ニューヨークに帰って来て数日はー10度ぐらいで極寒でしたが
最近はやや落ち着いて寒さにも慣れて来た感じです。
年末に通っていた学校を変えることを決めて
今は転校期間ですがそろそろ学校新しい学校も始まるわけで
長い冬休みもそろそろ終わりです。
さてNYに帰って来て約2週間ですが14本の観劇。
季節柄あまり魅力的な作品が少なく
更に寒いもんでなかなか難しいところです。
Mary Poppins
これは出張で訪れたジャクソンビルで観たナショナルツアー版。
なかなかツアー版とはいえセットは豪華でした。
そりゃあブロードウェイ版に比べればこじんまりとしてますが
日本の定住型公演に比べると充分豪華という感じ。
俳優達はまさにナショナルツアーという感じでしたが充分楽しめますね。
これだけのクオリティーで巡業公演を行えることは
本当に羨ましいです。
巡業公演となると本当に割愛に割愛を重ねかなり簡素化した物に
なってしまいがちなのでこれだけの規模で公演が行え
それに見合った集客が見込めるシステムが日本にもあればと
切に願います。
Bethany
アグリー・ベティーというコメディードラマでエミー賞を獲得した
アメリカ・フェレラ主演のブラックコメディー。
ラッシュで囲い客席の端の端で観たのでかなり
見えないところが多かったですが
なかなか楽しめました。
映像の人って感じのお芝居でしたがアメリカさんはロンドンでシカゴのロキシーを
やってたことがあるようです。凄いですね。
脚本はすっきりしててなかなかよかったですが
最後の盛り上がりの部分が観ていた座席のせいかやや興ざめ感があったのが残念。
人を撲殺するシーンなんですが近くて更に舞台の横から眺めてしまうと
ちょっと嘘くさくなってしまうんです。
席をかなり選ぶ作品でしたね。
The Heiress
今期アカデミー賞に主演女優賞でノミネートされているジェシカ・チャスティン主演の芝居。
作品自体はリヴァイバルで映画にもなった作品。
邦題は「女相続人」。
セットがかなり豪華で見応え有りました。
NYの豪邸が舞台で飾りは一つなんで
かなり作り込まれていて贅沢な気持ちになります。
あらすじからなんだか暗くてじめじめした作品というイメージだったんですが
なかなか演出の手腕でコミカルにライトに楽しめ
50年以上も前の作品を現代でもしっかり楽しめる作品に仕上げられていて好感を持てました。
ゼロ・ダーク・サーティーのイメージと全く違う
ジェシカにも感心させられました。
元は舞台女優としてキャリアをスタートさせただけあって
見応えのある芝居でこれからが期待の女優です。
My Name Is Asher Lev
同名ベストセラーの舞台化作品。
布教活動を行うユダヤ人一家の息子で
画家を目指す青年が主人公の物語。
セットがなかなかセンスがあって美しい。
ただ演出がいまいち。
主人公の息子以外の二人の役者が入れ替わり立ち替わり
色んな役を演じるのだが
それが逆効果でなんだか貧乏臭くなってしまう。
さらに最愛の兄を失って心を患う母親という表現で
いきなりカツラをはずし机の上に置くという恥ずかしい演出。
ちょっと意味がわからなかった。
物語自体は芸術と宗教の間に揺れる青年の葛藤が
なかなかドラマチックであったがひたすら訴えかける作風が
やや気疲れさせ押し付けがましくも思えたかもしれない。
演出でもう少し改善できる点があったように思える。
Totally Tubular Time Machine
Popミュージカルという触れ込みで行ってみたら
クラブでPopスターの扮装した人たちが歌って踊ってくれるだけだった。
かなり騙された気分である。
まあクラブ好きな人には楽しめるかもしれないが
そんな柄でもなく結局最後までは観ずに帰った。
こんなものに$70も払うわけだからよくわからない。
たまたま割引で$15だったからまだ許せるが
せめてクラブイベントとして記載して欲しい物だ。
どう見てもミュージカルではないな。
Cinderella
久しぶりのオンミュージカル。
言わずと知れたシンデレラのミュージカル化作品。
ディズニー印ではないのでアニメのシンデレラとは別物です。
一応音楽はロジャーズ&ハマースタイン。
でもそもそもテレビ映画用に書かれた作品とかで
そこまで音楽に魅力を感じなかった。
作品自体もなんだかちょっと物足りない。
全体的にちょっとお金がかかってない感じ。
