とほほ…見聞録

過ぎ行く日々の雑感

道頓堀川(DVD)

2007-09-29 09:55:17 | Weblog
「道頓堀川」
深作欣二監督.1982年制作.宮本輝原作.

〈道頓堀でにぎやかに暮らしている人間は、
みんな心の中は寒い風が吹いている〉
そんな、道頓堀で暮らす人々の哀歓が描かれる.

たそがれの道頓堀川の大黒橋で行きあった男と女が、
再会し、惹かれあう.
邦彦(真田広之)は画学生19才.
まち子(松坂慶子)は元芸者でパトロンのいる小料理屋の女将.
「もうすぐお尻がしかくうなる、四角いお尻をした女なんて
あわれなもんや」と、健気なことを言う29才.
野中の一本杉のような二人が、波乱の末につましい幸せを
手に入れるのだが….
邦彦を応援し二階に住み込みさせている喫茶店の店主が
武内(山崎努)である.
かっての武内はビリヤードの腕は日本一だった.
だがビリヤードにのめり込んで妻を死へ追いやった負い目
を抱えている.
そんな親父の後を追って、息子政夫(佐藤浩市)が同じ
ビリヤードの道を突き進む.
この親子の葛藤が、もう一つの軸となってドラマが描かれる.
綾なす人々は、腕落ちて幕を引き、去ってゆくハスラー.
深夜の店で狂ったように踊り続けるストリッパー.
いとしくも憎い男と離れられないオカマ.

ラストシーンの道頓堀川に映る赤や青のネオンは、
川の淀みを隠している.
好きな男の帰りが少しおそい.川のほとりで待っている女.
訪れた安穏は、ずいぶんと脆い.

若かったから明るく未来が開けていたわけではない.
目標も展望も見えない青春時代に、温かい街と人と
愛する女とめぐり逢えるなら幸せだろう.



ひらがなは3人

2007-09-25 10:50:57 | Weblog

「ちいさいぶつぞうおおきいぶつぞう」byはな
を読む.発行・東京書籍.1,200円.
仏像好きのはなちゃんは、百済観音に似ているといわれ、
ノートとボールペンを持ち、双眼鏡を首にかけて寺をめぐる.
ほんわかとしたエッセイだが、仏像については写真や映像がいい.
文字はまどろこしい.

「TV見仏記5 湖南/湖北 南河内編」は、
みうらじゅんといとうせいこうがつるんで
お寺に仏像を見に行くというDVDなのだが、
三浦純と伊藤正幸がつるんで…としないと、
ひらがな同士がくっついているので、分かりにくい.
京都チャンネル(スカイパーフェクTV)の人気番組の、
みうらじゅんといとうせいこうの「テレビ見仏記」を
DVD化したものだ.
おとぼけ?コンビが各所の寺をたずね、仏像をみてまわる.
寺の参道に入る前から、息の合った会話がかわされる.
滋賀県の5ヶ所と大阪府の3ヶ所が収録されている.
二人の知識はかなりのもので、仏像好きの気持ちも良く伝わる.
普段は拝観できない秘仏も特別にご開帳してもらうのは
おお、テレビの威力よ.ズルイよ.

滋賀県の鬱蒼とした山の中にある正妙寺をめざしていくと、
毒ガエルがピョンピョンと跳ね、猿が木々を飛んで
イノシシよけの電流が流れている.
そこにある〈千手千足観音菩薩〉が愉快である.
みうら曰く、「越前ガニみたいだ」、「スキーヤーだ」と.
最後の道明寺の巻のトークが傑作です.
ダンカンに似ている増長天立像があったりする.
ここの十一面観音立像が円熟、妖艶なり.
漫才風の脱力コメントを聞きながら、
けっこう仏像の知識が増える.
走り大黒天、邪鬼、智拳印、独鈷杵、結界、憤怒の相.
じっくりとみる仏像達は奥が深く、表情の豊さ、装飾の美、
SF的要素と興味深い.



空中庭園(DVD)

2007-09-21 11:19:05 | Weblog
「空中庭園」
豊田利晃監督作品.2005年製作.

