タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ サケ密漁者、熊に襲われ死亡 ≫

P1000151
 上の写真(9月12日付『讀賣新聞』第29面〈道総合〉から転写)は、高山植物保全のために夕張岳をパトロールしていた空知支庁職員ら十六人のメンバーのうち、頂上付近で休息していた四人が遭遇したヒグマである。四人はヒグマの接近に気付き、頂上方向に避難して難を免れたが、不意の遭遇だったなら被害者が出たかもしれない。
 ヒグマは、一度口にした獲物に強い執着を示すので、立ち去ったように見えても、装備を撤収するため現場に戻る場合は慎重な行動が必要である。夕張岳では、ヒグマがガスバーナーの火で痛い目に合い退散したのが幸運だった。昭和45年7月に、日高山脈カムイエクウチカウシ山で福岡大学ワンダーフォーゲル部五人パーティーの三名が命を落とした事故は、ヒグマのこの習性を軽視した結果である。
 ヒグマとの不意の遭遇は、悲惨な事故を招くことが多い。根室管内標津町茶志骨の当幌川で男性二人のうち一人がヒグマに襲われ死亡したのは、不意の遭遇による人命事故で、二人は、人間の存在をクマに知らせる手立てを取っていなかったのだろう。
 死因は、左顔面粉砕骨折などによる失血。「付近にクマの足跡やサケを食べた跡が残っていたため、クマに襲われた」(9月19日付『釧路新聞』第19面)ことは間違いない。二人は現行犯ではないが、サケの密漁が目的で、夜半密かに当幌川に出かけ、先に川岸に出た一人が、サケを補食中のヒグマと鉢併せしたと思われる。
 密漁で検挙された場合、マスは北海道内水面漁業調整規則違反、サケは水産資源保護法違反で懲役又は罰金刑が課せられるが、北海道では、罰則強化を検討している。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「雑  録」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事