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世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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Are You Lesbian?

2012-11-13 23:53:31 | tiptap
今日のタイトルはかれこれ今から3時間程前にされた質問です。

僕の答えは Yes, I am Lesbian!

真実はどうあれこう答えずにはいられない状況でした。
詳しくはあとで書きます。
実際は完全にストレートな私ですが
ごくごくたまにゲイだと思われることがあります。
ただしゲイの人にはわかるようで
あちらの方々には勘違いされないのですがね。

演劇業界は基本的にゲイの方々が多く
特にNYのミュージカル業界はストレートの男性を見つける方が難しいぐらいです。
もういっその事ゲイになった方が成功するんではないだろうかと思いますが
確実な成功が掴める保証が無い限りなかなかその線は越えられませんね。
まあもっともまったく魅力的な容姿でもなく色気もないためお声もかからない事でしょう。

今週は先週のオン作品の反動で格安なオフ作品にばかりアタックしてみましたが
かなり惨敗でした。オフははずれるとかなりはずれるのでね。



GOLDEN BOY

これは今週唯一のオンのストレート作品。
プレビュー初日に授業を休んで観劇。
お世話になっている日本人の美術家さんが助手をされていて
舞台稽古を覗かせてもらったりもしたのでどうしても
初回が観たかったものです。
同名映画もあるとても古い作品のリバイバルですが
美術の存在感がとても重厚で古さを感じさせず
とても美しい絵が見えて各シーンが始まると引き込まれて行きました。
まだ初回ということもあり転換などはこれからという感じなので
どう変わって行くかに期待です。
とても繊細に丁寧に演出されている感じがしてじっくり観れる作品。
久しぶりの三幕もので疲れましたがオープンしてから見比べてみたいです。
映画も観てみたいなあ。


Through The Yellow Hour

オフのストレート。
劇評でかなり評価が高くちょっとたけ上演期間が延びたので
ぎりぎり楽日に観劇できました。
裸、拳銃、暴力などなど事前に注意が喚起されており
劇場につくとなんだか物騒な雰囲気がぷんぷん。
ぎりぎりまで待たされて会場すると
すでに女性キャストが舞台上に倒れてる。
セットがとても凝ってて廃墟と化したNYのマンションンの一室。
かなり具体的に表現されているので見応えがあった。
以下はNYTimesの劇評。写真が掲載されてるので。

http://theater.nytimes.com/2012/09/28/theater/reviews/adam-rapps-through-the-yellow-hour-at-rattlestick.html

真ん中にはバスタブが置かれていて劇中に何度か入浴シーンがある。
この入浴シーンは由美かおる的なお色気シーンではなく
まあなんというか生々しい汚れた女性の入浴作業が淡々と・・・
開演直後にいきなりおじさんが拳銃で撃ち殺されるし。
モルヒネとの物々交換で手に入れた赤ん坊を
クローン人間生産農場に渡して14歳の男の子をもらうとか。
テロ攻撃にさらされているNYで必死に生きる女性を描いてるんですが
かなりの極限状況を体当たりで演じる女性。とても感心しました。
社会派作品でありSFでありこのような現実的なクオリティーを出せるのは凄い。
作品を好きにはならないけどこの世界観には納得させられた。


The Fantasticks

オフブロードウェイで記録的ロングランを続ける作品。
日本でも亜門さんの演出で何度も上演されてます。
ロングラン作品はあまり観に行かないのですが
たまたま観たい物のチケットが買えずにぷらっと観劇。
まあとても古い作品なので色々と思う所はありますが
長く続くだけはあるコミカルであったかい作品。
ただいかんせん2幕ものとしては内容が薄いかも。
1幕終わりで物語は一段落。
そんで2幕あたまに一悶着。
1幕終わりで物語が一度終わってしまうので
なんだか2幕が余計に感じてしまうのがもったいない。
どう2幕への期待、わくわく感を残して1幕を終えるかが大事かも。
んでもって近頃のミュージカルのテンポに比べると物語の進みが
かなりゆっくりなのでもっと細かく楽しませる色が必要なのかな。
新しく演出を変えられるともっと面白くなりそうなんだけどなあ。



702 Punchlines Pregnant

オフオフのミュージカル。
格安だったのでついつい値段に負けて観に行ってしまった。
作者はジャッキー・メーソンという有名なコメディアンの娘。
娘もコメディエンヌでNYでスタンダップ・コメディアンとして活躍してるらしい。
作曲はその娘の母親。
フロリダの高校の英語の先生で毎週日曜日の本番のために飛行機で駆けつけているそうだ。
もともとこの親子はジャッキー・メーソン氏に認知されず裁判で争った経験があり
DNA鑑定の結果認知されて養育費を勝ち取ったとのこと。
父親と母親が出会って、妊娠して、わかれて、認知されて今に至るまでを描いたこの作品。
劇場は本当にスタンダップ・コメディーの会場。
内容は・・・
ミュージカルというかヴォードヴィルですね。
俳優達も別に魅力的ではなく主人公である母親の役を作者の娘が演じるわけで
なんというか家族で頑張ってる感じがしてちょっとなあ。
つまらなかったので1幕で出て来ました。
たまにはそういうこともあります。
客席はおじいちゃんおばあちゃんばっかり。
ちょっと場違いなところにきてしまったわけです。