ディズニープロダクションの夢の世界感に比べると
やはり劣ります。
脚本もなんだか無理矢理引き延ばして
民主主義のことなんか歌い出して選挙までやっちゃうのが
どうも胡散臭く感じてしまう。
こういう作品はブロードウェイらしく
信じられないくらい豪華に作って欲しい。
夢の世界があまり感じられないのが残念。
まあまとまってはいるんだけどね。
Wizard of Song
オフのレビューショウ。
オズの魔法使いの作曲家で数々の名曲を残した
ハロルド・アーレンの歌をひたすらきかせてくれる。
まあレビューショウなので何がどうというわけではないのだが
メインのトリオのハーモニーがあまり良くない。
歌もの作品なんだからもう少しクオリティーの高い物を期待していた。
ステージングもまあそれなりについてるんだけど
ちょっとお粗末な感じは否めない。
まあ観客はご高齢の方々ばかりで懐メロに浸って楽しんでいたから
それはそれでいいのかもしれない。
The Jammer
ローラーゲームを題材にしたオフのコメディー。
なかなかセットも面白くあえてチープに仕立てたセットが
ポップで観ていてたのしい。
話は至って簡単で特に心に残るようなものではないが
演出的にセットと有機的に処理されていることで
それぞれのシーンがとても面白く表現されている。
こういうアイディアで勝負する作品は趣味が合えば
かなり楽しめるからいい。
馬鹿馬鹿しい中身のないコメディーが結構好きである。
ローラーゲームには去年からちょっとゆかりがあるので
それもまた愛着が持てた要因かもしれない。
気軽に楽しめる作品。
Rigoletto
Metのオペラ。
お世話になっているマイケル・メイヤー氏の演出作品。
約5時間ラッシュに並んでチケットを手に入れた。
まあ暇な時期で良かった。
なかなか斬新というかミュージカル的な仕上がりであった。
舞台設定自体がオリジナルとは違うので
解釈もまったく変わってしまっているのだろう。
それはそれで面白い試みだと思う。
セットもマイケル氏らしい仕上がり。
彼の色がはっきり見て取れる。
ただここまで違うとオリジナル版も観てみたい。
それからオペラを観ると思うのだが
CDや映画館、映像などでオペラを鑑賞できるようになって
逆に劇場に行ってみるとなんだか物足りなくなってしまう。
電気で拡声された音圧に慣れているせいだろうか。
もしくは我々が買えるような後ろの席ではオペラの醍醐味を
味わえないということだろうか。
これはミュージカルにも言える事でCDを聴き込んで行くと
かなりがっかりすることがある。
ある種の弊害なのかもしれないが
リアルに体感できる物なのに再生可能なメディアのイメージに左右されるというには
なんだか本末転倒な気もして考えさせられる。
Avenue Q
この作品もCDはもっているけど観た事ないロングラン作品。
相変わらず後回しにしていたのだが観る物がなく観た。
自分の周りにもファンが多い作品なので
期待はしていたが
期待を裏切らない作品だった。
馬鹿馬鹿しくてくだらないけどあったかくて深い。
とてもよくできたコメディーミュージカルである。
現在はオフで上演されていてこの空気感がとてもいいと思ったのだが
オンで上演されていた時はどうだったのだろうかと勘ぐってしまう。
あんまり大きい劇場には不向きな作品だと思う。
それにしても俳優の芸達者ぶりには感心する。
稽古をみたり俳優のアフタートークなどを聞いてみると
やはり稽古のノリが劇団チックなのである。
商業演劇的な時間と政治に縛られる稽古ではなく
クリエイティブでアイディアを出し合う環境を感じる。
こういう訓練を必要な作品が昨今は多くなって来た。
楽器の演奏、パペット操作などなど。
俳優がそれらを訓練して会得していくことを厭わない土壌が
日本にも欲しい物である。
The Service Road
ニューヨーク技術大学のアートプロジェクト公演。
パペットやら映像、ギミックメカなどなど
新しい技術と演劇のコラボ作品なのだが
なんだか俳優の技量が足らずにちょっと恥ずかしい感じ。
それぞれの技術はなかなか面白いが
ストーリー自体もなんだかじめじめとして暗く
俳優の技量もあいまってちょっとお粗末な仕上がり。
まあ大学の提携公演だからしかたないのかな。
でも色んな発見や驚きはあって楽しめる部分もあったかな。
こういう演劇とのコラボレーションは日本でもどんどん行って欲しいものである。
Fiorello!
