THINKING ECO

考えよう!環境問題
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秋の七草

2008-09-23 | 環境問題
猛暑やゲリラ豪雨、少ない台風など、変なお天気が続いた夏でしたね。

気象庁が発表しました「2008年夏の異常気象分析検討会での検討結果の概要」によりますと、1946年以降では、2008年7月は、西日本の気温は第3位の高さ、西日本太平洋側の降水量は最も少なかったそうです。

そんな暑さにもようやく終止符。秋の涼しさを安心して実感できるようになりましたね。

さて、秋にも七草があるのをご存知でしょうか。
春の七草は、1月7日にいただく七草粥として親しみがありますが、秋の七草は食べるのではなく、眺めて楽しむものです。

山上憶良は、『万葉集』に次のように詠んでいます。

「秋の野に咲きたる花を指(および)折り かき数ふれば七種(ななくさ)の花」
「萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝貌(あさがお)の花」

尾花は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の尾花でススキのことです。また残念なことに、藤袴(フジバカマ)は絶滅危惧種になっています。

七草は、万葉の昔から私たちの心へ受け継がれてきたのですね。大切に伝えていきたいですね。

バイオマス発電事業

2008-09-19 | 環境問題
かれこれ15年程前でしょうか。開発途上国の子どもたちの様子を紹介したユニセフのビデオを見たときのことです。「子どもたちが、道に落ちている牛糞を、素手で拾い集め、壁などに貼り付けて乾燥させ、その乾いた牛糞を燃料に使う・・・・・」という内容に、衝撃を受けたことを覚えています。

落ちついて考えてみれば、家畜の排泄物には草や藁なども多く混ざっていますから、立派に燃料として成り立つのですね。

日本では、牛、豚、鶏などの排泄物は、1999年に制定された「家畜ふん尿管理・リサイクル法」によって管理基準が設定され、利用促進が図られています。

北海道内では、家畜の糞尿や生ゴミなどの有機性廃棄物を、メタン発酵させ、得られたバイオガスを、発電機やボイラーなどによって電力や熱などのエネルギーとして回収する、バイオガスプラントがいくつか稼動しているそうです。
農場1軒単位で使用できるコンパクトなプラントは、まさに、農場内のバイオマス発電所ですね。

バイオマスは、家畜排泄物や生ゴミ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことです。森林の多いヨーロッパでは、折れた木・枝、剪定の際に発生する枝の切れ端などの森林バイオマスを利用しての発電事業も行われています。

世界銀行は、日本の機関投資家などに、排出量価格に連動した債券を発行。調達した資金はアジアでのバイオマス発電事業に振り向けるそうです。

太陽電池の種類と特徴

2008-09-18 | 新しい技術
住宅向けの太陽光発電を導入するための補助金制度が復活、経済産業省は今後3~5年で住宅用発電システムの価格を半額にする目標のようです。

最近はいろいろな太陽電池が出てきているようですが、どのような太陽電池がいいのでしょうか?ひとことで太陽電池といっても素材もいろいろあるようですね。
ちょっと調べてみました。

太陽電池、初めて作られたものは「単結晶シリコン」という素材を使ったものでした。1950年代のことです。トランジスタもこの時代に発明されています。

1998年頃から、主役は「多結晶シリコン」に移っていきました。その特徴は何といっても単結晶に比べて安い製造コストです。シャープ、京セラ、三菱などのメーカーが生産し、もっともポピュラーな太陽電池となっています。

「アモルファスシリコン」は、単結晶、多結晶シリコンとは異なり、結晶を作りません。薄膜化が可能、加工がしやすく、安価に量産ができ、一度に大面積の太陽電池を作りやすいことから、大きく期待されています。

「HIT太陽電池」は、単結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層形成した、新しいタイプの太陽電池です。気温の高い地域では発電効率が低下しがちな結晶系シリコンの太陽電池に比べ、高温時でも発電効率が比較的高いという特徴があります。

新しい素材を用いた「化合物系太陽電池」があります。
材料に主流のシリコンを使わず、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などの金属化合物を採用しています。そのひとつに、自動車メーカーのホンダの製品「CIGS化合物太陽電池」があります。極薄にでき、影の影響を受けにくいという特徴がありますが、資源量が少なく製造コストが高くなる懸念もあります。

