たかがなべ、されどなべ

近所のＳ・Ｃのチラシ。
若い世代に絶大な人気の、ホーロー鍋が日替わり特価で出ている。
チラシに拠れば、輸入元希望小売価格が19000円のところを10000円、とある。
いつもならそういうものは、色が限られていたりするが、今回は私がちょっと心惹かれる「ホワイト」があるらしい。
限定30個なので、レッド、オレンジ、ホワイトの各色10個ずつ、ということだろうか。
売り出しは10月1日、土曜日である。
ガッツで早起きすれば、たぶんゲットできるだろう。

見た目は確かに美しいフォルム、料理研究家たちの評判もすこぶる良い。
食卓に、キッチンに置いてあるだけで、まるで雑誌の1ページか、モデルルームのように思えるかもしれない。
だが。
煮込み料理に最適、と言われるが年間に煮込み料理を我家でどれほどするのか。
煮込み料理が美味しいと感じる季節は、年間で半年あるかないか。
カレーは息子の大好物なので、今回売りだされている20センチサイズの鍋で煮込んでも足りないくらいだろう。それにターメリック色はつかないのか心配。
おでんにしたって、練り物が膨れ上がるおでんなら、大きな土鍋でも小さすぎるくらいだ。
ジャムも、作るのはイチゴの出回る春の２～３ヶ月。
それになんといっても重い。
この先、老いさらばえて、ますます力がなくなっていくのに、そんな重い鍋をあっちこっちと動かせるのか。下手に手を滑らせて、足の上にでも落そうものなら、間違いなく寝たきり生活に突入することになりはしないか。
確か、家事評論家（？）の石黒智子さんも自著で、重すぎるのを理由にさっぱりと捨てた（拾いに行きたい、と思ってしまったが・笑）と書いていた。
第一、コトコト煮込むにはフルタイムで働いていては、時間が足りなさ過ぎる。

私が結婚した頃は、ステンレスの多重層鍋が大人気で、結婚のお祝いに私も叔母からもらった。だが、いざ、使って見れば、オイルがいらない、といいつつすき焼きをすれば焦げ付きが激しく、おでんにしても吹き零れがひどくて、レンジ周りがどろどろになる。
おまけに取っ手が小さくて持ちづらく、非常に高温になるので危なくてもちづらい、と
これといって魅力を感じることは少なく、出番は自ずと減ってしまった。
このホーロー鍋も、そういう運命を辿ることになりそうな予感大。

しかし、キッチングッズの撮影に、これがあればそれだけで決まる。
そう、どこかのタグのように。
でもそれだけのために、あの鍋を買うのか。
これが、３０％オフくらいなら惹かれはしないが、なんといっても半額に近い。
そうなのだ。結局その値段に惹かれているのだ、私は。

こうしてまとめてみれば、いかに自分が軽薄に買い物をしようとしているのかがわかるのだけれど、やっぱり悩むな。
あと2日。とくと悩もう。