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(北川の岩場上 秋葉大権現の碑が立つ)
西武秩父線西吾野駅のすぐ下を流れる北川を遡ると、その北川と高畑川に囲まれた北川尾根という山稜がある。周辺のシバハラ坂(間野と高山を結ぶ尾根)や柏木尾根と異なり、古い地形図に道が描かれておらず、また山と高原地図などのガイド地図にもあまり道が載らない等地味な扱いを受けている。しかし5年前に奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)を参考に歩いてみたところ、尾根上に明瞭な作業道が通り、一般のハイキングルート並みの歩きやすさを感じた。前回の大平山登山で登山靴の靴底が剥がれ、修理に出したので、現在は安物のトレランシューズしかない。できるだけ歩きやすい所に行きたいと考え、以前訪れたことのある北川の岩場からの道を使って再び北川尾根を歩いてみることにした。また下山路は高山不動の南にある大窪・志田への道を使い、梨本峠を越える予定だ。
北川の岩場から秋葉山
朝7時過ぎに西吾野駅に着く。ようやく日が差し始めたばかりで北川が作り出した谷間はまだ薄暗い。新型コロナウイルスの感染者が激減したこともあってか、駅を降りた人は多い。大半はボクと同じように北川を遡っていく。まだ日の当たらない間野集落を過ぎると更に北川を遡ろうとする登山者はボク一人だけとなった。白山神社を過ぎ去ると中組の集落に入る。川向うにある全昌寺の境内を見送ると右手に駐車スペースらしき広場が見えてくる。ここが北川の岩場入口だが、一旦すぐ先の秋葉神社へ寄っていく。中組自治会館の標柱が立つ建物の敷地内に秋葉神社の祠がある。駅を出発して30分ほど経ったので、朝食を兼ねた休憩を取っていく。
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(北川 正面奥に見える山はセンズイ)
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(高畑川)
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(全昌寺)
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(中組自治会館)
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(自治会館の敷地内にある秋葉神社)
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(秋葉神社の隣にある馬頭観音などの石仏群)
朝食を取り終わり、いよいよ山道に入る。まずは先ほどの広場から林道のような広い道を登る。トレランシューズとはいえ、底の柔らかいスニーカーとは異なり、不整地に対しては硬いグリップ感がある。ローカットなので重荷だと足首への不安もあるが、今日のような日帰りの荷物なら特段問題なさそうだ。むしろ舗装路歩きが長かったので、ここまでのところはトレランシューズのほうが疲れも少ない。広い道をジグザグに上がっていくと木で通せんぼしてあり、その脇を岩場へ向かって石段が延びている。3年前に歩いた時は木で塞いでいなかったので、わかりやすい目印としたのだろうか。道の奥が明るくなっていたので更に進むと広く伐採されていて、全昌寺が見下ろせる。ということは先ほど通せんぼしていたのは伐採作業中であることを示していたのだろう。
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(木で通せんぼされている 左の石段を登れば北川の岩場に出る)
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(全昌寺霊園の上が伐採地になっていた)
石段というか土の斜面に石で段差を付けた道を登っていくと左手に大きな岩が見えてくる。北川の岩場だ。斜面に対しオーバーハングする形でそそり立っており、まさに天然にできた壁だ。2018年に訪れた時は薄い壁のように思っていたのだが、近寄ってみると斜面から分厚い岩が水平に突き出しているのに気づく。奥武蔵登山詳細図の著者である池田和峰氏がブログで岩の上に出られると記していたのはこういうことだったのかと納得する。さてどうやって岩の上に出ようか。
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(北川の岩場)
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(横から見ると結構オーバーハングしている)
壁の左右に道らしきものがあるが、右側は段差が大きい。一方左側は傾斜が緩そうだ。取り付いてみると倒木が邪魔をするが、なんとか潜っていくと木が生えた岩の上に出る。先端は岩が露出し、秋葉大権現と彫られた石碑が安置されている。石碑の前は露岩の展望地となっていて、手前に天久保山から北西へ延びる尾根がツートンに色分けされた大津津路山にまで続いているのが見える。その尾根の奥には正丸山辺りが山頂部を覗かせている。良い眺めだが、枝が外に張り出して背中を押される形になり、落ちそうで怖い。岩場からは山頂へ向かって明瞭な踏み跡が延びる。山頂といってもほんの少しの高まりでしかなく、数分もかからずに秋葉山(あきばやま)の頂上に着く。なお池田和峰氏のブログによると地形図の標高点460m峰を秋葉山とする見解もあるという。確かにここは山頂というよりは尾根の高まりという雰囲気でしかない。
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(岩場の左から登る)
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(秋葉大権現の碑)
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(石碑前の岩場からの眺め)
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(岩場上の石碑の後ろにはもう一つの石碑がある こちらも秋葉権現と彫られていたようだ)
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(秋葉山の頂上)
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(秋葉山周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
北川尾根を末端まで登る
秋葉山の山頂からは北川の岩場方面以外に南北に踏み跡がある。北へ向かうのはカンナタテへと続く尾根道だが、南側はどこへ出るのか定かではない。池田和峰氏のブログによると「街路灯0182からの」ルートであるらしい。暑くなったので裏地付きのジャケットを脱ぐ。北の尾根を辿るルートに入ると常緑の低木の枝に行く手を阻まれる。人が通れる幅の切り開きがあるものの、一般のハイキングルートに比べると歩きにくい。終始杉檜の林に覆われた尾根なので、見通しはそれほど利かないものの、踏み跡自体ははっきりとしている。また一定の間隔ごとにピンクテープの目印があるので、不安な人はそれを頼りにしてもよいだろう。やや急な坂を登りきると以降は緩やかなアップダウンが続く。
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(秋葉山頂上から北に延びる尾根 結構藪っぽい)
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(秋葉山との鞍部から急坂を登り終えると緩やかな尾根となる)
