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誰の上にも青い空

実父と義父は要介護、弟は重度精神障害者。息子は小5→中3まで不登校、2024年春から高校生。飼い猫がカウンセラーです。

弟よ7

2020-06-06 06:35:45 | 弟よ(統合失調症)
弟(三男)は

時々しか会わないボク(次男)とは

会話をしてくれた


兄(長男)とは違って

発症する前に仲が良かったからかも知れない

いつも不思議な物語を聞かせてくれた


しかし...

両親への暴力が一層ひどくなったため

ボクは病院へ電話をせざるを得なくなった

実は母親は

弟の暴力を主治医に伝えていなかったのだ


これは親心なのだろうか

最も献身的に面倒をみたのは母だった


電話すると、すぐに入院をすることになった

措置入院というらしい

大暴れし、叫ぶ弟を車に押し込み

病院へ連れて行った


とても暑い夏の日だったのを覚えている


そして

その暑い夏に...母は亡くなった...

弟よ6

2020-06-04 06:33:18 | 弟よ(統合失調症)
弟は好きな時間に

起き、眠り、食べた

親と一緒に食事をすることは無くなった


月日が経つにつれ、社会性を失っていった


毎日近所のコンビニへ行き

食べたいものをお金を払わずに持ち帰っていった

店員さんが注意すると

威嚇するように唸り声をあげたという


このコンビニの店長さんと我が家とは

古くからの付き合いがあったので

持ち出した商品を全てチェックして

1ヵ月分をまとめて精算して

父親が払っていた


風呂へも入らなくなった

親が言っても入らないので

月に1度、ボクが実家に帰省した時に

風呂で弟の体を洗った


まだボクの言うことは聞いてくれた

弟よ5

2020-06-03 06:37:25 | 弟よ(統合失調症)
弟の独り言はエスカレートしていった

妄想・幻聴・幻覚との会話は1日中途切れなかった

時には大爆笑をしていたこともあった


周りの家族の声が聞こえなくなっていった


時々親が

「ご飯食べなさい」

「お風呂入りなさい」

など日常の事でも

強く言うと激怒した


妄想との会話を遮断されると容赦なく暴れた


母親は階段で突き落とされ、手首を骨折した

父親はフォークで頭を刺され、流血した


発症する以前から仲が良くなかった兄は

弟に近づこうとはしなかった


自身の病識が無い弟に、病院へ行くように促すと

「オレは病気じゃない!」

「病院なんて行かない!」

と強く否定した


いつも母親が一人で通院し

主治医に生活状況を説明して

内服薬をもらってきていた


この状態が一年以上続いた

弟よ4

2020-06-01 06:32:52 | 弟よ(統合失調症)
水道工事の自営業をやっていた父親が

引きこもっている弟を

一緒に仕事に連れていくことになった


最初の4,5日は父と一緒に働いたけど

「今日はだるいから」

「今日は疲れているから」と言って

全く働かなり

父親は誘わなくなった


母親は、それなら運転免許を取りなさいと言って

弟を合宿免許に行かせた

だけど一週間後に家に戻ってきてしまった

「同じ宿舎の奴らに金を巻き上げられた」と弟は言った


合宿所へ問い合わせたものの

「ご本人が勝手に帰ってしまったようです」

と返答されただけだった


母親はどうしても運転免許だけはと、もう一度

別の県の合宿免許に行かせたが、やはり一週間後に家に戻ってきた

「みんなにいじめられたから」

この言葉、以前に高校不登校の際にも

言っていた言葉だ


やっと家族は気が付いた


精神科の医師に往診に来てもらった

すぐに統合失調症の診断が着いた


高校や合宿免許での「いじめ」は

統合失調症が作り出す妄想だった


17歳で症状が出てきたのに

医療に結び付くまでに年月がかかり

悪化し過ぎてしまった


精神疾患の知識がないという不幸

家族として、兄として自分が情けなかった

弟よ3

2020-05-31 06:38:34 | 弟よ(統合失調症)
ボクは男3人兄弟の次男

弟は陰気なボクと違って

兄弟の中で

最も陽気で活発な存在だった


実家に帰るたびに弟と会話をした


退学したばかりの頃に比べて

だんだんと会話が現実を超越したものになっていった

「兄ちゃん、あの家の地下には宇宙人の秘密基地があるんだよ」

「非常事態用のUFOが何機も止めてあるんだ」


ボクは弟に

「え~ほんとうかなぁ?」と聞いてみると

真顔で

「え?そんなことも知らないの」

と驚かれた


後になって思えば

幻聴幻覚が起こす出来事は

弟の中では「真実」だったのだろう


家族中が精神疾患の知識がないまま月日が流れていった