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世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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Lincoln Center

2013-06-05 02:15:19 | tiptap
ここ数日雨やら夏日やらで天気が落ち着きませんが
今日はとても過ごしやすいぽかぽかした一日でした。
もうセントラルパークでは夏の風物詩となってきた
パブリックシアター主催の無料で観れる
シェイクスピア祭りが始まっています。
屋根のない屋外劇場での公演で
無料券を求めて朝から人が並びます。
まだ観れてませんがそのうち並んでみるつもりです。

さてそうこうしているうちに
Lincoln Center のDirectors lab が近づいて来ました。
7月から約一ヶ月、世界中から若手演出家が集まり
ワークショップを行います。

今年のテーマは「脚本」
いやはや言葉にハンデがある日本人ですから
準備が大変です。
脚本を読みこなして自分なりのプランを立てていかなければなりません。
俳優、セットデザイナー、脚本家などとチームを組んで作品を作るので
言いたい事がきちんと伝えられないと困ります。

そんなわけで日々「脚本」とも戦っております。
そろそろ観劇日記もまとめなくては。
随分お休みしてます。
またそのうち書きます。



同じ夢を追いかけて

2013-05-26 01:19:00 | tiptap
フリンジ参加のための日々が始まり
怒濤のように時間が過ぎて行きます。
毎日のように色んな方々と会って
相談にのって頂きなんとか少しずつですが
できることから進めています。

そもそも「Count Down My Life」は
僕がずっと書きたかった作品。
ただあまりにも自分とリンクする部分が多く
こっぱずかしい気持ちもありながら
先が見えない苦しさや、人生に対する漠然とした不安から
自分を奮い立たせるために書いた作品です。

思い起こせば作品に興味を持ってくれた
須藤香菜さんから少しずつ輪が広がって行き
沢山の仲間に出会えました。
本当に彼女には感謝しきれません。
彼女の高い志が僕に勇気をくれました。
本当にありがとう。

僕は勝手に大学時代からのつながりで
「すーちゃん」って呼んでますが
先日もNYで会えてとても嬉しかった。
同じ志を持った仲間がいるのは本当に誇らしい。


この作品は初演時からNYでの公演を目指して来ました。
作品に携わってくれた人は
僕の途方もない馬鹿げた夢を真剣に聞いてくれて
こんな小さな実績もない団体に
気持ちで参加してくれた方々ばかりです。

そんなみんなの夢をやっと実現させらるところまでやってきました。
今回頂いたお話はこれまで携わってきて頂いた俳優、スタッフ、
劇場に足を運んで頂いたお客様、
DVDを購入して鑑賞して頂いたお客様
本当に全ての皆様のお陰で掴めたチャンスだと思っています。

同じ夢を追いかけてる仲間。

そんな仲間の夢を実現できるように
毎日毎日頑張って行きます。









賞と賞の間に。

2013-05-17 13:32:14 | tiptap
今日は Drama League Award の発表日。
明後日は Drama Desk Awardの発表日。
トニーに向けてどんどん盛り上がっております。

さてそんななか一応観劇もしてるのでさくっとご紹介。


Motown the Musical

アメリカの音楽の一時代を築いた
Motownというレコード会社を立ち上げた
ベリー・ゴーディーを主人公に彼が手がけた
アーティスト達が次々登場するジュークボックスミュージカル。
中身はあってないようなもので
とにかく一世を風靡したスター達が出て来てヒット曲を歌うので
客席は大盛り上がり。
当時を知ってるお客さんは本当に涙を流して喜んでました。
芸術的な素晴らしさやドラマとして優れているわけではないけど
観た人が意味もなく元気にはなれる作品。
これはこれでいいのかな。
全体的にはメンフィスを希釈したようなストーリーなんですが
まあとにかくコンサートです。
評価は低いけどチケットは売れてます。
こういうのも必要なんですね。