角田光代の原作は一年ほど前に読んだ.
「何事も包み隠さず、タブーを作らず、すべての事を分かちあう」
それが家族の決まり.
郊外のマンションに暮らす京橋家は、父貴史(板尾創路)、
母絵里子(小泉今日子)、娘マナ(鈴木杏)、息子コウ(広田雅裕)
の四人家族である.
秘密をもたない家族のはずが、それぞれが秘密を隠し持っている
ことが次々と露見する.
絵里子が必死に構築する家庭は、次第に破綻へとむかう.
知らんふりして、家族は再生できるのか.

家族をテーマにしているのは原作通りだが、
喜劇映画を見ているようです.

病室でタバコを床にポイ捨てするし、バスの中でも平気で
タバコをすう、傍若無人な祖母のさと子(大楠道代).
ラブホテル〈野猿〉では、祖母と孫と愛人の三者面談.
誕生会の、夫、妻、愛人同席のユ-モラスな緊迫感.
ワインがぶ飲みのミーナ(ソニン)の、急激、瞬間、過激な酩酊.
貴史はマゾ.
愛人飯塚(永作博美)からチョロ助と呼ばれて責められ、
たくましい愛人ミーナには、ふみつけられて悦ぶ貴史.

笑いを誘うシーンが、あちこちに出てきます.
大楠道代と板尾創路が巧い.





べっぴんの町(DVD)

2007-09-17 10:48:54 | Weblog
「べっぴんの町」
原隆仁監督.1989年作品.
神戸が舞台のハードボイルド仕立ての作品.
探偵(柴田恭兵)は家出した行方不明の少女・町子を
連れ戻して欲しいと依頼される.
この探偵は元少年院の教官で、今はヤクザの教え子(本木雅弘)と
協力して探索に乗り出す.殺人事件に巻き込まれてゆく.
おじさんの探偵が少女を探すのはよくある筋立てである.
原作は軒上泊(けんじょう・はく)だが、
矢作俊彦のハードボイルド短篇集や、原寮の沢崎探偵シリ―ズでも
似たような作品を読んだ覚えがある.

ハードボイルドの主人公は、タフで、クールで、
気のきいた(キザな?)会話がつきものである.
そして大抵は屈折した過去がある.
金はないが女にもてる.渋いタイプ.
柴田恭兵に合っている.
この探偵がいつもラッパ飲みしているビールは
なぜかメキシコの〈コロナビール〉.タバコはキャメル.
でも探偵のトレードマークのよれよれのコートが
くたびれた白衣しか見えないのは残念.

髪の長いべっぴんの亜希子(田中美佐子)がいる町が
タイトルとなっている.
「べっぴん・別嬪」とは古めかしいが、いい言葉です.
テンポ良い娯楽作です.
よくできたテレビのサスペンス物のようでもある.






二十世紀最終汽笛

2007-09-13 10:51:11 | Weblog

写真家・淺井愼平さん(1937年愛知県生まれ)の
「二十世紀最終汽笛」という写真集を、
Amazonマーケットプレイスで探し、手に入れた.
もう一度見たいと思っていた本である.
外国のノスタルジックな風景写真に、淺井さんの句が
添えられている
2001年に発刊されたものだ.
当時は、写真と俳句の組合せは珍しかった.

好適な句を選ぶと、
侘助と 見知らぬ人を 名づけたり
始まりも 終りもなけれ 冬銀河
生涯を 三文酒場 神無月
本閉じて 花降る午後と なりにけり

喧騒と感傷の世紀末が、記憶にも浮かばなくなっているが
まだ10年もたっていない.
頁をくくり、気に入った作品をみながら、
こんな落日の写真が撮りたいと思う.

今月は、郵便で、
あて先が、〈本町2-20-4〉が〈本町2-204〉
メール便で、
名前が、〈山田一郎様〉が〈田一郎様〉
となっていたが、届いた.
郵便配達人と宅配便の人は、勘と推理力が必須です.







eikoエイコ(DVD)

2007-09-09 12:51:51 | Weblog
eiko(エイコ)
加門幾生監督作品.2003年.麻生久美子主演.
共演は沢田研二、阿部サダヲ、袴田吉彦である.