この作品NYに来たばっかりの時に学生達の発表会を観に行って1幕で出て来た因縁の作品である。
今回はアンコール!というリヴァイバル団体の上演でコンサート的な上演。
出演している俳優達は一流なのでなかなか歌唱は素晴らしい。
オケも豪華なので聞き応えがあった。
まあ演出的にはどうこう言うようなプロダクションでもなかったが
それなりにきちんと成立はしていた。
今回は最後まで観たのだが
ピューリッツアー賞を獲得した作品にしてはいまいちストーリーとして締まりがないと感じる。
古いミュージカルだから仕方がないのかもしれないが
ご当地ヒーローのフィオレロ・ラガーディアが主人公であるということが評価に値したのだろう。
個人的にはもっとドラマを期待してしまうがコミカルな作品としては無難にまとまっている印象だ。
こっちにきてピューリッツアー受賞作やノミネート作を10本近く観たのだが
どれもが名作という感じでもない気がする。
単に英語力がなく言葉の美しさを評価できないからかもしれないが
立体化されたものを観る限り全てが全て評価に値するとは限らない気もして来た。
どんなに良い脚本でも演出いかんではやはり名作になり得ないのだろう。
All The Rage
スパマロットやキャバレーなどで活躍した俳優の一人芝居。
自分で脚本を書いて自分で演じている。
なかなか脚本が面白い。
怒りたくても怒れない。
怒りたくないのに怒ってしまう。
怒りを覚えるべきことなのに怒りが消えてしまう。
「怒り」にまつわる彼の実体験をうまく軽妙にまとめて解説してくれる。
児童虐待、人生の意味、義理の母親、チャドの虐待された難民
南アフリカの猿人、パンゲア、弟の死、などなど
色んな話が入り交じっていくなか彼の人間性が見て取れ
とても好感が持てた。
演出は別の人でこの演出がかなり洗練されていた。
無駄なく適度に飽きさせない。
普通はこれだけ一人で話まくるのだから聞いてるほうも途中で疲れてしまう。
こういう一人芝居はセンスが非常に大事である。
上品にいい塩梅でまとまっている作品だ。
All in The Timing
20年ぶりにリヴァイバルされたオムニバス作品集。
6本のショートプレイの連続上演作品。
演出が敬愛するジョン・ランドー。
とても面白かった。
久しぶりのヒット作である。
まず脚本が素晴らしい。
6本それぞれ本当に面白い。
馬鹿馬鹿しいコメディーなのだが
どこかペーソスを感じるいい加減なのだ。
目の付け所が本当にいい。
出会いからデートに至るまで
実験中のチンパンジー
偽原語教室
パン屋のラッパー
多次元世界
トロツキーの死
こんな脚本が書けたらなあと心から思う。
また演出も当然素晴らしい。
彼のコメディーは馬鹿馬鹿しくてくだらないのにどこか
暖かい。
この暖かさがとても愛らしくて心地よい。
本当に馬鹿みたいに客席は爆笑だが
どこかほっこりしたりほろりとさせられる。
今回は俳優も素晴らしかった。
「ピーターと星の守護団」に出ていたキャストが二人出演していて
彼らは抜群に上手い。
フック船長とテッドという友人役を演じていた二人なのだが
もう職人である。
こんなに技巧的に演じられる俳優が日本にいるのだろうか?