400mの計曲線を過ぎ、そろそろ白山神社からの道が合わさる頃だろうと考えていると案の定アセビの枝にピンクテープが巻かれた分岐に着く。基本的に道標が無いルートなので、こういった目印のみが頼りだ。ここより先は一度歩いたことのある道で別段難しい所は無い。若干下生えが煩く感じる所があるのもバリエーション然としていて趣がある。尾根が左に曲がったかと思うと460m峰に着く。先に言及したようにここを秋葉山とする見解もあり、立木に「秋葉山」と書かれた黄色いテープが巻きつけられている。しかしここは北川の岩場の上と違い、秋葉権現所縁のものは何もない。
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(白山神社分岐)
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(460m峰までは緩やかな尾根が続く)
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(460m峰 立木に巻かれたテープには秋葉山と書かれている)
460m峰で尾根は右に折れる。平坦な尾根を進むと地表がクマザサ(隈笹)に覆われる。クマザサは山におけるササ類の総称として使われることもあるので、スズタケなどと混同されることも多い。越冬する際に葉の縁が枯れて白くなるという特徴からここの地表を覆っているのはクマザサで間違いないだろう。低い笹薮なので歩きにくさは無く、むしろ美しい光景ともいえるのだが、以前訪れた時よりも勢いがなくなっているようにも感じられる。笹藪が終わり、やや急な坂を登るとオバケ山の頂上に出る。切り株がポツンとあるだけの檜に覆われた山頂は意外に明るく、名前の由来となったオバケが出そうな鬱蒼とした雰囲気はない。
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(クマザサに覆われた道)
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(こんな具合に葉の外側が白く枯れてくる)
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(急坂が見えてくるとオバケ山は近い)
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(オバケ山)
オバケ山を過ぎ、前坂峠に近づくと椛などの落葉広葉樹も増えてくる。今年は11月が暖かかったせいもあり、まだ赤や黄色の葉を残している木も多い。望外の紅葉に足を止めて楽しむ。町屋敷集落への分岐の手前におかね様と呼ばれる祠の跡がある。現在は平たい石で組まれているだけだが、立てている石にはどうやら文字が彫られていたようだ。倒木で塞がれた町屋敷分岐を過ぎ、地形図上で尾根が広くなる辺りから東側斜面を横切るように進む。ここは前坂峠の峠道に当たるのだが、斜面が崩れて踏み跡は途切れがちだ。右手に平場が見えてくると大日如来の石碑に庚申塔と弘法大師像が置かれた前坂峠に着く。今年の4月にも訪れた所なので記憶に新しい。
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(杉檜の踏み跡明瞭な尾根 如何にも奥武蔵といった雰囲気)
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(尾根が右に曲がる辺りから落葉樹が目立ってくる 12月なのにまだ紅葉が見頃)
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(おかね様と思われる祠 立ててある平たい石には文字が彫られているように見える)
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(町屋敷分岐 峠道だが倒木が多い)
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(峠へのトラバース手前の落葉樹林 ここも紅葉が見頃)
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(前坂峠へ向かってトラバース道を進む 状態の良い所悪い所の差が大きい)
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(前坂峠の石仏)
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(弘法大師像だと思われる 造作が結構細かい)
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(峠の前には平場がある かつて茶屋があったらしいがその跡だろうか)
前坂峠からは636m峰に向かって九十九折に登っていく。古い地形図には道が載っていないので、昭和のハイキングブームの頃に作られた道なのかもしれない。道は636m峰を巻いて尾根に出るので、山頂へ寄り道すると見事に何もない。山頂を示すものもない代わりに倒木や落枝も全くないので、グループで休憩するには良い所だろう。636m峰からは地形図を見てもわかるようにフラットな広い尾根が延びるが、倒木だらけで踏み跡がない。北川尾根の中では一番状態が酷い所だ。倒木帯が終わると最大の難所である岩場の急坂に差し掛かる。順路は律儀に岩場を直登していくのだが、左にも明瞭なトラバース道がある。トラバース道を進むと西へ舌状に出た尾根にぶつかる。その先は尾根を下っていくようなので、この舌状尾根を登っていくしかなさそうだ。途中は緩やかだが、北川尾根の主稜線に合流する地点まではかなりの急坂である。これなら先ほどの岩場を直登したほうが楽だろう。
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(峠から九十九折に登る)
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(636m峰の頂上 ここだけ何故か綺麗)
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(倒木や下草が煩くて踏み跡が見えない)
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(急坂の岩場 岩場を直登したほうが楽だが左の道を登った)
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(左の道はこんな具合のトラバース道)
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(結局急斜面の尾根を登る必要がある)
主稜線に合流した後はしばらくフラットな道となる。前方に奥武蔵グリーンラインの通る長大な尾根が見えてくると急斜面をトラバースしながら登っていく。カーブミラーが立つ所でグリーンラインの舗装路に出る。5年前はこのまま関八州見晴台へ行ってしまったが、今日は更に北川尾根の頂点に当たるカンナタテを目指す。舗装路を東に進むと道標があり、そこから山道に入る。ハイキングルートは山頂を北に巻くので、道を外れて木々の間を登るとカンナタテの山頂に着く。昨年秋に訪れた所なので、ここも記憶に新しい。
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(グリーンラインに出る手前も急斜面だがトラバースしながら登るので歩きやすい)
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(カンナタテの山頂 何も無く地味な所)
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(前坂峠周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
関八州見晴台から梨本峠越え
