(花咲く入地区)
注意! 午頭山は道の無い山です。藪山を歩いた経験のない人の入山は不可とします。
午頭山は地元表記では「牛」頭山となっています。(2022年6月1日追記)
奥武蔵の中では最大の面積を誇る飯能市の北に毛呂山町という人口3万程の自治体がある。武者小路実篤が創設した「新しき村」があることで知られる以外に、埼玉県内で最初に医科大学として設置された埼玉医科大学があり、大学より東部の平野には比較的規模の大きな市街地が広がっている。一方西部は比較的標高の低い山地で、展望の良いことで知られるようになったスカリ山を除けば著名な山は無い。どちらかといえば獅子ヶ滝や宿谷の滝、鎌北湖などの水場のスポットが有名だ。今回はそうした毛呂山町の著名でない山の中では目立つ存在である午頭山(ごんずうさん)と大平山を登ることにした。ルートは毛呂駅から毛呂川に沿ってまず午頭山に登る。午頭山から下りた後も毛呂川を詰めて滝入峠を越え、獅子ヶ滝に出る。そこから大平山を登り返して鎌北湖を訪れる予定だ。帰りは余裕があればみちさと峠を越えてユガテ方面へ下る予定だが、エスケープとして北向地蔵から五常の滝へ下ることも考えていた。
午頭山を登る
朝、いつものように小手指駅へやって来ると西武鉄道の新型特急である「Laview(ラビュー)」が停まっていた。大きな窓からかつて西武電車のシンボルカラーだった黄色のシートがよく見える。丸みを帯びた外観が可愛らしい感じで、一部の鉄道ファンの悪評とは異なり、なかなか洒落た車両だ。飯能と高麗川で列車を乗り継ぎ、毛呂駅に着く。山歩きをしていると越生駅のほうが馴染みがあり、大きな街だと勘違いしがちだが、毛呂駅を降りると毛呂山町のほうが人口が多くて大きな街だとわかる。
(西武の新型特急ラビュー)
始めに登る午頭山への道は手持ちの地形図には当然のことながら描かれていない。そこで今日は「奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)」に全面的に頼ることにした。一応地理院地図には登山口であるゴルフ場の貯水池までの道が描かれているので、地図ロイドなどを参考にすることはできる。大きな埼玉医科大の校舎前を北に進み、郵便局のある交差点を西に入ると庚申塚のある交差点に出る。この辺りまで来ると流石に農村地帯の雰囲気がある。房田橋を渡ると以前歩いた天ヶ平の辺りが見えてくる。中腹にあるパラグライダー場が黄色い地肌を晒していた。
(毛呂本郷地区に咲く水仙)
(中央の伐採された辺りがスカイパーク毛呂山のパラグライダー場 左奥の山が天ヶ平だろうか?)
午頭山へはY字の分岐を左に入っていくのだが、実際はY字というほどの形ではなく、わかりにくい只の横道のような雰囲気だ。狭い住宅街の道を抜けていくと詳細図に書かれている谷川天満宮がある。社の中にある額のようなものに学術的価値があるらしい。道なりに進んでいくと突き当りで毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場の裏口に着く。更に道なりに行くとゴルフ場の貯水池の堰堤が見えてきた。道の終点から草地に入って堰堤の下に行く。すると堰堤に上がる石段がある。ここが登山口と考え、石段を上がるが道は無い。まあ登れないほどの斜度ではないので、強引に道の無い斜面を上がることにした。なお、詳細図のコースガイドによると石段を上がるのは間違いだという。
(谷川天満宮)
(オートキャンプ場の裏口に出た ルートはここを左に)
(ゴルフ場貯水池の堰堤 登山口はこの辺りだというが…)
(石段 ここを登るのは間違い)
今いる地点は午頭山から北東へ顕著に突き出している尾根の末端に当たり、登る分にはわかりやすい。問題は枝藪だらけだということだ。藪の薄い所を選んで歩いているとピンクテープが上へ向かって点在している。これだけの頻度であると登山者によるマーキングの可能性が高い。藪尾根を抜けると細い防火帯のようなものが上へと延びている。かつてこの先に送電鉄塔が立っていて、今歩いているルートはその巡視路を利用しているものであるらしい。防火帯らしきものには枝が散乱し、また傾斜も急なので、見た目よりも遥に歩き難い。踏み跡は全くないので、適当にジグザグを切りながら上がっていく。防火帯が終わると緩やかな尾根に変わる。檜の林を抜けると草藪が広がる送電鉄塔跡に出る。鉄塔は撤去されているが、土台に使われた鉄塔の礎石は残されていた。
(こんな感じで踏み跡はない)
(藪を避けて上がっていくとマーキングを発見)
(防火帯のような所に出る 真直ぐ登れる斜度でもないのでジグザグに登っていく)
(送電鉄塔跡 ここまで来れば山頂までは難しくない)
鉄塔跡から先は歩きやすい傾斜の尾根が続く。多少藪っぽい所もあるが、踏み跡らしきものが上へ上へと続いている。山頂手前の急斜面に差し掛かると踏み跡が消えて歩き難い。ただ林業関係者が整備に入ったらしい痕跡はある。ここを登りきると午頭山(ごんずうさん 312 地理院地図には「ごんずさん」とも書かれている)の山頂に出る。一面樹木に覆われていて展望は得られない。その割には訪れる人が結構いるのか、山頂プレート以外にも日時を記したテープが多く巻かれていた。ゴルフ場の近くにある山頂ではあるが、ここまではゴルファーの声は響いてこないので、朝食の菓子パンを食べて一息入れる。
