オープンラッシュが落ち着いてきました。
もうオンの新作もめぼしい物は全て開いた感じです。
とはいえプレビュー中の物もあるので
気になる作品はまた観に行ってみたいものですが
そこまでお金があるのかなあ。
とりあえずチケットが取れずに5月半ばに観る事にした
Motown以外はストレートも含めて観れた気がします。
ということで今後はオペラや、オフ作品にシフトチェンジですね。
新作のキャスティングも始めていてなんだか色々と考えることが多く
観劇中も集中できないときがあります。
英語なもんでかなり集中しないと意味がわからないのに
なんか自分の脚本のこと考えたりしてしまっていいんだか悪いんだか。
よく仕事中は袖にいながら稽古のことやセットのことを考えながら
時間を過ごしていたことを思い出します。
おかげできっかけ直前にはっとしたりよくするので
褒められたもんじゃありません。
オープンラッシュが終わったという事でこれからは演劇賞ラッシュですね。
まずは小劇場メインのルーシル・ロータル賞とドラマ・ディスク賞。
ノミネート作品を眺めるとうなずけるものが多くてほっとしました。
ピューリッツアー賞の受賞作は見逃してて残念。
これからトニー賞に向けて逐一情報が楽しみです。
Bunty Berman Presents...
インドのボリウッドと呼ばれる映画産業を描いたおばかなオフミュージカル。
プレヴュー初日で本当にばたばたで開演も15分押してましたが
なかなか面白かった。本当にくだらない作品なんですが
AvenueQを作ったプロダクションなだけはありますね。
インドの映画産業を上手く茶化して面白可笑しく描けてる。
正直言って歌唱はいまいちでコーラスもしょぼいしソリストが上手くないんだけど
それでも充分楽しく観れました。
こういうどたばた喜劇は本当に面白いなあ。
落ち目の映画スター、落ち目のスタジオ。
立て直そうと奮闘する社長達。付け入るマフィアとそのぱ馬鹿な息子。
それぞれのくだらないプライドやら必死感が滑稽で面白い。
自分が昔書いてたスタイルに激似な感じがまたぐっときましたね。
歌が下手でも面白けりゃいいだろ?って感じが開き直っててよかった。
まあこの下手さを逆手に取ってるって言うのも上手いんだろうなあ。
The Big Knife
クリフォード・オデッツの映画化もされた戯曲のリバイヴァル上演。
ラウンドアバウトという大きなプロダクションが作っている作品。
映画は日本では未公開らしいです。
昔の契約に縛られ馬車馬の様に働かされるハリウッドスターが
妻の為に引退を決意するが昔起こしたひき逃げ事件を脅しに使われ
止むなく契約を結んでしまうあげく耐えられずに自殺してしまうという
まあなんとも救われないはなし。
豪邸を舞台にした室内劇で淡々と進んで行きます。
ちょっと飽きちゃいますね。そもそもハリウッドスターの贅沢な生活を
これでもかと目の当たりにすると同情できない貧民の私。
ハリウッドの暗部をえぐった作品としての意義はあるものの
あまり共感出来る部分が少なかった。
夢を叶えるのに必死な我々には贅沢な話だろ!って思っちゃうから。
まだまだ気持ちだけは若いんですかね。
成功者の苦しみや孤独を描いてるんだけどまだちょっとそこまで
大人になれません。
Richard III
知人の美術家さんのゲネに招待して頂きました。
美術はなかなか素敵でした。
シグネチャー・シアターにある劇場の美術を担当するなんて
さすがだなあと思ったりして。
こないだはデイヴィッド・ヘンリー・ウォンの芝居がかかってた所。
シェイクスピアのリチャード三世をなんとなく現代風にアレンジして
わかりやすく上演してました。
それにしても複雑な話ですね。もう誰が誰だかわかりません。
もう少し勉強して望むべきでしたね。
ちょっと予習足らず。バラ戦争とか昔勉強したのになあ。
世界史大好き人なのに不覚にもすっかり忘れているとは。
高校生以来勉強していないことが後悔されます。
Jekyll & Hyde
日本でもおなじみな作品ですね。
もう本当に期待をしてちょっと高めのチケットを買っちゃった訳です。
何せ「Rock of Ages」でオリジナルの主演を務めたあのコンスタンティン氏が
タイトルロールを演じる訳ですから。
「Rock of Ages」では本当に歌唱力の高さに度肝を抜かされました。
こんなにロックを歌いこなすミュージカル俳優がいるのかと。
まあ調べてみたら別にミュージカル俳優ではなかったんですけどね。
俳優というかタレントさんです。American Idol出身ですもの。
それでも彼の歌声をCDで聞きまくってたし久しぶりに観れるなとかなり期待。
ところがですよ、
まあ本当にびくりするほど駄目な仕上がり。
そもそも音楽を全体的にロック調にしてるんだけど
アンサンブル達の歌唱がひどい。
なんかロックテイストを意識してるんだかどうかわからないけど
あの「ファサード」なんて歌唱が下手糞だし演出がひどい。
鏡の吊りものを縦にしたり横にしたりと動かして貴族達が着替える?