往路を戻り、しばらくはグリーンラインを東に進む。高山不動と関八州見晴台を別々に示す道標が立つ所から尾根に上がる。この辺りは落葉樹が多いのだが、流石に色の付いた葉は残っていない。アンテナの立つ建物を過ぎて檜の並木を抜けると関八州見晴台(高山不動尊奥の院)に着く。北川尾根を歩いている時は全く会わなかった登山者が沢山居て、ベンチを確保するにも一苦労だ。ここの展望の良さは「奥武蔵の展望スポット」に紹介したとおりで、枝が伸びてしまった武甲山方面も冬枯れの時期なら多少山頂部を拝むことができる。案内板を見ると11月に登った大平山も見えるという。肉眼で確認すると確かに三ツドッケから右へ行った所に平たい山頂の大平山がある。来年以降は浦山地区の山も徐々に歩いていきたいところだ。時間は10時半前だが、久しぶりにカップラーメンを作って昼食とする。
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(グリーンラインには武甲山・二子山・両神山が見える所もある)
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(関八州見晴台へ向かって落葉樹林を進む 別荘地になっているらしい)
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(関八州見晴台から西側の眺め 右端に武甲山が見えているのが嬉しい)
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(南側の眺め 大高山や越上山が顕著)
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(久しぶりに富士山が見えた)
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(山頂の案内板によるとこんな感じの配置だという)
関八州見晴台からは高山不動を経て大窪集落への道を下ることにする。当初は傘杉峠を経て善兵衛谷林道を下るつもりだったのだが、昼食を取っているうちに面倒になってしまったのだ。山頂付近の紅葉を眺めながら下るうちにもどんどん人は登って来る。マスクを着けている人は誰もおらず、新型コロナウイルスの感染はすっかり収束した印象だ。グリーンラインを横切った先の丸山ではまだ紅葉が盛りで十分に楽しめる。丸山を越えると以前は不動茶屋方面と廃屋の左脇に出る道が分かれていたが、現在は不動茶屋方面が通行止めとなっている。廃屋脇へ下りて不動茶屋へ回り込むとかつての入口はアンテナ施設のために立入禁止となっていた。
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(丸山周辺は紅葉がまだ見頃)
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(かつて茶屋だったであろう廃屋らしき建物の前にも椛が色づく)
不動茶屋跡で富士山の眺めを楽しみつつ高山不動へと下る。途中椛が黄色と赤のグラデーションに染まっているのが見える。これは不動堂脇の椛も期待できそうだ。東屋へ下ってくると期待通り不動堂脇の椛も紅葉の盛りを迎えている。不動堂の赤い屋根と椛の葉の黄から赤へと移り変わるグラデーションが上手い具合にマッチしている。後からやって来る登山者もこの紅葉の美しさに皆足を止めていた。トイレの前から回り込んで石段下の広場に下りてくる。ここには椛と銀杏の大木があるが、どちらも紅葉の見頃は終わっていた。
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(不動茶屋跡からの眺め)
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(高山不動の不動堂へ下りる途中にある椛がちょうど色づいていた)
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(不動堂の椛)
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(大イチョウ)
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(大イチョウはすでに見頃を過ぎていた)
旧高山小学校の建物脇を抜けて嶽ノ越を目指す。嶽ノ越は今年も既に一度訪れていて、高山不動周辺のスポットとしてはすっかりお馴染みのものとなった。暗い杉林を進むと八徳への道と志田・大窪への道が分かれる嶽ノ越に着く。志田・大窪への道は良く整備された尾根を行く。そういえば昨年11月にこの道を下った時、三ツ平の辺りに伐採作業が入っていたのを思い出す。三ツ平へ上がってみようか。鞍部から登り返した所が三ツ平であり、昨年と同じように工事用のコーンが置いてある。尾根を上がっていくと三ツ平の北端に出る。ここから尾根伝いに行ってみようとすると尾根が下から上がってきた林道によって寸断されている。なるほど伐採作業に注意しろとはこのことか。林道を下っていくと立入禁止を示す柵が置かれ、三ツ平を巻く従来のハイキングコースのみ通れるようになっている。
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(旧高山小学校脇を通ると展望が得られる)
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(嶽ノ越 すっかりお馴染みの場所となった)
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(三ツ平との鞍部までは歩きやすい道が続く)
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(三ツ平北端 伐採作業中なので上がらないほうが無難)
林道建設によって大きく抉られた尾根を越えた所がエゴ辻だが、瀬尾へ下りる道はますますわかりづらくなった。大窪・志田へのルートで唯一危険なトラバースを過ぎ、志田近道を見送ると歩きやすい九十九折が続く。急ぎでない限りは近道よりもこちらの九十九折のほうが歩きやすくて楽だ。沢沿いを行くようになると志田近道と合流する。桟橋を渡れば明るい柿の木坂の家に着く。昼食の際にジャケットを着こんだのだが、暑いのでここのベンチで再びジャケットを脱ぐ。柿の木坂の家から下るとすぐにわたど橋で、その先は舗装路となる。舗装路を下っていると西に民家がある。見上げるような高さの所に建物があり、今は使われていないようだ。そういえばこの民家の裏手に大窪への道が通っていたことを思い出す。如何に道路沿いに家があるとはいえ、斜面を登らなければ辿り着けないようでは住み続けるのは難しいのだろう。
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(林道建設で大きく尾根が抉られている 小さなギャップに登山道が延びている)
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(大窪へのルート この先危険なトラバースがある)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/21/a322e792e94d2b98fdd9710c5efe94af.jpg)
(志田近道を見送ると歩きやすい九十九折が続く)
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(左から志田近道が合流)
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(柿の木坂の家)
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(右に見えるのがわたど橋 左に下るとすぐに舗装路となる)
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(暗い舗装路を進む 夏は涼しそう)
