ボブ・ディラン18枚組解説 ~ ディスク11
Daniel Kramer (from SMJI)
こんにちは。インフルエンザのワクチンをうったら、そのあと4日間も腕に赤みと熱と痒みが続いた、薬に弱いVKです。18枚組もいよいよ後半。こちらの方はまだまだ赤みと熱と痒みを催すような音源が止まりませんですよ。
『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション) SOLD OUT
[Disc 11](計3曲、全20トラック)
(1)~(4) She’s Your Lover Now
(1)Take 14 (1/21/1966) Breakdown.
(2)Take 15 (1/21/1966) [5]
(3)(1/21/1966) Rehearsal.
(4)Take 16 (1/21/1966) Complete.
↑ 1/21/1966
------------------------------------------------
↓ 1/25/1966
(5)(6) Leopard-Skin Pill-Box Hat
(5)Take 1 (1/25/1966) [6]
(6)Take 2 (1/25/1966) Complete.
(7)~(20) One Of Us Must Know (Sooner Or Later)
(7)Take 1 (1/25/1966) Rehearsal.
(8)Take 2 (1/25/1966) Rehearsal.
(9)Take 3 (1/25/1966) Fragment.
(10)Take 4 (1/25/1966) Rehearsal.
(11)Take 5 (1/25/1966) Rehearsal.
(12)Takes 6-8 (1/25/1966) Rehearsal.
(13)Take 9 (1/25/1966) Rehearsal.
(14)Takes 10-14 (1/25/1966) Rehearsal.
(15)Take 15 (1/25/1966) Complete.
(16)Takes 16-17 (1/25/1966) False starts.
(17)Take 18 (1/25/1966) Complete.
(18)(1/25/1966) Rehearsal.
(19)Take 19 (1/25/1966) Complete.
(20)Takes 21-22 (1/25/1966) Breakdown.
既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
([2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.)
([3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.)
([4]- Released on Biograph, 1985.)
[5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.
[6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.
なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。
さてさて、ディスク11はディスク10に引き続き「She’s Your Lover Now」が(1)~(4)4テイク。この曲、レコーディングを始めたときからどうにも焦点が定まらないようで、ミドル・テンポで押し通したいのにそれができないディランの苦闘がまだ続いてます。その曲調はなんだか「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」にソックリで、加えて「Like A Rolling Stone」も入ってる感じ。公式発表されたアップ・テンポ・ヴァージョンも試しますが、やっぱりミドル・テンポに固執している気配のディランは完成形を求めてかなり手こずってますね。結局、具体的なかたちが見つからなかったこの曲は未完成のままレコーディング終了。『ブートレッグ・シリーズ1~3集』のVolume.2で公式発表はされたものの、この曲はディランにとって放棄せざるをえなかった代物で、お蔵入りになったのも当然だったかと。
日がかわっていきなり気合いの入った「Leopard-Skin Pill-Box Hat」(5)(6) が飛び出しますが、この伸び伸びとしたテイクは「She’s Your Lover Now」のうやむやを蹴散らしているかのように聞こえます。こういったブルース・ベースの曲はバックを務めるホークスもお手のもの。これが本格的なレコーディングでなく、ウォーム・アップ的な雰囲気なのは、この日のメインである「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」に向けてのものだったからでしょうか。
で、「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」(7)~(20) です。一言でいうと、これ、曲が完成するまでのすんごいドキュメンタリーです。歌詞もメロディもアレンジも決まっておらず、コードだけがなんとなく出来上がっているといったこの曲はスタジオで作り上げられていたものだったことが明らかに。テイクの初めの方はまったくの手探りで、完成形からはほど遠い状態。なんの曲をやっているのか判別できないほどボンヤリとしています。ただそれがテイクを重ねるうちに徐々にかたちを成していく過程は実にスリリングで、そこには完成形に向けての筋道がはっきりみてとれます。「She’s Your Lover Now」にあったような迷いや逡巡が一切なく、終着地点への階段を少しずつ少しずつ着実に上っていく手応えが感じられるテイクの連続はまさに感動モノ。テイク18でほぼ曲をつかんだディランはノリにノッた雰囲気で、曲中の歌いだしも数ヵ所メチャクチャになるんですが、録音を中断させることなく一気に歌いきります。外すディランになんとか合わせるホークスも大変そうですけど、でもこのテイクが曲の完成への道をはっきり示したものであることは間違いなく、まさに名曲が生まれ出た瞬間といえるもの。ディランの歌声の輝きはその後のテイクにも続き、神々しささえ感じます。18枚組のハイライトのひとつである「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」のテイク集、これは本当にスゴイですよ。
個人的にはこの「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」の連発ですっかりお腹いっぱいですが、まだまだ中盤。なんだか自分がディランに乗っ取られてしまいそうな気もするこの頃です。ちなみにこのブートレッグ・シリーズを聴きながら眠ってしまうと必ず変な夢をみるのはなぜでしょうか?