あの音楽のダイナミズムをまったく消してます。
そもそもジキルのキャラクターがまったく魅力的じゃない。
なんかいわゆるオタク的な雰囲気で声も小さいし
歌唱に至ってはキャラクターのせいなのか
声を張らないから常にやや♭。
まったく好青年には見えないくせに彼女は美人ときたもんだ。
どうやったら彼の事を好きになるんでしょうか?
そもそもそんなオタクキャラが娼館にいこうと誘うとこなんて意味不明です。
実験の許可が下りずに落ち込んでたけど婚約はできてそんで
バチュラパーティーだ!ってなるキャラには見えないんですよ。
唯一「時が来た」は持ち前の歌唱力を活かして歌で押し切ってましたが
ここの演出もなんだか陳腐なんですね。
薬品を飲むんじゃなくて複雑なしかけにしたもんだから
なんか段取りが多くて変身が大変・・・
オタッキーな愚直な科学者を描きたかったんでしょうけど
それならもっと設定を変えなくては成立しないでしょう。
まあハイドに変身してからはロック歌唱で歌唱自体はそこまで
気にならないんですがちょっと演出は全体的にひどくて
もう映像バン!明かりバン!って感じで何も想像できない。
案外お客さんは正直で変身した別人という設定に入り込めないもんだから
変身する度にせせら笑う始末。
いやいや本人は真剣にやってるんでしょうけど
笑われる作品つくっちゃ駄目でしょう演出家は。
同一人物に別人格が宿っていることに説得力を持たせることが
演出家の仕事だと思いますがそこにまったく力点が置かれてない。
ただ外連味と勢いだけで作ってあるから別人に見えないんですよね。
観客の嘲笑が・・・
そして最期の対決シーン。
もうなんかのアトラクションかと思うぐらいの映像ショー。
そもそも一人の俳優が二つの人格を演じ分けるという演劇的な
アプローチが巧妙だったのに
事前に作られた映像と声に合わせて俳優が演じても
なんの意味もありません。
そもそも同一人物じゃなくなってるわけですから意味不明です。
スクリーンに映し出された映像と対峙する時点で
何か違うなと思わなかったんでしょうか?
もはや原作の持つ風合いはどこかに消えてしまいました。
せめてもの救いは女優陣がなかなかよかったことですかね。
二人の歌唱は素晴らしかったです。
ただそれも趣味の悪い演出のおかげで不格好に見えてしまうのが残念。
Newsiesの演出家なんですが確かにあの作品は振り付けは良かった。
演出的には杜撰な部分が垣間見えた記憶があります。
Newsiesは別に振り付け家を立てていましたが今回は自らやったようです。
それもよくなかったのかな。
ボニー&クライド、ビッグリバーなんかをやってる人なんですね。
う~んほんとに残念。もったいないなあ。
The Memory Show
痴呆を患ってしまった母親を介護するために嫁に行き遅れた娘が帰って来る話。
なかなか音楽のセンスのいいミュージカルでした。
ジェーソン・ロバート・ブラウンが女性だったら?みたいな曲調。
オフミュージカルにしては豪華な編成でした。
物語自体は母親の記憶が消えて行くさまを
娘が側で見守りながら自分の人生についても考える的なはなし。
母親役の女優の芝居はとても体当たりながらコミカルで緩急があり好感が持てました。
ヒステリーを起こして錯乱するところもあれば恍惚と妄想にふけり上機嫌になったり
矍鑠と娘に説教したり。
親の背中を見て子供は育ちます。いつまでも親は親であり子は子です。
でももし自分のことを母親がわからなくなったら。
自分の娘のことを覚えていられなくなったら。
色んな葛藤、悲しみ、苦しみが見えて来ます。
それをコミカルに笑い飛ばしながらも現実に向き合うしかない。
人生と同じですね。終わりという現実がある。
その間は夢みたいな時間なんだと思います。
でもどんな夢がみたいのか?