Pinkolamdia

冷戦化のアメリカのメキシコ系一家のお話。
主人公の娘は一人でナチに追われるユダヤ人ごっこをして遊んでます。
なんとなく設定は面白いんだけど・・・
おばちゃんが娘を演じてるし
話がいまいち掴めなくて
結局1幕だけで劇場をでました。
セットは工夫されてて面白かったんだけど
ちょっと面白くなかったなあ。
外れるときは外れます。




Spandex: A New Musical for All Size

これは面白かった。
80年代に流行ったエアロビの全国大会を目指す人々を
馬鹿馬鹿しくくだらなく80年代の音楽にのせて送るミュージカル。
音楽はもろパクりだってわかるぐらい当時の曲に激似。
俳優陣もまだフレッシュでエネルギッシュ。
内容は馬鹿でもわかるくだらなさ。
こういうお馬鹿ミュージカルはいいですね。
狭い空間でめちゃくちゃ踊ってました。
よかった。楽しかった。




Basilica

テキサスに暮らす家庭の崩壊を描いた作品。
生まれた子供と母親を捨てて街を出た男が
街に神父として返って来る。
母親と結婚して夢を諦め
息子を我が子として必死に育てて来た夫。
いままでは何もなく上手く行っていた家族が
少しずつ壊れて行く。
最後は全てを失ってしまう夫。
切ない。苦しい。でも現実。
夢を犠牲にして愛情を選んだのに・・・
人生ってうまくいきません。
誰かの為に生きてきたのを後悔してしまった時。
それは本当に辛い。



On Your Toes

日本でもアダム・クーパー主演の招聘公演が行われてます。
ブロードウェイミュージカルらしい作品。
とにかく踊って踊って踊ってくれます。
何より嬉しかったのは久しぶりにタップが観れた事。
こんなにタップが多い作品は本当随分観てません。
久しぶりに踊りたくなりました。
ロシアバレエ団がジャズミュージックで
作品を作るという画期的な出来事をモチーフにしています。
これは当時実際にあったことで
ニューヨーク・シティー・バレエの
設立者バランシンがチャレンジしていたことです。
歴史を感じますね。
本当にからっと明るい素敵な作品でした。




The Master Builder

イプセンの作品。
日本でも「棟梁ソルネス」という邦題で何度か上演されているようです。
セットが美しかった。設計事務所を模したセットですが
斜めに突き刺さったような鉄骨の骨組みが盆に載っていて
美しいシルエットを見せながら回転します。
作品の甘美な美しさを際立たせてました。
主人公の金も女も名声を手にした設計士が
若い魅力的な娘に心を奪われて破滅する様を描きます。
人間の危うさがよく描けている。
古典を損なわずに現代でも楽しめるように仕立て上げることは
とても面白いなと思います。
いつかチャレンじしてみたいですね。




Showgirls! The Musical

これは同名映画「ショー・ガール」のパロディー作品。
この映画自体が映画史に残る失敗作として有名。
ただカルト的に熱心なファンがいることもあり
会場は大盛り上がり。
劇場はナイトクラブ。
ストリップダンサーが主人公なもんだから
開演そうそうあっという間にトップレス。
もう歓声が凄い。
とにかくお下品に馬鹿馬鹿しくやってました。
ここまでくだらなく下品にやってくれればもう割り切ってみれます。
こういう作品が上演できるNYって凄いなあ。




The Weir

この作品オリヴィエ賞をとった名作なんですが
アイルランドなまりのおかげで久しぶりにほぼ理解できず。
辛かった。ちょっとは勉強して行ったのに。
まだまだです。本当にこれは脚本買って読み直します。
セットはアイリッシュパブを作り込んでてとてもよかった。
最近結構予習なしでも理解できてたのに・・・
はあ。頑張ります。



さて今回はこんな感じです。オフがほとんど。
オンはMotownぐらいでしたね。
通算214本。
来週は話題作が少しオープンします。楽しみです!