(鉄塔跡以降は踏み跡もはっきりしてくる)
(若干藪っぽさはあるが取り付きほどの辛さはない)
(午頭山 どちらかといえば狭い山頂だ)
下山路は山頂から北西へ延びる尾根を辿る。緩く細長い尾根にはしっかりとした踏み跡がある。緩やかな尾根が終わると木の間越しにゴルフ場を見下ろしつつ急坂を下っていく。詳細図に描かれている通りゴルフ場の柵にぶつかるが、その先に踏み跡はない。谷側はかなり急な斜面で強引に下るのも不可能だ。長いこと柵の側で立ち止まっているとゴルファーに不審がられるので、なんとか早く下ってしまいたい。柵沿いは藪に覆われているが、藪の先はなんとなくだが踏み跡らしきものが見える。おそらくこれが詳細図のコースガイドに書かれているところの鉄塔巡視路だろう。崩れたり藪に覆われたりしている踏み跡を恐る恐る進むと北にやや傾斜の緩やかな斜面が見える。よく見るとその斜面に九十九折の道が付けられていた。藪に覆われているが歩きやすい九十九折を下っていく。
(山頂から西へ しばらく良い道が下る)
(木の間越しにゴルフ場の池が見えてくる)
(難所を突破して九十九折に出た所 草は被っているが歩きやすい)
檜林の九十九折が終わると送電鉄塔跡に出る。ここも礎石だけが残された草地になっていた。詳細図を見るとここから二手に道が分かれているとのことだが、下れそうな感じがするのは北東方面だけだ。確かに北西方面には古いマーキングのテープが残されているが、傾斜が急すぎて下ることができない。素直に北東方面を下ると何となくだが踏み跡がある。踏み跡を辿っていると眼下に車道らしきものが見え、オレンジ色のベストを着た人も見えた。どうやらハンターが猟の最中らしい。踏み跡が東西に分かれる所からかなり明瞭な道へ変わる。詳細図に従い西に入る。毛呂川を渡渉すれば無事車道に出る。毛呂駅を出発して2時間弱。思ったよりも手強い山だった。
(ここまで来れば鉄塔跡は近い)
(送電鉄塔跡)
(鉄塔跡から北東の尾根を下る 写真だとわかりにくいがどことなく踏み跡がある)
(はっきりとした踏み跡が現れたら西へ)
(渡渉地点から毛呂川上流を望む)
花咲く入地区を経て滝入峠
さて次は以前訪れたことがある滝入峠を目指すのだが、峠の北にある入地区側から上がるのは初めてだ。「山と高原地図」を見るとハナモモとの記載があり、3月下旬に入地区を訪れるのを密かに楽しみにしていたのだ。車道を西に進むとまずは中在家地区に着く。結構な山奥だが住んでいる人は多いようだ。途中薬師堂のムクロジと書かれた看板があったが、どの木なのかよくわからなかった。中在家遺跡というのもあるようだが、こちらは公開されていないようだ。
(中在家地区 結構住んでいる人が多い)
(薬師堂)
詳細図にもある赤い橋を過ぎると入地区に入る。最初の民家を過ぎるとヘアピンカーブを描いて道は上がっていく。ちょうど折り返しに当たる所から滝入峠への道が延びている。来し方を振り返ると民家の敷地に植えられた花桃の木が満開であった。周囲を見回すとそれぞれのお宅で花桃を植えているらしい。東秩父村大内沢上ノ貝戸ほどではないが、花桃が咲き乱れる集落は確かに桃源郷といった雰囲気である。
(入地区へ向かう途中にある石仏)
(滝入峠入口付近から入地区を振り返る)
(花桃咲く入地区)
(上の民家ではヒイラギナンテンの花がレモンのような香りを漂わせていた)
ヘアピンカーブの折り返しに戻り、滝入峠を目指す。綺麗に整備された入口を進むと送電鉄塔管理用の黄色いポストがあり、尾根道と沢道に分かれている。峠は沢を遡るものと考えていたので、沢道に入るがこれは間違いだった。分岐からしばらく歩くと藪道に変わり、渡渉して右岸に上がるとかなり急な道になる。峠道にしてはきつすぎる道だな、と考えていると砂防ダムと越えた所で道が途切れる。コンパスで方向を確認しても東に寄り過ぎているし、やはり間違いだったか。黄色のポストまで戻り、尾根道を一登りすると開けた草地から二本の道が延びている。左の道を選ぶとこれぞ峠道というような緩やかな傾斜の道が上へと延びている。
(滝入峠入口 奥のポストを右に上がるのが正解)
(黄色いポストを上がるとここに出る 左が峠への道)
(峠道の登り始め 傾斜が緩く歩きやすい)
滝入峠の道は古い地形図には載っておらず、峠道や入地区が地形図に載るようになったのは昭和前期の地形図からだ。しかしこの峠道の歩きやすさを考えるとそれ以前から道はあったのではないかとも思われる。沢の水流が無くなり、急斜面の壁が現れれば峠はすぐそこだ。九十九折を登りきると滝入峠に出る。すぐ東にある小ピークに送電鉄塔が建てられた関係で木立の中なのに周囲は明るい。峠には行政が立てたのであろう立派な道標があり、獅子ヶ滝と愛宕山を示していた。しかしこれだけ良い道が下っているのならば入・中在家を示しても良かったのではないかと思う。