しかも彼らは「ピーター~」が終わって3日後にこの作品の初日を迎えている。
なかなか恐ろしスケジュールであるがしっかりこなしている。
いやあ感服である。
こっちに来て観たコメディーの中ではほぼNo.1の作品であった。
もっと品のない爆笑作品はたくさんあったが
このくらいの塩梅でここまで笑わせてくれる作品はなかなかなかった。
日本でも上演したいと心から思う作品だ。
さてそんなこんなで通算110本になりました。
記念すべき100本目の作品は ”My Name Is Asher Lev” でした。
5ヶ月ちょっとで110本なので年間200本ぐらいは行けるかなあ。
最近は脚本の翻訳にチャレンジしたい欲は出て来ました。
時間を見つけてトライしてみたいですね。
書類ももう少しで完成。
いい結果がでることを祈ります。
ではまたそのうち書きます。
最近はやや落ち着いて寒さにも慣れて来た感じです。
年末に通っていた学校を変えることを決めて
今は転校期間ですがそろそろ学校新しい学校も始まるわけで
長い冬休みもそろそろ終わりです。
さてNYに帰って来て約2週間ですが14本の観劇。
季節柄あまり魅力的な作品が少なく
更に寒いもんでなかなか難しいところです。
Mary Poppins
これは出張で訪れたジャクソンビルで観たナショナルツアー版。
なかなかツアー版とはいえセットは豪華でした。
そりゃあブロードウェイ版に比べればこじんまりとしてますが
日本の定住型公演に比べると充分豪華という感じ。
俳優達はまさにナショナルツアーという感じでしたが充分楽しめますね。
これだけのクオリティーで巡業公演を行えることは
本当に羨ましいです。
巡業公演となると本当に割愛に割愛を重ねかなり簡素化した物に
なってしまいがちなのでこれだけの規模で公演が行え
それに見合った集客が見込めるシステムが日本にもあればと
切に願います。
Bethany
アグリー・ベティーというコメディードラマでエミー賞を獲得した
アメリカ・フェレラ主演のブラックコメディー。
ラッシュで囲い客席の端の端で観たのでかなり
見えないところが多かったですが
なかなか楽しめました。
映像の人って感じのお芝居でしたがアメリカさんはロンドンでシカゴのロキシーを
やってたことがあるようです。凄いですね。
脚本はすっきりしててなかなかよかったですが
最後の盛り上がりの部分が観ていた座席のせいかやや興ざめ感があったのが残念。
人を撲殺するシーンなんですが近くて更に舞台の横から眺めてしまうと
ちょっと嘘くさくなってしまうんです。
席をかなり選ぶ作品でしたね。
The Heiress
今期アカデミー賞に主演女優賞でノミネートされているジェシカ・チャスティン主演の芝居。
作品自体はリヴァイバルで映画にもなった作品。
邦題は「女相続人」。
セットがかなり豪華で見応え有りました。
NYの豪邸が舞台で飾りは一つなんで
かなり作り込まれていて贅沢な気持ちになります。
あらすじからなんだか暗くてじめじめした作品というイメージだったんですが
なかなか演出の手腕でコミカルにライトに楽しめ
50年以上も前の作品を現代でもしっかり楽しめる作品に仕上げられていて好感を持てました。
ゼロ・ダーク・サーティーのイメージと全く違う
ジェシカにも感心させられました。
元は舞台女優としてキャリアをスタートさせただけあって
見応えのある芝居でこれからが期待の女優です。
My Name Is Asher Lev
同名ベストセラーの舞台化作品。
布教活動を行うユダヤ人一家の息子で
画家を目指す青年が主人公の物語。
セットがなかなかセンスがあって美しい。
ただ演出がいまいち。
主人公の息子以外の二人の役者が入れ替わり立ち替わり
色んな役を演じるのだが
それが逆効果でなんだか貧乏臭くなってしまう。
さらに最愛の兄を失って心を患う母親という表現で
いきなりカツラをはずし机の上に置くという恥ずかしい演出。
ちょっと意味がわからなかった。
物語自体は芸術と宗教の間に揺れる青年の葛藤が
なかなかドラマチックであったがひたすら訴えかける作風が
やや気疲れさせ押し付けがましくも思えたかもしれない。
演出でもう少し改善できる点があったように思える。
Totally Tubular Time Machine
Popミュージカルという触れ込みで行ってみたら
クラブでPopスターの扮装した人たちが歌って踊ってくれるだけだった。
かなり騙された気分である。
まあクラブ好きな人には楽しめるかもしれないが
そんな柄でもなく結局最後までは観ずに帰った。
こんなものに$70も払うわけだからよくわからない。
たまたま割引で$15だったからまだ許せるが
せめてクラブイベントとして記載して欲しい物だ。
どう見てもミュージカルではないな。
Cinderella
久しぶりのオンミュージカル。