トニーの合間に

2013-05-09 00:16:04 | tiptap
プレイのノミネートについて紹介する前に
一週間の観劇作品をご紹介。
とうとう200本の大台をこえてきました。



I'm a Stranger Here Myself

第一次世界大戦後のドイツ、ワイマール共和国出身者達が
当時の自由で危ない空気の中生み出した音楽の数々を紹介しながら
亡命した彼等の人生を語る一人ミュージカル。
あの「キャバレー」の時代の話です。
本当に色んな人があの頃ベルリンにいたわけですね。
結果的に祖国を追われてしまう芸術家達ですが
そんな彼等が後の世に名前を残して行く姿が垣間見えて
なんだか胸が熱くなりました。
結局のところまたユダヤ人の話になっちゃうわけですが
NYという土地柄もあるんですかね。
あの当時のナチスの台頭をゆるしてしまう雰囲気は
当時の日本にもかなり似ています。
関東大震災のあとの復興から昭和モダン。
見せかけだけの好景気と右傾化。
これってなんだか似ていますよね。今の日本にも。
色々とみながら考えてしまいました。


This Side of Neverland

ピーターパンの作者は劇作家なんですが
彼の短編作品を2作続けて上演するオフのストレート作品。
一本目は歳をごまかしてる大女優の
ずぼらな私生活と彼女に憧れるファンの男性を描いた作品。
その女優の母親だと思われてしまう程普段はふけてるのに
舞台にたつとまだまだ20代前半に見えるという設定。
わかりやすいコメディーでした。小気味よい感じ。

2本目は爵位の授与をされる夫が
お知らせの手紙を送るのにタイプライターを雇ったところ
別れた妻がやってくるというこれまた喜劇。
妻が家を出た理由がタイプライターとして
自立するためだったと最終的に分かる話。

2作品とも当時の女性の苦労が見て取れて面白かった。



Different Animals

ダブル不倫の夫婦を描いたオフのコメディー作品。
病的にぶっとんだ不倫相手の彼女に振り回される夫婦と
妻の不倫相手。
妻は元カレの不倫相手の子供を妊娠してしまうし
夫は妻の不倫を見つけて自分の不倫相手と3人で暮らすことにする。
もうなんだかわけがわからないモラルもへったくれもない
はちゃめちゃなコメディーでした。
とにかく不倫相手のぶっとんだ彼女が凄過ぎて
ずっと笑いっぱなしでした。
この女優さんが脚本も書いてるようで流石ですね。



The Girl I Left Behind Me

欧米にも沢山いたんですね男装の麗人。
日本人的には宝塚で慣れ親しんでますが
こちらにも古くからそんな文化があったそうです。
まあいわゆるキャバレーやバーレスク的なのりですね。
そんな昔の男装の麗人達をとりあげた1人ミュージカル。
とは言え今になってはこっちの人には珍しいらしく
なんだかそれが面白かった。
当時の偏見やレズビアンに対する差別などなど
ちょっと重ための内容を実在した女性達をとりあげながら
歌い上げて行きます。なかなか面白かった。
宝塚好きな人が見ると本当に面白いんだろうなあ。



The Firework Maker's Daughter

同名の児童小説を元にオペラ化した作品。
オペラと言っても子供向け。
花火職人を父親に持つ娘が花火職人になる修行のため
冒険をして最後は花火の審査会で認められて父親を救うというお話。
影絵やスライド投影などてアナログな技術を駆使して
子供達を楽しませていました。
ただ最近オペラをひたすら字幕で観てたせいか
言葉が入ってこなくて変な感じ。
でも作品全体はとても暖かくて満足できました。
子供向けの作品を専門に上演する劇場で観たんですが
この劇場42ndSTのまさにタイムズスクエアの横にあるんです。
こんな一等地にあって子供向けの作品を上演し続けられるって凄いなあ。
日本じゃ子供の城がなくなるってのに。