もしくはどう死ぬのが幸せか?
いつ幸せを味わいたいのか?
死ぬ時か?今か?
そこに答えはありません。それに自分では選べません。
人生の終わりを迎えた時に誰が側にいるのか?
そんな事を考えながら作品に集中できず・・・
まあいいか。音楽よかったし。
Four Message
この作品は長かったんだけなかなか面白かった。
今ではミュージシャン、俳優として活躍する作者の自伝的な作品。
ギターを片手に自らの人生を面白可笑しく語ります。
1幕はとにかく生い立ち、神様の啓示でミュージシャンを志したこと
ジョン・ハモンドとの出会いなどなど。
成功を掴む寸前でプロデューサーであるハモンド氏が他界してしまったそうです。
けっこう波瀾万丈な人生をおくってます。
というかとにかく歌とギターがうまい。
ギター2本とバイオリン一本でこんなに素敵に聴こえるんだなあと感心。
まあ箱も小さかったからよかったのかも。
なぜ2幕からは後ろでギターを弾いてたお兄ちゃんが主人公を演じます。
バイオリンのお姉ちゃんが彼女役。
いわゆるミュージシャンカップルの幸せ、結婚、流産などなど。
そして二人は別れてしまう。悲しいですね。
当事者がそこで歌ってるわけです。本人が。
どこまで本当なのかはわかりませんが
歌う彼の目には何かが浮かんでいたように思えました。
自分の人生を投影することはとても勇気がいります。
色んなことをさらけ出さなくてはいけないし
自分なりに自分の人生に結論を出さなくてはいけません。
しかもその結論は間違っているかもしれない。
でもそうしなくてはいけない何かがあるし
乗り越えたい何かがあるんだと思います。
そんな何かを感じる事ができました。
残念だったのは2幕で主人公を演じてたおにいちゃん。
芝居はまあ及第点なんだけどギターと歌が・・・
本人に比べると付け焼刃感満載でした。
もったいない。
Totem
シルク・ド・ソレイユです。
とりあえずテーマがいまいちわからなかったのですが
どうやら「水から空へ」的な感じでした。
両生類から進化して地上に、そして空を求めるみたいな。
年始にみたNY名物のアットホームサーカスを思い出しました。
あれはあれで個人的にはあったかい気持ちになって好きでした。
まあこちらは世界のアートサーカスですから
それとは違って壮大で美しいことが目白押し。
とにかく衣裳が凄いですね。
もうキラキラピカピカで。
前から2列目だったおかげでかなり細かく見えました。
本当によくできてます。
こういう美しさへのこだわりは素晴らしいですね。
曲芸の数々は確かに素晴らしいし驚く事ばかり。
人間ってこんなこともできるんだと感心しました。
本当に生ものだなと思ったのはやっぱり失敗もするわけです。
観ていて本当にドキドキします。
彼らは本当に大変だろうな。正に身を削ってる訳です。
家族や友人達とわいわいいいながら観たい物ですね。
ただわかったのはどうやらこういう見せ物という感じのものに
そこまで魅力を感じないようです。
本当に素晴らしい作品なんだなとはわかるんですが
個人的にはもっと自分で考えたり深めたりできる物の方が好きなんだなと。
登場人物の心情やドラマを感じたり考えたりしたくなっちゃう。
本当に凄かったんですけどね。好みですね。
だから昔からスポーツよりも読書や音楽が好きだったりしたのかな。
まあ病弱だったこともありますけどね。
でもまた違う作品が観てみたいですね。
今日までで185本ですかね。
今夜はこれからオフのミュージカル。
なかなか劇評がいいから期待です。
誘惑に負けてマックを食べてしまったし。
眠くならないようにしなくては。
ではまた書きます!