5 Lesbians Eating a Quiche

最初の質問はこの作品を観に行って質問されました。
1950年代のあるアメリカの田舎街を舞台に
ウーマンリブの走りのような男性に頼らない、肉を食べない女性の組織。
参加者全員によるキッシュのコンテストが行われ結果を待つ面々。
観客は開場するとそれぞれ女性の名前の書かれたシールを貼られる。
観客もその組織の一員という設定。
個性的な5人の女性がキッシュについてああだこうだ言って
客いじりもありながらコンテストの結果が出るのだが
突然警報がなり大きな爆発音が。
この会場は有志によって当時深刻化していた冷戦ムードの中
核爆弾の脅威から女性を守る為のシェルターとして改造されていて
まさにその時核爆弾が投下されてしまったのだと。
むちゃくちゃな設定でキャラクターも濃すぎる5人。
ある意味コントを観ているような感じ。
結局シェルターの中に4年程いなければならないとかで
外の男どもはもう死んでしまったから
自分たちがレズビアンだと告白する面々。
一人自分は違うといいはるリーダーを納得させる為に
ここにいるみんなもレズビアンよ!っていいながら
客席を練り歩き上記の質問を投げかけるのです。
客席とキャストの視線が集まる中ですから
物語の流れ上そう答えるしか無いでしょう。
そんでこのシェルターには4年間は生活できる食料はあるが
キッシュを作る為の肝心の玉子を生むにわとりを用意するのを
忘れてしまったと悲嘆にくれる。
キッシュが食べれないなら死んでしまう!ってな感じ。
なぜか妊娠していることを告白するリーダーはキッシュが食べれないと
お腹の子供が死んでしまうと嘆く。
お腹の子供は禁じられた肉を食べてしまったから男の子に違いない。
んでもって子孫を残す為の種馬を死なせてはならないと頭を抱える面々。
意味不明であるがひょんなことからお腹の子が自分の兄弟だとわかった一人が
未来の為にシェルターの外に残された落選したキッシュをとりに決死の覚悟で挑む。
なんとかキッシュを回収できるが仲間の不注意で
一人シェルターの外に取り残され悲痛な最後を遂げてしまう。
馬鹿馬鹿しくてくだらないんだけどあきれないほどよさ。
こういう作品が上演されて劇評がしっかり出るというのが
文化の懐の深さなんだろうなあ。
この作品はかなり評判のいい劇評ばかりでした。
なかなか面白かったなあ。


うーん。オフでストレートばかりみるとかなり頭を使います。
ちょっと今週は言葉の壁ばかりで疲れてしまいましたが
来週からはオフでミュージカルのオープンラッシュなんで
楽しみです。ちょっとリフレッシュできるかな。



















4年に1度と100年に1度

2012-11-08 13:32:27 | tiptap
今週は選挙一色の週でした。
100年に一度のハリケーンが落ち着く間もなく大統領選挙。
個人的にはオバマ氏が再選してくれてとても嬉しい限りです。
大統領選は4年に一度なんで運がいいのだが悪いのだか体験できてよかった。

1000年に一度の大地震、100年に一度のハリケーン、4年に一度の大統領選。

人間の人生は100年にも満たないなかいろんな出来事に遭遇しますが
それぞれの人生は140億年に一度のことなんで
どんなことよりも奇跡に近い気がしてありがたく生きなくちゃと思います。

今週から学校も始まり普通の生活に戻りつつありますが
やはり被災した知人達も多く雪の降る寒さの中
シェルター生活を余儀なくされてる方々はさぞ大変だと思います。

どうやら最寄りの電車7ラインは雪に弱いらしく結構冬は面倒らしいです。

まあそんななか今週は

WICKED
SON of a GUN
NICE WORK IF YOU CAN GET IT
BEDBUGS the MUSICAL
GLENGARRY GLEN ROSS
A CHRISTMAS STORY
 
の6本。

WICKED

実はこの作品CDはもうオープンしてすぐに買ってずっと聴いてたんだけど
観た事無かったんです。
なんとなく評価されてる物を観るのに抵抗があるタイプなもんで
絶対良い作品だろうとわかっていても
どうせ観るなら誰もまだ観てないものが観たいと思っていつも
後回しになってたんです。
しかも日本ではなんとなく観る気になれず、んでもってこっちだと
かなり事前に予約しない限りなかなかチケット取れないもんで
ぷらっとは観れないのでね。
まあそんなこともありハリケーンのおかげでチケットが取れて観劇。

まあ本当によくできた作品ですな。
音楽が素晴らしい。
セットも豪華で夢が沢山。
ストーリーはやや荒削りだし筋が通らないところもあるけど
とりあえず夢の国の話なんでまあよしとできるからいいかと。

ただ劇場がでかすぎてやや音響がよくないなあ。
CDで聴き慣れてるせいかかなり音に迫力がない感じがしちゃいました。
んでもってまあロングラン作品なんで劣化もあるのでしょう。
1幕は本当によくできてる。
2幕はちょっとだれちゃいますね。

日本版を観てないので何とも言えませんが
どうやってたんだろうと疑問です。
どうイメージしてもグリンダのキャラクターを
日本人が日本語で演じるとあんなに面白くできる気がしなくて。
魅力的なコメディエンヌにやって欲しいですね。
あとフィエロもあんなに踊れる俳優がいたのかなあ?
いつか再演があるなら観てみたいなあ。



Son of a Gun

フォークカントリーのファミリーバンドの父と息子を描いた作品。
これまた出演者で全て演奏してしまう感じのオフミュージカル作品。
音楽は悪くないんだけどね。
舞台上にドラムやらピアノやらギターやらが沢山あって
入れ替わり立ち代わり俳優が演奏しながらの進行。
コンセプトも演奏も悪くないんだけど
まあプレビュー二日目のせいか
かなりお粗末なできでした。
照明のミス、音響のミス、俳優達の楽器トラブルなどなど
ちょっとストーリーもぽかんとするところがあったり。
死んだ父親と酔っぱらった息子が夢の中で銃で決闘をするというシーンが
見せ場のようなんだけどなんだかとても陳腐にみえてしまった。
ハリケーンのおかげでプレビューが一日遅れたりしてるので
きっと稽古が足りてないのでしょう。
もうちょっと精査して欲張らずに精査すればもっとまとまるのかな。
個人的には詰め込みすぎと言われるタイプなので
とても気持ちはわかるんだけどなあ。
狂言回し的な「カウボーイジーザス」と呼ばれるなぞの人物がちょっと
恥ずかしいぐらいいらない役なもんでそれも原因なのかな。
もっと俳優がこなれて来たら見応えあるかも。