The Caucasian Chalk Circle

ブレヒトの「コーカサスの白墨の輪」です。
「Spring Awakening」のダンカン・シークの音楽で上演。
こないだまで「Passion」を上演していた劇場。
凄く不思議な取り合わせですがちょっともったいない感じ。
生オケじゃないからちょっとチープでしたね。
作品の仕上がりは面白いし、演出も細部が行き届いてるんだけど
音楽と作品の質感が生じゃないからたまにミスマッチ感があった。
ぴったりはまってるところもあるんだけど
はまりきれてないところもあったりでおしかった。
まあこれは贅沢なのかもしれないですけどね。
個人的にはブレヒトって日本であまり観てこなかったんだけど
ラ・ママで観た「セチュアンの善人」しかり結構好きなんだと思います。
大学の卒論でかなり調べてこともあったりで
ブレヒトという人間の芝居観にはかなり共感しているので
作品に触れられるとなんだか嬉しいですね。
説教臭い感じがなんだか安心するのかもしれません。
因に観た人しかわからないけど
Onceのバイオリンのお姉ちゃんが主演でした。
全然雰囲気が違ってびっくりした。当然バイオリン弾いてました。
上手ですねえ。歌も芝居も。バイオリンも。




Old Fashined Prostitutes

これははっきりいって意味がわかりませんでした。
いや多分言葉がわかれば何か感じ取れたんだろうけど
台詞の詩的な美しさまでは読み取れないので
まったくもってキャッチできなかった。
そもそもこの作品はPublic Theatre製作で
前衛演劇の巨匠の数年ぶりの復帰作とか。
前衛なんだけど70歳オーバーなんですよ。
不条理というかナンセンスというかシュールというか
とにかく詩的な何かが断片的に行われるんです。
面白いっちゃ面白いけどストーリーなんてあってないし
ただただ詩が立体化したというイメージ。
客席もぽかんとなんだけど劇評を読むとかなり好評価。
こういう物をみると自分もまだまだなんだと痛感します。
でもこの意味不明な感じが面白いんだろうな。
ただ不思議なものがそこにあるって感覚はたしかにしました。
だから逆に演じる俳優の凄さがわかる。
これは俳優のモチベーションだとか感情だとかの次元じゃなく
俳優の生理を無視しているものです。
それでも立体化している俳優を目の当たりにすると説得力はあるわけです。
人間やればできるんです。俳優もね。
これはできないって言わせないぐらいの巨匠になればね。
それがいいかどうかは置いといてそう言う意味で
個人的にはとても勉強になりました。



Walküre, Die

ワーグナーの4部作の2作目「ワルキューレ」です。
どうやら今シーズンのラストだったらしく
Rushが買えずに立ち見でした。
とにかく疲れた。実はこの作品昔NYに来た時に一度観てるのですが
その時は爆睡してしまって記憶にありませんでした。
なので今回はリベンジなんですがなかなか面白かった。
やっぱりワーグナー作品の中でも人気作品になるわけです。
ライトモチーフもわかりやすくてキャッチーだし
話もそこまで突拍子がないわけでもない。
まあ近親相姦的な部分はありますが神話ですからね。
1幕2幕は立ちっぱなしで
3幕にやっと空席を見つけて座った途端睡魔が・・・
立ち見の疲れですかね。
なんとか最後まで頑張りました。
今期はこれで4部作の上演は終わりとか。
1作品だけ見逃してしまいました。
いつの日か制覇したいものです。




Murder Ballad

珍しく同じ作品を3度も観てます。
でもこの作品好きなんですよ。
話はたいしたことないんだけど演出と音楽がかなり好み。
今回は去年の暮れの上演からすぐに決まった再演のプレビュー初日。
ちょと劇場が大きくなってました。
広くなったせいかちょっと熱量が散漫になってしまった気もしますが
全体的な美しさは増した感じですかね。
主演というかヒロインの女性が違う女優になっていて
これが結構しっくりはまってました。
ちょっと前回のキャスティングだと
この人がこの人と恋におちるかな?ってところもあったけど
今回のほうが説得力はあったかも。
CDがでていたので買ってしまいました。
日本で上演したいなあ。
どこも上演しないならうちでやりたいなあ。



