ナイノア・トンプソン－カヌーで人間の尊厳を取り戻す－

ホクレア号。それは、ナイノア・トンプソンが一切の近代機器を使用せずにハワイからタヒチまで航海した船の名前です。

●ナイノア・トンプソン（外洋カヌー航海者）

1953年ハワイ生まれ。伝統に基づいて復元された古代の遠洋航海カヌーを駆って、
海図、羅針盤、磁石などのいっさいの近代器具を使わず、星を読み、
波や風を感じる ことで正しくナビゲーションして、
かつて祖先達が数千年前渡って着た、
タヒチから ハワイまでの五千キロの海の旅を現代に蘇らせた。
この航海は、ハワイの先住民の人 々にかつてない勇気と誇りを与え、
自然の大いなる営みと調和しながら生きてきた祖先達の、高度な技術的、
精神的文明のあり方を学び直そうとする運動に結びついていった。
遙か彼方の「見えない島を見る力」を養うことこそ、
21世紀を生きる子供達に とって一番大事なことだと、ナイノアは信じている。


※　青字は、地球交響曲第三番より引用

映画『地球交響曲（ガイアシンフォニー）第三番』にも登場したナイノア・トンプソンは
ハワイ出身。
なぜ、前述のような古代カヌーの遠洋航海を行ないたいと
思ったのかその動機は次のようなものでした。

「２００年前、ハワイ人は８０万の健康な人口を維持してきました。
ところが、白人が来て病気を持ち込み、
１００年以内に４万人に減ってしまったのです。
（中略）
素晴らしい病院もあるのに、なぜハワイ人は今もなお他の人種より
病気がちで、薬物依存や犯罪の率が高いのか・・・？
（中略）
人々に自分の評価・尊厳が欠けているのです。
カヌーがハワイ文化がその回復を助けてくれるでしょう。」
　　　　　　　　　　　　　　　（ナイノア・トンプソン）

ナイノアはミクロネシア・サワタル島出身の師マウ・ピアイングに
海図、羅針盤、磁石などのいっさいの近代器具を使わず、星を読み、
波や風を感じる ことで正しくナビゲーションして、
かつて祖先達が数千年前渡って着た、
タヒチから ハワイまでの五千キロの海の旅のコツを習うのです。

「困難な旅になるでしょう。
でも、マウが教えてくれました。
大切なのは、なぜ行くのかを見失わないことだ。
そのビジョンがはっきりしていれば、
目的を達成できると。

私は、次の世代の若者達に祖先がどう生きたかを知り、
自分の生き方を考える機会を与えたいのです。」
　　　　　 （ナイノア・トンプソン）

彼の功績は『ホクレア号が行く』として本にもなっています。