Nice Work If You Can Get It

ガーシュインの音楽を使った新作ミュージーカル。
元になった作品はあるみたいなんですが
大幅にリライトしてあるようです。
マシュー・ブロデリックとケリー・オハラのスター共演。
王道ミュージカル職人のキャスリン・マーシャル演出。
脚本がとても好きな脚本家のジョー・ディピエトロなんですよね。
The Toxic AvengerとかMemphisとか書いた人です。
とはいえあんまり興味が湧かず観るつもりもなかったのですが
お目当て作品がハリケーンのおかげで延期のためぷらりと観る事に。
学割でかなり後ろの席だったんですが
客席ががらがらで客電アウトと同時にフロントメザニンに移動。
35ドルで帝劇S席って感じですかね。
昔好きだったMGMのあの古き良きミュージカルを彷彿させる良い作品でした。
ほとんどがショウナンバーでストーリーもそこまで込み入ってないので
ただただ楽しい時間が過ぎるだけです。
びっくりしたのが同じガーシュインの曲で
歌詞やシチュエーションが違うからなんだか違和感。
クレイジーフォーユーで聴き込んだ曲達が・・・
不思議な感じです。こんなこともありなんだなあと。
スターが観れて豪華なショーでコメディーで。
ブロードウェイらしい作品。


BED BUGS the Musical!

これは本当に面白かった。
たまたまSon of a Gunで隣に座ったゲイのカップルに教えてもらった作品。
目は付けてたんだけどoffoff作品だしいいかと思ってたんだけど
観れてよかった!ぎりぎり千秋楽でした。
家ダニに母親を殺された主人公が大人になってダニ駆除業者として復讐をするんだけど
逆に家ダニを人の大きさに突然変異させてしまい
女神として家ダニ達に誘拐されて家ダニと結ばれる。
んでもって家ダニ達がNYを壊滅させようとするからなんとか
家ダニ達をやってようとするって話。
設定からしてとっても好みなんですよ。
そんで音楽がまあばりばりのハードロック。
Rock of Agesをオリジナル楽曲でやる感じ。
のりはロッキー・ホラーショウとリトルショップ・オブホラーズと
新感線をたして三つで割った感じです。
くだらないんだけど恐ろしく歌がうまくて楽しかった。
ディオーン・セリーヌっていうキャラクターが本当につぼでした。
あのカナダ出身の彼女を完璧にパロディッったキャラ。
これを男の人が演じてるんです。
本当に上手かったなあ。
こんな作品がやりいな。
どうやらOFF上演が決まったようです。
客席には何回も観ているファンが沢山いたようなのでこれからが期待です。



Glenngarry Glenn Ross

マメット原作の映画にもなった作品。
日本では「摩天楼を夢見て」というタイトルで映画公開。
最近石丸幹二さんで銀河劇場でやってたきがします。
映画はとても評価が高く今では考えられないキャスティングなので
観てみたいなあ。
ピューリッツアー賞受賞作品のリヴァイバルなんですが
とにもかくにもアル・パチーノ主演なんでそれが観たくてね。
内容は不動産セールスマン達のぎりぎりの駆け引きと
とにかく激しい言葉の応酬。会話劇です。
言葉がわからないと辛いです。悔しい!
確かにアル・パチーノは素晴らしく上手いなあと思ったけど
いかんせん作品全体が精彩に欠ける感じ。
かなり豪華で実力ある俳優の共演なんだけど
なんだか演出されてる気がしない。
セットもなんだか安っぽいし、う~ん。
まだプレビュー中とのことだからだろうか。
オープンを3週近く先延ばしにするということも発表されたし
なんだろうなあ。上手く行ってない感じでした。
50分、50分の2幕物でこのクオリティーのセットで
150ドルはちょいと辛いなあ。
アル・パチーノ代だと割り切りました。


A Christmas Story

日本では公開もされてない映画のミュージカル化作品。
とはいえアメリカではクリスマス映画といえば的作品らしく
毎年繰り返しクリスマスになると放送される作品だそうです。
確かに心暖まるストーリーでかつコミカルでなかなかいい作品でした。
きっと映画も面白い作品なんだと思います。
プレビュー二日目でまだ落ち着いてないようで
色々と事故もおきてましたがなんとか最後まで通った感じでした。
公演期間が短い(季節もの)のでなかなか大変だと思います。
なんといっても演出が敬愛するジョン・ランドー。
ユーリン・タウン、The Toxic Avenger,The Wedding Singer, The Dance of Vampire など。
馬鹿馬鹿しいコメディーミュージカルといえばもう彼しかいないでしょう。
このファミリー向けクリスマスミュージカルでも細かいところで
かなり彼のエッセンスが感じられました。
やっぱり好きだなあ。くだらないんだけどあったかい感じがとてもいい。
セットがとっても作品とマッチしててわくわくできてよかった。
音楽がちょっと物足りない感じなのがもったいない。
子供が主人公の作品なので音楽的にもこども向けな感があるのは仕方ないかな。
それにしても子供達が本当に上手でびっくり。
歌も踊りも上手いんだなあ。
いわゆるアンサンブル的な子供達がいっぱい出るんだけど
それが大げさにアンサンブル的なことをあえて茶化したようにこなしていく感じがとても面白かった。
早替えして大人びた振り付けで踊ったりする感じが微笑ましくも笑いを誘う。
ここにも演出のカラーが出てていい。
圧巻は信じられないくらいタップの上手い少年。
アンサンブルの子なんだけど一曲彼をフィーチャーする曲がある。
みたところ小学校にあがるかあがらないかくらいなんだけど
いやあ上手だったなあ。
とっても笑えてあったまる良い作品になりそう。
オープンしてからもう一度観てみたいです。
季節物はいいなあ。家族にお勧め作品。

こちらではプレビュー中は公演の合間に稽古を行うので
その間にどんどん作品が変わっていきます。
どう変わったかを観るのも面白いですよね。
明日はGOLDEN BOYのプレビューを観る予定。
セットがとても素敵なので楽しみです。