もうオンの新作もめぼしい物は全て開いた感じです。
とはいえプレビュー中の物もあるので
気になる作品はまた観に行ってみたいものですが
そこまでお金があるのかなあ。
とりあえずチケットが取れずに5月半ばに観る事にした
Motown以外はストレートも含めて観れた気がします。
ということで今後はオペラや、オフ作品にシフトチェンジですね。
新作のキャスティングも始めていてなんだか色々と考えることが多く
観劇中も集中できないときがあります。
英語なもんでかなり集中しないと意味がわからないのに
なんか自分の脚本のこと考えたりしてしまっていいんだか悪いんだか。
よく仕事中は袖にいながら稽古のことやセットのことを考えながら
時間を過ごしていたことを思い出します。
おかげできっかけ直前にはっとしたりよくするので
褒められたもんじゃありません。
オープンラッシュが終わったという事でこれからは演劇賞ラッシュですね。
まずは小劇場メインのルーシル・ロータル賞とドラマ・ディスク賞。
ノミネート作品を眺めるとうなずけるものが多くてほっとしました。
ピューリッツアー賞の受賞作は見逃してて残念。
これからトニー賞に向けて逐一情報が楽しみです。
Bunty Berman Presents...
インドのボリウッドと呼ばれる映画産業を描いたおばかなオフミュージカル。
プレヴュー初日で本当にばたばたで開演も15分押してましたが
なかなか面白かった。本当にくだらない作品なんですが
AvenueQを作ったプロダクションなだけはありますね。
インドの映画産業を上手く茶化して面白可笑しく描けてる。
正直言って歌唱はいまいちでコーラスもしょぼいしソリストが上手くないんだけど
それでも充分楽しく観れました。
こういうどたばた喜劇は本当に面白いなあ。
落ち目の映画スター、落ち目のスタジオ。
立て直そうと奮闘する社長達。付け入るマフィアとそのぱ馬鹿な息子。
それぞれのくだらないプライドやら必死感が滑稽で面白い。
自分が昔書いてたスタイルに激似な感じがまたぐっときましたね。
歌が下手でも面白けりゃいいだろ?って感じが開き直っててよかった。
まあこの下手さを逆手に取ってるって言うのも上手いんだろうなあ。
The Big Knife
クリフォード・オデッツの映画化もされた戯曲のリバイヴァル上演。
ラウンドアバウトという大きなプロダクションが作っている作品。
映画は日本では未公開らしいです。
昔の契約に縛られ馬車馬の様に働かされるハリウッドスターが
妻の為に引退を決意するが昔起こしたひき逃げ事件を脅しに使われ
止むなく契約を結んでしまうあげく耐えられずに自殺してしまうという
まあなんとも救われないはなし。
豪邸を舞台にした室内劇で淡々と進んで行きます。
ちょっと飽きちゃいますね。そもそもハリウッドスターの贅沢な生活を
これでもかと目の当たりにすると同情できない貧民の私。
ハリウッドの暗部をえぐった作品としての意義はあるものの
あまり共感出来る部分が少なかった。
夢を叶えるのに必死な我々には贅沢な話だろ!って思っちゃうから。
まだまだ気持ちだけは若いんですかね。
成功者の苦しみや孤独を描いてるんだけどまだちょっとそこまで
大人になれません。
Richard III
知人の美術家さんのゲネに招待して頂きました。
美術はなかなか素敵でした。
シグネチャー・シアターにある劇場の美術を担当するなんて
さすがだなあと思ったりして。
こないだはデイヴィッド・ヘンリー・ウォンの芝居がかかってた所。
シェイクスピアのリチャード三世をなんとなく現代風にアレンジして
わかりやすく上演してました。
それにしても複雑な話ですね。もう誰が誰だかわかりません。
もう少し勉強して望むべきでしたね。
ちょっと予習足らず。バラ戦争とか昔勉強したのになあ。
世界史大好き人なのに不覚にもすっかり忘れているとは。
高校生以来勉強していないことが後悔されます。
Jekyll & Hyde
日本でもおなじみな作品ですね。
もう本当に期待をしてちょっと高めのチケットを買っちゃった訳です。
何せ「Rock of Ages」でオリジナルの主演を務めたあのコンスタンティン氏が
タイトルロールを演じる訳ですから。
「Rock of Ages」では本当に歌唱力の高さに度肝を抜かされました。
こんなにロックを歌いこなすミュージカル俳優がいるのかと。
まあ調べてみたら別にミュージカル俳優ではなかったんですけどね。
俳優というかタレントさんです。American Idol出身ですもの。
それでも彼の歌声をCDで聞きまくってたし久しぶりに観れるなとかなり期待。
ところがですよ、
まあ本当にびくりするほど駄目な仕上がり。
そもそも音楽を全体的にロック調にしてるんだけど
アンサンブル達の歌唱がひどい。
なんかロックテイストを意識してるんだかどうかわからないけど
あの「ファサード」なんて歌唱が下手糞だし演出がひどい。
鏡の吊りものを縦にしたり横にしたりと動かして貴族達が着替える?