(沢沿いの歩きやすい道が続く)
(詰めの部分 ここを上がると峠に出る)
(滝入峠)
獅子ヶ滝から大平山
滝入峠から獅子ヶ滝へは以前歩いたことのある道だ。その頃はだいぶ藪っぽかった感じがしたが、現在は木段も設置されるほど整備されている。道を下っていると又してもハンターたちに会った。3月末までが猟期なので、できるだけ害獣を駆除しておこうという考えなのだろう。途中で舗装路に変わり、阿諏訪川とぶつかる所に獅子ヶ滝がある。以前訪れたときは水量の多い滝と感じたのだが、雨の少ない春先とあってか大分細い流れとなっていた。
(滝入峠~獅子ヶ滝間は随分歩きやすくなった)
(獅子ヶ滝)
獅子ヶ滝から鎌北地区へは南に延びる舗装路を上がっていく。地理院地図にある山道は通行禁止になっていて、歩くことはできない。あちこち迂回する鬱陶しい舗装路を上がっていくと先ほど出会ったハンターたちのクルマが追い抜いて行った。地元の人達にとっては便利な道路ができたのは事実だから文句を言ってはいけないのだろう。途中で砂利道に変わり、峠のような所に差し掛かると送電鉄塔が立っているのが見える。ここから鉄塔のピークへ上がるのが楽だが、柵で囲われて立入禁止となっているようだ。諦めて砂利道をしばらく下ると藪を切り拓いた道がある。現在はここが大平山への正規ルートとなっているのだろう。
(大平山入口 この付近はちょっと藪っぽい)
入口は若干藪っぽい感じがしたが、上がるにつれてよく整備された道となる。登りきって尾根の上に出た所が五六峠(アズマヅミ)だ。かつて峠だったことを示すように獅子ヶ滝への踏み跡がまだ残されていた。峠のすぐ東には薄の草藪に覆われた鉄塔のピークがある。歩き難い草藪を掻き分けて登ると226号鉄塔の下に出る。暖かい陽だまりのピークで休憩を取るが、嘔吐感がこみ上げてきてどうにも調子が悪い。実は現在逆流性食道炎に罹っていて水分を摂っただけでも嘔吐感がこみ上げてくるのだ。足腰に問題は無くてもこの食道炎のために長い距離を歩くことは難しくなっている。
(五六峠へ向かって整備された道が続く)
(五六峠 向かいの切り開きは立入禁止)
(226号鉄塔 大平山へはこの鉄塔の左裏手を行く)
226号鉄塔のピークから東へ明瞭な踏み跡はない。鉄塔裏手を回るようにして藪を分けていくと柚子(?)の林の裏手にある踏み跡に出る。檜の林内はよく整備されていて、踏み跡も明瞭だ。途中谷ツ山への分岐があるが、体調が悪いのでここはカットした。緩やかな広い尾根を上がっていくと227号鉄塔の立つ向山に着く。ここも草藪の覆われた山頂で陽だまりが暖かい。大平山の尾根は檜の林の中では風が通って寒いのだが、鉄塔のピークに出ると暖かいという繰り返しになる。
(柚子っぽい木がある 明らかに私有地の雰囲気だ)
(檜の林に入ると踏み跡がはっきりする)
(227号鉄塔が立つ向山)
向山から下り、黄色い鉄塔管理用のポストが立つ辺りが阿諏訪坂。確かに峠道のようなものが南北に下っていて歩けなくはなさそうだ。ただ詳細図に道を載せていないところを考えると民家の敷地などに出てしまうのだろう。少し登り返すと南へ尾根が分岐する。そのすぐ先が高サキ山だ(大平四号 320)。高サキ山から先も緩やかで歩きやすい道が続く。10分とかからずに主峰である大平山(334.4 長瀬山)に着く。ここも送電鉄塔の立つピークでやはり暖かい。詳細図を見るとこのルートは「山根大平山コース」と書かれているが、これはかつてこの辺りが山根村と呼ばれていたことに因んでいるのだろう。
(阿諏訪坂 南北に踏み跡が延びる)
(高サキ山)
(大平山 主峰だがこれといった見所には乏しい)
大平山の東にあるピークが大谷ツ山(大平三号)。高サキ山と同じく檜林の中にある。この先で踏み跡は分かれるが、縦走路にはテープでマーキングがある。まあ間違ったほうへ進んでもゴルフ場に突き当たるだけだから、ここまで戻ってくればよいだけの話ではあるが。次の大平二号も檜林の中だ。なお大平一号の山頂はゴルフ場の中にあり、一般に入ることはできない。大平二号を過ぎるとやや傾斜が急な坂道となる。途中傾斜がフラットになる所があり、送電線が引っかからないようにするためなのか伐採されている。詳細図には「展望」と書かれているが、正直な話、大したことはない。伐採地を過ぎると230号鉄塔の立つピークだ。折れ曲がるようにして下ると黄色いポストが立ち、車道へ向かって急坂が続く。5分と経たないうちに車道に下り立った。
(大平山の尾根は概ねこんな具合で傾斜が緩く道も明瞭)
(大谷ツ山)
(見所は少なくても歩きやすくて良い気分になれる)
(大平二号)
(奥武蔵らしく岩が突き出す所も)
(伐採地に出る)
(伐採地からの眺め 葉が茂っている頃はほとんど見えないのではないだろうか)
(230号鉄塔)
(鉄塔のすぐ下にこのポストがある 左へ下ると大平山入口に下りられる)
(車道に出た 道標の類はないが入口はわかりやすい)
鎌北湖から北向地蔵を経て武蔵横手駅