ではまた書きます。

















もう少しです

2012-11-01 13:48:14 | tiptap
ハリケーンやらなんやらであっという間に10月が終わってしまいました。
大変お待たせしておりますがDVDもなんとか編集が終わり
あとはこちらも納品を待つ感じです。
こちらに商品が届き次第順次発送予定ですのでもうしばらくお待ち下さい。

100年に一度のハリケーンということで色々とNYも大変です。
幸いにもうちはやや郊外のクイーンズでしかも内地なので
高潮や停電にあうことなく乗り切りました。
まあ3日程家にこもってカレーをひたすら食べたぐらいです。
依然マンハッタンは停電や浸水してる箇所もありますが
劇場街が再開しタイムズスクエアあたりはいつもと同じです。

地下鉄も半分程動いてますが
うちの最寄りの電車はトンネルが浸水してるので当分無理のようです。
昨日は歩いてマンハッタンまで行ったので
もう信じられないくらい足が痛いです。
膝の裏が痛すぎて顎の痛みを忘れます。
いいんだかわるいんだか。

そんなこんなでこの一週間はあんまり観劇できずでした。
3本。そんでこれから夜観るのでまあ4本。
先週節約したのに今週は台風特需で勝手に財布の紐が緩くなります。


「TRIBES」
生まれつき耳が聴こえないが天才的に読唇ができて
ほとんど健常者のように生活できる息子と家族の話。
今年のOFFの賞を総なめにした作品でかなりの評判。
ロンドンの初演もオリヴィエ賞にノミネートされた作品。

かなり早い英語なもんで結構理解に苦しんだ。
とてもデリケートな内容で後天的に聴覚を失って行く彼女と
先天的に聴覚のない主人公のすれ違いや聴覚障害者として息子を認めず
聴覚障害者のコミュニティーと距離を置く家族。
誰かの声を「聴く」ということがどれだけ難しい事か。
そして誰かに「話す」ということがどれだけ難しい事か。
手話や字幕を使って丁寧にそしてコミカルに描かれていた。
とにかく劇場がほどよくセットもかなり具体的で
四方が客席なので本当に家族の生活がありありと見えて来る。
だいたいの筋は理解できたのだがストーリーよりも
会話で繋がって行く作品のため入り込めなかった!
もっと英語がわかれば。
でも終演後の客席は感動に包まれてたので本当に良い作品なんだろう。
帰りに脚本買って読み直したが疑問に思ったり腑に落ちないところは
やはりその通りでそういったところに答えのない作品だった。
考え過ぎて失敗パターンである。
とにかく空気感はとてもよく何カ所かしんみりとする箇所もあり
それなりに楽しめた。もう一度みたいなあ。


「GIANT」
これは同名映画のミュージカル化作品。映画はジェームス・ディーンの遺作となった作品、
RENT、next to normalの演出家マイケル・グリーフ演出作品ということでプレビュー2日目に観劇。
今思えばあの日が最後の上演となったのかも。
今もパブリック・シアターは停電と浸水のため休演中なので
これからどうなることでしょう。
演出家自ら4列目あたりに座って観劇してました。
わたしはラッシュで最前列だったので終演後すれ違い様に軽く会釈され
奥ゆかしい典型的日本人の私は笑顔で良かったよ的な表情を返すのがせいいっぱいでした。

もともと初演はダラスの劇場でそのときはなんと3幕ものだったらしく
かなり切り詰めて2幕におさめたようです。
音楽もなかなかはずさない感じで俳優達の水準も高く
ミザンスがかなり綺麗にできてましたね。
立ち位置にだいぶこだわる人なんじゃないかと思いました。
セットはシンプルでオーケストラが乗る大きなステージが舞台奥にあり
その前を紗幕スクリーンがアップダウンしてオーケストラを隠したり
ステージしたを隠したり。
紗幕スクリーン自体は飛びきらないのでいつもそれが舞台にいる感じ。
あとは盆舞台でちょこちょこ家具出したり。

個人的には盆とスクリーンの絡みがとても短絡的で意外性はなく
あんまり面白くないなあと。
転換のために何度も不必要にスクリーンをUPDOWNするのが
煩わしくおもえました。
まあそれ以外はよくまとまっていて俳優達もかなり熱演でいいんだけど
いかんせん話がまったく好みではなかった。
テキサスの地主の凋落はかなり遠い世界であんまりピンと来ない。
フロンティア精神が未だ根強く残るアメリカの人には感慨深いのかも。
牧場から油田へと時代とともに価値観がかわってくあたりが基本のテーマ。
日本で言えば江戸から明治へ、みたいな雰囲気なんだろう。
いわゆる古き良き大河ドラマである。
夫婦のすれ違いや子供達との隔たり等今やどこにでもある話でかつ
経済的に不自由ない主人公にそこまで惹かれなかった。

綺麗なシーンが多くて空気感は素敵でした。
はやく再開されることを祈ります。



「The Book Of Mormon」
いや~今年はもう観れないかなあなんて思ってたので。
今やブロードウェイでもっともチケットの取れない作品。
基本的に前売等で買わないので
観る事は出来ないだろうと思っておりました。
なんとプレミアチケット(普通にBoxOfficeで売ってる)が
$450以上もする人気作品。

実は去年、開いてすぐ観たんですよね。
とても面白かったんだけどかなりの疲労で結構記憶がとんでいて
いつかまた観たいなあなんて思っておりました。

ラッシュもやってなく抽選しかないのです。
一応参加もしたけど無理です。かなりの確率ですから。
でもこの騒ぎなんでもしかしたら今日ぐらいキャンセル出るんじゃないかと劇場へ。
久しぶりに10キロ以上歩いたもんだからもう本当に足が痛い。
並ぶ事30分なんとかチケットゲットできました。

初演のキャストのイメージがとても残っていて違う俳優だとちょっと・・・
という感じはあったのですが
以前よりも作品の理解力が上がっていた為にかなり楽しめました。

この作品の切り口はモルモン教なんですが
プロット自体は本当にコメディーの王道なんです。
駄目な奴と自信家が思いもよらぬ所にいってしまい挫折する。
んでもって嘘をつきまくってなんとか好転するんだけど結局ばれる。
でもなんだかうまいこといってめでたしめでたし。

