四月十日は、釧路地方の内陸部で20℃を超える初夏の陽気の中で、クレソン摘み・ヤマベ釣り・エゾライチョウ撮影に続いて、エゾシカの群れを観察することができた。
支雪裡で最も奥地の農場の牧草地に、二つの群れが入っていた。農場にとっては牛馬の牧草を食べる害獣なので、昨今のように生息数が増えすぎると駆除は避けられない。
林道から三百㍍くらいの距離だったが、ジムニーの窓を開けカメラを向けると、この若い九頭の群れは耳をピンと立てて警戒し、一斉に山の斜面めがけて走り去った。 地表が一面雪で覆われる冬期間は、餌不足のため、エゾシカは樹木の皮を剥いて食べる。樹種によって嗜好性に違いがあり、広葉樹では、オヒョウ・ハルニレ・ハシドイ・キハダなどの被害が大きい。カラマツやエゾマツなどの針葉樹では、人工林の幼木の被害が顕著である。
写真中段<左>は、山の急斜面で滑落し谷底で死亡して間もない一歳の雄の個体。写真<右>は、昨年造成し播種した牧草地を荒らす一歳の雌の個体。エゾシカの繁殖力は旺盛で、駆除が繁殖に追いつかず、現在、生息数は40~70万頭と推測されている。 人間に対するエゾシカの警戒心はかなり鋭く、俊敏な逃避行動を取る。今回のジムニーの接近に対しても即座に反応した。熟練したハンターでも、朝夕に鹿道の近くで密かに待ち伏せしなければ捕獲が難しくなっていると思われる。しかも、高齢化でハンターの数が激減し、今後のエゾシカ個体数管理は前途多難だろう。
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