大平山入口から5分ほど歩くと鎌北湖に着く。鎌北湖は何度も訪れているような気がしていたが、当ブログを始めてからだとまだ三度目だった。訪れる度に宿泊施設や売店が少なくなっている感じがする。湖岸道路を西に向かうと湖が終わる所に第二駐車場がある。ふとバス停の時刻表を見ると第一・第三土曜日も「もろバス」を運行するという。今までは土日はバスの運行がなかったので、鎌北湖に出てしまうとどうしても時間をロスしてしまうようで無意識的に訪問を避けていたところがある。土曜日運行があるのなら鎌北湖を終点とする山行計画も立てやすくなった。
(鎌北湖)
(鎌北湖第二駐車場にあるバス停)
帰路は登り返してみちさと峠を越えるつもりだったが、食道炎の影響でまだ嘔吐感が拭えない。そこで舗装路の権現堂林道を上がり、北向地蔵から五常の滝へ下ることにした。一旦鎌北の集落に入り、道路標識にしたがって林道に入る。なお鎌北の集落から林道西の尾根に上がることもできるようだが、確りとした踏み跡があるかどうか不明だったため、クルマも行き交う林道を上がる。特に林道は見所もなく、トレランのランナーたちとすれ違っただけであった。20分強で権現堂の集落に到着。1970年代の地形図を見るとこの辺りに寺院もあったようだ。この先は一昨年も歩いたところで特筆すべきものはない。10分程度歩くと北向地蔵に着く。
(鎌北の集落)
(権現堂林道から大平山方面を望む)
(権現堂地区の運動場近く 右に入ると北向地蔵)
(以前も掲載した農地 奥に街並みが見下ろせる)
(北向地蔵へ向かって ここは歩きやすい)
(北向地蔵 もう午後の日差しだ…)
北向地蔵からは近道を使って五差路へ下る。北向地蔵を訪れたのは今回で四度目だが、この近道を使ったのは初めてだ。北向地蔵は縦走の途中に寄る所で帰路あるいは登りで使ったことは殆どなかったのだ。広く歩きやすい山道なので、通常であれば積極的に使った方が良い。一昨年訪れた五差路から沢沿いの砂利道を選ぶ。そういえばこの道も今まで使ったことが無かった。五差路で家族連れに会うが、先に出発したボクを途中で追い抜いて行った。小さな子を連れたパーティにも追い抜かれるとは重症だな。詳細図に書かれている水場で渇きを潤し、中野・小瀬名地区との分岐に出る。ここから駅まであとは舗装路歩きだけだ。
(北向地蔵前の分岐 画面奥へ向かうとユガテ・土山、左へ下りると五差路に出る)
(スミレかな?
(近道はこんな具合で歩きやすい)
(五差路から砂利道を下る 工事用のフェンスが置かれているが人は通ることができる)
(歩いたことが無かったが良い道だ)
(水場 ちょっと砂っぽいかもしれない)
(中野・小瀬名地区との分岐 右は五常の滝・武蔵横手駅方面)
少し下れば五常の滝。最後の楽しみだったのだが、先行していた家族連れが滝へ下りて行かずに通り過ぎてしまった。何事かと思い、滝の側までやって来ると何と私有地の為立入禁止とのこと。さらに下ると看板類や石像などが設置され、第一火曜日のみ無料で拝観できるという。しばらく訪れていない内にとんでもないことになっていた。まあ個人的には滝の見物料を取るのは悪くないと思っている。アプローチの整備や環境維持のための入山制限など合理的な理由はいくらでもあるからだ。ただ看板や石像を乱造して滝の周りの自然環境を壊してまで料金を徴収することに理があるとは思えない。もはや観光スポットには相応しくないと言える。少々嫌な気分にはなったが、関ノ入沢沿いの道路は長くても歩きやすい。山下の集落が見えてくれば武蔵横手駅はすぐそこだ。国道に出ると既に駅に電車が停まっていて、ボクが駅に着く前に飯能行きは出てしまった。何とも付いてない…。ホームに上がり、のんびり山羊を眺めつつ次の電車を待った。
DATA:
毛呂駅7:32→8:00毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場裏口→8:41午頭山(312)→9:30中在家地区→9:55入地区10:07→10:41滝入峠→11:00獅子ヶ滝→11:26五六峠→11:44向山→11:57高サキ山→12:04大平山(334.4 長瀬山)→12:13大谷ツ山→12:19大平二号→12:45鎌北湖(堰堤)→13:01鎌北湖第二駐車場→13:35北向地蔵→13:57五常の滝→14:23武蔵横手駅
地形図 越生 飯能
トイレ 鎌北湖第二駐車場
交通機関
西武池袋線 小手指~飯能 237円
八高線 東飯能~毛呂 237円
西武池袋線 武蔵横手~小手指 299円
関連記事
平成23年11月12日 鎌北湖と滝巡り
平成29年3月12日 山王峠から鎌北湖を経てユガテ
午頭山は道が無かったり崩壊したりとかなり手強い山です。奥武蔵登山詳細図のバリエーションルートの中でも難しい部類に入ります。詳細図・地形図必須で、道の無い山を歩いた経験も必要です。経験のない人の入山は当ブログでは不可とします。山根大平山は概ね歩きやすいルートですが、鉄塔下の藪で道が消えがちなことに注意が必要です。入地区から滝入峠へは入口以外迷う場所はありません。山と高原地図では破線になっていますが、実線の一般ルート扱いでも問題ないかと思います。
