ボブ・ディラン18枚組解説 ~ ディスク15


 こんにちは、VKです。この18枚組ばっかり集中して聴いてると、ふいに耳に入るロブ・ハルフォードの歌声が爽やかなボーイ・ソプラノのように聞こえる今日このごろです。
 ところで、もうじきクリスマス。ディランのクリスマス・アルバムはFMでは放送禁止にでもなってるんでしょうか? いままでかかってるのを聴いたことがないんですけど……。

*   *   *

『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション)
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[Disc 15](全4曲、計17トラック)
(1)(2) Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again
 (1)Take 14 (2/17/1966) Complete.
 (2)Take 15 (2/17/1966)[3]
   ↑ 2/17/1966
------------------------------------------------
   ↓ 3/07/1966

(3)~(7) Absolutely Sweet Marie
 (3)(3/07/1966) Rehearsal.
 (4)Take 1 (3/07/1966) Complete.
 (5)Take 2 (3/07/1966) False start.
 (6)Take 3 (3/07/1966) [3]
 (7)(3/07/1966) Insert.
   ↑ 3/07/1966
------------------------------------------------
   ↓ 3/08/1966

(8)~(11)Just Like A Woman
 (8)Take 1 (3/08/1966) Complete.
 (9)Take 2 (3/08/1966) Complete.
 (10)Take 3 (3/08/1966) Complete.
 (11)Take 4 (3/08/1966) Complete.

(12)~(15) Pledging My Time
 (12)Take 1 (3/08/1966) Breakdown.
 (13)(3/08/1966) Rehearsal.
 (14)Take 2 (3/08/1966) False start.
 (15)Take 3 (3/08/1966)[3]

(16)(17) Just Like A Woman
 (16)Take 5 (3/08/1966) False start.
 (17)Take 6 (3/08/1966) Breakdown.

既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
([2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.)
[3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.
([4]- Released on Biograph, 1985.)
([5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.)
([6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.)

なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。


 ディスク15は14に続く「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again(邦題:スーナー・オア・レイター)」の2テイク(1)(2)からスタート。この2テイクはそれ以前のテイクから洗練され、一気に完成形へと様変わりしてます。徐々に変わっていくのではなく、ガラッと一転した演奏の経緯は謎。これ、他にリハーサル・テイクがいくつかあったのではないでしょうか。冴えないアレンジがまったくといっていいほど別物になっているのはあまりに唐突で、その変化の具合は劇的です。
 次の(3)~(7)「Absolutely Sweet Marie」はアレンジも含めて初めから出来上がっていたと思われる曲で、あっという間に完成。ディランもかるーく仕上げた感じで、やる気になればこのくらいの曲は朝飯前といった雰囲気です。でもこういった軽い曲を彼がやる気になったということがこの時期のディランの重要な部分。これはディスク17に紹介されている「I Want You」にも通ずる彼のポップな変貌であったわけで、こんな曲がナッシュヴィル録音の終盤になされていたのは見過ごせないポイントです。
 そして(8)~(11)「Just Like A Woman(邦題:女の如く)」。ディランはかなり手間取ってます。テンポも歌い回しも初めから固まってるのに、そこからなかなか進展せず、不安定なまま袋小路に……。膠着したレコーディング作業に業を煮やしたか、テイク4ではなんとこの曲をラテン風なアレンジで放り投げるディランがイカシてます。で、この曲はそのまま放ったらかしに。つくづく嫌になっちゃったんでしょうかねぇ?
 で、取り乱したディランはそのあとの(12)~(15)「Pledging My Time」のレコーディングもソウル風アレンジで始めます。公式リリース・ヴァージョンでのブルージーな気配はあるものの、ハメを外したリズミカルな「Pledging My Time」には驚かされます。が、ソウル風アレンジはこれだけ。テイク1後のリハーサル・テイクからは公式版のようなブルージーなものになります。てことは、この曲、もともとブルース曲なのにセッションのスタートであえてふざけてたってこと? 当時のディランは、煮詰まることはあっても余裕をもってレコーディングしていたんでしょうなぁ。「Absolutely Sweet Marie」同様、この曲も初めから出来上がっていたと思しきもので、これもこのあとすんなり完成。
 そして(16)(17)でまた問題の「Just Like A Woman」ですよ。ディランは再開直後やけに丁寧に歌い、巻き返しを図りますが、彼の本気度がうかがい知れるその歌声によって行き詰まっていた曲がようやく動き出すのは感動的。で、これは次のディスク16につながっていきます。いよいよ『Blonde On Blonde』のレコーディングも大詰めへ。
VK石井



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