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(民家があるが使われていない雰囲気 なおこの上に大窪への道が通っている)
民家も無くなり、志田川沿いを下っていくと長沢川沿いの道路に合流する。交差点に出ると向かいの擁壁に金属製の階段が取り付けられ、梨本峠を示す道標がある。ネットで見慣れた階段ではあったが、まさか交差点から見える所にあるとは思わなかった。階段を上がるとやや急な傾斜の九十九折が続く。大窪峠や三社峠に比べると如何にも峠道といった感じがする。道が東へ曲がる所に道標が立つ。なんでわざわざ道標など設けているのだろうと思っていると大窪(道標には大久保)への道が分岐している。この時は大窪への道がどう通じているかわからなかったのだが、奥武蔵登山詳細図によると先ほどの登り口より西にもう一つ入口があるという。それにしてもこの尾根は峠道が多い。細い尾根を挟んで集落が点在しているから当然と見る向きもあるかもしれないが、例えば天久保山から三田久保峠までの間で尾根を越す峠道が現存しているのは三田久保峠だけだ。中尾山から三社峠までの間のほうが標高は低いとはいえ、短い距離に三つもの峠道を拵えるのはやはり不思議な感じがする。事実古い地形図にはどの峠道も描かれておらず、三社峠と大窪峠の間に峠道が描かれているだけだ。かつては峠道が一本しかなかったのか、それとも既にそれぞれ峠道があり、簡略化して一本の峠道として描かれていたのかは定かではない。
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(右の階段を登ると梨本峠に出る なお奥に見える交差点の左からやって来た)
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(梨本峠へ続く九十九折 結構急な道)
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(大窪への道が右に分岐している 梨本峠へは左に入る)
東へのトラバース道を登っていくと尾根へ上がる手前の踏み跡がかなり薄い。斜めに歩く形なので下りに使うのはちょっと避けたい感じがする。尾根に出た所には道標が転がっているが、梨本へ下る道は無い。以前中尾山を歩いた際に峠道が離れていた記憶がある。尾根を東へ進むと立派な道標が立ち、梨本への道が下っている。尾根の東端にある中尾山は一般的な登山対象となっておらず、尾根伝いに歩く人よりは峠越えを目的とする人が多いことを窺わせる。梨本への道に入ると最初は九十九折だが、途中から尾根の右側を下っていくようになる。大窪側に比べると典型的な峠道とは形が異なるようだ。木の間越しに麓の民家が見えるようになると九十九折に梨本の集落に出る。入口に道標が立つものの、梨本側から峠を目指すとわかりにくそうだ。
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(梨本峠手前のトラバース道 ここは踏み跡薄くかなり危なっかしい)
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(尾根に出た 右に下るのが大窪方面への道)
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(梨本と大窪を繋ぐ部分に当たるのでここも峠の一部といえよう)
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(梨本峠 右に下ると梨本に出られる)
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(梨本へは急な尾根を下っていく)
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(梨本集落)
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(この道標が頼り)
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(梨本峠周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
西武秩父線のガードを潜り、住宅街を抜けて国道に出る。後は吾野駅を目指すのみ。5分ほど歩くと東郷公園に通ずる橋に差し掛かる。橋を渡って線路沿いを行ったほうが近道だが、今日は更に国道を進む。再びガードを潜ると道路が二手に分かれる。左の広い道がバイパスで右の道は吾野宿を抜ける道だ。どちらも国道299号として指定されているが、吾野宿を抜ける道はスクールゾーンとなっていて、平日はもちろん土休日でも走るクルマはほとんどない。唯一頻繁に行き交うのは吾野鉱業所で鉱石を積むダンプカーだけだ。吾野鉱業所への道を分けると踏切が見えてくる。10月に歩いた時は近道となる線路沿いの道を見落としたので、今日は確りと近道に入る。民家脇の道ではあるが、フェンスが設けられ、整備状態は良い。法光寺の脇に出れば吾野駅の駅前広場は目の前だ。無事駅に着いた。ホームに上がり、次の電車を調べると少し時間的な余裕がある。家から持ってきたミカンを食べつつ、今年最後の山歩きの余韻を楽しむのだった。
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(西武線のガードを潜る 国道から来たときはこのガードを目指そう)
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(橋向うには東郷公園と秩父御嶽神社がある)
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(再びガードを潜る)
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(国道が分かれる 手前の道は吾野宿へ入る)
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(民家や会社などがあるがクルマはほとんど通らない)
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(踏切横を入ると民家脇を通っていく 吾野駅はもうすぐ)
DATA:
西吾野駅7:06→7:38秋葉神社(中組自治会館)7:45→7:54北川の岩場→8:10秋葉山→8:39 460m峰→8:54オバケ山→9:07おかね様→9:19前坂峠(お大師)→10:04カンナタテ→10:21関八州見晴台10:52→11:10高山不動11:19→11:27嶽ノ越→11:52柿の木坂の家→11:56わたど橋→12:16梨本峠→12:24梨本集落→12:47吾野駅
地形図 正丸峠 原市場
トイレ 高山不動
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~西吾野 377円 吾野~小手指 377円
関連記事:
平成28年3月21日 北川尾根から中尾山
平成30年2月17日 柏木尾根から六万部塚を経て弓立山(北川の岩場について記述あり)
2020年11月15日 虚空蔵峠の峠道を探る 芦ヶ久保駅から西吾野駅
2021年4月3日 前坂峠を越える道 三社から岩井沢
北川尾根はバリエーションルートとしては易しい部類に入ります。心配な人はスケール付きコンパスと地形図あるいは奥武蔵登山詳細図をお持ちください。北川の岩場からのルートがお薦めです。
高山不動から大窪・志田へ下る道は上記の通り三ツ平で伐採作業に入っています。エゴ辻から瀬尾へ下る道がわかりにくくなっているので注意してください。
梨本峠道は一般ルートと看做して問題ありません。大窪側から登るのがわかりやすいでしょう。