注意! 午頭山は道の無い山です。藪山を歩いた経験のない人の入山は不可とします。
午頭山は地元表記では「牛」頭山となっています。(2022年6月1日追記)
奥武蔵の中では最大の面積を誇る飯能市の北に毛呂山町という人口3万程の自治体がある。武者小路実篤が創設した「新しき村」があることで知られる以外に、埼玉県内で最初に医科大学として設置された埼玉医科大学があり、大学より東部の平野には比較的規模の大きな市街地が広がっている。一方西部は比較的標高の低い山地で、展望の良いことで知られるようになったスカリ山を除けば著名な山は無い。どちらかといえば獅子ヶ滝や宿谷の滝、鎌北湖などの水場のスポットが有名だ。今回はそうした毛呂山町の著名でない山の中では目立つ存在である午頭山(ごんずうさん)と大平山を登ることにした。ルートは毛呂駅から毛呂川に沿ってまず午頭山に登る。午頭山から下りた後も毛呂川を詰めて滝入峠を越え、獅子ヶ滝に出る。そこから大平山を登り返して鎌北湖を訪れる予定だ。帰りは余裕があればみちさと峠を越えてユガテ方面へ下る予定だが、エスケープとして北向地蔵から五常の滝へ下ることも考えていた。
午頭山を登る
朝、いつものように小手指駅へやって来ると西武鉄道の新型特急である「Laview(ラビュー)」が停まっていた。大きな窓からかつて西武電車のシンボルカラーだった黄色のシートがよく見える。丸みを帯びた外観が可愛らしい感じで、一部の鉄道ファンの悪評とは異なり、なかなか洒落た車両だ。飯能と高麗川で列車を乗り継ぎ、毛呂駅に着く。山歩きをしていると越生駅のほうが馴染みがあり、大きな街だと勘違いしがちだが、毛呂駅を降りると毛呂山町のほうが人口が多くて大きな街だとわかる。
(西武の新型特急ラビュー)
始めに登る午頭山への道は手持ちの地形図には当然のことながら描かれていない。そこで今日は「奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)」に全面的に頼ることにした。一応地理院地図には登山口であるゴルフ場の貯水池までの道が描かれているので、地図ロイドなどを参考にすることはできる。大きな埼玉医科大の校舎前を北に進み、郵便局のある交差点を西に入ると庚申塚のある交差点に出る。この辺りまで来ると流石に農村地帯の雰囲気がある。房田橋を渡ると以前歩いた天ヶ平の辺りが見えてくる。中腹にあるパラグライダー場が黄色い地肌を晒していた。
(毛呂本郷地区に咲く水仙)
(中央の伐採された辺りがスカイパーク毛呂山のパラグライダー場 左奥の山が天ヶ平だろうか?)
午頭山へはY字の分岐を左に入っていくのだが、実際はY字というほどの形ではなく、わかりにくい只の横道のような雰囲気だ。狭い住宅街の道を抜けていくと詳細図に書かれている谷川天満宮がある。社の中にある額のようなものに学術的価値があるらしい。道なりに進んでいくと突き当りで毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場の裏口に着く。更に道なりに行くとゴルフ場の貯水池の堰堤が見えてきた。道の終点から草地に入って堰堤の下に行く。すると堰堤に上がる石段がある。ここが登山口と考え、石段を上がるが道は無い。まあ登れないほどの斜度ではないので、強引に道の無い斜面を上がることにした。なお、詳細図のコースガイドによると石段を上がるのは間違いだという。
(谷川天満宮)
(オートキャンプ場の裏口に出た ルートはここを左に)
(ゴルフ場貯水池の堰堤 登山口はこの辺りだというが…)
(石段 ここを登るのは間違い)
今いる地点は午頭山から北東へ顕著に突き出している尾根の末端に当たり、登る分にはわかりやすい。問題は枝藪だらけだということだ。藪の薄い所を選んで歩いているとピンクテープが上へ向かって点在している。これだけの頻度であると登山者によるマーキングの可能性が高い。藪尾根を抜けると細い防火帯のようなものが上へと延びている。かつてこの先に送電鉄塔が立っていて、今歩いているルートはその巡視路を利用しているものであるらしい。防火帯らしきものには枝が散乱し、また傾斜も急なので、見た目よりも遥に歩き難い。踏み跡は全くないので、適当にジグザグを切りながら上がっていく。防火帯が終わると緩やかな尾根に変わる。檜の林を抜けると草藪が広がる送電鉄塔跡に出る。鉄塔は撤去されているが、土台に使われた鉄塔の礎石は残されていた。
(こんな感じで踏み跡はない)
(藪を避けて上がっていくとマーキングを発見)
(防火帯のような所に出る 真直ぐ登れる斜度でもないのでジグザグに登っていく)
(送電鉄塔跡 ここまで来れば山頂までは難しくない)
鉄塔跡から先は歩きやすい傾斜の尾根が続く。多少藪っぽい所もあるが、踏み跡らしきものが上へ上へと続いている。山頂手前の急斜面に差し掛かると踏み跡が消えて歩き難い。ただ林業関係者が整備に入ったらしい痕跡はある。ここを登りきると午頭山(ごんずうさん 312 地理院地図には「ごんずさん」とも書かれている)の山頂に出る。一面樹木に覆われていて展望は得られない。その割には訪れる人が結構いるのか、山頂プレート以外にも日時を記したテープが多く巻かれていた。ゴルフ場の近くにある山頂ではあるが、ここまではゴルファーの声は響いてこないので、朝食の菓子パンを食べて一息入れる。
