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ダム再び・・・。下川町【サンルダム建設再開】に際して。。

2012年12月10日 21時03分09秒 | 巨大公共事業

「コンクリートから人へ」の、民主党政権09マニフェストは、どこへ行ってしまったのか。

ダム事業の見直しで、国直轄のダム83か所が見直され、北海道下川町のサンルダムも「建設が凍結」された。

ところが、あれよあれと言う間に、民主党政権は、それまでの自民党政権を彷彿させるかのように、霞が関主導で、国家財政予算を大型公共事業投資として、ダム建設凍結解除を次々と進めてしまった。

このたびの選挙(12.12.16衆議院総選挙)でも、巨大公共事業の復活が一つの争点になっていることは、メディア報道で周知のとおりだ。

国民との合意形成無き【大型公共事業バラマキ国策(酷策)】は、地方の山村社会を疲弊させ、より一層過疎化・高齢化に拍車をかけてきた。国家による【国内植民地政策】だといっても過言ではあるまい。

原子力政策はもとより、ダムや高速・高規格道路・整備新幹線・スーパー林道・空港整備・港湾埋め立て整備などは、いつの時代も地方に【屁理屈と詭弁に糊塗されたバラ色の夢】を振りまきながら津波のようにやって来ては、町を丸ごと呑みこんでゆく。

少なくとも、其処に住む人々みんなが【バラ色の幸せを手にした】・・・という、事例を私は知らない。

地方の過疎地の町並みは、ここ20年余りで、小泉・竹中構造改革路線【市場原理の新自由主義】の大波をかぶり、全国展開する大型ショッピングモールと、全国チェーンのファストフード店・ファミレス店、および全国チェーンのパチンコ店・コンビニチェーンに悉く占領されてしまった。

何処の町に行っても、町の中心部から離れた国道やバイパス沿いに『金太郎飴のような同じ風景』が展開され、本来その町が持っている重要な独自性は、完全に駆逐されてしまっているのが現状だ。

その姿は、もはや【地域の空間細胞の死滅】を意味するのだ。ブヨブヨに肥大した高度資本主義経済の仕組みは、地方の町の有機的な空間を惨殺し、少しのおカネと引き換えに、極めて無機的な空間へと変えていってしまったのだ。

中央集権型から地方分権へ・・・。というセリフが虚しく空を切る。

話しをダムに戻そう。

巨大なダム事業は、山村の「血管」とも言える大切な河川を、「川の血栓」のような『ダム』によって死に至らしめ、住民はもとより地域の文化を封じ込め、河川流域の生態系を根本からズタズタにする。

私は東京在住時代に、自民党政権が行った、『長良川河口堰』『吉野川堰堤』『相模大堰』そして『二風谷ダム』事業に対し、大きな疑問を抱いた。そして、それらの市民活動に加わった。

ちょうどその頃、アメリカの開墾局の「ダニエル・P・ビアード総裁」は、重大な発表をしたのである。

『アメリカは、すでにダム建設の時代は終わった』・・・と。

ビアード開墾局総裁は、ダムによるデメリットを上げ、それよりも守るべき有益なものがあると語ったのである。

『これからの時代は、生態系をいかにして健全な状態に保ち、人類が綿々と培ってきた文化的側面に高い評価を付けて、それらをどう未来へ紡いでいくか・・・という方向に価値観が必ずシフトする。そのためにも、環境負荷の高いダム建設は不要になる』、と。