Far From Heaven

「Gray Gardens」のクリエイターが集まっての新作ミュージカル。
演出はNext to Normalのマイケル・グライフ。
かなり期待しておりましたが
Rushが買えなかったのです。
アドヴァンスチケットもSoldOutとかで
とりあえずキャンセル待ちして待ってたら
なんとキャンセル待ちが出て6ドルで観れました!
一列目のど真ん中。主演はKelli O'Haraです。
こちらじゃかなりのスターですからチケット売れてるんですね。
チケットは彼女のファンが抽選で当たったんだけど友人が来れなくなったとかで
一枚余ってるから発券手数料の5ドルでいいと言って売ってくれたのです。
僕は20ドル札しか持ってなくて彼女が14ドルしかおつりがなかったので
1枚6ドル。交渉成立。かなりラッキー。

まだプレビュー初日ということもあってかなりばたばたしてました。
当然主演女優は素晴らしいのですがちょっと作品には期待はずれ。
本の内容自体がそこまで共感できないし新しくもない。
夫がゲイだとわかって庭師の黒人さんを好きになる主婦を描くんですが
時代が50年代だからまあ色々と大変なのはわかります。
だけどなんか主人公の境遇が贅沢すぎてそんなに寄り添えない。
逆にもっといけないことってな感じでセクシャルでエロティックに
描けば面白くなるのかなあ。物語にあまり魅力を感じませんでした。
妻が庭師に惹かれているいく部分にもっとスリリングな何かが欲しいなと。
でも全体的に上品に仕上げたいんだと思うしこれはこれでいいのかな。
演出も奥のスクリーンにいちいち具体的な映像を投影したりと
ちょっと好みじゃなかった。再演のRENTで感じたあの感じです。
まあまだまだプレビューも長いのでこれから変わっていくのでしょう。
マイケル・グリーフの演出は作品によって善し悪しが結構わかれる気がします。
想像力を駆使させる趣向の時はかなり個人的に好きなんですが
今回やRENTの再演などはちょっと説明的になりすぎていて
わかりやすいけど心に響かないなあと思う事があります。
「Giant」なんかは素晴らしかった。もちろん「Next to Normal」もね。
とは言え好みの問題かもしれません。


今日までで206本。
200本目はThe Girl I Left Behind Meでした。
あと3ヶ月半で何本まで行けるのでしょうか。
250本ぐらいはいけるかな。

次こそはプレイのノミネートについて書かなくては。
ではまた書きます。


とうとう発表

2013-04-30 01:11:26 | tiptap
今年のトニー賞のノミネートが発表されます。
さあどうでしょうねえ。
こっちに来たのが8月の終わりだから
見れてない作品もいくつかありますが
ミュージカル作品は全部観てるはず。
わくわくしますね。トニー賞受賞式のチケットも買えるようなんで
ぜひともゲットしたいところです。
まだ先なんでスケジュール的に行けないかもだけど買っちゃうしかないな。

さてそんな盛り上がりを見せる中
細々と賞レースとは関係ない作品ばかりを観ております。


F#%KING UP EVERYTHING

ブルックリンに暮らすオタク学生とバンドマンの友人を主人公にしたオフのロックミュージカル。
馬鹿馬鹿しいボーイミーツガール的なコメディーなんだけど案外面白かった。
紆余曲折あってみんな幸せになるというありふれた話で
演出も音楽もありきたりな感じではあるがつまらなくはない。
しいて言えばセットと俳優陣が作品に貢献しているという感じ。
友達なんかとお酒をあおりながらわいわい言ってみる感じの作品。
一人だとちょっと盛り上がれなかったな。
ドラマーとベーシストは演奏もこなしていたのには感心。
こっちの俳優さんはけっこう楽器も上手な人が多いです。
層があついですなあ。