西武秩父線西吾野駅のすぐ下を流れる北川を遡ると、その北川と高畑川に囲まれた北川尾根という山稜がある。周辺のシバハラ坂(間野と高山を結ぶ尾根)や柏木尾根と異なり、古い地形図に道が描かれておらず、また山と高原地図などのガイド地図にもあまり道が載らない等地味な扱いを受けている。しかし5年前に奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)を参考に歩いてみたところ、尾根上に明瞭な作業道が通り、一般のハイキングルート並みの歩きやすさを感じた。前回の大平山登山で登山靴の靴底が剥がれ、修理に出したので、現在は安物のトレランシューズしかない。できるだけ歩きやすい所に行きたいと考え、以前訪れたことのある北川の岩場からの道を使って再び北川尾根を歩いてみることにした。また下山路は高山不動の南にある大窪・志田への道を使い、梨本峠を越える予定だ。
北川の岩場から秋葉山
朝7時過ぎに西吾野駅に着く。ようやく日が差し始めたばかりで北川が作り出した谷間はまだ薄暗い。新型コロナウイルスの感染者が激減したこともあってか、駅を降りた人は多い。大半はボクと同じように北川を遡っていく。まだ日の当たらない間野集落を過ぎると更に北川を遡ろうとする登山者はボク一人だけとなった。白山神社を過ぎ去ると中組の集落に入る。川向うにある全昌寺の境内を見送ると右手に駐車スペースらしき広場が見えてくる。ここが北川の岩場入口だが、一旦すぐ先の秋葉神社へ寄っていく。中組自治会館の標柱が立つ建物の敷地内に秋葉神社の祠がある。駅を出発して30分ほど経ったので、朝食を兼ねた休憩を取っていく。
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(北川 正面奥に見える山はセンズイ)
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(高畑川)
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(全昌寺)
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(中組自治会館)
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(自治会館の敷地内にある秋葉神社)
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(秋葉神社の隣にある馬頭観音などの石仏群)
朝食を取り終わり、いよいよ山道に入る。まずは先ほどの広場から林道のような広い道を登る。トレランシューズとはいえ、底の柔らかいスニーカーとは異なり、不整地に対しては硬いグリップ感がある。ローカットなので重荷だと足首への不安もあるが、今日のような日帰りの荷物なら特段問題なさそうだ。むしろ舗装路歩きが長かったので、ここまでのところはトレランシューズのほうが疲れも少ない。広い道をジグザグに上がっていくと木で通せんぼしてあり、その脇を岩場へ向かって石段が延びている。3年前に歩いた時は木で塞いでいなかったので、わかりやすい目印としたのだろうか。道の奥が明るくなっていたので更に進むと広く伐採されていて、全昌寺が見下ろせる。ということは先ほど通せんぼしていたのは伐採作業中であることを示していたのだろう。
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(木で通せんぼされている 左の石段を登れば北川の岩場に出る)
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(全昌寺霊園の上が伐採地になっていた)
石段というか土の斜面に石で段差を付けた道を登っていくと左手に大きな岩が見えてくる。北川の岩場だ。斜面に対しオーバーハングする形でそそり立っており、まさに天然にできた壁だ。2018年に訪れた時は薄い壁のように思っていたのだが、近寄ってみると斜面から分厚い岩が水平に突き出しているのに気づく。奥武蔵登山詳細図の著者である池田和峰氏がブログで岩の上に出られると記していたのはこういうことだったのかと納得する。さてどうやって岩の上に出ようか。
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(北川の岩場)
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(横から見ると結構オーバーハングしている)
壁の左右に道らしきものがあるが、右側は段差が大きい。一方左側は傾斜が緩そうだ。取り付いてみると倒木が邪魔をするが、なんとか潜っていくと木が生えた岩の上に出る。先端は岩が露出し、秋葉大権現と彫られた石碑が安置されている。石碑の前は露岩の展望地となっていて、手前に天久保山から北西へ延びる尾根がツートンに色分けされた大津津路山にまで続いているのが見える。その尾根の奥には正丸山辺りが山頂部を覗かせている。良い眺めだが、枝が外に張り出して背中を押される形になり、落ちそうで怖い。岩場からは山頂へ向かって明瞭な踏み跡が延びる。山頂といってもほんの少しの高まりでしかなく、数分もかからずに秋葉山(あきばやま)の頂上に着く。なお池田和峰氏のブログによると地形図の標高点460m峰を秋葉山とする見解もあるという。確かにここは山頂というよりは尾根の高まりという雰囲気でしかない。
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(岩場の左から登る)
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(秋葉大権現の碑)
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(石碑前の岩場からの眺め)
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(岩場上の石碑の後ろにはもう一つの石碑がある こちらも秋葉権現と彫られていたようだ)
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(秋葉山の頂上)
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(秋葉山周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
北川尾根を末端まで登る
秋葉山の山頂からは北川の岩場方面以外に南北に踏み跡がある。北へ向かうのはカンナタテへと続く尾根道だが、南側はどこへ出るのか定かではない。池田和峰氏のブログによると「街路灯0182からの」ルートであるらしい。暑くなったので裏地付きのジャケットを脱ぐ。北の尾根を辿るルートに入ると常緑の低木の枝に行く手を阻まれる。人が通れる幅の切り開きがあるものの、一般のハイキングルートに比べると歩きにくい。終始杉檜の林に覆われた尾根なので、見通しはそれほど利かないものの、踏み跡自体ははっきりとしている。また一定の間隔ごとにピンクテープの目印があるので、不安な人はそれを頼りにしてもよいだろう。やや急な坂を登りきると以降は緩やかなアップダウンが続く。
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(秋葉山頂上から北に延びる尾根 結構藪っぽい)
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(秋葉山との鞍部から急坂を登り終えると緩やかな尾根となる)
400mの計曲線を過ぎ、そろそろ白山神社からの道が合わさる頃だろうと考えていると案の定アセビの枝にピンクテープが巻かれた分岐に着く。基本的に道標が無いルートなので、こういった目印のみが頼りだ。ここより先は一度歩いたことのある道で別段難しい所は無い。若干下生えが煩く感じる所があるのもバリエーション然としていて趣がある。尾根が左に曲がったかと思うと460m峰に着く。先に言及したようにここを秋葉山とする見解もあり、立木に「秋葉山」と書かれた黄色いテープが巻きつけられている。しかしここは北川の岩場の上と違い、秋葉権現所縁のものは何もない。