ボブ・ディラン
6CDs『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(デラックス・エディション)【完全生産限定盤】
ボブ・ディラン
2CDs『ザ・ベスト・オブ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(通常盤)
THE DIG Special Edition
ボブ・ディラン ザ・カッティング・エッジ 1965-1966
こんにちは。インフルエンザのワクチンをうったら、そのあと4日間も腕に赤みと熱と痒みが続いた、薬に弱いVKです。18枚組もいよいよ後半。こちらの方はまだまだ赤みと熱と痒みを催すような音源が止まりませんですよ。
* * *
『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション) SOLD OUT
[Disc 11](計3曲、全20トラック)
(1)~(4) She’s Your Lover Now
(1)Take 14 (1/21/1966) Breakdown.
(2)Take 15 (1/21/1966) [5]
(3)(1/21/1966) Rehearsal.
(4)Take 16 (1/21/1966) Complete.
↑ 1/21/1966
------------------------------------------------
↓ 1/25/1966
(5)(6) Leopard-Skin Pill-Box Hat
(5)Take 1 (1/25/1966) [6]
(6)Take 2 (1/25/1966) Complete.
(7)~(20) One Of Us Must Know (Sooner Or Later)
(7)Take 1 (1/25/1966) Rehearsal.
(8)Take 2 (1/25/1966) Rehearsal.
(9)Take 3 (1/25/1966) Fragment.
(10)Take 4 (1/25/1966) Rehearsal.
(11)Take 5 (1/25/1966) Rehearsal.
(12)Takes 6-8 (1/25/1966) Rehearsal.
(13)Take 9 (1/25/1966) Rehearsal.
(14)Takes 10-14 (1/25/1966) Rehearsal.
(15)Take 15 (1/25/1966) Complete.
(16)Takes 16-17 (1/25/1966) False starts.
(17)Take 18 (1/25/1966) Complete.
(18)(1/25/1966) Rehearsal.
(19)Take 19 (1/25/1966) Complete.
(20)Takes 21-22 (1/25/1966) Breakdown.
既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
([2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.)
([3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.)
([4]- Released on Biograph, 1985.)
[5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.
[6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.
なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。
さてさて、ディスク11はディスク10に引き続き「She’s Your Lover Now」が(1)~(4)4テイク。この曲、レコーディングを始めたときからどうにも焦点が定まらないようで、ミドル・テンポで押し通したいのにそれができないディランの苦闘がまだ続いてます。その曲調はなんだか「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」にソックリで、加えて「Like A Rolling Stone」も入ってる感じ。公式発表されたアップ・テンポ・ヴァージョンも試しますが、やっぱりミドル・テンポに固執している気配のディランは完成形を求めてかなり手こずってますね。結局、具体的なかたちが見つからなかったこの曲は未完成のままレコーディング終了。『ブートレッグ・シリーズ1~3集』のVolume.2で公式発表はされたものの、この曲はディランにとって放棄せざるをえなかった代物で、お蔵入りになったのも当然だったかと。
日がかわっていきなり気合いの入った「Leopard-Skin Pill-Box Hat」(5)(6) が飛び出しますが、この伸び伸びとしたテイクは「She’s Your Lover Now」のうやむやを蹴散らしているかのように聞こえます。こういったブルース・ベースの曲はバックを務めるホークスもお手のもの。これが本格的なレコーディングでなく、ウォーム・アップ的な雰囲気なのは、この日のメインである「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」に向けてのものだったからでしょうか。
で、「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」(7)~(20) です。一言でいうと、これ、曲が完成するまでのすんごいドキュメンタリーです。歌詞もメロディもアレンジも決まっておらず、コードだけがなんとなく出来上がっているといったこの曲はスタジオで作り上げられていたものだったことが明らかに。テイクの初めの方はまったくの手探りで、完成形からはほど遠い状態。なんの曲をやっているのか判別できないほどボンヤリとしています。ただそれがテイクを重ねるうちに徐々にかたちを成していく過程は実にスリリングで、そこには完成形に向けての筋道がはっきりみてとれます。「She’s Your Lover Now」にあったような迷いや逡巡が一切なく、終着地点への階段を少しずつ少しずつ着実に上っていく手応えが感じられるテイクの連続はまさに感動モノ。テイク18でほぼ曲をつかんだディランはノリにノッた雰囲気で、曲中の歌いだしも数ヵ所メチャクチャになるんですが、録音を中断させることなく一気に歌いきります。外すディランになんとか合わせるホークスも大変そうですけど、でもこのテイクが曲の完成への道をはっきり示したものであることは間違いなく、まさに名曲が生まれ出た瞬間といえるもの。ディランの歌声の輝きはその後のテイクにも続き、神々しささえ感じます。18枚組のハイライトのひとつである「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」のテイク集、これは本当にスゴイですよ。
個人的にはこの「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)」の連発ですっかりお腹いっぱいですが、まだまだ中盤。なんだか自分がディランに乗っ取られてしまいそうな気もするこの頃です。ちなみにこのブートレッグ・シリーズを聴きながら眠ってしまうと必ず変な夢をみるのはなぜでしょうか?
VK石井
* * *
ボブ・ディラン
6CDs『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(デラックス・エディション)【完全生産限定盤】
ボブ・ディラン
2CDs『ザ・ベスト・オブ・カッティング・エッジ 1965-1966』(ブートレッグ・シリーズ第12集)(通常盤)
THE DIG Special Edition
ボブ・ディラン ザ・カッティング・エッジ 1965-1966
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ボブ・ディラ... | ボブ・ディラ... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません |