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世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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一ヶ月が過ぎて

2012-10-06 23:45:13 | tiptap
とうとう10月に入りまして
こちらはなんとなくハロウィンムードが高まっております。
日中は暖かくても夜はとても冷え込むようになりました。
冬は恐ろしい程冷え込むとのことなので怯えております。

さてあっとういまに一月が過ぎて
だいぶやれる事がふえてきました。

学校に授業はまあどうでもいい感じなんですが
色んな方々の協力のおかげでお稽古を見学させて頂いたり
こちらで活躍されてる舞台関係の方にお会いできたり。
それなりに充実した生活を送っております。

今週は4本観ました。

まあ観たら観たぶんだけ自分で脚本をかきたくなります。
演出家になりたいのか脚本家になりたいのかわからなくなりますが
自分には世界をひっくり返すような本が書ける自身がないので
きっと演出家の方が向いている気がします。
世界をひっくり返すような脚本を選ぶ事はできそうなんです。

さてさてつらつらと今週観た物を書き留めておきます。

FIORELLO!

これはNYUの学生の発表会のような公演です。
歌唱コースの学生たちの公演でした。
劇場はけっこう立派でしてNYUの構内にあるサイズ的にはオフの劇場。
この劇場で日本の売れっ子コメディー作家と日本のトップアイドルが
ミュージカルを上演したそうです。

このミュージカルはトニー賞作品賞、ピューリッツアー賞を獲得した作品です。
フィオレロ・H・ラガーディアという実在したニューヨークの市長の半生を描いた作品。

俳優たちは学生さんなんでみんな一生懸命で好感が持てました。
お芝居はおいといてみんな歌唱コースなだけあってそれなりに歌えるようでした。
若々しい学生達の頑張りに比べて演出やらセットがちょいとお粗末でして
それらのスタッフはどうもプロ方々がやっているようで残念。

NYUにはTISCHという芸術学部がありましてそちらの学生たちは本当に
ハイレベルなんですが今回のはまたちょっと違ったSteinhartdという学校の生徒さんでした。
お金と時間があればTISCHに行きたかったんです。

一生手に入れる事はないでしょう。


NEWSIES

TonnyのBest ScoreとBest Choreographyを獲得したディズニー作品。
あのアラン・メンケン作曲とのことでさぞかし
音楽がいいのだろうと思っていましたがちょいと期待はずれ。
少し古くさい感じがしました。まあ時代背景てきにそれも狙いなのかもしれませんが。
とにかく踊り狂う若者という感じですね。
話の内容は映画と似たようなもんですがきちんと恋愛と絡めて
よりミュージカルらしくなっておりました。

僕の耳が悪いからかもしれませんがニューヨークなまりという感じが強く
出ていてちと聞き取りにくい感じでした。きっと時代考証てきにわざとだと思いますが
イギリス英語の方が得意なので苦戦でした。
ああもっと聞き取れるようになりたい。

セットが好みじゃなくてディズニーなのにとちょっとがっかり。
お金がかかっているんだろうけどなんかチープな感じがしちゃいました。
でっかい鉄骨の引き枠が三つ前後に動いて回転する構成舞台。
踊ることを前提にこうなったんだと思うんだけど
もっと作り込んでもらいたかったなあ。

転換やら細かいあらも少しきになるところがありましたが
良い意味で大雑把でアメリカンなエンターテイメントって感じでした。



Peter And The StarCatcher

トニー賞5部門獲得のストレートプレイ。
とは言っても歌あり踊りありの音楽劇。
勝手な感想は井上ひさしと新感線を足して2で割った感じ。
要するに面白かったんです。

実はこの作品OFFの時代から目をつけておりました。
NewYorkTheatreWorkShopで製作されたこの作品。
去年NYに来た時に寸での差でOFFのがCLOSEしてしまい
見逃してしまっていたのです。

モチーフがとってもいいし夢が沢山詰まっていて
ほろりとできて何より最初から最後まで大爆笑。
おもちゃ箱をひっくり返したようにごちゃごちゃしてて
くだらなくて馬鹿馬鹿しい。

セットも音楽も脚本もとっても好みの作品。

いわゆる小劇場ののりなんだけど
細かい演出が行き届いていてかつ俳優それぞれの個性がしっかりでてる。
ふれこみ通り一人何役もこなしてそれぞれのキャラクターでしっかり
笑いをとっていく。俳優のレベルもまあ高い事。
本当にあっという間に終わってしまいました。

ああこんな作品が書きたいなあ。久しぶりにそう思う作品に出会いましたね。

僕の場合はこんな脚本は書けないから結局稽古場で作って行くしかないんでしょうけど
もしこの脚本を稽古する前にこの上演状態で書き上げていたのなら
本当に書いた人は天才だと思います。
Jersey Boys と The Addams Family の共同脚本家らしいです。

演出もやりたい事が沢山詰まってて羨ましいし嬉しいしで・・・
日本でもやってくれないかなあ。

音楽劇が書きたい!初めて思いました。
その前に今書いてる本を書き上げないとね。



EVITA

この作品を日本で観た事があったかどうかもう定かではないのですが
なんか観た気になってたけどもしかしたら初めてなのかもしれない。
世界のリッキー・マーティンですからお客さんは沢山。
観た回のEVITAは残念ながらELENA ROGERさんではなかったのですが
個人的には充分素敵な女優さんだなと思ってみてました。
SISTER ACTでSister Mary Robert を演ってた方だそうで
通りで観た事あるなあと思った訳です。

なんかこうやってしみじみと観るとなんか
最初から最後までエリザベートとだぶってみえてしまいました。
全然違うんですけどね、なんか作品の構成とか音楽の選び方盛り上がる箇所とか・・・
国も違えば立場も違うんですけどなんか似てるなあと。

作品的には演出には無駄はなく、豪華なセットががっちり世界を作り上げておりました。
本当にでっかい建物を具体的に作り込んだ引き枠がしっかり上下センターと設置されて
それがそれぞれ舞台センターに向かって多少前後するぐらい。
あとは吊りものでみせて行く。家具はほとんど使わない。

セットに関してはなぜかレベッカを思い出しながら観てました。
でっかい建物の引き枠が前後する。
同じ構造でもこうも違うんだなあと。

Rob Ashford の振り付けも隙がなくだるだるさせずに済んでおりました。

作品としてしっかり成立してるんですが
やっぱり音楽がやや古いきがしてしまいますね。
それぞれの曲のキャッチーな部分はいいんですが
ブリッジ部分の台詞レシタティーボ部分などがちょとちぐはぐに聞こえてしまう。
最近のミュージカルはこの台詞レシタティーボ部分が物凄く自然にかつ綿密に書かれているか
割り切って台詞にするかはっきりしているので
それに慣れて来るとちょっと違和感を覚える。

ただ面白いのはこの台詞レシタティーボ部分違和感問題ですが
イギリス系ミュージカルに多いんですね。
レミゼとかサイゴンとかまあ色々ですが
でもどの作品もずーっと聞き込んで行くとこの違和感部分が心地よくなってくる。
なんか癖のある感じがたまらないんです。
ロイドウェーバーの場合はちょっと唐突感があり過ぎて慣れるまで時間がかかりますが
シェーンベルグの場合は流れるように以降するのであんまり気にならない。
この路線が現在の自然に語り歌う方向に近いのかもしれません。
トリッキー音階のロイドウェバーと同音連打のシェーンベルグ。

手前味噌で申し訳ないのですが
CDMLの青年が歌う脚本家を褒める歌(一番の理解者)と
男が歌う結婚式の歌(レースは第三コーナー)は
まあ喋ることをわざと誇張して作ってもらった曲なんです。
作曲家自らお経ソングというようにとにかく言葉を無理矢理詰め込んで作ったので
これらの曲も聞き込んで行くと中毒性があるようで稽古場にいると口ずさんでしまいます。

話を元に戻しますがやっぱり名作と言われるだけあって
素晴らしい作品には違いなと。
そんでもってお金をかけて豪華な俳優を出せばそりゃしっかりとした作品になるなと。


さて長々と書いてきましたが
こんな一週間でした。
明日もお稽古見学。その前に何か観れるかなあ。




ネット復活記念。

2012-09-28 00:51:00 | tiptap
色々あってネットが普通の一週間。

思い起こせば先週の水曜日です。
いきなりタイムワーナー(NYのネット業者)がやってきて
アパートのエントランスを開けろといいます。
インターホン越しの会話であまり意味もわからず
しかも何か頼んでもいないので 何の為に来たんだ?
と問い返した所なんか気分を害したらしく
インターホンを一方的に切られた訳です。

さてそれからしばらくして
階下で管理人とタイムワーナーの奴らしい話し声が
聞こえてきました。まあ管理人にドアでもあけてもらったんだろうと
ほっといたんです。
足音と作業の音だけを残して奴は帰って行きました。

そして気づくとネットとテレビが使えません。

やられた。

管理人に聞くと他の部屋の人が解約したとかで
回線を切りに来た業者だったそうです。
部屋の番号ぐらい確認して切って欲しいですね。

すぐにタイムワーナーに電話しましたが
またややこしい事に電話が全て自動対応でして
いちいち録音してある質問に英語で答えていくやつなんです。
間抜けな日本人が携帯電話に向かってyes とか no とか
答えるわけです。
悔しい事にどうも英語とスペイン語だけは選べるようで
アジア人にはとても意味のないサービスに苛立ちを覚えながらも
なんとか希望の部署につなげてもらい・・・ここに至るまでに10回ほど質問に答えます。

担当の人に事情を説明しても

業者が間違って切ったかどうかはわからない。
とにかく来週の木曜にもう一度人をよこすから待ってろ。

の一点張り。
なくなく一週間のネットなし生活を余儀なくされました。
恐るべしアメリカ。

というわけでやっとネットが復活しました。
ふう~・・・
おかげでDVDの編集に手が付けられなかった訳です。
ちょっと気が遠くなりますがこれから作業です。


さてそうこうしてる間に

憧れの演出家にお会いしたり
こちらで活躍してる日本人の美術家の方に会ったり
などなど色々と本来の渡米の目的に近づいております。
あっという間の一ヶ月でした。

これからが勝負って感じですね。

今週は
Mary Poppins
Bring It On
Cock
を観ました。

Mary Poppins

DisneyとCameron Mackintoshのコラボレーションですから
まあ本当に豪華絢爛でございます。
夢がつまりに詰まった作品でした。
ロンドン発の作品ですから細かく作り込まれてます。
振り付けもMathew Bourne.
本当に子供に観せたい作品ですね。
内容は特になんてことはないですが
エンターテイメントとしてミュージカルとして
きちんと作られている気がして好感を持てました。

小技好きとしてはやっぱり魔法をどう成立させるかってとこに
興味があったわけですが
多少バカ馬鹿しくもあり小洒落てもいて
良い意味で期待を裏切らない感じでした。

気になるのは転換の為の紗幕前芝居がちょっと
多すぎて後半飽きて来るのがもったいない気がしたかなあ。
あとタップのシーンちょっと揃ってないのももったいないなあ。
でもこれもアメリカンな感じがしていいっちゃいいか。




Bring It On

このミュージカルは日本でも公開された
邦題「チアーズ!」という映画を元にしたミュージカルです。
多少ストーリーは違いますがチアリーディング青春ものです。
昔はダンスミュージカル大好き人間でしたが
最近は歌ものドラマ物が好きなもんで基本的には
観ようと思わないジャンルです。
しかし、この作品は観ようと決めてました。

なぜなら作曲がTom Kitt だから。
Tom Kitt はnext to normal という作品で
トニー賞の作曲書をとった人で本当に好きな作曲家なんです。
ひたすら小澤氏に聴いてもらったTon Kitt の新作ミュージカル。
しかも共同作曲と演出・振り付け、作詞がIn the Heightsの3人だと。
こりゃ観るしかないんですよ。

内容はおいといてとりあえず曲が聴きたい。

お話はよくある青春ものでした。
ちょっとこっ恥ずかしいところもありますが
キャストの若さとエネルギーのおかげで
そこまで痛々しくもない感じ。
なによりコメディー感が全面に押し出されていてそれが良かった。
スポ根ドラマをちゃんと揶揄してるところが
ダサくならない要因でしょう。

当然音楽の一曲一曲はいいんですが
やっぱり二人作曲家がいるのはちょっと難ありかも。
全体的な統一感がちょっとないのがもったいないなあ。
ちょっとTom Kitt節を期待し過ぎていたので
少し物足りない気にはなりましたが
それでもそれぞれのシーンごとに観れば
きちんと成立してるしまあ作品としては問題ない。
個人的な音楽の好みの問題ですな。

まあ何と言っても見所はチアダンスです。
まあ本当に大丈夫かと思う程高く飛びます。
振りもしっかり揃ってるし観てて気持ちがいい。
人の上に立って歌うなんて本当に大変でしょうに。
凄いなあと感心しっぱなしでした。

セットは本当に可動式の昇降映像ヴィジョン4枚と
細かい小道具だけ。
たまにでてくるのはロッカーの引き枠ぐらい。
踊り主体ですから空間をなるべく広く使うためのことでしょう。
映像演出は基本的には苦手なんですが
この作品はとても上手に使っていて感心しました。
映像ヴィジョン自体が上下左右に動き角度も変えられるのが
空間を限定してくれるのでよかったです。

あとロッカーの使い方も。
倒したり並べたり・・・
まあ色々ですが少ない物でよくやってるなと。

とにかく若さ溢れる作品でした。
この若さでなんて芝居が上手なんだろうって感心。
元気をもらえましたね。



Cock

こっちに来て初めてのストレート。
オリヴィエ賞をとった作品らしく演出が素晴らしいとのことで
オフの作品ですが観に行く事に。
学割で25ドルなのも財布に優しい。

内容は一人のゲイの男を奪いあうゲイの男とストレートの女の三角関係。
きっと脚本だけよんだらよくできたシットコムなんでしょう。
もう最初から最後まで客席は笑いっぱなし。
まあ言葉の壁がありますから50%程しかわかりませんが
それでも十分楽しい作品でした。

演出はさすがです。

セットは一切なく小道具もありません。
ただ円形の舞台に観客が廻りを囲むように座って
ののしりあう俳優を観る。

タイトルがCockですから。

何もない空間で繰り広げられる会話。

とても演劇的で生々しい。
言葉のわからない私でもシチュエーションが想像できる。
細かなスペーシング、表情、仕草の一つ一つがきちんと整理されていて
とても見やすい作品でした。
その細かな呼吸まで感じられる演劇空間がいいなあ。
本当に舞台の空気を観客と俳優が共有できてるのが素敵でした。

それと演出力もさることながら本当に俳優陣が上手い。
キャラクターとか色物とかそういうんじゃなく
一人の人間の一喜一憂がそこにしっかり見える。
それが観客を引き込んで行く。

出演者4人で90分。

やっぱりイギリス人恐るべし。
もっとストレートが観たくなりました。

演劇的空間って大事ですね。



長々書いちゃいましたが。
そんな一週間でした。

ではまたそのうち書きます!








































吸収の日々

2012-09-16 23:40:42 | tiptap
授業のない週末を利用して色々と
翌週の準備をしておりました。

授業用の脚本を買いに行ったり
慣れない英語の脚本を読んだり
譜面を眺めたりと。
まあそれらしいことはしていますが
言葉がわかればたいしたことはしてません。
英語が自由に使えるようになりたいと思う毎日です。

さてそろそろこっちに来て観た物をつらつら思い出してみようかなと。

ほぼ爆睡してしまった Chaplin はもう一度観てからにしますが
他にも2つの作品を観ました。

一つは RENT。
これは東宝初演版で演出部としてついていたのでとても自分にとって
思い入れのある作品でした。

もう一つは Spiderman。
まあなんでそんな物を観たのかと思ってしまうでしょうが
本来はNewsiesかBring It On のどちらかを観たかったんですが
ちょっとお財布と座席と相談した結果Spidermanになってしまったんです。
まあ一度は観ておこうと思っていたのでいいんですけどね。


RENT

なんだかちょっと残念でした。自然体というのかだらだらというのか
熱量が余感じられなかったんですね。音楽もなんか締まりに欠ける感じで
音圧も感じられずちょっと期待はずれでした。
劇場が小さいことで熱量をもっと感じられるだろうと
思っていたんですがなんかただただ音楽が流れて行くのに
俳優が合わせて行くって感じでした。
もしかしたら俳優がのってなかっただけかもしれませんが
ちょっと精彩さに欠ける感がありました。
ばちっと決まらない感じが狙いならそれはそれで好みじゃなかっただけかもしれません。
セットはより具体的に小技が効いて仕掛けがたくさんでアイディア自体はまあ
それぞれ面白くはあるんですが構成舞台でいちいちこまこまと転換するのが
不必要に感じられる部分もありました。
あとは映像ですね。
映像がやたら説明的にシーンごとに変わるんですが
それも少し安っぽくしているような気がしました。
観客に想像させることが少ないみせ方のわりには
細部が雑というかんじですね。
とはいえやはり作品の持つ力は素晴らしく
脚本と音楽の良さはきちんと伝わってきたので
これはこれで有りなのかなあとも思ったり。
でもやっぱり若者のほとばしる情熱を観たかったんで
ちょっと大人びた作りになっていて残念でした。
元来具体的なセット、具体的な空間作りが好みの自分としては
このくらい具体的なセットにするならもう少し丁寧に作っても
いいんじゃないのではないかと思ったり。
まあ良くも悪くもアメリカ的ではあるんですけど
日本版もおんなじ感じなのかなあ。
ちょっとクリエにはこじんまりとしすぎる気がして
どうなるのか楽しみですね。


Spiderman

今まで色んな作品を観て来て自分が
ランニングスタッフとしてつきたくない作品第一位は
ルドルフでした。
まあ自分が演出助手であったということもありますが
あまりにもギリギリの転換やはらはらする出来事がある本番は
嫌だなあなんて思ってたわけです。
でもこのSpidermanは間違いなくやりたくない作品第一位を塗り替えました。
こんなに観ていて怖い作品はないですね。
とにかく機械仕掛けのフライングが危険すぎる。
何度も俳優が落下したのもうなずけます。
まあこの技術と勇気には感服しますが
あまりにも危ない。そして前後の処理が杜撰。
当然ワイヤーの処理やらなんやらありますからね。
もう劇場の中空に張り巡らされたワイヤーが痛々しい。
いつの日にかワイヤーが見えなくなる
もしくは着脱が見えなくなる日が来るのでしょうか?
まあもちろんコメディーであればその滑稽さも
逆手にとれるんでしょうが
いかんせん真面目に演じてますからちょっと滑稽ですね。
スタッフさんのことを考えると本当に気が気じゃありませんでした。

でもフライングショーだと思ってみれば
本当に素晴らしい出来ですね。
まあPlayBillにもHigh Flying Spectacularと謳われてましたから
Musicalというよりはフライングショーという見解なんだと思います。
すんごいお金のかかったヒーローショウを観に来た感じですね。
脚本自体がそんな内容ですからそういうものだと思ってみた方が
楽しめると思います。

それにセットや衣裳はとても工夫されていて
ポップなもの、飛び出す絵本好きにはたまらない部分もたくさんありました。
本当にアメコミの世界観をそのまま立体化するってことをコンセプトにしてあり
それをいわゆる書き割りを上手くつかってわざと安っぽくかつ立体的に表現してあるのは
観ているだけで楽しい物です。
きっと信じられないぐらいお金がかかっているんでしょうけどね。
個人的にはもっとコメディーに仕立て上げてもらえれば
もっと楽しめた気がします。
変にドラマ仕立てになってしまって
セットや衣裳のポップ感が逆に浮いてしまってもったいなかったです。
もっとくだらない事を真剣にふざけてやる感じが欲しかった。
ジョン・ランドーさんなんかが演出すればよかったのにと思いました。
もっと茶化して茶化して馬鹿馬鹿しくした物がみたかったですね。

あとは音楽・・・
U2は昔から知ってるし嫌いじゃないですけど
やっぱりMusicalをかける人とそうじゃない人がいるんだと思います。
内情は知りませんがあまりにも自分の好みに合わなくてびっくりしました。
同じロックバンド出身でも BON JOVIのデヴィッド・ブライアンの
メンフィスなんか本当にミュージカルとして成立しているのに
不思議ですね。これだけビッグネームだとなかなか曲に対するオーダーも
しにくかったんだろうなあとか色々考えてしまいます。
にしてももうちょっとなんとかならなかったのかなあ。