「藻」から「石油」を生産

2008-09-16 | 新しい技術
私たちが日常使っている食用油、菜種油・大豆油・コーンオイルなどをつくる「油糧植物」の種子にはたくさんの油が含まれています。植物が発芽する時、すぐにエネルギーを取り出して、成長することができるように、エネルギーに変換しやすい油を種子に貯えているようです。

ところが、地球温暖化の防止に役立つことから、代替燃料の原料として、サトウキビやトウモロコシやアブラヤシなどの「油糧植物」の栽培が広まり、食糧価格の高騰や森林伐採など新たな問題を引き起こしています。森林面積が減少すれば、CO2の削減どころではありませんね。

そこで、今、注目されているのが藻類です。
日本では、1970年の石油危機後、石油生産に藻類の利用が検討され、大規模な研究開発プロジェクトもあったそうですが・・・

現在、採掘されている石油も生物が作り出したものと考えられています。油田が集中する中東エリアでは、太古に遠浅の海が広がり、藻類が長期間、大量に生息していたことが分かっています。

藻類には脂肪や炭化水素を大量に生産する種が多く、根こそぎ採らずに、上手く残すように採取すれば、何度でも油を取れるうえ、栽培の手間は格段に軽いそうです。

そして、何よりも、藻類の油分生産能力は、陸上植物である作物に比べて微細藻の収量は単位面積あたり年間で数十倍から数百倍になると言われているのです。

2006年からアメリカのベンチャー企業が藻類の大量栽培を始めています。
2007年から日本の化学メーカー帝人は藻類を開発するオランダのバイオベンチャーと共同研究を始めました。
そのほかにも、多くの会社が藻類の研究をはじめていると言われています。
国内では、「カイワレ大根」の大手業者三和農林が水耕栽培の冬季暖房用の燃料を調達するために、藻類の培養タンクを設置、デンソーもCO2を吸収しながら作れるバイオ燃料に着目、研究を開始しました。

石油輸入大国から脱却できる日が早く来るといいですね。

トレーサビリティ

2008-09-11 | 身の回りのこと

トレーサビリティは、食品がいつ・どこで・どのように作られ、どのような経路で流通されたかなどの生産履歴を明らかにする制度です。

以前このブログの「近代マグロ」でも少し触れたことがありましたが、trace(トレース:追跡)とability(アビリティ:できること)の2つの言葉を組み合わせたものです。

 

社会的に普及が期待されているトレーサビリティシステムですが、現在、日本において法律で義務付けされているのは国産牛肉のみです。(国産牛肉というのは、国内で生まれたすべての牛と生体で輸入された牛、及び内臓肉並びに挽肉を除いた国産牛肉のことで、輸入牛肉は対象外となっています。)

 

牛肉の場合には、BSEの発生に対応して、2003年、牛肉トレーサビリティ法が成立しました。すべての牛には出生時に個体識別番号が付けられ、インターネット検索でも牛の履歴が分かるようになっています。2004年には店頭で販売される牛肉すべてに、識別番号を付けることが義務化されました。

 

青果物、鶏卵、貝類(カキ・ホタテ)などのトレーサビリティについては、2004年に、農林水産省が、「食品のトレーサビリティシステムの構築に向けた考え方」を作成、これらを基礎として、品目別ガイドラインの作成を進めているそうです。

 

消費者としては、青果物などでは、流通経路のほかに、どこの誰が、どのような農薬を使って、どのように栽培したかなどの情報も欲しいですね。

 

最近、偽装表示事件など、食品の信頼を揺るがせる問題がたびたび起こっています。そのため、生産・流通の履歴が明確にされた、安全で信頼性の高い食品が今まで以上に求められるようになってきています。

 

近代マグロ : http://blog.goo.ne.jp/thinking-eco/d/20080403


炭酸水で肥料代半減

2008-09-09 | 新しい技術
今朝、炭酸水を利用して肥料を半減させる栽培方法を考案というニュースを見ました。
高知県の雨森さんが考えられたのですが、資源価格の高騰で肥料の値段も上昇する中、画期的な農法として注目を集めているそうです。

炭酸水は、圧力を加えて、炭酸ガスを溶かしたものです。CO2が溶けているのですね。
からだの老廃物を排出し、疲労回復につながることから、スポーツ選手にも愛飲されているそうです。