(鉄塔跡以降は踏み跡もはっきりしてくる)
(若干藪っぽさはあるが取り付きほどの辛さはない)
(午頭山 どちらかといえば狭い山頂だ)
下山路は山頂から北西へ延びる尾根を辿る。緩く細長い尾根にはしっかりとした踏み跡がある。緩やかな尾根が終わると木の間越しにゴルフ場を見下ろしつつ急坂を下っていく。詳細図に描かれている通りゴルフ場の柵にぶつかるが、その先に踏み跡はない。谷側はかなり急な斜面で強引に下るのも不可能だ。長いこと柵の側で立ち止まっているとゴルファーに不審がられるので、なんとか早く下ってしまいたい。柵沿いは藪に覆われているが、藪の先はなんとなくだが踏み跡らしきものが見える。おそらくこれが詳細図のコースガイドに書かれているところの鉄塔巡視路だろう。崩れたり藪に覆われたりしている踏み跡を恐る恐る進むと北にやや傾斜の緩やかな斜面が見える。よく見るとその斜面に九十九折の道が付けられていた。藪に覆われているが歩きやすい九十九折を下っていく。
(山頂から西へ しばらく良い道が下る)
(木の間越しにゴルフ場の池が見えてくる)
(難所を突破して九十九折に出た所 草は被っているが歩きやすい)
檜林の九十九折が終わると送電鉄塔跡に出る。ここも礎石だけが残された草地になっていた。詳細図を見るとここから二手に道が分かれているとのことだが、下れそうな感じがするのは北東方面だけだ。確かに北西方面には古いマーキングのテープが残されているが、傾斜が急すぎて下ることができない。素直に北東方面を下ると何となくだが踏み跡がある。踏み跡を辿っていると眼下に車道らしきものが見え、オレンジ色のベストを着た人も見えた。どうやらハンターが猟の最中らしい。踏み跡が東西に分かれる所からかなり明瞭な道へ変わる。詳細図に従い西に入る。毛呂川を渡渉すれば無事車道に出る。毛呂駅を出発して2時間弱。思ったよりも手強い山だった。
(ここまで来れば鉄塔跡は近い)
(送電鉄塔跡)
(鉄塔跡から北東の尾根を下る 写真だとわかりにくいがどことなく踏み跡がある)
(はっきりとした踏み跡が現れたら西へ)
(渡渉地点から毛呂川上流を望む)
花咲く入地区を経て滝入峠
さて次は以前訪れたことがある滝入峠を目指すのだが、峠の北にある入地区側から上がるのは初めてだ。「山と高原地図」を見るとハナモモとの記載があり、3月下旬に入地区を訪れるのを密かに楽しみにしていたのだ。車道を西に進むとまずは中在家地区に着く。結構な山奥だが住んでいる人は多いようだ。途中薬師堂のムクロジと書かれた看板があったが、どの木なのかよくわからなかった。中在家遺跡というのもあるようだが、こちらは公開されていないようだ。
(中在家地区 結構住んでいる人が多い)
(薬師堂)
詳細図にもある赤い橋を過ぎると入地区に入る。最初の民家を過ぎるとヘアピンカーブを描いて道は上がっていく。ちょうど折り返しに当たる所から滝入峠への道が延びている。来し方を振り返ると民家の敷地に植えられた花桃の木が満開であった。周囲を見回すとそれぞれのお宅で花桃を植えているらしい。東秩父村大内沢上ノ貝戸ほどではないが、花桃が咲き乱れる集落は確かに桃源郷といった雰囲気である。
(入地区へ向かう途中にある石仏)
(滝入峠入口付近から入地区を振り返る)
(花桃咲く入地区)
(上の民家ではヒイラギナンテンの花がレモンのような香りを漂わせていた)
ヘアピンカーブの折り返しに戻り、滝入峠を目指す。綺麗に整備された入口を進むと送電鉄塔管理用の黄色いポストがあり、尾根道と沢道に分かれている。峠は沢を遡るものと考えていたので、沢道に入るがこれは間違いだった。分岐からしばらく歩くと藪道に変わり、渡渉して右岸に上がるとかなり急な道になる。峠道にしてはきつすぎる道だな、と考えていると砂防ダムと越えた所で道が途切れる。コンパスで方向を確認しても東に寄り過ぎているし、やはり間違いだったか。黄色のポストまで戻り、尾根道を一登りすると開けた草地から二本の道が延びている。左の道を選ぶとこれぞ峠道というような緩やかな傾斜の道が上へと延びている。
(滝入峠入口 奥のポストを右に上がるのが正解)
(黄色いポストを上がるとここに出る 左が峠への道)
(峠道の登り始め 傾斜が緩く歩きやすい)
滝入峠の道は古い地形図には載っておらず、峠道や入地区が地形図に載るようになったのは昭和前期の地形図からだ。しかしこの峠道の歩きやすさを考えるとそれ以前から道はあったのではないかとも思われる。沢の水流が無くなり、急斜面の壁が現れれば峠はすぐそこだ。九十九折を登りきると滝入峠に出る。すぐ東にある小ピークに送電鉄塔が建てられた関係で木立の中なのに周囲は明るい。峠には行政が立てたのであろう立派な道標があり、獅子ヶ滝と愛宕山を示していた。しかしこれだけ良い道が下っているのならば入・中在家を示しても良かったのではないかと思う。