久しぶりに観たミュージカルでサントラを買わないでいいかと思ったり。

でも本当にお金をかければこんな事も出来るんだって再確認。
いつもこんな事が出来たら面白いのにっておもう事をやってくれて
自分としてはとても楽しい時間ではありました。
遊び心ってとても大切ですからね。
NYだからできることなんだろうなあと思ったり。
こういうおもちゃ箱をひっくり返したような作品は
嫌いじゃありません。むしろ好きな方です。
まあ自分はそこに中身が欲しくなっちゃいますからこうはなりませんが
いつかお金を潤沢に使えるようになった時にこんな
ぐっちゃぐちゃな物を作ってみたいですね。

まあ最近観たのはこんな感じです。
さてまた新たな一週間。
もっともっと色んな事を吸収しなくては。
ではまたそのうち書きます。













 



二週間たって

2012-09-15 10:23:00 | tiptap
なんだかんだで二週間余りが過ぎました。
とりあえず新居にも慣れてなんとなく生活のリズムができてきました。

学生Visaを維持する為に通っている学校はなんだか
街のカルチュアースクールみたいでして
色んな年齢の方が通っています。
内容はさておきこんなに幅広い人たちが
芝居や、歌に興味を持っていることに感心します。

若い留学生(僕の事じゃないです)に混じっておじいちゃんやおばあちゃんが
自分の歌を披露する姿になんだかほっこりしたり。
発声の授業に自分の声を良くしたいとやってくるビジネスマンがいたり。
生活の近い所に芝居や歌があるんだなと。

地下鉄にのってたりするとplaybillを片手に
今日観て来た芝居の感想を語り合う老夫婦がいたり。
「この人は知ってる、この人は知らないけどとってもよかった」
とか言いながら次はいつ行けるかななんて話してる。
別に日本がどうのと言う訳ではないけど
生活の一部になっている感じは良いなあって思う。

とは言えこちらは自由の国といいながらしっかりとした階級社会でして
日本の様に大まかにみんな平等に機会があるってわけでもない。
低賃金労働者、貧困者の生活から抜け出す事はなかなか難しいのだろう。
人種差別的というわけではないがニューヨークの街は不思議で
地域によってはっきりと人種が別れて居住している。

有名なのはハーレムは黒人の街とかね。
因に私が住んでるWoodsideは韓国人とアイルランド人の街らしい。

最近では少しずつ混じっては来ているがこんな小さな街で
地域ごとのイメージがはっきりしている。
ハーレムより上は危ないとかブロンクス、ブルックリンは治安が悪いなどなど。
そこには少なからずそこに住んでいる人種へのイメージがある。
現に犯罪が多い地域ではありますけどね。

まあ東京でも歌舞伎町は危ない、センター街も危険だとかあるんでしょうが
あくまで職業的、世代的区別によるわけです。

人種や階級によって住む場所が違えばそこに生まれる生活、
価値観、文化だって違ってきます。
その狭い世界から抜け出すにはきっと大変な努力が必要なんだと思う。
よくアメリカのドラマとか観てると黒人の親が
子供にはなんとか学校に行ってもらって貧困生活から抜け出して欲しい的な
エピソードを目にします。
本当にそういう話は多いんだろうなって実感する訳です。

だからこそ必死に努力して運と力があればびっくりするような成功も掴める。
しっかり見返りがあるってことですね。

よくこっちに来て言われるのがこの街はチャンスが転がってる。

でもやっぱりチャンスは転がってなくて
チャンスをつかみに行かなきゃ駄目な街なんだろうと思います。
外国人のマイノリティーからすればきっと相当努力が必要。

まずは英語力アップですね。

「人種のるつぼ」とよく言いますが
混ざらないところがニューヨークなんだと思います。

とりあえず始めた一日5ドル生活。

お金を貯めて芝居を見ようと思うのです。

そろそろ観てもいいかなあ。

これだけお金がないと何を観るか?
どんなコンディションで観るか?
凄く悩みますね。
最近日本ではなかなか自分でお金を払って
芝居を観にいかなかったのでチケット代の重みをひしひしと感じます。

