「こんにちは。少しだけいいですか?」
そんな風に入って来られた方は、日本人よりも日本語が流暢な外国の女性でした。
ひととおりShopの中を見られて、
「すべてハンドメイドなんですか?」とたずねられたので、
「そうです。オーダーでお創りしています。一部アンティークのドレスもありますが、
アンティークドレスは、フランスの約100年位前のものです。」と
説明すると、とても興味深くひとつひとつのドレスを見られて、
「ビューティフル!素晴らしい!」ととっても気に入って頂きました。
外国の方は、本当に率直に誉めて下さる方が多いので、
嬉しいなと思っていると、
「実は私は、The Japan Timesの記者です。私のコラムを持っていまして、
この根津美術館沿いの道を取材しています。
今、この道がとっても面白いと思っています。
例えば、隣のアダムとイヴ(隣の家の裸像の事です。)は何故一緒にいないのか?
ここは素敵なWeddingドレスShopで、
この店から上の方は、可愛いプリザーブのお花屋さんがあったり、
素敵なインテリアのお店があったりするけど、
ここから下の方に行くと居酒屋さんがあったり、不思議な飲み屋さんがあったり、
とても興味深いのです。
いわゆる、Back street storiesです。」
「少し裏通りにあるお店という事ですね。」と話をすると、
「そうです、そうです。何か面白い話があったら、聞かせて下さい。」
とおっしゃったので、
「大家さんに伺った話によると、昔ここの家からは、原宿から品川まで汽車が
通っているのが見えた。とおっしゃっていました。
品川の港からは出航する船の汽笛の音が聞こえてきた。」と
「そういう話が実は聞きたかったのよね。」
と記者の方はとても喜んで
「もしかしたら、6月20日発売のジャパンタイムズに、こちらのお店のことを
書かせて頂くかもしれません。」と
おっしゃられたので、
「できましたら、掲載されることになったら、ぜひ掲載紙を頂ければ...。」と
お願いはしてあったのですが、大体、外国の方の取材の場合は、
掲載分を送って頂けない事が多かったので、
あまり期待はしていなかったのですが、
先日、その方が「掲載紙」をもって再び、お店に立ち寄って下さいました。
その際に「ここの道は昔、馬車道だったらしいの。
この辺には『こうがい』を創っている職人さんが住んでいたらしい。
あと、この辺りの奥の方には、忍者が沢山いたらしい。
伊賀とか甲賀とかのね。調べたのよ!」と少し興奮気味にお話して下さいました。
昔、むかしのお話なので、真偽の程はわかりませんが、
昔、この辺に住んでおられた方がやはり、同じ「もの創り」をされていたと聞いて、
少し親しみを感じたり、この辺りは、たしかに細い道が複雑に入り組んでいて、
忍者がいてもおかしくないような気配が残っている様な気がします。
そういえば、グレイズから西麻布の方に抜ける細い道は、
今も江戸時代からそのままの道だと、誰かに聞いた事があります。
グレイズにいらっしゃった折りには、そんな、
いにしえの物語も思い出して頂きながら、散策されるのも面白いかもしれません。
それにしても、日本人よりも日本の事を勉強している、
外国の女性に感心致しました。
そして、律儀に掲載紙を持ってきて下さった事にも感謝です。
「律儀」一 日本人がともすれば忘れそうになっている、
そんな言葉も、こんなBack street storiesと共にお届けいたします。
The Japan Times は英文ですが、宜しければ、どうぞご覧になって下さい。
☆The Japan Times "Back street stories" KIT NAGAMURA 掲載紙リンク☆*
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