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(白山神社分岐)
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(460m峰までは緩やかな尾根が続く)
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(460m峰 立木に巻かれたテープには秋葉山と書かれている)
460m峰で尾根は右に折れる。平坦な尾根を進むと地表がクマザサ(隈笹)に覆われる。クマザサは山におけるササ類の総称として使われることもあるので、スズタケなどと混同されることも多い。越冬する際に葉の縁が枯れて白くなるという特徴からここの地表を覆っているのはクマザサで間違いないだろう。低い笹薮なので歩きにくさは無く、むしろ美しい光景ともいえるのだが、以前訪れた時よりも勢いがなくなっているようにも感じられる。笹藪が終わり、やや急な坂を登るとオバケ山の頂上に出る。切り株がポツンとあるだけの檜に覆われた山頂は意外に明るく、名前の由来となったオバケが出そうな鬱蒼とした雰囲気はない。
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(クマザサに覆われた道)
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(こんな具合に葉の外側が白く枯れてくる)
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(急坂が見えてくるとオバケ山は近い)
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(オバケ山)
オバケ山を過ぎ、前坂峠に近づくと椛などの落葉広葉樹も増えてくる。今年は11月が暖かかったせいもあり、まだ赤や黄色の葉を残している木も多い。望外の紅葉に足を止めて楽しむ。町屋敷集落への分岐の手前におかね様と呼ばれる祠の跡がある。現在は平たい石で組まれているだけだが、立てている石にはどうやら文字が彫られていたようだ。倒木で塞がれた町屋敷分岐を過ぎ、地形図上で尾根が広くなる辺りから東側斜面を横切るように進む。ここは前坂峠の峠道に当たるのだが、斜面が崩れて踏み跡は途切れがちだ。右手に平場が見えてくると大日如来の石碑に庚申塔と弘法大師像が置かれた前坂峠に着く。今年の4月にも訪れた所なので記憶に新しい。
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(杉檜の踏み跡明瞭な尾根 如何にも奥武蔵といった雰囲気)
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(尾根が右に曲がる辺りから落葉樹が目立ってくる 12月なのにまだ紅葉が見頃)
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(おかね様と思われる祠 立ててある平たい石には文字が彫られているように見える)
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(町屋敷分岐 峠道だが倒木が多い)
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(峠へのトラバース手前の落葉樹林 ここも紅葉が見頃)
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(前坂峠へ向かってトラバース道を進む 状態の良い所悪い所の差が大きい)
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(前坂峠の石仏)
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(弘法大師像だと思われる 造作が結構細かい)
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(峠の前には平場がある かつて茶屋があったらしいがその跡だろうか)
前坂峠からは636m峰に向かって九十九折に登っていく。古い地形図には道が載っていないので、昭和のハイキングブームの頃に作られた道なのかもしれない。道は636m峰を巻いて尾根に出るので、山頂へ寄り道すると見事に何もない。山頂を示すものもない代わりに倒木や落枝も全くないので、グループで休憩するには良い所だろう。636m峰からは地形図を見てもわかるようにフラットな広い尾根が延びるが、倒木だらけで踏み跡がない。北川尾根の中では一番状態が酷い所だ。倒木帯が終わると最大の難所である岩場の急坂に差し掛かる。順路は律儀に岩場を直登していくのだが、左にも明瞭なトラバース道がある。トラバース道を進むと西へ舌状に出た尾根にぶつかる。その先は尾根を下っていくようなので、この舌状尾根を登っていくしかなさそうだ。途中は緩やかだが、北川尾根の主稜線に合流する地点まではかなりの急坂である。これなら先ほどの岩場を直登したほうが楽だろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/96/e9495f2ed127a523b387b6a2182428dc.jpg)
(峠から九十九折に登る)
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(636m峰の頂上 ここだけ何故か綺麗)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/e8/81f95cddc3048f69d7c1a1e6037aee30.jpg)
(倒木や下草が煩くて踏み跡が見えない)
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(急坂の岩場 岩場を直登したほうが楽だが左の道を登った)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/a9/b9c3c88d3ac2b1979d1e51b2f83caad7.jpg)
(左の道はこんな具合のトラバース道)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/ca/ae985b8392f7366aadd535931361b9d6.jpg)
(結局急斜面の尾根を登る必要がある)
主稜線に合流した後はしばらくフラットな道となる。前方に奥武蔵グリーンラインの通る長大な尾根が見えてくると急斜面をトラバースしながら登っていく。カーブミラーが立つ所でグリーンラインの舗装路に出る。5年前はこのまま関八州見晴台へ行ってしまったが、今日は更に北川尾根の頂点に当たるカンナタテを目指す。舗装路を東に進むと道標があり、そこから山道に入る。ハイキングルートは山頂を北に巻くので、道を外れて木々の間を登るとカンナタテの山頂に着く。昨年秋に訪れた所なので、ここも記憶に新しい。
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(グリーンラインに出る手前も急斜面だがトラバースしながら登るので歩きやすい)
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(カンナタテの山頂 何も無く地味な所)
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(前坂峠周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
