鳩山首相(写真は、12月11日付『北海道新聞』夕刊・第1面から転写)が相手の善意を全面的に信じ、祖父の鳩山一郎・元首相譲りの友愛の理念をいくら説こうとも、相手が心底からそれに応じてくれるとは限らない。
国際的な政治の場が、友好・友敵・敵対が入り交じり、各国があらゆる手段を駆使してそれぞれの国益を守る角逐の場であるという冷徹な認識を欠く甘ったるい友愛は、日本国の存続を危うくしかねない。鳩山首相には、日本が置かれている政治的経済的危機が全く感じられない。 中華人民共和国は、日本に対して友愛と友敵を都合よく使い分ける油断のならない国の一つである。胡錦濤も温家宝も一般的な事柄では笑顔で右手を差し出すが、利害が絡む場合は国益優先の姿勢を露わに示す。
その好例は、日中両政府が共同開発ということで合意したはずの東シナ海のガス田「白樺」(写真下段<左><右>は、上段<右>の地図と共に、12月9日付『讀賣新聞』第2面から転写)である。「中国は今年5月、大陸棚の延伸を『沖縄トラフ(海溝)』まで求める文書を国連に提出、日本の主張を拒否する姿勢を明確にしている」(同新聞)ではないか。
同意を無視して、採掘可能なところまで施設建設が進んでいることに鳩山首相は断固抗議したか? 六百余の随行を引き連れて訪中した小沢幹事長は、胡錦濤に事実を指摘し異議を申し立てたか? 日本は尖閣諸島を中国に実効支配されないうちに、竹島の二の舞を演じないよう、今すぐ有効な手を打たなければならない。
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