あの音楽のダイナミズムをまったく消してます。
そもそもジキルのキャラクターがまったく魅力的じゃない。
なんかいわゆるオタク的な雰囲気で声も小さいし
歌唱に至ってはキャラクターのせいなのか
声を張らないから常にやや♭。
まったく好青年には見えないくせに彼女は美人ときたもんだ。
どうやったら彼の事を好きになるんでしょうか?
そもそもそんなオタクキャラが娼館にいこうと誘うとこなんて意味不明です。
実験の許可が下りずに落ち込んでたけど婚約はできてそんで
バチュラパーティーだ!ってなるキャラには見えないんですよ。
唯一「時が来た」は持ち前の歌唱力を活かして歌で押し切ってましたが
ここの演出もなんだか陳腐なんですね。
薬品を飲むんじゃなくて複雑なしかけにしたもんだから
なんか段取りが多くて変身が大変・・・
オタッキーな愚直な科学者を描きたかったんでしょうけど
それならもっと設定を変えなくては成立しないでしょう。
まあハイドに変身してからはロック歌唱で歌唱自体はそこまで
気にならないんですがちょっと演出は全体的にひどくて
もう映像バン!明かりバン!って感じで何も想像できない。
案外お客さんは正直で変身した別人という設定に入り込めないもんだから
変身する度にせせら笑う始末。
いやいや本人は真剣にやってるんでしょうけど
笑われる作品つくっちゃ駄目でしょう演出家は。
同一人物に別人格が宿っていることに説得力を持たせることが
演出家の仕事だと思いますがそこにまったく力点が置かれてない。
ただ外連味と勢いだけで作ってあるから別人に見えないんですよね。
観客の嘲笑が・・・
そして最期の対決シーン。
もうなんかのアトラクションかと思うぐらいの映像ショー。
そもそも一人の俳優が二つの人格を演じ分けるという演劇的な
アプローチが巧妙だったのに
事前に作られた映像と声に合わせて俳優が演じても
なんの意味もありません。
そもそも同一人物じゃなくなってるわけですから意味不明です。
スクリーンに映し出された映像と対峙する時点で
何か違うなと思わなかったんでしょうか?
もはや原作の持つ風合いはどこかに消えてしまいました。
せめてもの救いは女優陣がなかなかよかったことですかね。
二人の歌唱は素晴らしかったです。
ただそれも趣味の悪い演出のおかげで不格好に見えてしまうのが残念。
Newsiesの演出家なんですが確かにあの作品は振り付けは良かった。
演出的には杜撰な部分が垣間見えた記憶があります。
Newsiesは別に振り付け家を立てていましたが今回は自らやったようです。
それもよくなかったのかな。
ボニー&クライド、ビッグリバーなんかをやってる人なんですね。
う~んほんとに残念。もったいないなあ。
The Memory Show
痴呆を患ってしまった母親を介護するために嫁に行き遅れた娘が帰って来る話。
なかなか音楽のセンスのいいミュージカルでした。
ジェーソン・ロバート・ブラウンが女性だったら?みたいな曲調。
オフミュージカルにしては豪華な編成でした。
物語自体は母親の記憶が消えて行くさまを
娘が側で見守りながら自分の人生についても考える的なはなし。
母親役の女優の芝居はとても体当たりながらコミカルで緩急があり好感が持てました。
ヒステリーを起こして錯乱するところもあれば恍惚と妄想にふけり上機嫌になったり
矍鑠と娘に説教したり。
親の背中を見て子供は育ちます。いつまでも親は親であり子は子です。
でももし自分のことを母親がわからなくなったら。
自分の娘のことを覚えていられなくなったら。
色んな葛藤、悲しみ、苦しみが見えて来ます。
それをコミカルに笑い飛ばしながらも現実に向き合うしかない。
人生と同じですね。終わりという現実がある。
その間は夢みたいな時間なんだと思います。
でもどんな夢がみたいのか?
