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戸定邸━其之壱━

2016-11-23 10:25:52 | 古い建物

戸定邸【千葉県松戸市松戸714−1】
設計:不明
竣工年:1884年(明治17)5月
Photo:2016年11月

日曜のこと。
松戸にある戸定邸に行ってきました。

 


戸定邸。
明治時代の徳川家の住まいがほぼ完全に残る唯一の建物です。
建物と庭園を作ったのは徳川昭武。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の弟です。
明治時代になり、昭武は松戸に7万㎡以上の土地を取得し、1884年(明治17)に戸定邸を建設しました。
増築を経て、現在は9棟が廊下で結ばれ、部屋数は23を数えます。
基本的には江戸時代の大名屋敷の系譜上にありながら、徳川家が権力の座を離れたため、生活様式が大きく変化し、規模は著しく縮小しています。最上等の杉材をふんだんに使う一方で装飾を最小限に留めた空間になっています。
戸定邸表座敷棟の南と西には芝生の庭が広がります。昭武が建物との調和に心血を注いだ庭園です。
洋風技法による芝生面は国内現存最古で、樹木の木立を主要景観に取り入れる手法は類例がありません。

 


玄関部分
東側の正面に玄関があり、その左側に内玄関とそれに続く使者の間があり、右側には会計室と執務室がある。この構成は玄関の左に使者の間、右に侍詰所を設ける江戸の大名屋敷の間取りをそのまま受け継いでいる。

 


使者の間
皇室や華族など大切な方からの使者や身分の高い来客のお供の人々は内玄関を入り、この建物に案内されました。ここで用件を伝えたり、主人の用が終わるのを待っていました。
来客が使う部屋の柱は木の中心部を使わない高級なものですが、ここの柱は中心部を使っているため割れやすく、不規則に割れるのを避けるため、外側に面した部分を意図的に割っています。南側の部屋の下段の押入れの床板はケヤキの一枚板で、押入れに使われるのは異例です。
欄間には福を招くとされるコウモリが舞っている。

 


欄間のコウモリ

 


内蔵
住居に接して設けられた耐火建築の蔵で、内部に2階部分があります。
蔵の周りは厚い土壁で正面の扉と壁は白セメントに白榴石、黒色の霞石、石灰を混ぜて塗り、乾く前にブラシでこするという技法で仕上げられています。
扉の下の人造石は普通セメントと寒水石、蛇紋岩を混ぜ、表面を磨き上げる磨き出しという技法で仕上げられています。

戸定邸━其之弐━へ続く

 

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