関八州見晴台から梨本峠越え
往路を戻り、しばらくはグリーンラインを東に進む。高山不動と関八州見晴台を別々に示す道標が立つ所から尾根に上がる。この辺りは落葉樹が多いのだが、流石に色の付いた葉は残っていない。アンテナの立つ建物を過ぎて檜の並木を抜けると関八州見晴台(高山不動尊奥の院)に着く。北川尾根を歩いている時は全く会わなかった登山者が沢山居て、ベンチを確保するにも一苦労だ。ここの展望の良さは「奥武蔵の展望スポット」に紹介したとおりで、枝が伸びてしまった武甲山方面も冬枯れの時期なら多少山頂部を拝むことができる。案内板を見ると11月に登った大平山も見えるという。肉眼で確認すると確かに三ツドッケから右へ行った所に平たい山頂の大平山がある。来年以降は浦山地区の山も徐々に歩いていきたいところだ。時間は10時半前だが、久しぶりにカップラーメンを作って昼食とする。
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(グリーンラインには武甲山・二子山・両神山が見える所もある)
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(関八州見晴台へ向かって落葉樹林を進む 別荘地になっているらしい)
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(関八州見晴台から西側の眺め 右端に武甲山が見えているのが嬉しい)
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(南側の眺め 大高山や越上山が顕著)
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(久しぶりに富士山が見えた)
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(山頂の案内板によるとこんな感じの配置だという)
関八州見晴台からは高山不動を経て大窪集落への道を下ることにする。当初は傘杉峠を経て善兵衛谷林道を下るつもりだったのだが、昼食を取っているうちに面倒になってしまったのだ。山頂付近の紅葉を眺めながら下るうちにもどんどん人は登って来る。マスクを着けている人は誰もおらず、新型コロナウイルスの感染はすっかり収束した印象だ。グリーンラインを横切った先の丸山ではまだ紅葉が盛りで十分に楽しめる。丸山を越えると以前は不動茶屋方面と廃屋の左脇に出る道が分かれていたが、現在は不動茶屋方面が通行止めとなっている。廃屋脇へ下りて不動茶屋へ回り込むとかつての入口はアンテナ施設のために立入禁止となっていた。
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(丸山周辺は紅葉がまだ見頃)
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(かつて茶屋だったであろう廃屋らしき建物の前にも椛が色づく)
不動茶屋跡で富士山の眺めを楽しみつつ高山不動へと下る。途中椛が黄色と赤のグラデーションに染まっているのが見える。これは不動堂脇の椛も期待できそうだ。東屋へ下ってくると期待通り不動堂脇の椛も紅葉の盛りを迎えている。不動堂の赤い屋根と椛の葉の黄から赤へと移り変わるグラデーションが上手い具合にマッチしている。後からやって来る登山者もこの紅葉の美しさに皆足を止めていた。トイレの前から回り込んで石段下の広場に下りてくる。ここには椛と銀杏の大木があるが、どちらも紅葉の見頃は終わっていた。
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(不動茶屋跡からの眺め)
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(高山不動の不動堂へ下りる途中にある椛がちょうど色づいていた)
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(不動堂の椛)
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(大イチョウ)
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(大イチョウはすでに見頃を過ぎていた)
旧高山小学校の建物脇を抜けて嶽ノ越を目指す。嶽ノ越は今年も既に一度訪れていて、高山不動周辺のスポットとしてはすっかりお馴染みのものとなった。暗い杉林を進むと八徳への道と志田・大窪への道が分かれる嶽ノ越に着く。志田・大窪への道は良く整備された尾根を行く。そういえば昨年11月にこの道を下った時、三ツ平の辺りに伐採作業が入っていたのを思い出す。三ツ平へ上がってみようか。鞍部から登り返した所が三ツ平であり、昨年と同じように工事用のコーンが置いてある。尾根を上がっていくと三ツ平の北端に出る。ここから尾根伝いに行ってみようとすると尾根が下から上がってきた林道によって寸断されている。なるほど伐採作業に注意しろとはこのことか。林道を下っていくと立入禁止を示す柵が置かれ、三ツ平を巻く従来のハイキングコースのみ通れるようになっている。
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(旧高山小学校脇を通ると展望が得られる)
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(嶽ノ越 すっかりお馴染みの場所となった)
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(三ツ平との鞍部までは歩きやすい道が続く)
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(三ツ平北端 伐採作業中なので上がらないほうが無難)
林道建設によって大きく抉られた尾根を越えた所がエゴ辻だが、瀬尾へ下りる道はますますわかりづらくなった。大窪・志田へのルートで唯一危険なトラバースを過ぎ、志田近道を見送ると歩きやすい九十九折が続く。急ぎでない限りは近道よりもこちらの九十九折のほうが歩きやすくて楽だ。沢沿いを行くようになると志田近道と合流する。桟橋を渡れば明るい柿の木坂の家に着く。昼食の際にジャケットを着こんだのだが、暑いのでここのベンチで再びジャケットを脱ぐ。柿の木坂の家から下るとすぐにわたど橋で、その先は舗装路となる。舗装路を下っていると西に民家がある。見上げるような高さの所に建物があり、今は使われていないようだ。そういえばこの民家の裏手に大窪への道が通っていたことを思い出す。如何に道路沿いに家があるとはいえ、斜面を登らなければ辿り着けないようでは住み続けるのは難しいのだろう。
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(林道建設で大きく尾根が抉られている 小さなギャップに登山道が延びている)
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(大窪へのルート この先危険なトラバースがある)
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(志田近道を見送ると歩きやすい九十九折が続く)
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(左から志田近道が合流)
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(柿の木坂の家)
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(右に見えるのがわたど橋 左に下るとすぐに舗装路となる)
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(暗い舗装路を進む 夏は涼しそう)
