17時半、玄関の閉めた音がする。
行ってみるとばあちゃんが後ろ手で戸を閉めて杖を2本持っているのが見える。
「これは中の杖だからこっちだけにして」
父さんのでかい運動靴を履いてる。
左手にはなぜかスリッパを持ってる。
いつもは門の所で車が来るのを待ってるのに、なんでかひとり歩いて行ってる。
静かに後ろをついて歩いた。
何かブツブツ言ってるんだけどわかんない。
平地だけを歩けばいいのに坂道に・・・
キツイ下り坂では前につんのめってこけそうになった。
後ろから引っ張ってこけなかったんだけど、なんだか私が押したかのように怒ってる。
ケガなんかされたら大変だわ。
上り坂はゆっくりゆっくり。
平地になって我が家に着いたのにまだ先に行こうとしてる。
平地なのにもう足はフラフラ。
「もう帰ってくれ~!」
どうにか家に戻ったのに、また出て行こうとしてる。
もういい加減にしてくれ~!