言わずと知れたシンデレラのミュージカル化作品。
ディズニー印ではないのでアニメのシンデレラとは別物です。
一応音楽はロジャーズ&ハマースタイン。
でもそもそもテレビ映画用に書かれた作品とかで
そこまで音楽に魅力を感じなかった。
作品自体もなんだかちょっと物足りない。
全体的にちょっとお金がかかってない感じ。
ディズニープロダクションの夢の世界感に比べると
やはり劣ります。
脚本もなんだか無理矢理引き延ばして
民主主義のことなんか歌い出して選挙までやっちゃうのが
どうも胡散臭く感じてしまう。
こういう作品はブロードウェイらしく
信じられないくらい豪華に作って欲しい。
夢の世界があまり感じられないのが残念。
まあまとまってはいるんだけどね。
Wizard of Song
オフのレビューショウ。
オズの魔法使いの作曲家で数々の名曲を残した
ハロルド・アーレンの歌をひたすらきかせてくれる。
まあレビューショウなので何がどうというわけではないのだが
メインのトリオのハーモニーがあまり良くない。
歌もの作品なんだからもう少しクオリティーの高い物を期待していた。
ステージングもまあそれなりについてるんだけど
ちょっとお粗末な感じは否めない。
まあ観客はご高齢の方々ばかりで懐メロに浸って楽しんでいたから
それはそれでいいのかもしれない。
The Jammer
ローラーゲームを題材にしたオフのコメディー。
なかなかセットも面白くあえてチープに仕立てたセットが
ポップで観ていてたのしい。
話は至って簡単で特に心に残るようなものではないが
演出的にセットと有機的に処理されていることで
それぞれのシーンがとても面白く表現されている。
こういうアイディアで勝負する作品は趣味が合えば
かなり楽しめるからいい。
馬鹿馬鹿しい中身のないコメディーが結構好きである。
ローラーゲームには去年からちょっとゆかりがあるので
それもまた愛着が持てた要因かもしれない。
気軽に楽しめる作品。
Rigoletto
Metのオペラ。
お世話になっているマイケル・メイヤー氏の演出作品。
約5時間ラッシュに並んでチケットを手に入れた。
まあ暇な時期で良かった。
なかなか斬新というかミュージカル的な仕上がりであった。
舞台設定自体がオリジナルとは違うので
解釈もまったく変わってしまっているのだろう。
それはそれで面白い試みだと思う。
セットもマイケル氏らしい仕上がり。
彼の色がはっきり見て取れる。
ただここまで違うとオリジナル版も観てみたい。
それからオペラを観ると思うのだが
CDや映画館、映像などでオペラを鑑賞できるようになって
逆に劇場に行ってみるとなんだか物足りなくなってしまう。
電気で拡声された音圧に慣れているせいだろうか。
もしくは我々が買えるような後ろの席ではオペラの醍醐味を
味わえないということだろうか。
これはミュージカルにも言える事でCDを聴き込んで行くと
かなりがっかりすることがある。
ある種の弊害なのかもしれないが
リアルに体感できる物なのに再生可能なメディアのイメージに左右されるというには
なんだか本末転倒な気もして考えさせられる。
Avenue Q
この作品もCDはもっているけど観た事ないロングラン作品。
相変わらず後回しにしていたのだが観る物がなく観た。
自分の周りにもファンが多い作品なので
期待はしていたが
期待を裏切らない作品だった。
馬鹿馬鹿しくてくだらないけどあったかくて深い。
とてもよくできたコメディーミュージカルである。
現在はオフで上演されていてこの空気感がとてもいいと思ったのだが
オンで上演されていた時はどうだったのだろうかと勘ぐってしまう。
あんまり大きい劇場には不向きな作品だと思う。
それにしても俳優の芸達者ぶりには感心する。
稽古をみたり俳優のアフタートークなどを聞いてみると
やはり稽古のノリが劇団チックなのである。
商業演劇的な時間と政治に縛られる稽古ではなく
クリエイティブでアイディアを出し合う環境を感じる。
こういう訓練を必要な作品が昨今は多くなって来た。
楽器の演奏、パペット操作などなど。
俳優がそれらを訓練して会得していくことを厭わない土壌が
日本にも欲しい物である。
The Service Road
ニューヨーク技術大学のアートプロジェクト公演。
パペットやら映像、ギミックメカなどなど
新しい技術と演劇のコラボ作品なのだが
なんだか俳優の技量が足らずにちょっと恥ずかしい感じ。
それぞれの技術はなかなか面白いが
ストーリー自体もなんだかじめじめとして暗く
俳優の技量もあいまってちょっとお粗末な仕上がり。
まあ大学の提携公演だからしかたないのかな。
でも色んな発見や驚きはあって楽しめる部分もあったかな。
こういう演劇とのコラボレーションは日本でもどんどん行って欲しいものである。
Fiorello!