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(民家があるが使われていない雰囲気 なおこの上に大窪への道が通っている)
民家も無くなり、志田川沿いを下っていくと長沢川沿いの道路に合流する。交差点に出ると向かいの擁壁に金属製の階段が取り付けられ、梨本峠を示す道標がある。ネットで見慣れた階段ではあったが、まさか交差点から見える所にあるとは思わなかった。階段を上がるとやや急な傾斜の九十九折が続く。大窪峠や三社峠に比べると如何にも峠道といった感じがする。道が東へ曲がる所に道標が立つ。なんでわざわざ道標など設けているのだろうと思っていると大窪(道標には大久保)への道が分岐している。この時は大窪への道がどう通じているかわからなかったのだが、奥武蔵登山詳細図によると先ほどの登り口より西にもう一つ入口があるという。それにしてもこの尾根は峠道が多い。細い尾根を挟んで集落が点在しているから当然と見る向きもあるかもしれないが、例えば天久保山から三田久保峠までの間で尾根を越す峠道が現存しているのは三田久保峠だけだ。中尾山から三社峠までの間のほうが標高は低いとはいえ、短い距離に三つもの峠道を拵えるのはやはり不思議な感じがする。事実古い地形図にはどの峠道も描かれておらず、三社峠と大窪峠の間に峠道が描かれているだけだ。かつては峠道が一本しかなかったのか、それとも既にそれぞれ峠道があり、簡略化して一本の峠道として描かれていたのかは定かではない。
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(右の階段を登ると梨本峠に出る なお奥に見える交差点の左からやって来た)
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(梨本峠へ続く九十九折 結構急な道)
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(大窪への道が右に分岐している 梨本峠へは左に入る)
東へのトラバース道を登っていくと尾根へ上がる手前の踏み跡がかなり薄い。斜めに歩く形なので下りに使うのはちょっと避けたい感じがする。尾根に出た所には道標が転がっているが、梨本へ下る道は無い。以前中尾山を歩いた際に峠道が離れていた記憶がある。尾根を東へ進むと立派な道標が立ち、梨本への道が下っている。尾根の東端にある中尾山は一般的な登山対象となっておらず、尾根伝いに歩く人よりは峠越えを目的とする人が多いことを窺わせる。梨本への道に入ると最初は九十九折だが、途中から尾根の右側を下っていくようになる。大窪側に比べると典型的な峠道とは形が異なるようだ。木の間越しに麓の民家が見えるようになると九十九折に梨本の集落に出る。入口に道標が立つものの、梨本側から峠を目指すとわかりにくそうだ。
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(梨本峠手前のトラバース道 ここは踏み跡薄くかなり危なっかしい)
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(尾根に出た 右に下るのが大窪方面への道)
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(梨本と大窪を繋ぐ部分に当たるのでここも峠の一部といえよう)
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(梨本峠 右に下ると梨本に出られる)
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(梨本へは急な尾根を下っていく)
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(梨本集落)
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(この道標が頼り)
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(梨本峠周辺図 出典:国土地理院発行2.5万分1地形図 地理院タイルに文字等を追記して掲載)
西武秩父線のガードを潜り、住宅街を抜けて国道に出る。後は吾野駅を目指すのみ。5分ほど歩くと東郷公園に通ずる橋に差し掛かる。橋を渡って線路沿いを行ったほうが近道だが、今日は更に国道を進む。再びガードを潜ると道路が二手に分かれる。左の広い道がバイパスで右の道は吾野宿を抜ける道だ。どちらも国道299号として指定されているが、吾野宿を抜ける道はスクールゾーンとなっていて、平日はもちろん土休日でも走るクルマはほとんどない。唯一頻繁に行き交うのは吾野鉱業所で鉱石を積むダンプカーだけだ。吾野鉱業所への道を分けると踏切が見えてくる。10月に歩いた時は近道となる線路沿いの道を見落としたので、今日は確りと近道に入る。民家脇の道ではあるが、フェンスが設けられ、整備状態は良い。法光寺の脇に出れば吾野駅の駅前広場は目の前だ。無事駅に着いた。ホームに上がり、次の電車を調べると少し時間的な余裕がある。家から持ってきたミカンを食べつつ、今年最後の山歩きの余韻を楽しむのだった。
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(西武線のガードを潜る 国道から来たときはこのガードを目指そう)
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(橋向うには東郷公園と秩父御嶽神社がある)
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(再びガードを潜る)
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(国道が分かれる 手前の道は吾野宿へ入る)
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(民家や会社などがあるがクルマはほとんど通らない)
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(踏切横を入ると民家脇を通っていく 吾野駅はもうすぐ)
DATA:
西吾野駅7:06→7:38秋葉神社(中組自治会館)7:45→7:54北川の岩場→8:10秋葉山→8:39 460m峰→8:54オバケ山→9:07おかね様→9:19前坂峠(お大師)→10:04カンナタテ→10:21関八州見晴台10:52→11:10高山不動11:19→11:27嶽ノ越→11:52柿の木坂の家→11:56わたど橋→12:16梨本峠→12:24梨本集落→12:47吾野駅
地形図 正丸峠 原市場
トイレ 高山不動
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~西吾野 377円 吾野~小手指 377円
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平成28年3月21日 北川尾根から中尾山
平成30年2月17日 柏木尾根から六万部塚を経て弓立山(北川の岩場について記述あり)
2020年11月15日 虚空蔵峠の峠道を探る 芦ヶ久保駅から西吾野駅
2021年4月3日 前坂峠を越える道 三社から岩井沢
北川尾根はバリエーションルートとしては易しい部類に入ります。心配な人はスケール付きコンパスと地形図あるいは奥武蔵登山詳細図をお持ちください。北川の岩場からのルートがお薦めです。
高山不動から大窪・志田へ下る道は上記の通り三ツ平で伐採作業に入っています。エゴ辻から瀬尾へ下る道がわかりにくくなっているので注意してください。
梨本峠道は一般ルートと看做して問題ありません。大窪側から登るのがわかりやすいでしょう。