それだけなんだけどいや本当に面白くできてます。
ストーリーも小ネタもとてもシニカルでブラックでいいです。
このユーモアセンスのさじ加減は本当に絶妙で
ある程度の知識階級にはブラックさがはっきりわかって楽しめるし
わかんない人はわかんなくても見た目の華やかさや瞬間的なコミカルさで楽しめる
んでもって音楽が基本的に有名ミュージカル作品のパクリ感満載。
あえてのパクリ感を全面に出すあたりがオンの作品としてはかなりきわどい。
基本的にショウアップされたステージングなどがとても
馬鹿馬鹿しくチープに作られてるあたりとても好みです。
原語で理解できたら本当に笑いが止まらない作品だろうと思います。
とにかく観客を楽しませる為に全てをやってくれてる感じがとてもいい。

モルモン教という実際にある宗教団体についてここまであっけらかんと
いじっちゃうことが許されるってのは本当に素晴らしい文化だと思う。
裁判大国のアメリカでこの作品が上演できるのは芸術に対する寛容さと
表現の自由がかなり拡大解釈される国柄のおかげ。
ただいじってはいるけど否定はしてないからね。
因にロムニーさんはモルモン教徒だそうです。
日本も政治と絡んだ宗教でごたごたあるけど
さすがにこんな風に題材にしたら消されてしまうでしょう。

ブラックな笑い。

これなかなか難しいよね。
個人的に大好きなジャンルなんだけどなかなか受入れられないかも。
普通に生活しててもブラックな笑いが好きで口走ってしまい
大顰蹙をかってしまう私なんでこういう作品には本当にときめきます。
ブラックであることは別に否定してるわけじゃなく
むしろ愛のある事なんだけどなあ。

認めているから言えること。

でも人が嫌な気するなら言わない様に心がけてる日々ですけどね。

とにかく久しぶりに観たけど本当に面白い作品です。
やや二幕でちょっとだれるしコメディーなんで言葉がわからないと結構辛いけど
一度は観て欲しい作品ですね。
ああオリジナルのキャストで観た時にもっと勉強してみればよかったと後悔。

カーテンコールでこんな日に劇場に足を運んでくれてありがとうと言ってました。
そんでエイズと被災者へのチャリティーやってました。
んでもって僕と同じくQueensからあるいてきたキャストもいるとのこと。
こっちはこんなに足痛いのにさすが俳優は強靭だなあ。

そういえばNY市長がマンハッタンに閉じ込められてる人の為にも
一刻も早く劇場を再開させて欲しいと声明をだしていました。
なんだか素敵なことですね。
本当に演劇が市民の生活の一部になってるところが嬉しいです。


さて今日はこれから「Wicked」です。
こちらも普段は観れないからなあ。
この二日で一月分の予算を使ってしまいそう。
う~ん11月はオープンラッシュだからなあ。
まずはこの膝で駅まで歩けるか疑問だ。

ではまた書きます。
















お金はなくても

2012-10-25 01:04:12 | tiptap
そろそろNY生活も2ヶ月目に突入です。
今学期の学校も半分が過ぎた事になるようです。
まあ学校の方はなんとなく勝手もわかり
顔見知りもできてそれなりにやってます。

先週はHipHop音楽劇の舞台稽古の見学にはじまり
ゲネまでみせてもらったものの
なかなか自分の好みと合わない作品だったために
見せてもらったのに終わってからうまく話せなかったなあ。

小さな小さな劇場でしたが昨日のnew york timesには
しっかり劇評が載ってました。
東京だと「劇」小劇場ぐらいの感じかな。
小さな劇場でもきちんと劇評が載るんだから
やっぱりこっちの人の演劇に対する感心は凄い。
内容は・・・まあ多くは語れません。

さてこの一週間は6本も観れました。
観劇費がかさんで大変ですが
6本中正価で観たのは1本だけ。
その一本は売り切れ作品でキャンセル待ちで仕方なく
全額払うことに。

それでも6本観て191ドル。
日本円だと1万7000円ぐらいでしょうか。

OFFの作品だと学割がきいてかなり安くなります。
ONの作品でも運が良ければラッシュが買えるので
本気で並べばかなり格安で観れちゃうわけです。

てなわけで大体一月の出費がわかりあまりの恐ろしさで
財布の紐をかなり閉めつつもなんとか劇場に足を運んでおります。



「DETROIT」
この作品にキャセル待ちで並びました。
なぜかというとなんと
「FRIENDS」の「ロス」こと
「David Schwimmer」が出てるのです。
かなりフレンズにはお世話になった私なので
これは観るしかないと劇場に向かったのですが
まあ人気作品らしく全日SOLDOUT。
来たついでにキャンセル待ちで並んでみる事に。
運良く奥さんと来る予定が奥さんが来れなくなったらしい人から
チケットを買う事が出来て観る事が出来ました!
作品はコメディータッチのドラマでした。
いやいやコメディーのストレートはなかなか言葉が難しい。
基本的なことはわかるのだが細かい所が聞き取れないし
笑い声にかき消されて聞こえない聞こえない。
それでも「ロス」が出て来た時にはちょっとこみ上げて来るものが・・・
目の前にあの「ロス」がいるんですからね。

脚本はピューリッツア賞ノミネート作品。
怪しいお隣さんとの交流によって現代アメリカ社会を描く社会派コメディー。
盆舞台の表と裏を使って飾り変えをしていく見せ方。
なんだか日本的。
もっと言葉がわかれば面白かっただろうに。
シットコムを観てるようで楽しい時間でした。
でもちょっと途中からだれた感。