Bullet Catch

面白かった。
「バレット・キャッチ」という撃ち出された拳銃の銃弾を歯で咥えて受け止めるというマジックの話。
観客参加型のマジックプレイという感じだった。
この「バレット・キャッチ」に失敗して死んでしまった昔のマジシャンについて語りながら
次々とマジックを行って行く。
マジックを使い観客の中から一人を選ぶ。
選ばれた人はその死んでしまったマジシャンが失敗した時に拳銃を撃った人を演じる事になる。
その失敗の時も偶然マジックを観に来ていた観客が同じように選ばれて拳銃を撃った事になっている。
まさにその出来事をなぞるように物語が進んで行く。
そして最後にはその選ばれた観客はマジシャンに向かって拳銃の銃弾を撃ち込む。
トリックは想像できるし絶対に死ぬわけないと思っていても
目の前で拳銃を人に向けて撃つ姿には息をのんでしまう。
無事に成功するに決まっているけど成功したらもう割れんばかりの拍手。
いやいや構成が上手い。
実際に事故が起こったのかどうかはわからないが
人が死んだという事実を突きつけ信じ込ませていくやり方は巧妙である。
たった90分の一人芝居だがあっという間だった。
同じマジックでもやり方次第でこんなに面白くなるんだと感心。


Collapse

こちらは実際に起きたミシシッピ川にかかる鉄橋崩落事故を扱ったオフのストレートプレイ。
崩落事故に巻き込まれ奇跡的に助かった夫。
事故以来引きこもりがちになり働けない夫の代わりに仕事と夫の世話とこなす妻。
仕事をくびになり転がり込んで来る妻の姉。
崩壊寸前の夫婦が更にぐらついていく。
鬱病でアルコール依存だから会社に行けないと主張する夫だが
実際は事故の後遺症で高い所に行けないのに職場がビルの高層階に移動してしまったことが原因。
妻は夫が事故にあったあと流産していて更に仕事を失うかもしれない。
夫を支えている彼女自身の辛さ、苦しさが見えて来る。
最後は色々あって二人で歩んで行く話なのだが
最後のシーンがとても気に入った。
死に直面した時、夫は妻や生まれて来る子供を残して死んでしまう苦しみや恐怖を感じたと話す。
もうそんな思いはしたくない。大切な人を残して死にたくないから離婚するしかないと話す。
自分には大切な物を持つ強さがないんだと言う訳です。
そんな夫に誰かを残して死ぬのは嫌だけど
その終わり方を一緒に見つけて行くしかないのよって告げる妻。
人生の終わり方を考えさせられるシーンでした。
死ぬ時に誰と一緒にいたいのかどうやって死にたいのか。
人生で一回しか死は経験できません。
だから死に方を選ぶために人は生きているのかもしれません。
なかなか良い作品でした。


Mayday Mayday

これも実話を元にしたオフの一人芝居。
ブルックリンのお気に入りの劇場でかかっている
イギリスからの招聘作品。
メイデイという冬の終わりで夏の始まりのお祭りの日に
妊娠中の妻を家に残し近所のパブまでお酒を飲みにいった主人公。
岡の上の我が家へ酔っぱらって帰る途中に
妻に電話をするために崖の塀によりかかってそのまま転落してしまい
頸椎を損傷して首から下が動かなくなってしまう。
失敗したら死んでしまうかもしれない確立50%の手術か
とりあえず安静にして奇跡的に治るのを待つのか
二つに一つしかないなか手術を選び
成功してリハビリを続け無事に生まれて来た子供とメイデイの祭りにでかけるまでを描く。
実際頸椎を折って首にボルトを入れて固定している主人公をその本人が演じる。
彼が演じるから面白可笑しくやっても許されるのだろう。
説得力が半端なかった。
演出もスタイリッシュでありコミカルでありなかなかよかった。
演出は彼の実の妻。事故の時に電話をしていた本人が演出家なのだ。
なんか作品の素晴らしさもさることながら彼等の絆の深さにも感動してしまう。
これも同じで自分の身体が自分の物じゃなくなったら?
特別な経験だがきっと死ぬときはそうなるのだろう。
そこに直面した時何を思い何を感じるのか。
彼の生き生きと動く姿に取り戻した身体への活力を感じ心を打たれた。


