九州場所の千秋楽結びの一番で、白鵬は、十二日目から三連敗で息切れ状態の琴光喜に、終始攻められ「右下手投げ」で仰向けにひっくり返された。観客席から座布団が飛ぶ、横綱として無様な負け方により、優勝の価値は半減である。
11月26日付『讀賣新聞』第15面〈スポーツ〉の<やぐら太鼓>欄で、九重審判部長(元横綱・千代の富士)が、「うまい酒を飲めるような優勝じゃなきゃ駄目だろ」と、厳しい評を下すのも当然である。
私は、10月22日投稿の≪「送り吊り落とし」≫で、魁皇の強引な危険技に言及した。白鵬は、十四日目に千代大海の強烈な「のど輪」に苦戦し、苦し紛れに千代大海の腕をつかんで、魁皇顔負けの「逆とったり」を連発した。勝つには勝ったが、相手に怪我を負わせる強引な危険技は、横綱としての品格を著しく損なった。
右肘関節捻挫で全治一か月と診断され、千秋楽の休場を余儀なくされた千代大海は、優勝の可能性が残っていただけに、さぞかし無念だったろう。年六場所の今の大相撲では、怪我が力士生命に大きく関わってくる。
千秋楽の白鵬の無様な負け方は、千代大海に怪我を負わせた罰(ばち)が当たったのだと、私は思っている。横綱としての真の実力がまだ備わっていないのだろう。まだまだ精進が必要だといわざるを得ない。
<写真は、11月26日付『朝日新聞』第17面〈スポーツ〉からの転載>
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