この作品NYに来たばっかりの時に学生達の発表会を観に行って1幕で出て来た因縁の作品である。
今回はアンコール!というリヴァイバル団体の上演でコンサート的な上演。
出演している俳優達は一流なのでなかなか歌唱は素晴らしい。
オケも豪華なので聞き応えがあった。
まあ演出的にはどうこう言うようなプロダクションでもなかったが
それなりにきちんと成立はしていた。
今回は最後まで観たのだが
ピューリッツアー賞を獲得した作品にしてはいまいちストーリーとして締まりがないと感じる。
古いミュージカルだから仕方がないのかもしれないが
ご当地ヒーローのフィオレロ・ラガーディアが主人公であるということが評価に値したのだろう。
個人的にはもっとドラマを期待してしまうがコミカルな作品としては無難にまとまっている印象だ。
こっちにきてピューリッツアー受賞作やノミネート作を10本近く観たのだが
どれもが名作という感じでもない気がする。
単に英語力がなく言葉の美しさを評価できないからかもしれないが
立体化されたものを観る限り全てが全て評価に値するとは限らない気もして来た。
どんなに良い脚本でも演出いかんではやはり名作になり得ないのだろう。
All The Rage
スパマロットやキャバレーなどで活躍した俳優の一人芝居。
自分で脚本を書いて自分で演じている。
なかなか脚本が面白い。
怒りたくても怒れない。
怒りたくないのに怒ってしまう。
怒りを覚えるべきことなのに怒りが消えてしまう。
「怒り」にまつわる彼の実体験をうまく軽妙にまとめて解説してくれる。
児童虐待、人生の意味、義理の母親、チャドの虐待された難民
南アフリカの猿人、パンゲア、弟の死、などなど
色んな話が入り交じっていくなか彼の人間性が見て取れ
とても好感が持てた。
演出は別の人でこの演出がかなり洗練されていた。
無駄なく適度に飽きさせない。
普通はこれだけ一人で話まくるのだから聞いてるほうも途中で疲れてしまう。
こういう一人芝居はセンスが非常に大事である。
上品にいい塩梅でまとまっている作品だ。
All in The Timing
20年ぶりにリヴァイバルされたオムニバス作品集。
6本のショートプレイの連続上演作品。
演出が敬愛するジョン・ランドー。
とても面白かった。
久しぶりのヒット作である。
まず脚本が素晴らしい。
6本それぞれ本当に面白い。
馬鹿馬鹿しいコメディーなのだが
どこかペーソスを感じるいい加減なのだ。
目の付け所が本当にいい。
出会いからデートに至るまで
実験中のチンパンジー
偽原語教室
パン屋のラッパー
多次元世界
トロツキーの死
こんな脚本が書けたらなあと心から思う。
また演出も当然素晴らしい。
彼のコメディーは馬鹿馬鹿しくてくだらないのにどこか
暖かい。
この暖かさがとても愛らしくて心地よい。
本当に馬鹿みたいに客席は爆笑だが
どこかほっこりしたりほろりとさせられる。
今回は俳優も素晴らしかった。
「ピーターと星の守護団」に出ていたキャストが二人出演していて
彼らは抜群に上手い。
フック船長とテッドという友人役を演じていた二人なのだが
もう職人である。
こんなに技巧的に演じられる俳優が日本にいるのだろうか?
しかも彼らは「ピーター~」が終わって3日後にこの作品の初日を迎えている。
なかなか恐ろしスケジュールであるがしっかりこなしている。
いやあ感服である。
こっちに来て観たコメディーの中ではほぼNo.1の作品であった。
もっと品のない爆笑作品はたくさんあったが
このくらいの塩梅でここまで笑わせてくれる作品はなかなかなかった。
日本でも上演したいと心から思う作品だ。
さてそんなこんなで通算110本になりました。
記念すべき100本目の作品は ”My Name Is Asher Lev” でした。
5ヶ月ちょっとで110本なので年間200本ぐらいは行けるかなあ。
最近は脚本の翻訳にチャレンジしたい欲は出て来ました。
時間を見つけてトライしてみたいですね。
書類ももう少しで完成。
いい結果がでることを祈ります。
ではまたそのうち書きます。