Götterdämmerung

ワーグナーの「ニーベルングの指輪」の最終作。
邦題は「神々の黄昏」
もうとにかく長かった。
6時から始まって劇場をでたのは11時50分。
とにかく疲れた。
この4部作はMetの名物作品なので一応4つ観たいと思ってチャレンジしています。
最終作のためなのかちょっとお話が無茶苦茶すぎて入り込めなかった。
なんでそうなるの?
って思ってしまうところが多々あるがまあ仕方ない。
素晴らしいのだろうがどうもワーグナーの作品は
捉えどころが少なくてライトモチーフが鳴ってると少し昂揚するのだが
全体的につらつらと流れて行くので疲れてしまう。
でもビジュアルが凄いもんだからそんなには飽きない。疲れるけど。
そもそもこの4部作のセットがまあ凄いんです。
言葉では説明できないのでぜひMetビューイングなんぞで観てみてください。
唖然とします。これが観たかったから良いかという風にもなるかな。
ラッシュで20ドル。
一人だと休憩中に開いてる席にいくもんで300ドル以上の席に座れます。
ずるだからばれたら怒られますけどね。
近いと迫力が違いますね。そりゃ高い席の方が面白くみれますよね。


Fragments

サミュエル・ベケットの短編集。
演出はピーター・ブルック。
キャサリン・ハンターなど出演者は3人だけ。
不条理劇なんだけど不条理というよりコメディーという感じがした。
なんだかベケット作品って深いけど面白くないという先入観があったけど
まったく払拭された。
本当に面白かった。
ストーリーに意味はないしただそこで出来事が起きている。
目の前に事実があるということに変わりはなく
ドラマがあるのではなくただある。
だけどきちんとあれば面白い。滑稽であっても説得力がある。
シュールなコントを観ているようである。
でもその裏に何かが隠されているのではないかと思いを巡らせる。
笑いながら頭を回転させる。
なかなかいい時間を過ごせた気がした。
俳優が本当に素晴らしかった。流石だ。


Love Therapy

駆け出しのセラピストが主人公のオフストレートプレイ。
これはいまいちだった。
本も演出もなんとも魅力に欠ける。
セラピストが一生懸命に患者に愛を注ぐ訳ですが
自分には離婚歴があり愛を上手く受け取れた事がないとか。
なんか日本のドラマにありそうな設定。
結局全部失ってしまう後味悪いだけの物語。
演出もなんだか中途半端にスタイリッシュさを狙った感じで
はまってない。
オーストラリアの作品らしいんだけどちょっと残念。
精神病に関してはかなりの知識ありますから
中途半端にやられるとなんだか
がっかりしてしまいますね。
確かにセラピストという仕事は大変な仕事でしょう。
だけど観客の想像を越えない内容でしかも面白さがないとなると
どうでしょうね。うーん。難しい。


so go the ghosts of méxico, part one

メキシコの世界一危険な麻薬紛争地帯でなり手のなかった警察所長に
立候補した20歳の大学生の実はを下敷きにしたオフオフ作品。
ラ・ママなんでまあアングラな感じの作品でした。
この女性は当時既に一児の母で結局あまりに危険な職務のため
今はアメリカに亡命しているそうです。
作品自体は事実に基づいているわけではなく
勝手にインスパイアされましたと前置きが書かれているぐらいで
ゾンビが出てくるは実際は死んでない旦那は殺されるはで
かなりかけ離れています。
この作品が事実と関係ない作品だとして観ていたなら
評価の高さにもうなずけたかもしれません。
とても象徴的に色々な表現が比喩的に扱われていて
作者が言及しているように詩的な作品に仕上がっています。
でも実際にモデルがいて本人の人生を借りて何かを描くというのは
物凄い責任を負うことだろうと思います。
彼女の人生、彼女の家族、それら全てに責任を持てない誰かが
勝手に何かを描く訳ですから自分には怖くてできません。
本人はこの作品を観て

主人は死んでいない。
いくつかは正しい部分もあるが正しくない部分もある。
実際に私よりもか弱く怯えて見えた。

という感想を残したそうです。あまり感動した様子もなかったとか。
どう思ったんでしょうね。この作品を否定するわけではありませんが
死んでない夫は芝居の中で殺されてどういう気分なんでしょうか。
自分だったらあまり嬉しくはありませんね。
名前を借りてモデルだとしっかり主張する必要があったのでしょうか。
少し首を傾げてしまいます。


