Tak's 雑記帳

更新頻度は不定期かつスパンが長く・・・
ときどき予告無く更新するときがあります。

免疫力低下

2005-06-04 23:26:22 | 社会一般
 随分叫ばれている日本人の免疫力の低下。原因は諸説ある。

 ところで、免疫力は何に支えられているか?あなたはどう思う?
 栄養、運動、睡眠、いろいろ思いつくだろう。私もそれらを思いつく。しかしながらこれを思いつく人はあまりいないのではないだろうか。それは細菌・ウィルスである。
 
 細菌やウィルスといえば病気の元であるわけだが、そういう悪事を働くのはそれらの一部である。なぜこれらが免疫力を支えるかといえば理由は簡単、免疫細胞が実際に動くからである。警察も自衛隊も必ず訓練を行う。それは本当の危機・危険に備えるため。免疫細胞も同じで動く機会が少なければ、本当に危険な細菌やウィルスが体内に侵入したときにうまく機能しないこととなる。
 空気中や口内、胃、十二指腸、小腸、大腸と、体の消化器官は数あれど菌の無い器官は一つも無い。あの強力な酸性の胃酸がある胃や、逆に胃液を中和するアルカリ性の消化液を分泌する十二指腸にすら菌はいるのだ。これらの菌の全ては善玉菌ばかりではなく、悪玉菌が含まれている。基本的には悪玉菌の増加は善玉菌が抑制するのだが、それがままならない場合や対抗する善玉菌が存在しない場合は免疫機構の出番となる。免疫機構といったようにその働きは免疫細胞によりしっかり分かれている。歩兵のようなとりあえず菌を丸呑みして抱え込む細胞(食べきれなくなると爆発する)や、菌やウィルスを弱らせる物質を機関銃のごとく発射する細胞、それらに指令する細胞といった具合に。特に、菌やウィルスを弱らせる物質を抗体と言うが、これは初めて作られる時は大変時間がかかるものの、一度作られた後なら再び作るのにかかる時間は大変短い。
 これが何を示すかといえば、一度体内に侵入した菌やウィルスには感染しづらくなるという事。しづらくといったのは、菌やウィルスによっては抗体がずっと保持されないものがあるから。おたふく風邪や水疱瘡などは一度罹ると二度と罹らないなんて言われ、インフルエンザは同じ型でも何度も罹るということがあるのがいい例だ。

 さて、前置きが長くなったが、いまや除菌・抗菌ブームだ。どんなものにも抗菌処理がなされ、除菌剤や除菌効果のある製品が売れている。これらは使用した場所の菌の大半を間違いなく殺してくれる。体に悪い菌も、良い菌も。悪い菌とはコレラ菌や病原性大腸菌のこと。良い菌というのは皮膚表面にびっしり付いている表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌などがこれに含まれる。特に皮膚表面にある菌は皮膚表面を弱酸性に保ち、けがをした時に体内へ入り込み免疫細胞の練習相手になったりする。ほかにも練習相手になる菌はいるのだが、これらは先に述べたブームによって体から失われつつある。
 トイレに行けばウォシュレット機能を使い、除菌効果のある石鹸で手を洗えばほとんどの金は失われる。むしろ行く前より行った後のほうが菌は減っているかもしれない。そんなトイレを使い、そもそも外で遊ぶ機会のなくなった子どもたちの菌やウィルスへの耐性が落ちるのは当然といえよう。

 何も汚くしろとは言わないが、過剰に清潔にするのは止めていただきたい。それが叶わなくなった時に、今までは被害の無かったウィルスや菌に感染してしまうかもしれないからだ。