(沢沿いの歩きやすい道が続く)
(詰めの部分 ここを上がると峠に出る)
(滝入峠)
獅子ヶ滝から大平山
滝入峠から獅子ヶ滝へは以前歩いたことのある道だ。その頃はだいぶ藪っぽかった感じがしたが、現在は木段も設置されるほど整備されている。道を下っていると又してもハンターたちに会った。3月末までが猟期なので、できるだけ害獣を駆除しておこうという考えなのだろう。途中で舗装路に変わり、阿諏訪川とぶつかる所に獅子ヶ滝がある。以前訪れたときは水量の多い滝と感じたのだが、雨の少ない春先とあってか大分細い流れとなっていた。
(滝入峠~獅子ヶ滝間は随分歩きやすくなった)
(獅子ヶ滝)
獅子ヶ滝から鎌北地区へは南に延びる舗装路を上がっていく。地理院地図にある山道は通行禁止になっていて、歩くことはできない。あちこち迂回する鬱陶しい舗装路を上がっていくと先ほど出会ったハンターたちのクルマが追い抜いて行った。地元の人達にとっては便利な道路ができたのは事実だから文句を言ってはいけないのだろう。途中で砂利道に変わり、峠のような所に差し掛かると送電鉄塔が立っているのが見える。ここから鉄塔のピークへ上がるのが楽だが、柵で囲われて立入禁止となっているようだ。諦めて砂利道をしばらく下ると藪を切り拓いた道がある。現在はここが大平山への正規ルートとなっているのだろう。
(大平山入口 この付近はちょっと藪っぽい)
入口は若干藪っぽい感じがしたが、上がるにつれてよく整備された道となる。登りきって尾根の上に出た所が五六峠(アズマヅミ)だ。かつて峠だったことを示すように獅子ヶ滝への踏み跡がまだ残されていた。峠のすぐ東には薄の草藪に覆われた鉄塔のピークがある。歩き難い草藪を掻き分けて登ると226号鉄塔の下に出る。暖かい陽だまりのピークで休憩を取るが、嘔吐感がこみ上げてきてどうにも調子が悪い。実は現在逆流性食道炎に罹っていて水分を摂っただけでも嘔吐感がこみ上げてくるのだ。足腰に問題は無くてもこの食道炎のために長い距離を歩くことは難しくなっている。
(五六峠へ向かって整備された道が続く)
(五六峠 向かいの切り開きは立入禁止)
(226号鉄塔 大平山へはこの鉄塔の左裏手を行く)
226号鉄塔のピークから東へ明瞭な踏み跡はない。鉄塔裏手を回るようにして藪を分けていくと柚子(?)の林の裏手にある踏み跡に出る。檜の林内はよく整備されていて、踏み跡も明瞭だ。途中谷ツ山への分岐があるが、体調が悪いのでここはカットした。緩やかな広い尾根を上がっていくと227号鉄塔の立つ向山に着く。ここも草藪の覆われた山頂で陽だまりが暖かい。大平山の尾根は檜の林の中では風が通って寒いのだが、鉄塔のピークに出ると暖かいという繰り返しになる。
(柚子っぽい木がある 明らかに私有地の雰囲気だ)
(檜の林に入ると踏み跡がはっきりする)
(227号鉄塔が立つ向山)
向山から下り、黄色い鉄塔管理用のポストが立つ辺りが阿諏訪坂。確かに峠道のようなものが南北に下っていて歩けなくはなさそうだ。ただ詳細図に道を載せていないところを考えると民家の敷地などに出てしまうのだろう。少し登り返すと南へ尾根が分岐する。そのすぐ先が高サキ山だ(大平四号 320)。高サキ山から先も緩やかで歩きやすい道が続く。10分とかからずに主峰である大平山(334.4 長瀬山)に着く。ここも送電鉄塔の立つピークでやはり暖かい。詳細図を見るとこのルートは「山根大平山コース」と書かれているが、これはかつてこの辺りが山根村と呼ばれていたことに因んでいるのだろう。
(阿諏訪坂 南北に踏み跡が延びる)
(高サキ山)
(大平山 主峰だがこれといった見所には乏しい)
大平山の東にあるピークが大谷ツ山(大平三号)。高サキ山と同じく檜林の中にある。この先で踏み跡は分かれるが、縦走路にはテープでマーキングがある。まあ間違ったほうへ進んでもゴルフ場に突き当たるだけだから、ここまで戻ってくればよいだけの話ではあるが。次の大平二号も檜林の中だ。なお大平一号の山頂はゴルフ場の中にあり、一般に入ることはできない。大平二号を過ぎるとやや傾斜が急な坂道となる。途中傾斜がフラットになる所があり、送電線が引っかからないようにするためなのか伐採されている。詳細図には「展望」と書かれているが、正直な話、大したことはない。伐採地を過ぎると230号鉄塔の立つピークだ。折れ曲がるようにして下ると黄色いポストが立ち、車道へ向かって急坂が続く。5分と経たないうちに車道に下り立った。
(大平山の尾根は概ねこんな具合で傾斜が緩く道も明瞭)
(大谷ツ山)
(見所は少なくても歩きやすくて良い気分になれる)
(大平二号)
(奥武蔵らしく岩が突き出す所も)
(伐採地に出る)
(伐採地からの眺め 葉が茂っている頃はほとんど見えないのではないだろうか)
(230号鉄塔)
(鉄塔のすぐ下にこのポストがある 左へ下ると大平山入口に下りられる)
(車道に出た 道標の類はないが入口はわかりやすい)
鎌北湖から北向地蔵を経て武蔵横手駅