秋森エイコ(麻生久美子)23才は、断れない女である.
化粧品、健康食品、着物、運動器具などを巧みな勧誘により
ずいぶん買わされた.
食えない彼氏を金銭援助する.別の彼女がいるのに.
今度は97万円の指輪だ.でっかいパワーストーンが付いている.
その矢先に勤め先が倒産し、未払給料はもらえない.
それじゃ、ローンに追われる.
こわい取立屋に迫られて家に帰れない.
ひょんな縁で、江ノ本(沢田研二)のマンションに転がり込む.
エイコと江ノ本の奇妙な共同生活が始まる.

不遇な生い立ちにかかわらず、明るく心根の優しいエイコは
疑うことを知らず、次々に騙されるのだが、
やがて騙している方が後ろめたくなってくる.
みんながみんな、悪人というわけではない.

断れる女になって、再出発を迎えるまでを描いたドラマ.
ホロッとさせて、見終って爽やかな気持ちにさせる.

沢田研二(55才)のボケ老人役は、無理があると思う.
麻生久美子は、ウェイトレスの制服がまことに似あいます.
というのが、麻生ファンの感想である.


健康診断は9,000円

2007-09-05 13:29:38 | Weblog
毎年一回、近くのクリニックで健康診断を受ける.
それなりの不具合を指摘されるので、あまり気は進まないのだが、
やむをえない.

尿、便、血液、心電図、血圧、レントゲン撮影の一般的な
検査である.
まず身長・体重測定から始まる.
体重は着衣のまま、計るので、
看護婦さんが、少しひいときます、といって
体重計の針より、0.5キロ位マイナスしてくれる.
採尿、血圧測定、採血、心電図の後は、
検査衣に着替える.
私はオジサンなのに、女性のような名前なので
女性用のピンクの検査衣が用意されていて、
着てみたらツンツルテンだったことがある.
胸部レントゲンをとる.
次は、胃のレントゲン撮影である.
右肩にチクリと痛い注射をする.
胃の動き止めるための筋肉注射である.
発泡剤をのむ.ゲップをしない事.
バリウムをのむ.
検査台に乗る.
外からの回転指示が複雑です.
バーにすがって、うつぶせ、あおむけ、右90度、左45度…
必死に聞いていないと間違えます.
頬が、ペタッと板にくっつくのは、なんか気になる.
〈おたま〉の様なものが、ニュ-と出てきて腹をクイと押す.
撮影が終了すると下剤が支給される.

一週間後に、総合成績を聞きに行かなければならない.
身に覚えがあると不安である.

夏の終わりに聞く歌

2007-09-01 11:15:47 | Weblog

深夜のラジオの井上陽水特集で、昔のなつかしい歌が
特集されていました.
夏休みにはよく〈少年時代〉が流れます.
「八月は夢花火 私の心は夏模様…」という歌詞が
耳に残ります.
この曲は平井夏美との共作なんですね.
平井夏美は女性かと思ったら、男性です.
音楽プロデューサー川原伸司の別名だそうです.
奥さんの石川セリの〈八月の濡れた砂〉も、この頃聞くと
けだるい感じがいいですね.

井上陽水の本名はそのままで-いのうえ あきみ-と読む.
1970年代から30年以上のキャリアがあって多くの作品が
ありますが、好きな曲を並べてみると、
なぜか上海(1979)、とまどうペリカン(1982)
ワインレッドの心(作詞のみ陽水1983)、ジェラシー(1988)
いっそセレナーデ(1988)、リバーサイドホテル(1988)と、
昭和末期から平成初期にかけての曲が大部分です.
人それぞれの想い出深い時代と、歌が結びつきます.

玉置浩二がNHKの歌番組で〈ワインレッドの心〉を
うたっていました.
ひさしぶりに見たら、髪が、シルバーロングでした.