ボブ・ディラン18枚組解説 ~ ディスク14


 こんにちは。VKです。ロー・テンションだった辻口さんがついにやる気になったようです。この前までマントに包まれてなだめられていたのに、いきなりスイッチが入るとマントを捨て去りマイクに向かっていくジェイムズ・ブラウンみたいです。“ゴッドファーザー・オブ・ツンデレ”の辻口さんにスイッチが入ったってことは来週中にもこの解説シリーズ終わっちゃうかも。

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『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966:ザ・ブートレッグ・シリーズ第12集』(ウルトラ・デラックス・コレクターズ・エディション)
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[Disc 14](全2曲、計16トラック)
(1)~(4) Sad-Eyed Lady Of The Lowlands
 (1)Take 1 (2/16/1966) Complete.
 (2)Take 2 (2/16/1966) Rehearsal.
 (3)Take 3 (2/16/1966) Complete.
 (4)Take 4 (2/16/1966)[3]
   ↑ 2/16/1966
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   ↓ 2/17/1966

(5)~(16) Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again
 (5)Take 1 (2/17/1966) Rehearsal.
 (6)(2/17/1966) Rehearsal.
 (7)Take 1 (2/17/1966) Breakdown.
 (8)Takes 2-3 (2/17/1966) Rehearsal.
 (9)Take 4 (2/17/1966) Breakdown.
 (10)Take 4 (mis-slate) (2/17/1966) False start.
 (11)Take 5 (2/17/1966) [6]
 (12)Takes 6-8 (2/17/1966) False starts.
 (13)Take 9 (2/17/1966) Breakdown.
 (14)Take 10 (2/17/1966) False start.
 (15)Takes 11-12 (2/17/1966) Breakdown.
 (16)Take 13 (2/17/1966) Breakdown.

既出曲・初出作品リスト
([1]- Released on Bringing It All Back Home, 1965.)
([2]- Released on Highway 61 Revisited, 1965.)
[3]- Released on Blonde On Blonde, 1966.
([4]- Released on Biograph, 1985.)
([5]- Released on The Bootleg Series, Vol. 1-3, 1991.)
[6]- Released on The Bootleg Series, Vol. 7, 2005.

なお、18枚組と6枚組の収録楽曲、その重複についてはこちらをご参照ください。


 ディスク14収録は二つの長尺曲のテイク集。(1)~(4)「Sad-Eyed Lady Of The Lowlands(邦題:ローランドの悲しい目の乙女)」はテイク4の完成ヴァージョンの他に3テイク収められていますが、どれもが完成形といっていいような内容で味わい深いです。なによりディランのヴォーカルが素晴らしい。抑制された歌声で、切々と歌詞を噛み締めるディランにクラクラするばかり。彼のテンションの高さはどのテイクからも感じられ、曲そのものの美しさとともに力強くこちらに迫ってきます。この曲の二日前におちゃらけた雰囲気の「Leopard-Skin Pill-Box Hat(邦題:ヒョウ皮のふちなし帽)」を歌っていたとはとても思えない哀感。彼のシンガーとしての才がビシビシと感じられる名曲です。
 12テイクある(5)~(16)「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again(邦題:メンフィス・ブルース・アゲイン)」は、未完成の曲を完成させるためのスタジオ・セッション集といった趣のもの。ディランがバンド・メンバーに曲のイメージを伝えながらの作業は頻繁に中断し、あれこれ修正されていきます。初めの方のテイクではアレンジがもっさりとしていて、歌詞で確認しないかぎりなんの曲かさっぱりわからないんですが、ただ、それからテイクを重ね、曲が練り上げられていく過程は生々しく固唾をのみます。これはディスク11の「One Of Us Must Know (Sooner Or Later)(邦題:スーナー・オア・レイター)」と同じ録音行程で非常に興味深いものですが、この曲ではそこまでの緊迫感はなく、緩い雰囲気で完成に近付いていっているのがおもしろいところ。これもニューヨークとナッシュヴィルの違いでしょうか(もちろんバンド・メンバーも違うわけですが)。最初のもっさりとしたアレンジがかたちを変え、セッションによってふくよかなサウンドへと変貌を遂げていくのはバンド・メンバーの貢献も大きかったことがわかります。この曲だけをとってみても、レコーディング作業をニューヨークからナッシュヴィルに移したボブ・ジョンストンの考えは大正解だったといえるのではないでしょうか。ディラン自身もこのときのレコーディングに手応えを感じていたであろうことは、事故による隠遁生活から舞い戻って発表したアルバムにナッシュヴィル録音が続いたことからも明らか。充実した環境で羽を伸ばすディランの姿はこの「Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again」のテイクによーくみてとれます。
VK石井



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