ボブ・ディラン18枚組解説 ~ ディスク12


 こんにちは。VKです。いよいよ師走。昔、外国の人に“師走”を英語で説明するとき、“Teacher's running”とのたまった知人がおります。さすがにそれで通じるわけもなく、説明された方も“Teacher? Running? What??”と言ってました。“さすがにねぇ、そりゃあないよねぇ”と思っていると、でも英訳するとどんな言葉になるか自分でもさっぱりわかりません。どんな言葉が適しているか、どなたか教えていただけませんでしょうか。
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『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション) SOLD OUT

[Disc 12](全5曲、計17トラック)
(1)~(6) One Of Us Must Know (Sooner Or Later)
 (1)Take 23 (1/25/1966) Complete.
 (2)Take 24 (1/25/1966)[3]
 (3)(1/25/1966) Master take, guitar (BD) and organ.
 (4)(1/25/1966) Master take, vocal.
 (5)(1/25/1966) Master take, piano and drums.
 (6)(1/25/1966) Master take, guitar and bass.

(7) Lunatic Princess
 (7)Take 1 (1/27/1966) Incomplete.
(8)(9) Leopard-Skin Pill-Box Hat
 (8)Takes 1-2 (1/27/1966) False start, incomplete.
 (9)(1/27/1966) Insert.

(10) I’ll Keep It With Mine
 (10)(no date listed) Rehearsal. Partially[5]
   ↑ 1/27/1966+不明
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   ↓ 2/14/1966

(11)~(17) Fourth Time Around
 (11)Take 1 (2/14/1966) Rehearsal.
 (12)Take 2 (2/14/1966) Breakdown.
 (13)Takes 3-4 (2/14/1966) Rehearsal.
 (14)Take 5 (2/14/1966) Complete.
 (15)Takes 6-7 (2/14/1966) Rehearsal.
 (16)Take 8 (2/14/1966) Rehearsal.
 (17)Takes 9-10 (2/14/1966) False starts.

既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
([2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.)
[3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.
([4]- Released on Biograph, 1985.)
[5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.
([6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.)

なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。


 ディスク11から続く(1)~(6)「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)(邦題:スーナー・オア・レイター)」は磨かれ、ついに仕上げへ。『ブロンド・オン・ブロンド』で発表された完成ヴァージョンもまだ発展途上ではあるものの、煮詰まってしまう前の、彼らの溢れ出るエネルギーをパッケージしたものとして秀逸なヴァージョンといえるでしょう。
 また、この曲も、ディスク4の「Like A Rolling Stone」と同じく、バンドのパートごとのテイクが収められてます。ここではっきりと聴くことができる、リチャード・マニュエルの自由でやんちゃなピアノはすごく楽しく、これが曲のなかに自然に納まっているのが小粋でたまらんです(反対にリック・ダンコのベースに覇気がないのがひどく気にかかりますが……)。
 そしてその二日後に録音された、(7)「Lunatic Princess」なるスタイリッシュでモッド風の曲と(8)(9)「Leopard-Skin Pill-Box Hat(邦題:ヒョウ皮のふちなし帽)」のセッションが紹介されてますが、ただこの日のレコーディングはどうにも中途半端。続く(10)「I'll Keep It With Mine」は録音日不詳とありますが、ここに収録されているということは、上記2曲と同日だったということでしょか? だとすると、これら3曲は本格的なレコーディングというよりリハーサルといった雰囲気が濃いものなので、この日はリハーサルが主だった可能性も……? もしレコーディングのためのスタジオ入りであるならば、残された音源がこれだけで終わっているとは思えないのですが、はたして……。

 そしてここからレコーディングはナッシュヴィルへ。まずは「Fourth Time Around」が(11)~(17)の7テイク。これらの音源はすべて大きな差がなく、テイクごとの違いは判然としません。ということはこの曲は最初からすでに固まっていたものであったということでしょうか。ディスク13にわたってテイクを重ねていますが、これはナッシュヴィル初録音でのセッション・メンバーとの慣らし運転の意味もあったのかもしれません。ナッシュヴィル録音はまずまずのスタートとなりました。

 ところで、これまでの流れをみると、レコーディングで迷ったディランに「ハーモニカを入れよう」とか「アップ・テンポでいこう」とか提案したのはプロデューサーのボブ・ジョンストンだったんですね。ナッシュヴィル行きを進言してもいたジョンストン、この時期の彼のアドバイザーとしての功績もあらためて注目すべきかと思います。
VK石井

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