一粒のタコヤキの意味成すところ

『せんせー　タコヤキ　食べちゃだめ？一個でいいの』
『いいでしょ』
あっさりー

　おとうさんの下痢は続くよどこまでも
分かってきたのは
　食べても出る
　食べずとも出る
もちろん食べなきゃマシなのだろうけど
週明けからオモユが開始になる
しかし　おとうさんは　ちょっと前から『タコヤキ』が食べたい
一個でいい・・
・・と言う
毎日　タコヤキの話をする
いろいろ調べて　テーブルマークという会社の　ごっつうまいタコヤキ
・・というのが一番たべられるらしい　看板に偽りがなければ　ごっつうまいらしいのだ
・・と
　あまりに言うので不憫になる
もう　1か月近く食べていない　スープを飲んだだけで汽笛が鳴るのだ
タコヤキ　ってどうよ！
・・と　当たり前なら思うところ　私も思うところはある
　けど　この一粒のタコヤキは　おとうさんの心のお薬のような気がしてたまらず
一番上の主治医のA先生に　今日私は直接聞いちゃった
先生は　ぶっきらぼうなようでしっかり考えてくれる人なので　その意味成すところをすぐ悟ってくれた（と　思いたい）

　おとうさんは　いい　と言ってくれると思っていなく
言われた瞬間とても嬉しかったらしい
それを見た先生
『シアワセそうだね』

　下痢がひどくなったらどうする
とか
　いきなり油もんはだめでしょ
とか　言いたかったかもしれないが　無粋なことは一切言わず
男は黙ってうなずくのであった

　ありがとう　せんせ

おとうさんは　昨日の血小板輸血の蕁麻疹が出た時に　抗ヒスタミン剤を注射して
割と眠れたらしい
今日は比較的元気で　ラウンジの椅子まで出て　久しぶりに外を見た
『車が動いてておもしろい』という
シャワーも一人で入り　軟膏もちゃんと塗った
ひどく時間がかかっていたけど
シャワーが済んでからも　車を見ていた

　明日も一人で入ってね

一粒のタコヤキ
吉と出るか　凶と出るか　

『タコヤキ食べて　ぴーぴーなっても泣かんといてなー』
先生の代わりに　私がピシリと言っときましたぜ



にほんブログ村