「CLOSER THAN EVER」
80年代の終わりに上演されてかなりのロングランを行った
OFFのミュージカル作品。今回はリヴァイバル上演。
全編歌で「bookless musical」というジャンルを確立させた作品らしい。
出演者は四人でそれぞれナンバーごとに違うキャラクターとして登場する。
ただどのキャラクターもどこか中年の哀愁を帯びており
中年に入りかけ、まっただ中、そろそろ老人・・・
まあ今で言うアラフォーな人たちがそれぞれの中年あるあるを歌う。
歌唱力が半端なくて感動しました。
歌い手はマイクをつけずにピアノとウッドベースのみ。
曲後とにささやかなステージングがついてますが
小洒落てて好感がもてる。音楽も基本的にはよかったなあ。
途中いきなりピアノの人が歌い出したりベースの人が芝居したりと
プレイヤーのレベルの高さにもびっくり。
とりあえずキャストの歌のうまさとキャラクターであっという間に時が過ぎます。
この形式で二幕構成だから大変だよなあ。
二幕になるとやはりやや声に疲れが。
もう少し詰めて1幕ものにしたほうが本当はいいんだろうなあ。
でもとても上品な(内容は下品ですが)良い時間でした。



「FALLING」
自閉症の18歳になる息子を抱えた家族の物語。
家族物には弱いのでかなりやられました。
わけあって心に傷を持つ人と接する機会が多いので
この手の話には本当に心をつかまれてしまいます。
個人的なベストミュージカルは「next to normal」という作品で
これも精神疾患を持つ母親を持った家族の話でして。
このジャンルに弱いのです。
芝居がとてもよかった。
自閉症の息子を演じる俳優は恐ろしほどリアルに感じられて
家族に暴力をふるうシーンなどは恐ろしさと悲しみと色んな
感情がこみあげてきた。母親の愛情と立ちはだかる現実。
孫の病状を理解して祖母が母親に神様に祈ればなんとかなると本気で語るところなど
とてもアメリカ的なアイロニーを感じた。
悲劇ではなくあくまでハートウォーミングストーリーなのだが
現実の厳しさ、苦しさ、葛藤がきちんと描かれていて
脚本、俳優ともに素晴らしかった。
セットもとても写実的に家の中を表現していて本当にありのままの
家族を傍観している様な気になる。答えはでないが涙がでた。


「FUN HOME」
同名ヴィジュアルノベル(マンガ小説)のミュージカル化作品。
この本かなり売れたらしく日本でも翻訳版が売られてるそうです。
読んでみたいなあ。
この作品はPublicTheaterの製作で実験作品の上演というシリーズ。
いわゆるまだトライアウト状態だそうで
開演前に演出家が出て来てその旨を伝えてました。
因にこのPublicTheaterは由緒ある団体であの「コーラスライン」を製作したとこです。
内容はレズビアンのマンガ作家が自分の家族についてのビジュアルノベルを書くという筋。
父親はカミングアウトしなかったゲイで結局自殺してしまっている。
幼少期の主人公、大学生に主人公、今の主人公の三人が
同時に舞台上に存在してそれぞれの時間を過ごして行く。
なかなか面白かった。音楽も心地よくていい。
映像の使い方がとても上手でよかった。
マンガ作家である主人公が描くイラストを上手く使えていた。
セットはまだなんだか作りかけのような感じで
俳優達は客席のよこの椅子に座って出番を待っている。
なんだか不思議な感じである。
それでも舞台の上にはきちんと演劇的空間が見える。
感心したのは主人公の幼少期を演じる子役だ。
本当に自然でコミカルでかわいらしい。
日本の子役はこの自然さがなかなか出せない。
きっとあの子自身が楽しんで演じてるからいいのだろう。
こんな実験的に作品を上演できる環境が
日本にもあればいいなと心から思う。
これも家族物。やっぱり心にくる。


「THE OTHER JOSH COHEN」
OFFのコメディーミュージカル作品。
とても面白かった。
出演者6人で主人公と主人公のナレーター以外は
それぞれ楽器を担当していて入れ替わり立ち代わり
キャラクターを演じて行く。
ほとんどがロックナンバーで演奏もキャストだけで
行われるのだから本当に俳優達は素晴らしい。
経歴を観るとミュージシャンもいれば俳優もいる。
垣根がないのがまたNYらしい。
「ONCE」も俳優が全編演奏するがこのような形式での上演は本当に難しいと思う。
音楽的クオリティーを劣化させない程俳優達が演奏できることはなかなかない。
みんな芸達者だなあ。
内容は泥棒に入られてニールダイヤモンドのCDだけしか手元に残らなかった主人公に
高額小切手が同じ名前の宛先と間違って届いてしまう。
全てが実話ではないらしいが小切手のくだりは実話を元に書かれたらし。
ナレーターがスタンダップコメディーのように語りとても面白かった。
このナレーターが本と音楽を書いて出演までしているのだから素晴らしい。
直前まで「PETER AND THE STARCATCHER」に出演していたらしい。
本当に才能豊かである。馬鹿馬鹿しくもどこか哀愁漂ういい塩梅のコメディー。
このぐらいのさじ加減なら日本でもなんとかなるのかな。

「THE PERFORMERS」
ONのストレートコメディー。
プレビューの初回に観劇。
ラッシュが買えたのでかなり格安で観劇。
ポルノアウォードの授賞式に再開する高校の同級生。
一人はポルノスター、一人は新聞記者。
まったく違う二人だがそれぞれのパートナーと
それぞれの方法で愛を確かめ合って行くロマンチックコメディー。
まさ豪華なシットコム。
客席は最初から最後まで割れんばかりの爆笑。
笑えば笑う程こちらは言葉が聞き取れず悔しい所ですが
とても楽しい作品でした。
作品全体のトーンがとてもポップでセットや衣裳が小洒落ててなかなか楽しめる。
想像するにかなりお下劣なシーンが多々あったが
子供は観れないけど大人がこぞって観に来そうである。
日本だとこういうテーマは扱ってもどこか暗くどろどろとした
雰囲気になりがちだがこのあっけらかんとしたポップさには
本当に元気をもらえる。上品さにはかけるがとても面白い作品になると思う。
脚本家は現役の大学院生。
カナダ出身で去年OFFBROADWAYデビュー。
異例の早さでONにデビューとのこと。
同じ学生VISAホルダーとしては本当に凄いなあと思う。
言葉の壁がなければこうやって実力ある人がチャンスをつかめるのがNY。
早く壁を取っ払っていつの日か勝負してみたいものです。