では、土壌では炭酸水は・・・・・
ほうれん草やレタスなどの例外はありますが、多くの作物は、pH6.0~pH6.5の弱酸性の土が生育に適しているそうです。酸性が強くなりすぎると、必要な栄養分を十分に吸収できなくなるそうです。また、石灰を散布しすぎたり、ハウス内だったりすると、アルカリ性土壌になることがあり、改良が必要だそうです。

雨森さんは、2005年から、土壌中のpHによって肥料の吸収量が違うことに注目、研究し、最適な状態を保てば肥料を減らせると考えました。
そこでpHを下げる作用がある炭酸水を思い付いたそうです。

通常、土壌はマイナスの電気を多く持ち、肥料の成分であるカルシウム、カリウムなどは〔Ca2+〕、〔K+〕のようなプラスの電気を持っていて、土壌のマイナスの電気が肥料成分のプラスの電気を吸着保持しているそうです。雨によって、肥料の成分が簡単に流れてしまわないのはこういう理由ですね。

この土壌のマイナスの電気と肥料成分のプラスの電気の割合は、土壌のpHと深い関係があり、プラスの電気の割合が大きくなるほど、土壌のpHも高くなるそうです。

そこで、炭酸水の登場です。
炭酸中の水素イオン(H+)が、土壌のマイナスの電気が吸着保持されている肥料成分のカルシウム〔Ca2+〕やカリウム〔K+〕などと置き換わって吸着されるのです。その結果、カルシウム〔Ca2+〕やカリウム〔K+〕は流出し、pHが下がるのです。

雨森さんは、約3年かけて実用化にたどり着いたそうです。
肥料代は10アール当たり約25万円で、通常の半額以下に抑えることに成功しました。これからの普及が期待されます。

首都高速道路の「溶岩パネル」による壁面緑化

2008-09-07 | 新しい技術
東京の年平均気温は、過去100年で3.0℃の上昇、他の大都市でも平均2.4℃上昇したそうです。気温上昇の原因には、地球温暖化やヒートアイランド現象が考えられます。

ヒートアイランド現象の原因としては、ビルや自動車からの排熱、アスファルト舗装や建物表面の蓄熱、建ち並ぶ高層ビルによる微風化などが考えられます。特に夏場は、空調の使用が増え、その排熱でヒートアイランド現象が更に進行します。

そこで、東京都では、ヒートアイランドを招くさまざま原因に応じた対策を行うとともに、民間と協働で、新素材・新技術を積極的に導入した取り組みを行っています。

緑化事業もその一つです。首都高速道路では、人と環境に優しく快適なハイウェイを創造する「首都高から始まる東京緑化計画・グリーンでゆこう!」を積極的に推進しています。

そこでの緑化に一役も二役も買っているのが「溶岩パネル」です。

溶岩には噴火のときにできた多数の気孔や気泡があります。そのため、他の天然石に比べて、水や空気を吸収しやすく、湿気を保ちやすく、さまざまな微生物などが暮らしやすいという特徴があります。また音を吸収する性質もあります。

これらの溶岩の性質を生かして開発されたのが「溶岩パネル」です。
住宅や道路脇の壁などの無機質なコンクリートも、「溶岩パネル」を覆うことで、微生物が生育し、コケなどの緑の植物で覆われ、昆虫や小動物が生息する環境に生まれ変わります。
CO2の吸収効果や断熱効果も生まれ、ヒートアイランド現象の緩和に役立ち、省エネにもつながります。

首都高速道路は、「溶岩パネル」の産みの親である日本ナチュロックの佐藤俊明さんと更に研究を進め、潅水などのメンテナンスを軽減する工夫を施した、次世代の緑化型遮音板として、また壁面緑化用としての「溶岩パネル」を開発、首都高の緑化を進めています。

自動車に関する環境ラベル(1)

2008-09-05 | 環境問題

国立環境研究所が2008年に発表しました「2006年家庭からのCO2排出量」では、「自動車から」排出されるCO2は30.3%、「照明・家電製品などから」排出されるCO2は30.1%を占め、わずかな差ですが、「自動車から」のCO2排出量が家庭の中でもっとも大きな割合を占めています。

 

自家用車の利用者は環境に配慮したエコドライブを心がけていますが、ハイブリッドカーをはじめ技術面での低燃費・低排ガス車の開発も進んでいます。

 

そして、国土交通省はラベリング制度を設けて、燃費性能の高い自動車の普及促進を図り、自動車の排出ガス性能に関する一般消費者の関心と理解を深めるようにしています。

車体に貼付されているステッカーを目にすることがあると思います。参考までに、一部ご紹介します。

 

