梨本峠への道はわかりやすい)


(大窪峠から梨本峠の間は尾根が狭く歩きにくい所もある)


(梨本峠)




(梨本集落)


(芳延集落 東郷公園・秩父御嶽神社が目印)


(高麗川沿いの道を行く)


(西武秩父線を見下ろす線路沿いの道から 箱庭のようだ)

DATA:
毛呂駅6:41→7:14ゆずの散歩道→7:57桂木峠→8:31上大満バス停→9:07横吹峠→9:30御嶽山→10:46七曲峠→11:03不動茶屋跡→11:09高山不動11:16→11:20高貴山常楽院本坊→11:43ミイ道入口→12:00大窪集落→12:06大窪峠→12:18梨本峠→12:25梨本集落→12:33芳延集落(秩父御嶽神社)→12:53吾野駅

地形図 越生 正丸峠 原市場

トイレ 高山不動

交通機関 
西武池袋・秩父線 小手指~東飯能 242円 吾野~小手指 377円
JR八高線 東飯能~毛呂 242円

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 2019年3月24日 毛呂山町の山を歩く 午頭山・大平山と花桃咲く入地区
 2020年9月22日 正丸から上大満
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 2021年4月3日 前坂峠を越える道 三社から岩井沢
 2021年12月4日 5年ぶりの北川尾根と梨本峠

ゆずの散歩道はファミリー向けでスニーカーなどの底の柔らかな靴で歩くのがお勧めです。日陰の無い所を歩くので暑さ対策は万全にしておきましょう。
桂木から大満への中腹道は一般向けです。藪が苦手な人は長袖・長ズボンなどがお勧めです。
四寸道は「山と高原地図」(昭文社)だと破線の難路となっていますが、一般向け扱いで問題ありません。道標も完備されているので迷うことなく七曲峠まで上がれます。七曲峠からグリーンラインへ下りるのは落石のおそれもあるので避けたほうがよいでしょう。

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