Mariquitas

キューバで暮らすゲイの芸術家達と囲っている男妾達のお話。
こちらも先日からお世話になっている美術家さんの作品。
セットは素敵でした。
ダリの絵のような砂浜の感じ綺麗でした。
物語はなかなか面白かったのですがちょっと長かったかな。
もう少し割愛してもいいかもなんて思いました。
作品中スッポンポンになるシーンがあるのですが
それまでなんか俺とやろうぜ!とか言って
俺は凄いんだ的な雰囲気の人が脱いだら
あれ?って感じだったりすると
ちょっと変な感じになります。
これってキャスティングの時に考慮したのだろうか?
いやもしかしたら寒かったのかな。
それともゲイだから?いやいやそんな事が気になってしまいました。


Bull

めちゃくちゃ面白かった。この脚本家好きですね。
こっちに来て初めてみたストレート作品「Cock」と同じ作家です。
「Cock」はオフ作品ですがオフの賞レースにはしっかり食い込んでる
評価の高い作品でした。オリヴィエ賞受賞作品ですから。
その作家の新作。
セットは前回は「闘鶏場」の様だったのに対して
スタイリッシュな「リング」と言った感じ。
オフィスの廊下のような雰囲気でウォータークーラーが一つの角に置かれた正方形の空間。
そこに会社の同僚が3人やってきて会話をする。
誰か一人がこの会社を首になることがわかっていてこの後の上司とのミーティングで
それを決める事になっているらしい。
あからさまに2対1な感じで会話が進んで行き
その1人は虐められているようにみえる。
「Bull」というのは牛のことでもあるが「bullying」という単語にもかかっている。
意味はまさに「いじめ」である。
どこにでもある会社のどこにでもある情景に見えて
人間の冷たさ、非情さが見えて来る。
しかもそこに微塵も悪気がない。
結局その虐められている1人がくびになるし
はっきり言って後味の悪い作品に違いない。
しかし目を背けてはいられない。
自分の保身のため自分の利益の為に誰かを蹴落とす。
そこに罪悪感は感じない。可哀相だとは思うけど。
最後のシーンは本当に人間をみている気がした。
自分の中にある冷たい部分。非情な部分。
自分が一番可愛い部分。自分を正当化しながら生きて行く。
そして誰かの成功のために不幸になる誰かがいる現実。
その避けられない冷たい現実がセットを覆って行く。
とてもスタイリッシュでブラックな作品。
俳優も演出も本も本当に素晴らしかった。
たった55分。深い。
イギリス人の緻密さ綿密さは素晴らしいです。
早速脚本買いました。読み直したらまた発見があるんだろうな。
楽しみです。


Siegfried

ワーグナーの4部作の3作目の「ジークフリード」。
こちらは前回より1時間程短かったかな。
というか今まで観て来たワーグナー作品の中で
一番面白かった。
ライトモチーフもわかりやすいし
全体的に荒々しい曲調で睡魔が襲って来にくい。
しかも物語がなかなか面白かった。
無理矢理感があまりなかったからかもしれない。
キャラクター達がしっかりと立っていることがいいのかもしれない。
コミカルなシーンや外連味のあるシーンが結構あって
観ていて飽きなかった。
前回に比べるとかなり楽しめた。
セットの破壊力もこの作品にはなかなかマッチしていたのかも。
何度観ても唖然とするには変わりないけど。
今日はかなり強気にズルして一幕目からかなり前の席で観た。
良かった。近いと本当に音楽を感じられて心地よい。
生声って凄い。
あと2作品頑張れるかな。


今日まで196本。
200本目は何でしょうか。
明日、明後日と計3本チケットをとってるので
木曜日の夜の作品になりそうですね。
何になるやら。

明日のノミネートも楽しみです。
ではまた書きます。