燃費基準達成ラベル

自動車の燃費性能を示すラベルのこと。省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律)に基づく燃費基準を達成しているもの、及び、同基準を5%以上上回る燃費性能を有するものの車体に貼付されます。

 

 

低排出ガス車認定ラベル

国土交通省の低排出ガス車認定制度に適合した自動車の車体に貼付されるラベル。

「平成12年(2000年)排出ガス規制」に対応した低排出ガス車であると認定を受けた自動車に表示される低排出ラベル。低減した値が大きくなると「☆」の数が増える

 

平成17年(2005年)排出ガス基準」よりも有害物質を75%以上低減させたガソリン乗用車等に表示されるラベル


カーボンオフセット協会

2008-09-03 | 環境ビジネス
カーボンオフセットは、日常生活や経済活動で排出したCO2(カーボン)を森林などに吸収させることで「埋め合わせる」(オフセット)活動のことです。

ビジネスとしては、消費者が商品やサービスを買う際、排出枠の購入額を上乗せして支払い、企業が植林などの事業を行ってCO2などの温室効果ガスの削減を目指すといった手法が多いようです。

身近なものでは、カーボンオフセット年賀状、佐川急便の「CO2排出権付き飛脚宅配便」、大阪前田製菓の排出権付きお菓、JTBはカーボンオフセットによるCO2排出権付き海外旅行商品、セブン&アイホールディングのオリジナルエコバッグなどカーボンオフセット商品が続々と登場しています。

そのおかげで、消費者は、わずかな負担でCO2削減に貢献できるようになりました。

しかし、企業が説明通りに、資金を排出枠の購入に使っているのか否かの疑問がよぎることもあります。目に見えないオフセットの価値に疑問を持つ人も多いようです。現に、オフセットサービスで先行する英国では、排出量相殺のために利用者が支払った代金が、CO2の排出削減事業に適切に使われていなかったなどの不正も起こっているそうです。

そこで、排出枠を販売する企業(プロバイダー)9社が、カーボンオフセットの信頼性を確保するために、業界団体「カーボンオフセット協会」を設立しました。
これからは、共同でオフセットの仕組みの理解を促す活動をするほか、オフセットの指針を独自に定め、消費者の納得を得やすい仕組みづくりに取り組むということです。

エチゼンクラゲ

2008-09-02 | 環境問題
水槽でゆらゆらしているクラゲを見ていると心が癒されますね。
実は、この傘をひらひらさせながら漂うクラゲは、太古の昔から海を漂いながら、ずっと地球の進化を眺めてきた、とてもタフな生物のようです。

エチゼンクラゲはまさにタフなクラゲの代表格かもしれません。
水温の高いところでは盛んに増殖し、酸素の乏しい海にも強いことは、他のクラゲも同様ですが、エチゼンクラゲは、強烈な毒をもつこと、長さが5mにも達する触手が多くあること、触手の元にたくさんの口があり、多くの餌をすばやく食べることができることなどから成長が速いのです。
また、からだの1/4くらいまでの損傷なら復元可能で、船などの高い音を危険と察知することもできるとか。

ただ、カワハギやサバはクラゲを好み、イボダイもクラゲを餌にしているそうで、「敵なし」言うわけではないようですが・・・・・

発生時の稚クラゲの大きさはわずか3mm程です。それが成長しながら対馬暖流に乗って移動し、日本海にやってくる頃には、傘の直径が通常1m、ときに2mにも達し、重量も200kgを超えるそうです。

この漁師さんを悩ます巨大生物エチゼンクラゲの大増殖には、私たち人間の営みが大きく関わっているようです。
地球温暖化、海水温の上昇はクラゲにとって活動しやすい環境です。東シナ海での魚の乱獲は、クラゲの天敵である魚を減少させ、クラゲの増殖につながります。中国沿岸の急激な開発に伴う工業廃水や生活排水による富栄養化は、プランクトンの異常発生をまねき、海の低酸素化をまねき、魚には棲みづらい環境になりますが、クラゲには有利になるでしょう。

こうなると、漁師さんだけの問題ではありません。
エチゼンクラゲの駆除や利用法を考える事も重要ですが、東シナ海から日本海にかけて豊かな海を取り戻すために、海の汚染や魚の乱獲に関して、国境を越えた規制を行うことも重要でしょう!!