先週はOFFを中心に観たんですがなかなか良作にあたった気がします。
作品選びも結構難しくて事前のリサーチがかなり物をいいます。

さて今週はどうなることやら。
気になる作品もあくことだし楽しみ楽しみ。


すっかり秋

2012-10-16 01:56:49 | tiptap
朝は息が白むようになってきました。
夜はなんだか暖房が作動しているようです。
暖房といってもエアコン的なものではなくて
物凄く熱いお湯がパイプを通過していくやつ。
なんか一定の温度より外気が下がると作動するらしく
勝手に操作する事はできません。

さてさて一週間はあっという間ですね。
週末は色々と疲れてしまってブログ書けず。
いかんいかん。

前回はエビータまででしたかね。
それ以降の観劇は

SILENCE!
HOLD THESE TRUTHS
Dispatches from (A)MENDED AMERICA
ONCE
SCANDALOUS
GRACE

結構観ましたね。
とりあえずざーっとですが感想を書きます。


SILENCE!

「羊達の沈黙」の完全なるパロディーミュージカル。
OFFの作品ですが本当に小劇場感満載でした。
まさにナンセンスコメディーミュージカルですね。
とても面白かったです。
演出がNEWSIESの振り付けの人なんですが
くだらないことが本当によくできていて
映画を知ってる人は本当に何から何まで面白いし
知らない人でもあまりにも滑稽なので笑ってしまうでしょう。
NEWSIESよりも良い仕事してるなと心から思いました。
ただこのノリが難しいところでして
ともすればくだらなすぎて下品でやや引いてしまう可能性もあります。
こんなパロディーが作りたくて「ゴン・ヴァルジャン」をやったのですが
さじ加減が難しいですね。
こっちのお客さんは基本的に楽しんだもん勝ち感大ですから
ちょっとあれって思っても気にしない大雑把さがあります。
いいんだか悪いんだか。
でもとにかくこの作品は一つの成功型ですね。
フリンジで賞を取って世界各国で上演してますが
やはり日本だと受入れられるか・・・とのことで上演にはいたっておりません。
日曜マチネでキャストがアンダーだったためもう一度観たいなあ。


HOLD THESE TRUTHS

この作品はゲネを観劇。
これもOFFの作品でストレート。
戦時下の強制収容された日系人のお話。
実在の人物をモデルにした一人芝居でした。
このモデルの方はオバマ大統領から功績がみとめられて勲章をもらったそうですが
今年の始めのほうにお亡くなりになってしまったそうです。
こちらで紹介して頂いた舞台美術家さんのご厚意で舞台稽古から見学させて頂いていたので
色々と発見もありました。
テーマがテーマなだけに一人の日本人としてアメリカのNYでこの作品を観るという
なんだか不思議な経験に感慨深いなあと。
とてもシンプルで繊細に作られていて何より俳優が素晴らしい。
ある意味全てモノローグですが要所要所で違うキャラクターになったりして
なんだか落語を観てるみたい。90分でしたが本当に内容の濃い作品でした。
舞台が本当に客席に近いもんでとても空気が感じられてよかったです。


Dispatches from (A)MENDED AMERICA

この作品は上記のHOLD THESE TRUTHSと同じ劇場で日替わり上演される作品。
これも舞台稽古をみてゲネを観劇。
同じ劇場ですから同じセットを使う訳で客席などを組み替えて使ってました。
内容は「黒人大統領の実現があなたにどう影響を与えたか?」という
実際に行ったアンケートを元にこの作品の上演に至る過程をドキュメンタリー的に
みせて行くものでした。俳優達自身が実際にアンケートやインタビューを重ねてそれを元に
脚本を書き上げたとのこと。凄いですね。
人種問題。
なかなか日本にいると知らないふりしてることですが
こっちは日々感じる問題。
とても難しい問題ですが現実にある問題。
目をそむけちゃいけないなあ。
この2つの政治色の強い作品を上演しているカンパニーは
政治色が強いカンパニーなんだそうです。
学校やなんかと提携してこういった社会派の作品を上演してるとか。
なかなか面白いですね。文化の違いを感じます。
まだゲネだったのでこれからプレビューを経て色々変わって行くのでしょう。

大学の卒論で劇場のメディアとしての力を論じたんですが
小さなメディアとして劇場を捉えて体験させることで情報を伝達する事が可能ではないか。
ブレヒト的発想ですが未だに海外では根付いてますね。
最近は日本ではあまり社会派作品がうけなくなりました。
昔は演劇って左とか赤って言われた時代ありましたけどね。
近頃は心の闇とか人間の醜さとかなんだか個人の内面が取り上げられる事が多いです。
これも文化の差ですね。社会的な問題に苦しむ人が少ない幸せな国という捉え方も出来ます。
それはそれであながち間違いではないかも。



ONCE

2012年のベストミュージカル賞を取った作品。
ずっと観たかったのですがなかなか納得できるチケットが取れずに
高額だったしずるずると観れなくてやっと観劇。
「ONCE ダブリンの街角で」という映画のミュージカル化作品。
映画はアカデミーの歌曲賞を取ってるそうです。
実は映画もずーっと気になってましてね。
昔からアイルランドには縁を感じてまして
Tipの旗揚げ公演はアイルランドが舞台だったし。
なんか気軽に観る気になれなかったんですよね。
そうこうしてる間にミュージカル化ということです。