以下、アメリカ開墾局 ダニエル・P・ビアード総裁の見解を、引用転載する。。。

~~~~~引用転載 はじまり~~~~~~~~~~~~

ダニエル・P・ビアード

元アメリカ開墾局総裁 2003年12月

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 2004年は、日本の河川管理政策に重要な変化をもたらす年となるであろう。

 

 1995年に私は始めて日本の地を訪れ、当時アメリカで起こっていた河川管理の変化について議論した。その頃、私は世界で最も重要なダム建設機関の一つであるアメリカ開墾局の総裁を務めていた。

 

  私は当時のスピーチの中で「アメリカのダム建設の時代は今や終わった。」と述べた。

ダム推進派はすでに大規模ダムの建設に対して市民や政治的支援を得られなくなっていたのだ。そして私はその時にダム建設の時代が終わり、維持可能な河川管理と河川再生を原則的指針とする時代がゆっくりではあるが到来するとも述べた。

 

  私のこのような声明は、日本や世界のどこにおいても多くのダム建設推進者にとってはショックや落胆を招いたようである。批評家達は私のコメントを単なる私評であり、今後のトレンド示しているものではないと批判した。

 

  ところが1995年以降の展開はこのような批評家達が間違っていた事を立証することになった。アメリカ合衆国では新たなダム建設事業のための資金調達は消え失せてしまった。

共和党政権下の議会、ブッシュ大統領ですらこのトレンドは変えなかった。世界ダム委員会が設立され、2000年には「大型ダムプロジェクトには技術的、財政的、経済的な面で大きな欠落点がある。」と報告している。彼らの報告書は世界中の大型ダム計画に反対する者達を強く反映しているのである。

 

そしてアメリカ合衆国においては、河川管理における新たなトレンドが現れつつある。

我々は河川の破壊ではなく、河川再生の時代に突入しつつあるのである。

 

  今や、我々はダムやその他の構造体が根本的には川やその周辺に暮らす人々を変えてしまうことを知っている。ダムは役には立ってきたが、「あまりにも多くのケースにおいて、ダムの便益を確保するために受け入れられない、不必要な代償が支払われてきた。」とする

ダム委員会の見解に私は同意する。

 

  アメリカでは、川の自然の状態を取り戻すためにダム、運河やその他のコンクリートの建造物がどんんどん取り除かれつつあるのだ。健康な川は重要な生物学的原動力であり、自然の生物学的完全性や地元の地域社会の暮らしにとって非常に重要なものである。

 

  このような方向に移行していくための鍵は、政府機関、NGO、研究者、ダム推進派、そしてダム反対派の間での建設的な対話である。我々皆が一つの部屋に集まり、この問題について議論を始めれば、意見の合意が生まれることが多いのである。そこでは、我々皆が建設的な対話や樹立された協力関係から恩恵を受けることができるのである。

 

  このような対話に参加するのは時にはイライラするときもある一方で、その利益は大きなものである。アメリカ合衆国においては、関係者全てをこのような議論に招くことができた時に、河川再生に向けての実質的な大きな進展を見ることができた。

 

  私は、日本は今その河川管理政策において大きな転換点に差し掛かったと感じている。

いくつかのダム建設計画は延期されたり、中止に追い込まれたりしている。さらには、河川再生が議論されるべき重要な政策問題として受け入れられつつあるのだ。日本は世界においてもダムの代替案を示すリーダーになることができるし、また、そうならなければいけない。

 

  このような昨今の情勢下で重要な新たな展開は「リバー・ポリシー・ネットワーク」の設立である。この組織は日本の川の将来を考えるあらゆる組織の代表を結びつけるために設立されたのである。政府機関、河川環境活動家、研究者や多くの市民が、日本の河川管理の多くの面についての話し合いを本格的に開始するのである。

「リバー・ポリシー・ネットワーク」は、解決に向けて、対立的でない対話のもとで、このような議論を促進していくのである。

 

「リバー・ポリシー・ネットワーク」はそのような議論の幕開けとして、熊本においては2004年3月25日、名古屋では28日に重要な水資源政策に関するシンポジウムを開催する。

私はこの両方のイベントに参加することに合意している。

それは、「リバー・ポリシー・ネットワーク」が政府機関、河川NGO、研究者、そして市民との重要な対話を始めようとしているからだ。この二つのシンポジウムが建設的な対話の時代の到来を告げることになるだろう。

 

2004年が日本の河川管理政策の大きな転換点になることを心から願っている。

 

 

ダニエル・ビアード

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ダニエル・ビアードは30年以上もアメリカ合衆国の水資源政策問題に関わっており、ホワイトハウス、アメリカ下院、アメリカ上院、大手環境NGOに従事してきた。

1993年にはクリントン大統領によりアメリカ開墾局の総裁に任命されている。

現在はアメリカ、バージニア州マクリーン所在の国際的コンサルティングファーム、ブーズ・アレン・ハミルトンにて上級顧問として在籍。

 

~~~~~~~~~引用転載おわり~~~~~~~~

 

一方、日本はどうだったか。

ひとたびダム建設の計画が、国策公共事業として持ち上がると、見直されることも凍結・中止されることはなく、巨大な利権構造を伴って、驀進を続けるのである。

当初の目的が消滅しても、次々と目的を変更してダム建設は続行推進されてきたのである。これは、当時の建設省の『目的変更強行建設』と言われ、建設推進派の金科玉条でもあったのだ。

それは、まさしく、【ダムのためのダム】である。原発利権マフィアと同様に、巨大な土建利権マフィアが存在しているのである。

世界の経済システムが、一部の富裕層によって【経済のための経済】にされた結果行き詰まり、大騒ぎになっている金融崩壊事例と、根っこは同じである。

税金を大量につぎ込む巨大公共事業は、そもそもとして、「一部の人間がオイシイ生活を送るためのカネ儲けが全てである」といっても過言ではない。国交省河川局官僚は、大手ゼネコンとのハネムーンにうつつを抜かせ、退官後は天下る。

これらは総称して、【合法的汚職の構図】と呼ばれており、現在もその悪習は水面下で続いているのである。

そのような、『コンクリートからコンクリートへ』という気流は、安倍自民党が今度の選挙公約で打ち出している【国土強靭化政策】に、ありありと表現されているのだ。政治主導をあっさりと棄てて、官僚主導に舵を切った野田民主党とて同じだろう。

ダム建設が再開されたとて、地方の零細土建事業会社には、それを請け負うだけの体力もなく、小さな下働きの仕事にありつくのだけで精一杯なのが実情だ。そうなれば、大手ゼネコンを親玉とする「ダム建設利権事業共同体」は、当然都会から多くの作業員と、多くの重機を投入して田舎町にやってくる。

商工会会長は、「それらの作業員が町に滞在してくれて、町にカネを落としていってくれる」と、歓迎ムードを漂わせているようだが、私は「そんなにうまくいくわけがない」と感じている。先に述べた「地方に進出著しい全国展開大型店の存在が、隣町名寄市にあるから」である。下川町で唯一潤うとしたら、セイコーマート(道内最大手コンビニチェーン)くらいなものだろう。

そんな、短期的なバブル経済を夢見て、【世界に胸を張って誇れる『サンル川』の環境】を台無しにしてしまって良いわけがない。

ましてや、下川町は、【環境未来都市】の認定を受けている、世界的にも注目度の高い町なのだ。

いまこそダム建設に待ったをかけないと、この豊かな流域環境に恵まれた下川町は、早晩【死滅する町】にランキングされることになるであろう。

私には、「この町が死滅してゆく姿を見届ける義理はない」。と、断言しておく。

 

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