そう考えると赤字覚悟だけど5000円以下にチケット代は
したいなあってまた夢のようなことを考えてしまう。
ミュージカルは本当にお金がかかりますが
なんかその線は越えたくないという小劇場根性があるんです。
いつまで借金でしのげるかわかりませんが
いつかロングランが可能になって借金返せる日が来ますように。












新生活

2012-09-09 21:51:39 | tiptap
とうとう部屋が決まって明日には完全引っ越し。
今までイーストハーレム(スパニッシュハーレム?)のゲストハウスに泊まっていた訳ですが
クイーンズのウッドサイドというところにお引っ越しです。
とりあえずワードローブ替わりのトランクの引っ越しは終わり
残すはこのパソコンと自分という状況です。
ゲストハウスはネット完備のため不自由なかったのですが
明日から木曜日まではネットなしの生活。
色々と不便になる事でしょうから今夜中に必要な情報は全てチェックせねばなりません。

なので当分ブログもなしです。
まあ誰も困る事はないですけど。

さてこちらに来てもう早い物で10日が過ぎました。
学校の登録も終わり
部屋も決まり
やっとこさきちんとした生活が始まる訳です。

こちらで一人暮らしをするのは本当にお金がかかるようでして
いやはや外国人の方々の気持ちが少しだけわかった気がします。
基本的に信用をお金で買うところがある国ですから
ソーシャルセキュリティーナンバーを持たない
我々外国人は家賃を先に払わなければなりません。
貸し手によっては通常通りでも一月ごとの支払いでも可能ですが
ほとんどの場合は六ヶ月もしくは一年分前払いというのが現状のようです。
当然もれなく私も払う事になりまして
まあ恐ろしい大金が無くなってしまいました。

家賃もさることながら学校の学費、新しい部屋の家具、
自炊用の調理器具などなどまあ本当に出費がかさみます。
いたしかたないことですがみるみるお金がなくなるのは不安ですね。
収入があるわけではないので。
とにもかくにも観劇にお金を使う為にも食費を切り詰めようと
自炊生活を開始することにしました。
近所のスーパーと部屋を何往復もして一通り器具を揃えたのですが
炊飯器がないので当分はパンかうどんで生活するつもりです。
炊飯器ってこっちで買うとまた高いんだわ。

そんなこんなでやっと落ち着いて来た訳ですが
ここ最近まあ本当に信じられないくらい地下鉄にのるので
その移動の間ずっと読書をしていました。
日本にいるときはあまり移動時間のない生活が多かったので
あまりここ最近読んでなかったからなのか
久しぶりの読書はとても中毒性を持っていたようで
この10日で文庫本を11冊。
一日1冊は読んでたんですね。

そこで気づいたのが自分もいつか小説を書いてみたかった。

脚本はいつも立体化される事を前提に書いているので
突飛な設定であれファンタジーであれ自分なりの
舞台空間における約束事を踏まえて書いています。
だからまあ収まりが良くなる訳です。
逆を言えば制約があるから頭を使えばなんとなく形にする事はできる。
でも小説って別に立体化するわけじゃないし
そんな約束事なんかに縛られてない。
むしろ何もないが故に何の混じりっけもない作者だけの世界。
しかもその世界には外的制約がない訳だから言い訳は通用しない。
どこにも逃げ場のない作者の世界。

そんな世界を生み出せるぐらい
自分に力をつけたいなあと思った次第です。
この一年暇を見つけてちょこちょこ書いてみようと思います。

とは言え留学の目的は演出を勉強する事ですから
もっともっとやる事は沢山あります。
とりあえずそっちの準備にとりかからなくては。

「CDML」をこっちで上演する!っていう目標のためにも活動せねば。
脚本も書かなきゃだし。

やる事盛りだくさんだけど観劇もしたい。
この間観たチャップリンは観直さなきゃだし
RENTの感想も書いてないし。

とりあえずやっとこさ新生活が始まった感じです。
ではまた。