う~ん。

素晴らしかった。こっちにきて一番感動した気がする。
最後は久しぶりにきちんと泣いた。

ただミュージカルを観たというより芝居を観たという気になった。
作品を通してそこにあるのは芝居の空気でしかない。
歌う事自体がドラマの中に組み込まれて出来事になってるからだと思う。
意味のある歌である。これならタモリさんも文句が言えない。
実際にキャラクターが歌っている時間でしかないから。
厳密に言えばこれは音楽劇なのではないかと思う程だ。
音楽劇とミュージカルの定義は僕なりにそれぞれありますが
それについてはまたいつか書きます。
音楽は全て出演者が演奏してそれぞれの楽器を持ったキャストが
ステージの両脇に座っている。
セットはいわゆるアイリッシュパブを模したようながらんとした空間で
とくに大掛かりなセットもない。あるのはカウンターとテーブル、椅子ぐらいである。
前から5列目ぐらいだったため本当に空気を感じられてよかった。
このような作品は変に拡張されて欲しくないなと思う。
この作品実はPeter And The Star catcherと同じでNewYorkTheatreWorkshopで生まれた作品。
同じところからBestPlay(ノミネート)とBestMusicalを出すなんて凄いなあ。
ステージングは同じ人でした。
本当に楽器をあんなに上手に演奏できる俳優達に感服する。
まさに生の空気がそこに生まれる瞬間を共有できるのがすばらしい。
これが演劇だと思う。設計図にのっとってただ作業をするんじゃない。
瞬間を生み出して行くんだ!!
開演前には舞台上は解放されてて観客は舞台上でお酒を交わしながら俳優達のセッションに耳を傾ける。
なんて素敵な時間だろうか。
こんなに素晴らしい作品でも気になる所をみつけてしまうのは嫌な事である。
ちょっとだけ腑に落ちないのは何カ所かのステージング。
これだけ演劇的に作ってるのに何故かステージングだけやや抽象的に感じてします。
転換諸々の動きはいいのだが少しショーアプした感がある部分が惜しい気がしてしまう。
割り切って削ぎ落としても絶対に空気が物を言うのにと思った。
でも二階席から観た人には効果的だったかもしれないからまあなんとも。
それにしても本当によく出来た作品だった。さすがトニー賞。
俳優も素晴らしい。残念ながらヒロインがアンダーだった。
オリジナルキャストで観たいがお財布的に難しいだろうな。


SCANDALOUS

これは人生初めてのミュージカルプレビューのオープンを観劇。
開演前に演出家が出て来て挨拶してました。
なんだかBroadwayってこんな感じなんだって感心。
はっきりいってお祭りみたいなもんですね。
きっとお客さんの半分以上は作品が良い悪い関係なく楽しんだ事でしょう。
いちいち拍手でとまるとまる。
さすがプレビュー初回とのこともあり照明は色々問題有りでした。
ステージハンドの漏れ明かりも多々ありましたがなんとか最後までいきました。
主演女優が凄いなあ。Carolee Carmelloという人なんですがトニーに二度ノミネートされてるみたい。
主人公の高校時代から30代後半までを演じるんだけど
まあ最初から最後まで声を張り上げて歌う歌う。
こんなに押して押して押しまくって2時間半は本当に大変だと思う。
内容は今では世界中に信者のいる実在する女性宗教家の話。
初めてラジオを布教に使った人らしくアメリカ大陸を10回以上布教て横断したり
ロスに礼拝レビューショウのためにスタジアム寺院を作ったりとまあ凄い人なんです。
あげくには既婚者との情事のために誘拐に巻き込まれたと狂言を起こしたり。
そんな人生を描く訳です。
まあ内容も演出もそこまで魅力的ではなかったですが
音楽がゴスペルを基本にしてるのでとてもパワフルで元気が出ます。
まあ似たような曲が多くなってしまいますが
元気が出るのはいいことです。これからプレビューを経てどう変わって行くのか楽しみです。
オープンしたらまた観たいですね。



GRACE

こちらは宗教をテーマにしたストレート。
話の内容自体ははっきり言えばよくあるはなし。
宗教に熱い主人公が色々あって目先の利益を優先するようになり結局全てを失い人を殺してしまう。
まあその間に妻を隣人にとられたり夢に破れたりだなんだってあるわけですが
内容はよくあるある。
でもこれをとても面白くしてるのは脚本と演出がうまく絡み合ってるからなんだろうなあ。
物語は最後のシーンから始まる。
倒れている出演者達。
それが巻き戻されそれぞれが死ぬ瞬間が次々に見えて来る。
とても面白くショッキングな瞬間である。この巻き戻す演出もなかなか面白い。
少しだけ滑稽にも見えるがとても印象的だ。
それから舞台は物語の最初に戻る。主人公が妻と幸せに暮らす最初に。
何が面白いってセットが有機的に常に芝居に絡んでいる所だ。
セットは夫婦と隣人の部屋を兼用して使えるように家具が配置された盆。
その外にとても細い外盆がありそこにドアと窓がある。これも兼用。
そしてそれぞれの生活が同じ盆の上ではあるが別々の空間に見えてくる。
別に決まった家具を使う訳でもなく兼用であるにも関わらず
それぞれの生活が見えて来るのだ。とても想像力を使わせで面白い。
舞台奥には大きな楕円の額縁があり中のスクリーンには空がある。
常に雲が流れ星がみえたりとささやかながら変化がある。
このささやかというのがみそでシーンの中で内盆が気づくか気づかないかのスピードで
ゆっくり回転していく。時間の経過とともに。そして気づけば空間が変わっている。
とても面白い体験である。俳優の横顔をみていたはずが気づくと反対側の横顔をみている。
常に有機的にセットが動いている。
それが嫌らしくもなく主張もせず控えめなのがいい。
色んなことを想像させる。
全体的にとてもスタイリッシュで面白かった。
ただシーンの最中はいいのだがシーンとシーンの間にある転換がちともったいなかった。
なぜか転換はあんまりまとまってなくて明かりと音で誤摩化してるだけの様な感じ。
もうちょっとみせる転換にしてもいいのになあというのが感想。
90分で休憩なし。面白かった。ストレートの空気感はやぱりいいなあ。


まあ今回はこんな感じでした。
なんだかストレートプレイの方が多くなってきましたね。
新作がそろそろ増えて来るので楽しみです。
顎が痛い毎日ですがめげずに頑張らねば。
今週はオフのミュージカルの現場を見学中です。
また色々と発見できて面白いですね。

ではまたそのうち書きます。