もしくはどう死ぬのが幸せか?
いつ幸せを味わいたいのか?
死ぬ時か?今か?
そこに答えはありません。それに自分では選べません。
人生の終わりを迎えた時に誰が側にいるのか?
そんな事を考えながら作品に集中できず・・・
まあいいか。音楽よかったし。
Four Message
この作品は長かったんだけなかなか面白かった。
今ではミュージシャン、俳優として活躍する作者の自伝的な作品。
ギターを片手に自らの人生を面白可笑しく語ります。
1幕はとにかく生い立ち、神様の啓示でミュージシャンを志したこと
ジョン・ハモンドとの出会いなどなど。
成功を掴む寸前でプロデューサーであるハモンド氏が他界してしまったそうです。
けっこう波瀾万丈な人生をおくってます。
というかとにかく歌とギターがうまい。
ギター2本とバイオリン一本でこんなに素敵に聴こえるんだなあと感心。
まあ箱も小さかったからよかったのかも。
なぜ2幕からは後ろでギターを弾いてたお兄ちゃんが主人公を演じます。
バイオリンのお姉ちゃんが彼女役。
いわゆるミュージシャンカップルの幸せ、結婚、流産などなど。
そして二人は別れてしまう。悲しいですね。
当事者がそこで歌ってるわけです。本人が。
どこまで本当なのかはわかりませんが
歌う彼の目には何かが浮かんでいたように思えました。
自分の人生を投影することはとても勇気がいります。
色んなことをさらけ出さなくてはいけないし
自分なりに自分の人生に結論を出さなくてはいけません。
しかもその結論は間違っているかもしれない。
でもそうしなくてはいけない何かがあるし
乗り越えたい何かがあるんだと思います。
そんな何かを感じる事ができました。
残念だったのは2幕で主人公を演じてたおにいちゃん。
芝居はまあ及第点なんだけどギターと歌が・・・
本人に比べると付け焼刃感満載でした。
もったいない。
Totem
シルク・ド・ソレイユです。
とりあえずテーマがいまいちわからなかったのですが
どうやら「水から空へ」的な感じでした。
両生類から進化して地上に、そして空を求めるみたいな。
年始にみたNY名物のアットホームサーカスを思い出しました。
あれはあれで個人的にはあったかい気持ちになって好きでした。
まあこちらは世界のアートサーカスですから
それとは違って壮大で美しいことが目白押し。
とにかく衣裳が凄いですね。
もうキラキラピカピカで。
前から2列目だったおかげでかなり細かく見えました。
本当によくできてます。
こういう美しさへのこだわりは素晴らしいですね。
曲芸の数々は確かに素晴らしいし驚く事ばかり。
人間ってこんなこともできるんだと感心しました。
本当に生ものだなと思ったのはやっぱり失敗もするわけです。
観ていて本当にドキドキします。
彼らは本当に大変だろうな。正に身を削ってる訳です。
家族や友人達とわいわいいいながら観たい物ですね。
ただわかったのはどうやらこういう見せ物という感じのものに
そこまで魅力を感じないようです。
本当に素晴らしい作品なんだなとはわかるんですが
個人的にはもっと自分で考えたり深めたりできる物の方が好きなんだなと。
登場人物の心情やドラマを感じたり考えたりしたくなっちゃう。
本当に凄かったんですけどね。好みですね。
だから昔からスポーツよりも読書や音楽が好きだったりしたのかな。
まあ病弱だったこともありますけどね。
でもまた違う作品が観てみたいですね。
今日までで185本ですかね。
今夜はこれからオフのミュージカル。
なかなか劇評がいいから期待です。
誘惑に負けてマックを食べてしまったし。
眠くならないようにしなくては。
ではまた書きます!