大平山入口から5分ほど歩くと鎌北湖に着く。鎌北湖は何度も訪れているような気がしていたが、当ブログを始めてからだとまだ三度目だった。訪れる度に宿泊施設や売店が少なくなっている感じがする。湖岸道路を西に向かうと湖が終わる所に第二駐車場がある。ふとバス停の時刻表を見ると第一・第三土曜日も「もろバス」を運行するという。今までは土日はバスの運行がなかったので、鎌北湖に出てしまうとどうしても時間をロスしてしまうようで無意識的に訪問を避けていたところがある。土曜日運行があるのなら鎌北湖を終点とする山行計画も立てやすくなった。
(鎌北湖)
(鎌北湖第二駐車場にあるバス停)
帰路は登り返してみちさと峠を越えるつもりだったが、食道炎の影響でまだ嘔吐感が拭えない。そこで舗装路の権現堂林道を上がり、北向地蔵から五常の滝へ下ることにした。一旦鎌北の集落に入り、道路標識にしたがって林道に入る。なお鎌北の集落から林道西の尾根に上がることもできるようだが、確りとした踏み跡があるかどうか不明だったため、クルマも行き交う林道を上がる。特に林道は見所もなく、トレランのランナーたちとすれ違っただけであった。20分強で権現堂の集落に到着。1970年代の地形図を見るとこの辺りに寺院もあったようだ。この先は一昨年も歩いたところで特筆すべきものはない。10分程度歩くと北向地蔵に着く。
(鎌北の集落)
(権現堂林道から大平山方面を望む)
(権現堂地区の運動場近く 右に入ると北向地蔵)
(以前も掲載した農地 奥に街並みが見下ろせる)
(北向地蔵へ向かって ここは歩きやすい)
(北向地蔵 もう午後の日差しだ…)
北向地蔵からは近道を使って五差路へ下る。北向地蔵を訪れたのは今回で四度目だが、この近道を使ったのは初めてだ。北向地蔵は縦走の途中に寄る所で帰路あるいは登りで使ったことは殆どなかったのだ。広く歩きやすい山道なので、通常であれば積極的に使った方が良い。一昨年訪れた五差路から沢沿いの砂利道を選ぶ。そういえばこの道も今まで使ったことが無かった。五差路で家族連れに会うが、先に出発したボクを途中で追い抜いて行った。小さな子を連れたパーティにも追い抜かれるとは重症だな。詳細図に書かれている水場で渇きを潤し、中野・小瀬名地区との分岐に出る。ここから駅まであとは舗装路歩きだけだ。
(北向地蔵前の分岐 画面奥へ向かうとユガテ・土山、左へ下りると五差路に出る)
(スミレかな?
(近道はこんな具合で歩きやすい)
(五差路から砂利道を下る 工事用のフェンスが置かれているが人は通ることができる)
(歩いたことが無かったが良い道だ)
(水場 ちょっと砂っぽいかもしれない)
(中野・小瀬名地区との分岐 右は五常の滝・武蔵横手駅方面)
少し下れば五常の滝。最後の楽しみだったのだが、先行していた家族連れが滝へ下りて行かずに通り過ぎてしまった。何事かと思い、滝の側までやって来ると何と私有地の為立入禁止とのこと。さらに下ると看板類や石像などが設置され、第一火曜日のみ無料で拝観できるという。しばらく訪れていない内にとんでもないことになっていた。まあ個人的には滝の見物料を取るのは悪くないと思っている。アプローチの整備や環境維持のための入山制限など合理的な理由はいくらでもあるからだ。ただ看板や石像を乱造して滝の周りの自然環境を壊してまで料金を徴収することに理があるとは思えない。もはや観光スポットには相応しくないと言える。少々嫌な気分にはなったが、関ノ入沢沿いの道路は長くても歩きやすい。山下の集落が見えてくれば武蔵横手駅はすぐそこだ。国道に出ると既に駅に電車が停まっていて、ボクが駅に着く前に飯能行きは出てしまった。何とも付いてない…。ホームに上がり、のんびり山羊を眺めつつ次の電車を待った。
DATA:
毛呂駅7:32→8:00毛呂山町ゆずの里オートキャンプ場裏口→8:41午頭山(312)→9:30中在家地区→9:55入地区10:07→10:41滝入峠→11:00獅子ヶ滝→11:26五六峠→11:44向山→11:57高サキ山→12:04大平山(334.4 長瀬山)→12:13大谷ツ山→12:19大平二号→12:45鎌北湖(堰堤)→13:01鎌北湖第二駐車場→13:35北向地蔵→13:57五常の滝→14:23武蔵横手駅
地形図 越生 飯能
トイレ 鎌北湖第二駐車場
交通機関
西武池袋線 小手指~飯能 237円
八高線 東飯能~毛呂 237円
西武池袋線 武蔵横手~小手指 299円
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午頭山は道が無かったり崩壊したりとかなり手強い山です。奥武蔵登山詳細図のバリエーションルートの中でも難しい部類に入ります。詳細図・地形図必須で、道の無い山を歩いた経験も必要です。経験のない人の入山は当ブログでは不可とします。山根大平山は概ね歩きやすいルートですが、鉄塔下の藪で道が消えがちなことに注意が必要です。入地区から滝入峠へは入口以外迷う場所はありません。山と高原地図では破線になっていますが、実線の一般ルート扱いでも問題ないかと思います。